2014年12月19日金曜日

野球の国際普及を考える

随分、更新が滞りました。
少しハードな日程が続き、バタバタしておりました。
横浜で野球教室、神戸でJOC共催のイベントで講演、更に仙台で野球教室、勿論、業務もありとタイトなスケジュールでと言い訳しております。
申し訳ございません。

最近の野球教室、講演の中では、「これからの日本野球界を考える」というテーマで少し話しをさせて頂いております。
その際に、野球界を取り巻く環境の中で、一番の脅威となるのが、少子高齢化という問題と冒頭に話をしています。野球界に留まらず、国レベルの大問題ですが・・・。
野球競技人口の減少は、今現在、大きなものではありませんが、今後、少子高齢化が続くと当然ながら競技を行う人口が減るのは間違いありません。
更に他競技との選手の奪い合いは免れることができず、それに起因してプレーヤーの質の低下問題が生じることも想定されます。
最終的には人気の低落となるのでしょうか。

現在、野球人気は、国レベルではまだまだ根強いものがありますが、近年ではサッカーに追いつかれそうな勢いで安閑としていられない状況でもあります。

一方、世界的にはという視点でみると、2020年の東京オリンピックで野球・ソフトボールが復活するのではとの報道が繰り返されていますが、野球・ソフトボールの知名度は他スポーツと比較してもかなり低いという調査結果にもあるとおり、世界的な普及が大きなウエイトを占めることは間違いありません。

話は変わりますが、現在、ケニアで行われている18歳以下ワールドカップ大会アフリカ予選に国際審判である小山 克仁さん他がボランティアで参加されています。
フェイスブックでのやり取りですが、現地に行かれて「日本野球の役割が明確になった」と言われています。

発展途上国で行われている野球は、世界基準に達するには気の長い強化が必要であり、それを継続できるかどうかという経済的な問題、国の情勢などの問題が山積しております。

小山さんの活動のように個人レベルでの普及活動はもちろん大事なことですが、国レベルで普及支援を行うことが、今後の国際化に対応する日本の一つの施策ではないでしょうか?

発展途上国での一番の問題は、「教育」と言われています。
「読み書き」も大事ですが、一番はモラルを指導することでしょう。
スポーツ普及は、それを解決するには大きな役割を果たすと考えます。
フェアプレーの精神を指導することで国全体に変化を及ぼしたということも過去に事例があります。

これこそ、外交ではないでしょうかね。

普及活動に名乗り出たいという若い気概ある野球人は沢山います。
この施策を実現することは、それ程難しいことはないでしょう。

なぜ人々がスポーツに熱狂するのか?
スポーツに国境はない。

小山さんの活動は、もっともっと日の目を浴びるように持っていかかればならない。
小山さん以外にもJICAの派遣員として、各国で野球普及活動に従事している野球界の仲間がいますが、その方々の活動ももっと取り上げなければならない。

「有名選手が契約金いくらだった」とか報道するよりも、このような方々の活動を披露するほうが、余程、教育的だと思います。
マスコミの皆さんももっと視野を広げて欲しいですね。

日本の野球界を取り巻く環境、刻々と変化しています。
野球界統一ということを前提に立ち上げられた「侍プロジェクト」ですが、このような活動を行っている方々がいることも頭に入れながら、将来の日本野球をどうするかを考えて欲しいものです。

今後の侍プロジェクトに期待しながら、今日はこの辺りで。


2014年12月3日水曜日

侍ジャパン大学合宿に参加

11月29日、30日の二日間、来年韓国で開催される予定のユニバーシアード大会に向けた強化選考合宿に参加してきました。
大会に参加できる対象者は、大学生選手。
現在大学3年生以下の有望選手を集めての合宿でありましたが、社会人の全日本経験者が指南役として数名参加することになり、私も強化委員として帯同することになりました。
福岡―松山間の飛行機で向かいましたが、プロペラ機ということもあり、結構揺れて久々に違った意味での緊張感を味わうことができました

練習は、主に紅白戦でしたが、流石に大学生、元気があって球場に活気がありました。
特に感じたのは、最近の大学生のからだの発達の素晴らしいこと。
筋力トレーニングの継続と栄養への意識の高さが伺えます。
投手の球も社会人投手よりも速いのでは・・・。
140KMを超える投手が沢山いましたし、145KMを超える選手も多く目につきました。

その一方で、プレーの精度が低く、特に投手を含めたスローイングの正確性が今一つかなという印象でした(全員がそうではないですが・・・)。
繰り返しの練習が苦手なんでしょうかね。
というか、誰しも飽きがくる練習は苦手なものですが。

我々の時代は、指導者、先輩から有無も言わさず「これだけやれ」と指示されて嫌々でもやっていたのですが、最近は指導者、先輩が優しい人が多くなり、ある意味、自己責任で上手くならなければなりません。
「言われてやっている間は成長しない」なんて格好の良い格言を選手に向かって私も言うことがありますが、一方で上達させるまでは、鬼になるというような指導気風がなくなっていることもあるのでしょうね。

座右の銘は「努力」とジュニア期に良くアンケートなどに書いたことがありますが、今思うと恥ずかしい限りです。
努力という言葉はそんなに簡単なものではありません。
「できないプレーを出来るようになるように練習を繰り返す」のは、選手として当たり前のことであり、それを努力と置き換えるのは大げさかもしれません。
確かに会得しようと継続していくことは努力していることに間違いはないのですが・・・。

話が横道にそれましたが、大学全日本監督である善波監督(現明大監督)に「投手全員に国際大会を戦うにあたっての心構えを話して欲しい」と頼まれました。
現早稲田大学の吉永選手を2013年のBFAアジア選手権に招聘した折、指導した内容を例に挙げ、「困ったらアウトロー」ということについて話をしました。

吉永選手は、ストレート、カーブ、スライダー、チェンジアップ、シュート、カットボール、フォークと確か7球種ぐらいが持ち球でした。
ブルペンで投球練習では、大方50球~70球ぐらいの投球を行っていました。
この球数を球種で割ると、1球あたり大方7球~10球程度ということになります。
これにアウトコース、インコースの両サイドに投げ分けるとアウトコースのストレートに要する球数は3球~5球となります。
実際には、得手不得手の球種がありますので、球種によって練習する球数は変わりますが、ざくっと計算するとこのようになります。
これでコントロールがつくのだろうか?

改めてブルペンでの吉永選手の投球を見ていると。
一つ一つのボールは素晴らしい勢いを持っており、「本当に良いボールを投げるな」と感じた反面、「どれもコントロール不足だな」と直ぐに感じました。
球種が多くて各球種の練習量が少なく、コントロールがついていないのだと思いましたし、「スリー・ツーピッチングとなり、間違うと四球を出してしまう危ない投球」に見えました。

そこで、直ぐに7球種ある球種の内、外国人に一番通用すると感じたストレート、カーブ、それから吉永選手の代名詞のシンカーの3球種に絞ってこの大会を乗り切るように指示を出しました。
この3球種については、狙ったところに思い通りというレベルではありませんでしたが、比較的コントロールできており、更に外国人が弱い、縦の変化がつくという強みもあります。

吉永選手もキョトンとしておりましたが、監督指示ですから従わなければならないといった感じで取り組んでくれました。

直ぐに効果が出始めました。
ストレートのキレが大学のリーグ戦以上に出始め、アウトコースへのコントロールの精度が良くなってきました。
二つの変化球もストライクとボールの使い分けを意識し始め、三振が取れるようになってきました。
練習に留まらず、勿論、この大会の大事な場面で起用し、しっかりと結果を出してくれたことは言うまでもありません。

変化球を沢山投げれば打ち取れると思いがちですが、先ずはコントロールを極めるということが良い投手になる早道であると私は考えています。
これにスピードが加われば文句なしです。

ストレートだけで打ち取れる投手が理想、ストレートだけでは打ち取れないので変化球を1個、2個と増やしていく。
勿論、コントロールされていることが条件。

学生の皆様に響いたかどうかは分かりませんが、投手は、結局、コントロールなのです。

吉永選手が早稲田大学のエースになっていないこと、更にこの合宿にも呼ばれていないことに一抹の寂しさを覚えました
1年生で日本代表に召集された台湾での投球を思い出して復活して欲しいと期待しています。

二日間という短い期間でしたが、久々に元気の良い練習に参加させて頂き、楽しかったです。
来年、復活競技となったユニバーシアード大会における野球競技。
侍JAPAN大学代表として、是非日の丸をセンターポールに掲げて欲しいと願います。
頑張れ、大学代表!