2014年1月17日金曜日

ケース打撃 〜ベースボールクリニック寄稿

ベースボールクリニックの今月号は打撃上達の方法論の特集が組まれています。

侍JAPANの打撃コーチということからか編集部から今私が寄稿をしている「HINT!」の他に「ケース打撃」についても寄稿のお願いを受けました。

ベースボールクリニック 「ケース打撃」というテーマですが、あまりに広範囲のテーマであるため打席における基本的な考え方をご紹介するに留めています。

ケース打撃を論じる前に全ての打席、すべてのボールに意味があるということを知っておかねばなりません。

これは試合開始直後の1球目に投じた投球にも試合を左右される要因となりうるということです。

ストレートに自信を持つ投手が1球目に変化球を投げるなど「いつもと違う」という投手の心理を相手打線に植をえつけたなど。

無論、試合中はそんなこと考えながら試合を進めていくわけではないですが、試合を振り返ると重要ポイントではない場面での「あの一球が」なんてことはよくあります。

打席においても同様であり、2回の攻撃で9番打者が12球粘ってアウトになったことによって相手投手の交代が早まったなどの類です。

これらを踏まえると「ある特定のケースの打撃」を行うためには、常日頃から試合を振り返り、試合のポイントがどこだったかをしっかり見極められる選手になっておくことが必要です。

今回、ベースボールクリニックへの投稿では、「スコアボードに試合の状況が書かれているので打席に入る前にしっかりスコアボードを先ずは見よ」と試合状況をしっかり把握することが先と記載をしています。

次に「ではこの場面で最低限何をしなければならないのか」という自分の果たすべき役割をしっかり認識して打席に望むことが大切であるとも書いています。

「毎打席、安打を打ちたい」と思うのは全ての打者に共通する心理ですが、10割打つことはまず不可能であり、3割.4割打てば素晴らしい打者と長い野球の歴史で証明されています。

試合に強い打者とは、言い換えれば「ベンチの信用が厚い」という打者であり、ベンチが想定しているような働きをしてくれる打者と言えるでしょう。

ということは、ベンチから送られてくるサインの意図を的確に読み取る力が必要であり、更にそれを忠実に実行できる技術が不可欠です。

1球1球めまぐるしく変わるベンチサインの意図を僅かの投球間に掴まなければならない。

これにはかなりの経験が必要となります。

日々の技術練習だけでは判断力が上がることはないので、練習試合や他チームの観戦を元に自分なりにこのケースだったらどんな対応を自分はするなど「自問自答」により判断力を上げていく必要もあります。

練習試合は日頃の技術練習の成果を試めす場でありますが、一方ではベンチと選手の意識レベルを合わす場でもあります。

練習試合などの反省会で打てなかったなどの様に技術的な反省会を開いているケースは多く目にしますが、ベンチサインに対して選手がどう受け取ったかなどのような話は余りしないようですね。

個々の選手とは行っているとは思いますが・・・。

今のアマ全日本は合宿期間が短いため、中々こちらの考えを伝える時間が少なく、そういった意味では非常に難しい面もあります。

が、試合の場面ごとのサインの意味や考え方を個々人と沢山話をしていくようにし、コンセンサスを図っています。

例えば、ヒット&ランという戦術が選手ごとに変わっていてはいけないという説明でお分かり頂けるかと思います。

また、同じ試合状況でも打者が代わると作戦もそれぞれ変わります。

また同じ打者でもランナーが代わるととる戦術は、また違ってきます

したがって、ケース打撃でこうだというものを提示することは難しいというのが結論です。

今回、ベースボールクリニックで紹介したのは、あくまでケース打撃の基本論であり、この技術というか考え方については、個々人でしっかり見出していくことが大切です。

「野球は、監督が選手と同じユニフォームを着て戦う唯一のスポーツ」です。

監督は重要な戦力であり、この意図を選手と合わせていくことが野球におけるコミュニケーションの極意ではないでしょうか。

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