2017年2月4日土曜日

第32回イタリアコンベンション 続編

アメリカのカブスから2名コーチ招聘されたと前回で紹介をしましたが、今日はバッティング技術をプレゼンした Andy Haines の内容を少し紹介して行きたいと思います。





バッティングのメカニクスを説明していたのですが、ポイントは3点でしたね。

1.兎に角、投球を迎えに行かず、軸足に体重を乗せたままボールを待て(Stay Back)。

2.体を回転(ローテーション)させるために少し前かがみになれ。

3.バットの軌道は、アップライトに振って行け。


1,2項目は、アメリカ人のコーチが必ず話す内容で、特に目新しい感じはしなかったのですが、3のバット起動の話の時に以下のような面白いことを喋っていました。

投球に当たるバットの角度は、5度~15度が一番ボールがよく飛ぶんだ。

このアングルでスゥイングを行うことを心掛けるべきである。

勿論、0度の時はレベルスゥイング、ライナーになり、これは悪くない。

ダウンスゥイングのようなマイナス角度のバット軌道が一番最悪である。
タイミングが取れずにバットヘッドが体が回転する以前に投球に向かって行く。
いわゆる、速く振りすぎてファールになるケースのようなスゥイングだ。


説明の際には、0度を基準として、アップライトの角度をポジティブアングル、逆をネガティブアングルと使い分けていましたね。

ポジティブというぐらいですから、要はアップライトに振るべしと言っているのでしょう。



実は、この説明、私のブログの中でもずいぶん以前に、「バットの角度を一瞬のスゥイングの中で意識することなど到底無理であり、その角度を両腕のみで調整することなどもっての他だ」と指摘しました。

彼は、科学的な知見を取り入れ、詳細説明をしようと考えたのだと思いますが。



打撃におけるスポーツ科学は、「なぜ遠くへ飛ぶのか?」などは、全て統計的な見地で分析されており、どちらかというと前向きな回答ではないんですよね。

「こうやったら、必ず飛びます」「必ずバッティングは良くなる」というような見地で物事を説明しておらず、「ホームランバッターはこう打っている」という分析で話をしているわけです。

指導の現場では、一人一人体力的な個人差があり、それぞれに適合する打ち方を見つけていく必要があります。

それがバッティングコーチの役割なんです!

バランスを指導する際には、同じ課題を克服させるために全く真逆なアプローチをすることもあるわけです。



スポーツ科学を指導者が勉強することは絶対的に重要です。

寧ろ知らなければなりません。

が、安易に指導の現場に持ち込みすぎると失敗するケースもあることも知っておく必要があるでしょう。

Andy Hainesの説明をそのような感想を持ちながら聞いていました。



しかし、Andy Haines の説明はわかりやすかったですよ。

イタリア語に通訳する方は大変だったでしょうけど。


アメリカの教え方は、いつ聞いても、誰に聞いてもほぼ同じなんですよね。

それだけ画一化されてている証拠かな。



マニュアルのない日本とどっちが良いのだろうと最近また悩み始めましたよ。

WBCで圧倒的な打撃で日本が快進撃を見せてくれたら、やっぱり日本のバッティングが一番と思うようになるのかな・・・。










2017年2月2日木曜日

2017年初投稿 第32回イタリアコーチコンベンションに参加して

「Baseball Plus」を閲覧頂き、誠にありがとうございます。

そして、長い間、記事アップを行わず、サイトをご訪問頂いた方に、がっかり感を残したことをお詫び申し上げます。

2017年 最初の投稿は、イタリア トレビーゾ(ベニスの近郊、ベネトン発祥の地)で開催された「第32回イタリアコーチコンベンションに参加して」と題し、雑感と参考になった内容をご紹介します。

イタリア野球の実力ですが、現在のワールドランキングですが、第9位と意外にも高い(日本が1位)。
野球が2020年にオリンピック種目に返り咲いて、イタリアも組織委員会から強化費用が付き、2020年に向けた活動を開始すると会長も宣言していました。

まずこのコンベンションですが、イタリアの野球とソフトボール活動を行っている監督、コーチを対象としたイタリア野球・ソフトボール連盟が主催の技術研修会のようなものです。

野球とソフトボールに分かれて、それぞれに講師を招聘し、技術の講習会を開催するという内容です。

野球の講師は、アメリカからシカゴ カブスのマイナーチーム コーチ2名、日本から私が招聘されました。

「なぜ日本から私?」

という問いですが、様々な世界大会に監督や技術委員(TC)として参加した中、イタリアの連盟の方と沢山の交流の場があり、非常に仲良くなっていたことから今回お招き頂いたという経緯。
昨年は、岩村君(元ヤクルト)が来ていたようです。

私の講義は、以下3点を紹介しました。

1.日本の野球の歴史
2.日本のバッティングについて
3.日本のピッチングについて

全ての項目とも、一般的な日本の紹介といった程度のもので、特に技術の難しいところは説明しませんでした。時間の制約もあったため。

当初、日本語通訳が付かないということで、英語でプレゼンし、イタリア人がイタリア語に訳するという進め方とイタリア連盟から聞いていたので、英語が久々でしたので、かなり緊張していました。

現地に入ったら、松山修平さんという素晴らしい御仁が通訳として付いて貰えることになりました。
修平さんが、私の日本語をイタリア語で、不足の部分を私が英語でという感じでプレゼンを行いました。

修平さん(御年は60歳越えなんで、若輩の私が気軽に呼べるわけではないのですが)は、ミラノ在住で、有名な美術家さんであり、さらに空手家でもあります。
日本で数々の個展も開かれております。
奥様の真理さんが、また素晴らしい。

話を戻しますが、私の講義の趣旨は、日本の野球を支えているのは、武士道の哲学であり、さらにそれに基づく、たゆまぬ鍛錬が今日の日本野球の強さを支えているという視点で話を進めました。

日本人ほど、指導者に忠実で、努力を怠らない、それで且つ、自己犠牲の精神が強い国はないということをイタリア人に訴えました。

日本の野球のバイブルは、「巨人の星」であると紹介もしました。
イタリア人から「巨人の星は知っているよ」と言われ、意外に驚きましたが・・・。

「日本人のように練習をさせてしまったらイタリアから野球をする人間が居なくなる」と一人のイタリアコーチから言われました。
これには苦笑。
しかし、「やはり、練習が不足しているね。」と素直な感想の方が殆どです。

一方、アメリカ人のコーチは、専門技術の紹介をしました。
一人が、捕手、もう一人が打撃と…。

嘗て、サンディエゴ・パドレスの1Aコーチとして野球留学をした際に見てきたアメリカの指導とは少し違うかなと思いましたが、科学的な分析を主張するあたりは、さすがアメリカだなと感じました。


詳細は、また次の投稿で紹介します。


今回は、久々の投稿ということで、まずはジャブ程度の記事で留めます。

今後とも「Baseball Plus」よろしくお願い致します。


※追加記事

イタリアのレストランで、エスプレッソコーヒーに飽きて、アメリカンを頼んだら。
何と、エスプレッソコーヒーにホットウォーターがついてきました。
自分で好きなような濃さに調整しなさいという発想が素晴らしい。
固い日本人には、ない発想。
スローフードの都市ならではですね。