2014年4月2日水曜日

選抜高校野球決勝を前にして

選抜高校野球、本日決勝戦を迎えます。

さて、以前にもブログで記載したことがありますが、甲子園、打席における捕手の動きを見る打者のしぐさが絶えません。

日本代表チームにおいても以前このような行為を行っている選手がいたので注意をしましたが、世界大会でこのような行為をすると報復のような投球が来ることもあります。
イタリアで開催されたワールドカップ大会、当時打撃コーチとして3塁ベースコーチに立っていましたが、日本人打者が同様の行為をした際に対戦相手の内野手が「Look that!He cheated。(盗み見しているぞ!)」と隣の野手にささやきながら笑っていました。
日本人は「なんて姑息な奴らだ」と思ったのではとコーチとして非常に恥ずかしかった経験があります。

「Baseball」と「野球」。
野球は、日本独特の文化要素も入り、ルールぎりぎりの行為が許される風習が育ってきているようです。
「正々堂々」というフレーズが大好きな日本人であるのに一方ではこのような行為も黙認してしまう。
「あのチームもやっているから、自分のところもいいではないか。」という低いモラルが横行していることも問題。
指導者は、「正々堂々」「スポーツシップ」に則して、「間違っていることは絶対にやらない」という強い信念を持って指導にあたるべきと思います。

この「盗み見る行為」にしても、なぜ撲滅できないかというと「その行為事態が悪質な行為である」という認識が野球界に欠落しているからだと思います。
ジュニア期時代にそのような行為を正すことが野球の質を高めることに繋がることになりますので、早期な取り組み課題と考えています。


話を選抜に戻しますが、最近の高校野球の投手の力は格段に上がっていると感じています。
一昨年の藤波(阪神)投手、大谷(日本ハム)投手のような選手がプロで即活躍していることを見れば説明する必要もないでしょう。
松井(楽天)投手にしてもしかり、高卒ルーキーからの開幕ローテーションなんて昔では考えられません。
アメリカでは少なくとも制度的に高校生が即一軍で投げるなんてことはほぼ皆無であるのでMLB関係者は驚くと思います。

では具体的に良くなった点は?

科学的なトレーニングで鍛えられ球速が上がっていること。更に変化球の使い方などかなりレベルが上がっています。
特に配球は、球種の多用化に伴い、捕手を含めてかなり研究するようになってきており、打者も苦労するのは分かります。
「日本の投手レベルは世界屈指です」といつも言っていますが、コントロールは本当に素晴らしいですよ。

こんなにコントロールの良い投手が育つのはジュニア期の育成の方法がいいからだと考えますし、高校野球の賜物であると改めて思います。
「甲子園に行きたい」というフレーズが練習における高いモチベーションを持続することに繋がり、精神的に安定しない思春期の成長を助けていることは明白です。
上達は正しい動作の反復以外に方法はないので、継続するという精神的な安定は不可欠となります。


甲子園での更に一点の気づき事項ですが、最近、盗塁やヒット&ランを阻止するためのウエストボール(正式には、waste pitch。Wasteは捨てる、無駄などの意味。発音はウエイスト)を使う捕手が少なくなっていること。
フィールドの中ではウエストボールを「外す」という言われ方をしていますが、ほぼ最近では捕手の判断ではなく、ベンチからのサイン(監督からの指示)で行うことが多くなっているため、捕手の判断でウエストボールを使用することは少なくなっているような気がします。

昔の捕手は、ボールカウント、イニング、ランナーの動き、相手監督のサインなどを考慮し、自らの判断でこのウエストボールを多用していたと印象があります

ランナー1塁、2ボール、1ストライクのケースでウエストボールを使うのは大変勇気のいる話ですが、序盤に一度外す行為をされると後半の大事な場面で盗塁などのサインを出す相手監督にとってはプレッシャーがかかってきます。

ウエストボールを使うタイミングを考えながら試合を進めることにより、捕手としての状況判断力を上げることになり、更に視野を広げることにも繋がってきます。

もう少し捕手の判断に任せて、このウエストボールを使ってはと考えています。
殆どウエストボールを見る機会が無くなってきました。

ウエストボールを使うには、当然ながら投手のコントロールが良くないと中々使えないですけど・・・。


野球は他の競技と違い「間」が多くあります。その「間」を如何に有効活用するかが勝負の分かれ目になりますので「考え」、「判断する」という癖を練習、練習試合を通じて行っていると試合に生きてくると考えています。

まもなく、決勝。
両校とも精一杯頑張って下さい。

平安の原田監督、日本新薬の選手として活躍された時代の印象と全く変わらないなと懐かしくテレビで拝見していました。

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