2012年12月14日金曜日

投手の育成~アジア選手権編

BFAアジア選手権において合宿から沢山の投手の練習風景を見守ってきましたが、最近の投手は、昔の投手と比較すると非常に多くの練習メニューをこなしていると感じました。
肩のストレッチから始まり、インナーマッスル強化、ウォーミングアップ、遠投、30M間での立ち投げ、それからブルペンでの投球練習、フィールディング練習、ランニング、個人の課題練習、最後に筋力トレーニングといった流れですか。
一昔前の投手をやっていたという人の話を聞くと「投げて、走って、腹筋、背筋」で終わりという具合で、「投げるか、走るか」が投手の練習メニューときっぱりと言われます。それから、「毎日、今の選手よりも沢山投げていたな」と必ず言われます。
当時は、球数を管理するなどという観念はなかったはずですから相当な数(150~300球)は投球練習をしていたのでしょう。
話を戻しますが、今回のメンバーの捕手に「自チームで、投手の投球練習について口を出しているのか?」と質問をしたことがあります。「練習方法について会話はしていますが、取組み方までには口出しをしていません」と答えが返ってきました。
なぜそのような質問をしたかというとブルペンで投球練習している中で、持ち球(球種)が非常に多彩となっており、殆ど満遍なく投球練習を繰り返していたように映り、尚且つ、全ての球種の精度が低く感じたからです。
例えば、ストレートを3球投げたら、次はスライダーを2球投げ、続いてチェンジアップを2球投げ、カットボールを2球投げ、最後にフォークボールを2球投げといった類です。
今記載したとおり、全球種を均等に投げることで、試合で一番投げなくてはならないストレートの練習の割合が極端に減っているように見受けられたからです。
昔から「困ったらアウトコースの低め」と言われていますが、これで本当に勝負どころでアウトコースの低めに投げられるコントロールが身につくのでしょうか?かなり疑問です。
最近は配球理論が流行っている野球界ですが、プロの一流どころのように全てのボールを思うようにコントロールできるから配球が成り立つのであって、投げてみないと分からないようなアマチュア投手にそんなに配球を重視する方がおかしいと思います。
アマチュアのレベルは得意なボールの精度を上げ、先ずはそのボールで勝負するというレベルで十分と考えています。色々な球種を投げすぎるために得意なボールの伸び、精度がストップしているような気がします。
色々な球種を投げて討ち取る投手が良い投手だと思っている人が多いのではないでしょうか?
昔の大投手は、ストレートとカーブの二つしか投げずにプロ野球で200勝をあげています。江川さんなんて基本的にストレートしか投げなかったといっても過言ではありません。それでも相手は打てなかった。今このような投手が少なくなってきましたね。
高校生で「俺のストレート打って見ろ!」と投げ込む、粋の良い投手は見当らなくなりました。
カウント1-3、相手はストレート待ち、配球的には変化球ですが、ストレート勝負という投手がいなくなりましたね。
配球の話をしましたが、ストレートとカーブしかない投手と7球種程度持っている投手の配球パターンの数の違いは数学を習ったことがある人であれば一目瞭然。複数球種を保有すると捕手もパターンが沢山ありすぎてリードも大変です。
勿論、沢山の球種をもっている方が打者に的を絞らせないということでは有利になることは間違いないです。
が、アマレベルで多くの球種を思ったとおりに投げられるような投手は滅多にいません。現にアジア選手権チームでも本当にコントロールできていたのは、ベテランの投手2、3名でありました。
そのようなことを考えると捕手は、投球練習において信用できない持ち球を練習させるよりもより、自分がサインを自身を持って出せる、信頼できる球種のコントロール、質の精度を上げることを練習させることに執着した方が良いと思います。
結果的に試合において、自分のリードが出来、勝つことに繋がるはずです。
少ない球種の投手をいかに上手くリードできるかというのことが捕手の醍醐味でもありますし、投手の凄さでもあります。
「二つの球種で打たれ出したから、三つ目の球種を覚えなさい」ぐらいの感覚でアマレベルは丁度良いと思っています。
先ずは、ストレートの切れとコントロールです。
アジア選手権のブログの中に大学生代表である我が後輩の吉永投手、次年度のドラフト筆頭候補の大瀬良投手の投球練習を見守っていました。それは沢山の球種を練習していました。(二人とも素直で、真面目に練習に取組む本当に良い子でした。)
吉永は、ストレート、カーブ、シンカー、チェンジアップ、スライダー、カットボール。
大瀬良は、ストレート、スライダー、チェンジアップ、カットボール、フォークボール(カーブ殆ど投げていない)。
器用に沢山のボールを投げるのですが、見ていて全然、面白くない。
殆どがコントロールされておらず、特にストレートの精度が悪すぎる。その割には直ぐに他の球種を投げたがる。正直、二人ともスライダーとカットボールのコントロールは最悪です。それでも大学生レベルでは押さえてしまうから勘違いするのでしょうね。ちょっと抜けた球、コントロールされていない球でも討ち取れるのかもしれませんが、他国のプロ相手では、そのような出来では通用しません。
大瀬良には、カーブを再度覚えさせました。カーブは下半身を使って投げないと球持ちが悪く、コントロールもできない。また、カーブを投げることによってバランスが良くなり、ストレートの投げ方、精度も上がるという効果を期待しての選択でした。ものの見事に短期間で習得しました。今まで直ぐに困ったらコントロールもできていないスライダーを投げていましたが、アジア選手権ではストレートとカーブの緩急で勝負し、見事な投球を披露しました。
吉永は大学に入ってからスライダー、カットを覚えたらしいですが、この二つは投げるなと指示しました。なぜかというとストレートの質が他の投手と比較しても群を抜いて良い。スピードガンでは143km程度ですが、杉内を思い出させるような球質を持っている。この一番討ち取れるボールを選択せず、コントロールもできないスライダー、カットを投げてはならないと指示しました。当然、捕手に強く指示したのですが・・・。
それから、シンカー、カーブは真ん中付近をめがけて完全ボールを避けろと指示しました。狙いすぎて、ホームプレート前でワンバウンドしたりするシーンがリーグ戦で目だっていましたので、兎に角、ストライクゾーンに行くようにコントロールしないさいと指示もしました。
読み進める中で既にお分かりかと思いますが、二人に共通して指示したことは、横の変化でなく、縦の変化、即ち「緩急で勝負しろ」ということです。小手先で簡単に投げることが可能なスライダー、カットはややもすると投球フォームのバランスを悪くする要因ともなりまし、肩、肘の障害を引き起こしかねません。
しっかり、からだ全体を使って投げることで、肩への負担、障害も減るということを教えたかったこともあります。
二人とも理解できたかは、定かではありませんが、少なくとも次年度の二人の投球は、ストレートの比率が多くなることと思いますし、緩急が主体になってくるでしょう。
「二人とも逃げたらいかんぞ!」

指導者の皆様、投手の練習内容をじっくり観察してください。
この投手の何が武器なのかを見極め、アドバイスしてあげることが非常に大事な指導者の役割と思います。





2012年12月7日金曜日

BFAアジア選手権 総括


BFAアジア選手権が5連勝で終了しました。前号で台湾戦を振り返り、引き続き試合ごとにレポートするような気配を見せましたが、デーゲーム、ナイターの連続でその余裕もなく、結局は大会が終っての総括という形で報告を致します。
このブログの読者数が私の想像以上であることに非常に驚きを隠せないでいるのですが、この遠征で今回初めて選手が読んでいることも判明しました。
愚痴をこぼさなくて良かった・・・。
では、早速、大会総括を記載します。

VS パキスタン(13対0)
1戦目のスターティングメンバーを大幅に変更して臨みました。正直、パキスタンはまだまだこのような大会に参加して対等に戦うレベルではありません。
選手には「100%、勝つことはわかっている。しかし、参加しているパキスタンの選手に参考になるように必死でプレーをしてくれ」と話をしました。
選手は手を抜くことなく、真面目に試合をしてくれました。
先発の大瀬良、リリーフの新垣、秋吉には「今日の登板もあるが、以降の試合もあるのでしっかり投げるように」とも指示しました。事実、0点で乗り切り、特に大瀬良は9者連続三振といくら格下の相手といえども素晴らしすぎる内容で自信を深めてくれたと思います。また秋吉も国内以上の球威を披露し、次なる登板に期待を持たせてくれました。
雨による開始遅延にも拘らず必死で戦ってくれた選手を見て以降の試合もやれると確信し、ベンチ入りの殆どの選手が今大会に出場し、チームが更に結束した試合であったと感じています。

VS フィリピン(1対0)
雨が降り続く中、試合開始14時予定が17:00開始となり午前10時に休場入りしてから相当待たせられた大変なゲームでした。
国際大会では当たり前といえば当たり前ですが、この日が条件的には一番厳しかったです。台湾体育大学の学生が50人ほど動員され、内野を覆うシートをとっては、またかぶせと必死のグランド整備の結果、何とか試合ができたという状況でした。
この天候により7イニング打ち切りということを試合前から宣告されており、兎に角、早く試合を終えて明日の韓国戦に備え、コンディショニングを悪化させないことを念頭において戦いました。
とは言え、フィリピンの投手陣は近年それ程悪くなく、特に左投手が大会ごとに成長していることはよくわかっていたため、手を抜くことなく、主力中心のオーダーで挑みました。
スコア通りの僅差となりましたが、打撃陣が悪かったわけではなく、フィリピンがよく守ったという印象です。非常に集中力がありました。
試合前に「1対0」で勝つと冗談めいたことを言っていたことが本当になりました。
この試合では、5回のフィリピンの2死2,3塁の攻撃で打者が三振したボールを体に当てボールデットになったにもかかわらず、転がるボールをインプレーとミスジャッジした韓国の審判が特に目立ちました。
当然抗議に行き、判定は1塁の塁審の助言により覆り、アウトとなりましたが、明らかにこのルールを主審は知りませんでした。これは世界大会であってはならない大問題です。以降は主審をすることが無かったので、大会運営側も厳重注意し、配慮したのだと思います。
フィリピン相手に僅差で「何やっているんだ」とお叱りを受けるかもしれませんが、野球はこのようなことは良くおきます。結果的に最後は1対0で勝つということが実力の差であると理解して戴きたい。
特に選手に苛立つこともなく、フィリピンの善戦をあっぱれと評価したいと純粋に思っています。

VS 韓国(4対0)
過去の日韓戦の経験から闘志むき出しで韓国は来ると予想していましたが、連日の雨模様のせいか、今までの雰囲気とは違い、また相手がアマチュアということもあってか少し構えた姿勢で試合前からいたようでした。
全勝同士の戦い、勝ったほうが大きく優勝に近づく大一番、先発には1戦目押さえに起用した最年少の吉永をマウンドへ送りました。この大会に入る前から勢いを出すためにも韓国戦は吉永と決めていましたが・・・。期待に応えて非常に良いピッチングをし、4回途中まで良い投球をしてくれました。
打線も吉永を援護するように先制点を松本が叩き出し、リードを保ったまま中盤以降を迎える優位な展開に持ち込みました。
韓国は台湾戦で好投した左の片山を意識してか右打線をそのまま継続。ここで吉永から連日好投の秋吉へスゥイッチ。秋吉のストレートはうなっていました。前に打球を飛ばさせず、以降9回1死まで殆どパーフェクトに押さえ込みました。
打線も期待に応え、追加点を取り、思い通りの展開に持ち込み、最後は切り札片山を投入し、完全に力勝ちしました。明らかにチーム力の差が出たと感じました。
韓国選手が試合後、「誰もプロがいないのか?」と洩らしていたらしいです。

VS 中国(10対1)
日本ハムにドラフト指名された新垣を最終戦の中国戦に先発。大会前から「もし、台湾または韓国に負けた場合、この中国戦はメダルをかけた大変なプレッシャーになる。」と考え、「アマチュアに恩返ししたい」という意気込みある新垣を最終戦までとっていたといのが本音です。
既にほぼ優勝が決定的な状況でありあまり気合が入らない状況であったと思いますが、連日投手陣が良い投球をしていたので別の意味でプレッシャーがあったのかもしれません。
新垣は内野手の2失策もあり、調子に乗る前に先取点を許し、本来の出来からは遠い内容でした。が、流石に3回を最小の1点で凌ぎ、ドラフト選手としての片鱗を見せてくれました。
今大会初めて先行を許した打線は焦ることなく、この日もしぶとくチャンスをものにし、4番の林が待望の本塁打を放つなど一方的な展開となりました。
投手陣は、新垣の後を濱野、大瀬良、大城と危なげなく繋ぎ、最後は開幕投手の吉田が締めて完全優勝を遂げました。
吉田の胴上げ投手は、大会始まる前から決めていたので、予定どおりのローテーションで回るという投手の頑張りが際立っていたといえるでしょう。
マウンドで集まる選手を尻目に私は先ずは中国チームの監督に握手を求めに行きました。
国際大会において友好の気持ちを忘れてはいけないとバルセロナオリンピックチームの山中監督より教わりました。中国チームのアメリカ人監督は第1声に「おめでとう」と言ってくれました。流石BASEBALLだなと改めて感じた瞬間でした。

野手へのコメントが少ないのですが、野手は全員が其々の持ち味を出してくれ、特に名前を出して賞賛する必要はないかと思っています。
強いてあげれば、大学生で社会人以上の打球スピードを披露した富士大の山川が社会人打者に火をつけたといえるでしょう。
もう一つ、今回コンパクトな守備体型が功を奏しました。これほど見事にセンター前をことごとく阻んだのも、合宿時からの意識づけの勝利と思っています。
勿論、二遊間の守備力もありますが・・・。

連日の雨天の中、献身的なプレーを続けてくれた選手に非常に頭が下がります。
また、この選手団を叱咤激励し、プレーしやすい環境を作ってくれたコーチングスタッフには改めて深い信頼と感謝の念で一杯です。
多端主将の「プロに勝ったぞ!優勝しちゃったぞ!」という選手への最後の掛け声は素直な気持ちの現われでしょう。
本当にいいチームであったと思います。
帰国した解団の挨拶で選手に対して「野球界への還元」を御願いしました。ここで学んだことを真面目に来シーズンに表現してくれることを選手全員に期待します。
来年の東アジア競技大会、再来年のアジア競技大会とアマチュアが出場するであろう大会がありますので、このメンバーがこの大会で得た自信を秘め、更に活躍することを祈念して大会の総括とさせて戴きます。




2012年11月29日木曜日

BFAアジア選手権 台湾戦

11月22日-25日 Jx-Eneosグランドでの直前合宿を経て、11月26日に台湾台中に移動し、BFAアジア選手権を昨日迎えました。
今大会は、6チーム総当たりで順位を決する方式であり、通常の世界大会の予選を行って決勝トーナメントを行う方式とは異なるため、初戦の台湾戦は日本チームにとっては事実上のメダル決定戦と非常に重圧のかかる初戦となりました。
また、現地入りしてからの台湾の天気は雨ばかりとグランドで練習が全くできず、昨日の台湾戦も小雨降り続く悪いグランドコンディションと選手にとっては大変な中での試合となりました。
台湾戦の先発は以下のとおり。
��. 藤島(JR九州)CF
��. 井領(JX-ENEOS)RF
��. 多端(ホンダ)3B
��. 林(富士重工)DH
��. 松本(JR東日本)LF
��. 山川(富士大学)1B
��. 川戸(ホンダ)2B
��. 中野(JR九州)
��. 田中(JR東日本)
投手:吉田(JR東日本)
通常ショートを守る川戸選手を二塁手で起用、チームの雰囲気を打撃で変える力のある山川をファーストに抜擢とかなり思い切った布陣で勝負に出ました。
対戦相手の台湾は、WBC予選にも名を連ねる台湾プロ選手。先発投手はシカゴ・カブスのマイナー選手である王(ワン)選手とかなりの実力がありました。
試合が開始され、150kmの速球で押す投球の王投手を想定していましたが、球数制限(所属球団から75球と制限されている)と雨のコンディションとの兼ね合いからか一転スライダー主体の投球をされ、3回まで完璧に抑えこまれました。
一方、我らがアマのエース吉田も怯むことなく140km中盤の速球で対抗し、互角の戦いを展開。
3回の裏、相手の先頭打者にライトオーバーに3塁打を打たれ先制を許すかという場面を迎え、日頃早い回から前進守備シフトを敷かないのですが思い切って勝負に出てバックホーム体制を指示。吉田投手も期待に応え、9番打者を遊撃ゴロ、続く1番の左の好打者をセカンドフライに打ち取り2死3塁までこぎつけました。
2死は獲ったものの2番の左打者を迎え、吉田投手の投球に対してフルスゥイングしてくる台湾バッターとは紙一重の状況と厳しく、ここで堀井コーチ(JR東日本)にマウンドへ行って貰い、時間をとってもらいました。
無死3塁は2死までこぎつけた後、ほっとして安打を許すというパターンが良くあります。1点を献上しても全くおかしくない場面をここまで粘ったのだからここは絶対に先取点を渡さないと通常セットアッパーを行っている左投げの片山投手(JR東日本)を投入。期待に応えて捕手ゴロと選手点を阻んでくれました。
野球は面白いものでこのような大きなピンチを脱すると必ずチャンスが訪れるものです。4回の表、先頭の井領選手が打った何でもないショートゴロを遊撃手が抵投、無死1塁と先取点のチャンスを迎えました。日頃早い回からは送りバントをしないことが多いのですが相手の好機を潰した次ぎの回であったこともあり、3番の多端選手に送りバントを指示しました。続く4番の林選手は打ち取られましたが、5番松本選手が思い切りよく、センター越えの2塁打を放ち、待望の先取点獲り、流れは完全に日本側へ。
続く5回にも四球で出た川戸選手を1番藤島選手がレフト前安打し、貴重な追加点をあげ、
優位な状況で試合を進める展開で進めました。
片山選手の投球は台湾打者にバットを思い切り振らせることなく、見事な投球を展開し、7回まで0点に押え、完全に手玉にとっていました。
しかし、打線は台湾も流石プロ集団、5回以降はリリーフ投手に完全に押えこまれ、嫌な流れで終盤を迎える展開となりました。
終盤、片山投手が2死2塁からセンター前安打を許し、1点を献上し、8回を終えて2対1と最終回の攻防に。
��回表の攻撃も追加点を取ることができず、重苦しい雰囲気で9回裏守りを迎える展開となりました。2番の先頭の左打者を片山投手が打ち取ったあと、3番のマリナーズマイナー選手を迎えてところで本塁打を警戒して直前合宿で絶好調であったチーム最年少の後輩である早稲田大学吉永投手にスイッチ。
大舞台を経験していると言っても流石に国際マッチの押えの重圧は吉永選手にも荷が重かったようです。
��番打者には続けて直球がボールとなり2ボールとボール先行。マウンドに上がる前に今大会は力で押せと指示していたこともあり、続く2球もストレートでファールを打たせカウントを戻す見事な度胸。しかし、迎えた2-2からの5球目勝負の直球をフルスゥィングされた打球は左中間最深部へ。
誰もが「やられたか」と思った打球でしたがフェンス手前でレフト松本選手のグラブに納まり、あと一人で勝利というところまでこぎ着けました。
左の大城投手(JX-ENEOS)にスウィッチもよぎりましたが、ここは吉永投手を信頼して続投と腹をくくりました。
続く4番打者は台湾リーグでも20本塁打以上を打っている強打者。ここも臆せずストレートで勝負を挑み1-1と並行カウント。3球目インコース高めに投げた球はライトポール際への大飛球。これまた誰もが「やられた」と思った場面でしたが、ポールの脇50cmほどファール。最後は、ここまで隠していた得意のシンカーで三振。
吉永投手には六大学リーグ戦とは全く違ったストレートで押すスタイルに変えることを指示したのですが、若者らしい挑戦的なスタイルはチームに活気を与えてくれていることは間違いありあません。しかし、2本とも入ってもおかしくない当たりが入らないとは何か持っている只者ではない後輩です。
広州のアジア競技大会で台湾チームをあと一息というところまで追い込みながら負けた苦い思い出に雪辱を果たすことができました。
多端主将を中心にまとまってくれている選手に頭が下がります。
また、献身的にサポートしてくれている堀井コーチ、善波コーチ、中島コーチに感謝、感謝です。
まだ大会が始まったばかりですが、今日の1勝はアマ日本代表にとって歴史的な1勝と言っても過言ではありません。選手諸君おめでとう!
残りの試合に全勝し、5連覇を成し遂げて参りますので引き続きご声援をお願いします。
それにしたも国際マッチは疲れます。



2012年11月16日金曜日

BFAアジア選手権日本代表選手

12月28日より台湾台中で開催されるBFAアジア選手権の日本代表選手を昨日発表致しました。大会直前までのエントリーが可能ということで、怪我等による不慮の変更を加味して、社会人日本選手権、大学神宮大会の終了まで引っ張ったというのが現状です。大会参加登録可能数は24名と当初の20名から増員されました。プロ選手が多く参加すること、シーズンオフの大会である事情を配慮しての増員であると想像しています。

さて、今回選出したメンバーの一人一人を簡単にご紹介いたします。
投手は怪我の多いポジションですから8名か9名かと悩みましたが、野手の層を厚くすることを優先するとともに連投になれているアマチュア投手の力量を勘案し、最終的に8名としました。
〇大瀬良(九州共立大)大学球界NO.1投手との評判もあるとおり、150kmを超える速球には非常に魅力があります。大会では、主に試合後半での登板を期待しています。
〇吉永(早稲田大)ご説明する必要もなく1年生ながら早稲田大を支える投手で今後のアマチュア野球界を支えていく選手と期待しています。海外ではあまり見られない独特のシンカーは外国人選手にはかなり通用すると考えています。
〇吉田(JR東日本)1年目ながら社会人球界で現在、NO.1右腕の投手、187CMの長身から投げ下ろす速球はスピード表示以上の威圧感があります。また多彩な変化球も保持しており、コントロールも良く、大事な試合での登板を期待しています。
〇大城(JX-ENEOS) 都市対抗野球、日本選手権のダブルのMVP投手。小柄でありますが、球威は抜群で、杉内(巨人)を彷彿とさせるような投手です。特に独特のカーブは、落差も大きく、海外打者には十分通用すると考え、左のエースとして期待をしております。
〇濱野(JR九州)社会人を代表するベテラン投手で、サイドスローからのスライダーは曲がりも大きく、良くコントロールされ、類似投手の経験の少ない海外選手は非常に戸惑うと考えています。先発、中継ぎとフル回転の登板を期待しています。
〇新垣(東芝)日本ハムにドラフト指名され、11月22日に契約を控えている実力派投手。速球とスライダーが武器の選手で試合を作れる選手として期待をしています。社会人時代は目立ちませんでしたが、プロの世界では実力を発揮すると思います。
〇片山(JR東日本)中継ぎのスペシャリストで左サイドから投球されるボールは打者の手元で微妙に変化する特徴を持っています。マウンド度胸も十分で特に試合中盤から後半にの大事な場面での登板が多くなると期待しています。
〇秋吉(Panasonic)今年ブレークした選手でサイドハンドからの投球は、145km越えるスピードを保持している選手です。ストレートでぐいぐいと押してくれる強気な投球でチームに勢いを与えてくれることを期待しています。
海外試合で特に怪我の多い捕手は、3名体制としました。
〇中野(JR九州)インサイドワークに長け、特にバッターの特徴、投手の特徴を生かしたリードに定評があります。チームを落ち着かせる守備の要として期待しています。
〇石川(JR東日本) 自チームを昨年から3大会連続で決勝に導いた功労者。若手ながら沈着冷静に試合をコントロールしていく能力は非常に長けており、初経験ではありますがブレークを期待しています。
〇二葉(トヨタ)他二人の捕手にない思い切った強気のリードを行うタイプの捕手です。流れを変える場面での起用が多くなるかと思いますがムードメーカでもあるので活躍を期待しています。
内野手は、8名。
〇山川(富士大学) 一塁手。パワーはアマNO.1であり、阪神ファーム戦で放ったホームランの飛距離はプロ選手も驚くほど。社会人選手の中にあっても気後れしない性格はチームのムードを高める効果を秘めています。のびのびとやって欲しいと期待しています。
〇井上(日本生命)一塁手。大学時代もJAPANを経験していたが、巨漢のからだを使いこなせず、漸く今年ブレーク。本来の柔らかさに力強さを加え、長距離砲として期待をしています。
〇吉田(東芝)二塁手。身体能力が高く、意外性を秘めた選手で流れを引き込む力がありあます。代表に選ばれた誇りを持ち、ここらで大きく飛躍して欲しい選手の一人です。思い切りあるプレーに期待をしています。
〇山本(日本生命)二塁手。小柄ながら一発を秘め、守備も堅実ないぶし銀的なベテラン選手。苦しいときの起用が多くなると想定していますが、確実に仕事をこなしてくれると期待しています。
〇多端(ホンダ)三塁手。豊富な海外試合経験によるリーダーシップを発揮し、チームの精神的な支柱。クリーンアップを打つ可能性が高い選手であり、バッティングでチームを引っ張って欲しいと期待しています。
〇岩本(NTT東日本)三塁手。登録は三塁手だが内野ならばどこでも守れる選手で目立たないが心強い選手である。特に勝負強い打撃はここ一番の代打など多いに期待ができます。
〇田中(JR東日本)遊撃手。1年目ながら日を追うごとに成長を見せている伸び盛りの選手。攻走守、三拍子揃った選手であり、プレーぶりも華があります。若手選手らしく勢いあるプレーを期待しています。
〇川戸(ホンダ)遊撃手。大柄な割りには非常に器用な選手で内野全ポジション対応ができる選手です。自チームでも西郷選手の後を打つなど長打と勝負強い打撃に期待しています。
外野手は、5名。
〇林(富士重工業)現在、アマJAPANの攻撃の支柱。独特の打撃フォームから鋭い打球を飛ばす。勝負強い打撃で野手陣を引っ張って欲しいと期待しています。
〇藤島(JR九州)ベテラン選手であるが初選出の選手。根性、ガッツという言葉がぴったりの選手でアマチュア選手らしい選手。チームのリードオフマンとして期待しています。
〇井領(JX-ENEOS)プロも注目するほどのセンスの塊である選手であることは間違いなく、精神的な安定感がでれば大ブレークする可能性を秘めています。出塁する力に期待しています。
〇堀越(新日鉄住金鹿島)バットコントロールが上手く、殆どのボールを芯で捉える力を持っています。小柄ではあるが力強い打球を放ち、外野の間を抜く安打が期待できます。気後れすることなく、堂々と試合して欲しいと期待しています。
〇松本(JR東日本)非常に寡黙でありますが芯のしっかりした、ここ一番で活躍する選手です。クリーンアップを任せることになりますがプレッシャーをはねのけて思い切り良くバットを振ってくれることに期待しています。
以上が今回の選出メンバーです。
アマ代表ではありますが、他国からすると日本代表であることに変わりありません。
我々も日本代表の誇りを持ってこの大会で優勝するように頑張りますので、ご声援をよろしく御願いいたします。

��写真はスポニチHPから)




2012年10月31日水曜日

長崎文教シニア

今回は、初めて私が代表を務める長崎文教シニアについて記載します。
私個人が今後の日本アマチュア野球界をどうあるべきか、また特にジュニアレベルをどうすれば良いのかと考えていた時期があり、「それならば一度現場に深く入り込んで実態を知ろう」と7年前に仲間と思い切って立ち上げた中学生を対象としたチームです。
最初は、紆余曲折あり、排他的な野球界ですから色々なご批判も受けましたが、信念を貫き、何とか継続しています。
先の10月27日、28日に大分で九州新人大会が開催され参加しました。初戦は突破しましたが、2回戦で惜しくも0対1で敗退しました。
特に2回戦は1安打の敵チームに対し、かなりのヒットを重ねていただけに大変惜しい試合でした。このゲームを応援していて中学生レベルでは先取点が非常に大切だということを改めて想い知らされました。2回の攻撃、1死1,3塁で下位打線を迎えるチャンス。采配は「打て」のサインでしたが、結果的に内野ゴロ、三振とチャンスを生かすことが出来きませんでした。この采配が何となく重苦しい試合になったのではないかと思います。おそらくスクイズして先取点を取っていたら勝っていたでしょう。しかし、私は「打たせて、正解!それで良し」と思っています。スクイズプレーも野球の技術では重要ですが、重要な局面においての野球の醍醐味である投手と打者の1対1の勝負をジュニアの時分からトライすることこそが今後の将来に大いに役立つと思っています。
私は、「試合に勝たなくても良い」が「飛び切りの負けず嫌いになれ」と言っています。あるときは、「試合に負けていいとは言っていない」などという言い方もしています。非常に矛盾したことを言い続けていますので、「このおじさんは、おかしい」と選手は戸惑っているでしょう。要は、勝ちだけに拘る作戦はするな!選手の力量を上げ、力と力の戦いで勝てということを言っているのです。したがって、今回の敗戦は、単に力不足であったということを選手諸君は分かって欲しいものです。
長崎文教シニアは、中学生選手の成長の一助となればという気持ちで立上げましたが、一方では、自分自身の指導力アップの機会でもあります。
理解力のある日本代表の選手に指導するのは簡単ですが、「当たり前の言語が全く通じない」中学生への指導は、本当に難しいものです。
全く想定できないようなプレーを行ないますし、特にメンタル面の安定性の無さは大人とは比になりません。1球ごとに一喜一憂し、成功すれば物凄く自信をつけ、失敗すれば直ぐに自信喪失ということになります。
したがって、指導者は絶対的な存在であり、その一言は選手の成長を大きく左右することとなります。最近、褒めて育成するという風潮が多くなり、怒鳴り散らすような指導者は随分少なくなってきて、良い傾向にあると思いますが、間違いを犯したときに本気で叱ってあげるということも少なくなっているように感じます。選手に気を使って叱るのを怖れることは、後々の指導に大きく影響します。野球の技術の習得にかかせない条件である「間違いをしっかり受け入れる選手」、「責任をちゃんととれる選手」を育てることがジュニア期の指導者の役割ではないでしょうか?
そうあるべきと思い、今後も指導にあたっていきます。
野球は、相手がいなければ試合もできません。自分の勝利だけを考えるだけのチームではなく、相手チームに対する配慮、敬意を払えるような選手が多くいるチームに育てあげたと考えています。
長崎文教シニア、まだまだ弱小チームではありますが、来年には九州チャンピオンになりますので、暖かいご声援をお願いします。







2012年10月17日水曜日

アジア選手権日本代表2次合宿

ブログ更新が滞り、申し訳ございませんでした。
去る10月3日~7日まで近畿地区にて30名の選手を集め、2次合宿を行いました。
今回の合宿は、選考が第一の目的ではありますが、チームの戦術の確認も大きな目的の1つでもありました。
結論は、選手も日本代表の考え方を理解してくれたと満足しています。
プロと2試合をおこないましたが、特にオリックス戦は赤田君をはじめ、1軍経験者が相手となっていただき、プロとのアマの違いを見せてくれてこちらのミーティング材料となりました。
違いというのは、投手のスピードレベルが145-150キロで絶えずそのスピード感で試合しているプロと135-140キロ前後で試合しているアマの打者の対応力の差。これは環境の差による、いわゆる慣れの問題だけかとおもいますが。
次に投手の投球ゾーンの違い。プロ1軍投手の投球するゾーンは、ベルトより低いゾーンに集まり、一方アマは高めから低めまで大きなゾーンである。アマの方がコントロールできていないと明確に言えます。
これは非常に分かりやすくでていましたので、夜のミーティングでしっかり意識づ
けしました。
この次の日に阪神タイガース2軍と試合しましたが、本当にファームの選手ばかりで、こちらは逆に自信をつけさせて貰った試合で特に収穫はなかったです。
ただ、富士大学の山川君、特大の本塁打はプロも驚いたと思います。
次回は選考状況について、少し記載をします。
今日はこの辺りで。




2012年9月18日火曜日

BFAアジア選手権代表チーム2次合宿について

U18世界選手権の記事は、沢山の読者の皆様に読んで戴き、大変ありがとございました。
日本代表チーム及びそれに係わるスタッフの役目は、世界大会を通じて世界野球の国内発信が役目であり、大勢の野球ファンの方に世界の野球を正しく伝えることが重要な責務です。今回のU18世界選手権は、メディアに沢山取り上げられ、世界の野球と日本の野球の違うところが非常に顕著に現れた大会であったと感じています。
其々の国の文化の違いにより少しづつ競技の解釈、捉え方が変わっているということが言えるでしょう。サッカー界が今、多くの選手をヨーロッパを中心とし、選手の派遣をしています。これはグローバル化への対応として、とても大切なことであり、サッカー界の成長に大いに繋がることと思います。技術レベルの進歩に寄与することは当たり前ですが、ビッククラブの運営のやり方など副産的な情報として入り込んでくることが、それ以上に効果があると思います。積極的に海外に人を出すことが、競技会の進歩と思い、野球界も若いうちから機会を与えることを検討していかなければと考えます。
さて、本題のBFAアジア選手権日本代表チームの2次合宿を大阪 パナソニック球場をメインに開催いたします。
候補選手については、後ほど全日本アマチュア野球連盟から発表されると思いますが、学生を含む32名で行なう予定です。
合宿内容については、主に試合を中心とし、チーム方針の徹底を図ることをメインに取組んでいきますが、32名から最終登録選手数の24名まで絞り込むサバイバルの合宿でもあります。明確な目的を持って、選手に日本代表チームスピリットを浸透させて行きます。
概略スケジュールは以下のとおりです。

10月3日(水) 練習(Panasonic球場)
10月4日(木) Panasonic練習試合
10月5日(金) 阪神タイガース練習試合
10月6日(土) オリックス練習試合
10月7日(日) JABA新人研修会チーム練習試合



2012年8月28日火曜日

打撃理論~下半身の重要性

今日は、スポニチアネックスの長嶋さん特集の中で、バッティングの極意的なヒントになるような記事を発見しましたので、原文のまま抜粋紹介致します。
長嶋さんは、感性の人と言われていますが、打つために、活躍するためにどうすれば良いかをちゃんと考えているんですね。
理論も大いに参考になると思います。
下半身が重要という認識を持って頂けたらと思います。

“伝説”にもなった下半身主義
「バッティングの要諦は下半身にあり」とする豪快なスイング( Photo By スポニチ )


現役時代の晩年から第一次監督時代にかけてのこと。長嶋さんは独特の「打者観察法」というか、打撃技術論をしていた。「バッティングの要諦は下半身にあり」というものである。

 これは、大量に所有している大リーグ名選手の打撃フォームの映画フィルムコレクションを繰り返し見るうちに会得した。大リーガーの打撃フォームは千差万別。日本のように武術、芸事にある“型”と言う伝統を持たない大リーグでは、選手それぞれが個性あるフォームで打っている。その中から長嶋さんは、ある共通したものを見つけたのだった。

「腰から下、下半身の動きの大切さだね。腰の回転が鋭く切れているかどうか。右打者ならば右足、左打者ならば左足の蹴りこみがスイングのときに十分働いているかどうか。これがポイントだ」

現役時代の長嶋さんは、フォームで打つタイプの打者ではなかった。従ってスランプになっても、他の選手がよくやる自分の調子がよかったときの連続写真で打撃フォームの再点検をすることはあまりやらなかった。気をつけていたのは、腰が切れているか、右足のけりが十分かの2つだけだったそうだ。

「上半身のフォームが少しぐらい崩れても、下半身さえしっかりしていれば、強い打球が生まれるものだ。打撃練習で選手の下半身の動きを見ていれば、だいたい試合で打てそうかどうかは分かる。腰から下の動きだけで、打球音を聞かなくてもいい当たりかどうかは判断できるし、打球の方向も当てられる…」

そして、「選手時代は自分の下半身、監督になってからは選手の下半身の動きばかりを気にしていたのだから、妙なもの」と、長嶋流になってくる。

さらに長嶋流打撃術には“伝説”がある。選手にバットの素振りをやらせ、長嶋さんは目をつぶってバットが空気を切る音を聞いて、正しいスイングかどうかを判断するそうな。居合いで刀を振る剣士たちは、正しい刀の操作を太刀風の音で判断するから、納得だが、ある選手が電話をかけたところ、長嶋さんは「バットを振ってみろ」と言って、電話でスイングの音を聞いてアドバイスしたという。いかにも長嶋さんらしいが、ちょっとすごすぎる伝説ではなかろうか。(惣五郎)











2012年8月8日水曜日

試合前の準備1

代表合宿終了記事を掲載しましたが、今回は、この合宿のミーティングで確認した基本中の基本の事項を記載します。
試合に臨むにあたっては、色々な準備が必要ですが、特に試合当日、球場に入ってからは入念な準備が必要です。
選手は、勿論、ランナーコーチ、スタッフが情報を共有しておかねばならない事項が多くあります。
私がミーティングで今回話した内容はグランドに入ってからの準備、特に試合前の確認事項についてです。
グランドに入ってからの確認事項は、以下点が挙げられます。
��.風の状況(強さ、風向き)
��.太陽の傾き具合(まぶしさ)
��.グランドの硬さと整備状況
��.マウンドの高さ
��.外野の芝の状況(打球の速さ)
��.ファールグラントの広さ
��.フェンスラバーにあたってからの跳ね返り
��.ベースライン際のバント打球の転がり具合
��.外野定位置から外野フェンスまでの距離
勿論、これ以外にも沢山挙げられますが、試合前に沢山のことを確認しておかねばならないことがお分かりでしょうか?
特に、アマチュア野球においては、試合会場が不特定多数となります。球場に到着したら、ゆっくりしている時間はないのです。アップの最中、シートノックの最中に、この情報を全部収集し、それをチーム内で情報共有することが大事です。
「分かっているさ」とお叱りを受けるかもしれませんが、意外にもこのことが出来ていないチームが多いです。野球においては、自然環境が勝敗を左右するケースは、他のスポーツと比較しても高いと思います。この環境を味方につけるためにも、この試合前の準備が必要となってきます。
事例をあげると、「3塁ランナーがパスボールの間に本塁突入したが、ラバーの跳ね返りが強く、捕手にボールが戻ってきてしまい、アウトになった」ケース。この類は、良く見受けられますが、これも試合前の3塁コーチャーの怠慢であり、防げるミスであったといえるでしょう。
試合前は、コンディショニングの調整に気を配るのは勿論のこと、試合をするための情報収集に極力注力しましょう。忘れがちになりますから、チェックシートのようなものを作って、スコアブックと持ち運び、毎試合チェックするようなことも一案かと思います。
このようなことを代表合宿で話しするのと思われるかもしれませんが、レベルが上がると意外にも忘れがちになるものなんです。


BFAアジア選手権代表チーム1次合宿終了

8月2日から5日にて第26回BFAアジア選手権の日本代表チーム一次合宿を千葉県柏市JR東日本グランドにて行ないました。選手総勢50名と猛暑の中、ゲーム、練習、ミーティングと密度の濃い内容で進めていきました。
我々の現役時代の全日本合宿は、一日が長かった。今回もそれに似たような合宿であったと思います。選手は、かなりしんどかったでしょう。
今回の合宿の目的は、以下3点。
1.二次合宿に向けての選手選考(50名→30名程度)
2.チーム方針の理解
3.選手間の相互理解を深める
合宿は、50名を2チームに分け、初日を練習、第2日目 JR東日本、JFE東日本、第3日目 JR東日本、住友金属 第4日目 JR東日本と試合を行なっていきました。
基本的に選手選考が主な目的ですから、試合を通じて選手の評価を行なっていくのですが、今回はチーム方針の理解もあり、先にブログ内にアップしている「コンパクトな守り」を徹底的に実践で選手に体感してもらいました。
全日本クラスの投手であれば、広範囲に打球を飛ばされることはありません。従って、ものの見事にこのコンパクトな守りが功を奏しました。3遊間を抜ける打球が、三塁手の正面、1,2塁間を抜ける当たりが、1塁手の正面、思い切り前に守らせた外野手に至っては、「ヒットだ」と思われるライナー性の当たりを難なくキャッチ、つまったカンチャンをことごとく拾うなどかなり衝撃的な出来事のように周囲には映ったようです。対戦したJABAチームから「これだけ思い切った守備体系を取られると点数が入りませんよ」と驚きの声が上がりました。
中には、3塁線の緩いゴロが安打になるなどこの守備体系の弱点がでましたが、それ以上に通常安打と思われる打球をアウトにした数が圧倒的に多く、選手も納得したと思います。
勿論、大会では、この体系を基本に相手打者、得点差、イニングに応じて少しずつ変化をさせていきます。この基本形の理解が今回の合宿の意義であったので、良い結果が出来て監督としても良かったです。
相手と同じことをしていれば研究され、また格上チームには、力で打ち負かされてしまうのが落ちです。選手にチームとしてのよりどころ、期待感を与えることがチーム掌握をする上で非常に重要なことになると常日頃から思っています。
選手は、猛暑の中、非常に真面目に取組んでくれました。本当に感謝しています。しかし残念ながら台湾へ連れていけるのは、おそらく今回合宿に参加してくれた選手の半分です。
本当に辛い!しかし、仕事ですから割り切って、これから2次合宿に向け、選手選考していきます。選手の優劣をつけた選考ではなく、海外で戦うための選考ですからもし落選した選手には悲観的になって欲しくないです。
スタッフ、選手、皆お疲れさん!



2012年8月6日月曜日

甲子園と連投

更新が遅くなり申し訳ございませんでした。
「心待ちにしていますよ」って、沢山の方から厳しいお叱りのお言葉を頂きました。
このブログも少しはお役にたっているのかな?なんて自己満足。
新年度になりましたので、今後は気持ちを新たに気合を入れて記事アップして行きたいと思います。
さて、WBC話題を掲載する予定でしたが、サボったおかげで古新聞になってしまいましたので、今回は甲子園話題に焦点を絞り、私見を述べたいと思います。
済美高校の安楽選手の連投問題が番外編では話題となっています。
あのダルビッシュもツイッターでコメントを出しているほど。
何をコメントしたか?
真意がちゃんと伝わらないかもしれませんからここでは記載を避けます。
さて、この連投問題は、今始まったものではなく、高校野球の長い歴史に育てられた文化的なものとなっています。
だから、明日から投球制限を設けるなんてことを決断できるか?は甚だ疑問です。
しかし、個人的に楽しみにしており、関心ごとの一つです。
この問題、マスコミにも責任があると思います。
「苦痛に耐えての勝利」「一人で投げ抜くエースの自覚」「エースと監督の信頼関係」なんて美談として大きく扱うから益々選手も、指導者も良しとなってしまう。
なぜ、ここまで投げさせるのかと指摘しないのか?アメリカであれば指導者は絶対に叩かれますね。
体罰問題でも同じような手口、身内の告発があって、初めてマスコミが叩きにかかる。それまでに強豪校の取材なんか山ほど見て、体罰に類した指導を目のあたりにしているはずなのにその時は目を閉じる。それに輪をかけてスポーツジャーナリストなんて話題になる前は指摘もしないのに後出しジャンケンでこんな制度では駄目ですねとかぶせてくる。
マスコミの役割が大きいことを自覚してくださいよね!
しかし、なぜアメリカのNCAAのようなルールを作ろうなんて議論がなされてこなかったのか不思議に思います。
今の時代は、昔と違います。指導者が手を出したら告訴、刑事事件として取り上げられます。将来的には、連投によって肩を壊した選手が出たら行き過ぎた指導と監督が告訴される時代がくるかもしれません。
少なくとも高校生ぐらいまでは、投球制限的なガイドラインを作り、テストする大会があっても良いのではないかと思います。
例えば、今頃やっている春の地区大会なんて甲子園に直結しないわけでテストしてみるにはうってつけでは…。
もし、投球制限を設けるならばベンチの人員も25名程度とプロ野球並みとなり、部員も沢山ベンチに入れます。
��年間一生懸命練習を行ったのに、ベンチに入れずに一人だけスタンド応援という悲しい3年生も少なくなるはずです。
人数制限を行っているのは単なる予算の問題だけだと思うが、例えば甲子園のベンチ入りの数を今より増加し、25名とした場合、増加した費用を自費参加としても喜んで参加すると思います。
少しでも数を増やす方向に行って欲しいものです。
連投問題からかけ離れた話になってしまいましたが、再度、投手の連投について私はどう思っているかというと基本的に前日にある程度(120球以上)投げた投手は翌日には投げられないとするなど、連投の禁止をうたってはと考えます。
��20球が多いか、少ないかは、医学的見地から決定すれば良いでしょう。
どうも野球界の医科学会も沢山のデータがあるにも関わらず、オープンにしない体質にあるようですね。
高校生が連投するとどのような疲労が蓄積され、ひじ関節に障害が出始めるなんてデータはおそらく持っていると思いますよ。
逆に持っていなければ「投げすぎ」なんて簡単に言って欲しくないですね。
データ(目安)は非常に重要です。
だらだらとつまらない愚痴めいた文となり、申し訳ございません。
ちょっと間隔があいたのでキレが悪いですね。
いずれにしても、今日から一斉にこのようにやるよっというルールをつくり、全チームがそれを守るという日を早く迎えないと行けないと思います。
この仕事、俺の仕事なんかな? 立場的に、とふと考えてしまいました。
では、また次回をお楽しみに!



侍ジャパン 台湾戦、オランダ戦

今日は携帯から投稿します。
台湾戦は歴史に残る本当にいい試合でした。台湾の善戦と評価されがちですが、トップ10人での対決になればけっかはやってみなければわからないという近郊したレベルでしょう。
球数制限もなく、ガチンコ勝負であればやられていたかと思うほどです。
このゲームの最大のポイントは、鳥谷が走ったことに尽きることは言うまでもありませんが、普通あの状況であれば絶対に走らせないと思います。
想像するに100パーセントで成功する何か根拠があったと思います。
例えば、投手が投球動作に動いた瞬間から捕手のミットに届くまでの時間が1.6秒を越えるぐらいスローだったか、あるいは投手のクセがわかっていたかなど。
上記のような理由がないとスチールのサインは出せないはずです。
それもなしで一か八か走らせたのであれば、よほど山本監督は度胸があります。
いずれにしてもこの盗塁が井端の安打を産み、次のオランダ戦に繋がったことは間違いありません。
この二試合でなんとなく調子が上がり始めたのは、ようやくベンチが選手を信頼し始めたからだと思います。
力を過小評価したブラジル、キューバ戦は見るからに選手の自信を喪失させる采配のように感じました。
逆に選手がベンチを救ったような内容でした。
長いこ大会を勝ち上がって行くには、このようにやりながら力を発揮してくるパターンが長続きするものです。
おそらく、アメリカに渡っての初戦が優勝を決める試合となるでしょう。
コンディションをしっかり整えて強い日本を見せて欲しいです。
WBCはプロ野球だけのものではなくなっています。国民の期待を背負い、戦って欲しい。頑張れ、日本!


侍ジャパン 1次ラウンド

WBC2戦をテレビで観戦しましたが、日本チームの仕上がりとしてはまだ本調子ではないなと思いました。
選手の調子もさることながらベンチワークの冴えを感じません。
前回、前々回までは王監督、原監督と現役監督が指揮をとっていましたが、今回、山本監督、東尾、梨田コーチとしばらく実戦から遠のいたスタッフ構成で臨んでおり、その辺りの影響が出ているのかもしれません。
選手の出来が試合の勝敗を決することは間違いありませんが、やはりベンチワークが今後のキーポイントになるでしょう。
ブラジル戦で調子が良いからという理由で、今まで下位で起用していた角中をDH 2番に入れ、攻撃的な布陣を引いたにも係らず、初回いきなり先頭打者坂本出塁後、送りバントを選択したあたりは、非常に消極的に見えました。
また、阿部の欠場で糸井を4番に据えたのにも関わらず、僅か1点差で、且つ中盤の5回の攻撃で送りバントを指示したところなんか、結果的に点に結びついたから何となく良かったと思えますが、糸井の気持ちを考えると「たぶん信用されていないな」と思ったはずで、2次ラウンド、決勝トーナメントと今後の戦いに影響を残すことになったのではと思います。中国戦で満塁の場面で値千金の2塁打を放ち、気分良く試合ができているから安心はしていますが、4番の打者心理を察すると引きずると思います。
もし、糸井でなく、阿部が4番に入っていたら同じ采配をしたのでしょうか。
次に打順ですが、なぜ長野を普段打っていない6番に入れ、小技も何も効かない坂本を1番に入れるのか良くわかりません。選手には試合に入るリズムがあって、試合開始直後に打席が回ってくる打順にいつも座っている選手が、急に2回から打席に入るという試合の入りでは全くリズムが違うと思います。長野は、アマ時代から海外の試合に多く出場しており、中南米の投手に慣れていますし、審判の特徴も概ね頭に入っているはずです。1次ラウンドの勝敗を気にしているようでは、3連覇なんか語ってはいけないと思いますし、先を見据えるならば長野の一番での復調に期待をした方がいいと思います。前回大会でイチローが不振でも原監督はイチローの1番を譲りませんでしたよね。選手のこだわりを大事にしたのだと思いますよ。
それからなぜソフトバンクの本多を先発起用しないのか理解に苦しみます。少なくとも鳥谷、松井よりも本職であり、守備は上手いはずです。攻撃を重視しいているのはわかりますが、二遊間は守りの中心であり、守りを重視すべきでしょう。というか本多の方が足も速く、しぶといので相手からすれば嫌だと思いますがね。30後半の選手をスタメンで起用するのであれば、余程打たなければならないと思いますよ。それだけ松井の信頼は厚いのでしょうかね。かなり疑問です。
投手起用においても、今後のアメリカ、中南米の選手を相手と見据えた戦いをするのであれば、縦の変化と緩急がある投手が通用することはわかっているはずなのに田中にこだわって起用し続けることは、やはりプロ野球(興業)という縛りがあるのかと考えさせられてしまいます。
そういう意味では、摂津、前田、杉内、内海あたりが先発、いつでも大事な場面を任せられる能見、牧田あたりが中継ぎで、1イニング限定で山口あたりというのが上等手段だと思います。
別にダメだしをしているわけではなく、3連覇をしてほしいという気持ちで一杯ですし、日本の強さを知らしめてほしいと思っています。
その為にもベンチがしっかりしないとこの2戦のベンチワークを反省して頂き、宿敵キューバを粉砕して2次ラウンドを迎えてほしいと思います。
頼むぞ、侍ジャパン!



意識すること

先日、大分で春季キャンプを行なっているある大学の練習にお邪魔しました。
監督が大学の大先輩であること、またお手伝いされているコーチもまた大先輩であることが伺った理由の一つですが、このチームに私が代表を務める長崎文教シニアの選手が今年から2名お世話になることから「御世話になります」とのご挨拶を含めて参加したというのが実情です。
久々に大学の現場にお邪魔しましたが、「目が輝いていて素晴らしいな」と率直に思いました。自分の学生時代はこのような感じだったのかとふと当時を思い出し、改めて大学時代の所業を反省した次第です。
「最近の子は・・・」と年配の方がおっしゃいますが、中々どうして素直な良い子ばかりではありませんか!本当にそう思っています。
しかし、練習に参加して「無駄な練習をしたくない」、「反復練習の意味が分かっていない」のかなとも感じ取れました。
よく「知っている」ことと「できる」ことは違うといわれますが、正に「繰り返しの練習」に弱い、「コツコツ積み上げる」ことが嫌いというような風潮があるのかもしれません。
おそらく育ってきた環境に起因することが大きく、昔の人(適切な表現かはわかりませんが)には想像もできないぐらいの違いがあるのではないでしょうか?
この世代を相手に50歳半ばの監督が指導をされているのだから非常に大変なのだろうなというのは想像もつきますし、正にその通りでした。
大先輩は懇切丁寧に指導をされており、昔の「大学監督」というイメージからは似つかない姿でした。
「分からないこと」はまず指導をしてあげることからがスタート。指導者が一番手を抜きたがるところですが、丁寧に進めておられ、非常に勉強になりました。
現代っ子もおそらくあと10年立てば、昔の人になるのでしょうが、少なくとも今の子には同じ技術を習得させるのも単一的な指導方法ではなく、あらゆる手法で飽きさせなく、指導をしていかないと行けないのかなと思っています。
したがって、指導者も多くの引き出し、ドリルを知っておく必要があると思います。
また、良い指導者になるには有効的なドリルを効果的に使用し、いかに指導にあたるかということになると思います。
今の子は、集中力がないわけではなく、集中力の発揮の仕方が昔の選手と違うということなのだと思います。
この大学の選手は、私の指導に少し面食らったのではと思います。少しでも気を抜いていたらかなり厳しい口調で「手を緩めるな」「意識をしろ」と叱責しましたので・・・。
初めてあった叔父さんになんでここまで言われるのと思っていたのでは。
しかし、ちょっと意識したことで上手くなったと気づけましたと練習後に選手が言っていましたので、「少しは分かってくれたのかな」と嬉しく思いました。
「意識することが大事だ」ということは誰でもわかっているのですが、実はこれを継続することこそが非常に難しく、伸び悩みの原因に繋がります。
バルセロナ五輪チームの山中監督に「意識」「意識」と口すっぱく言われたことが指導者になっても生きているように思います。
��当たり前のことを当たり前にやる難しさ」に挑戦しろとも言われました。
今も私の財産となっています。
改めて気づきの場を提供くださった選手、監督ありがとうございました。



好球必打

0-0 .280  0-1 .287  0-2 .271  0-3 .500
1-0 .280  1-1 .284  1-2 .266  1-3 .345
2-0 .122  2-1 .161  2-2 .197  2-3 .211

これは、ある野球教本に掲載されていたカウント別打率のデータですが、他のデータを見ても大方このような傾向に近いデータが出ているようです。
「1stストライクを積極的に打て」という指示は強ち間違っていないということが見て取れると思います。
当然ながら、データを見るうえで一番重要なのが、そのデータの試技数ですので、0-3のケースで打つケースは極めて稀であり、比較対照としては、試技が少なすぎるということになり、数字の確からしさという点では信頼に値しないでしょう。
このデータでも示すようにツーストライク後の打率が極端に悪く、追い込まれてヒットを打つことが厳しいということになります。
��ストライク後の打率の低下については、打者が自ら打率を落とす行動をとることと、追い込む前までの投手の投球の変化の二つの要因があるかと思います。
打者自らが打率を落とす行動とは
① バットに当てればなんとかなると思い、明らかにバットスウィングを変える。
② 2ストライク後は、審判の誤審も考えられるので広めにストライクゾーンを広げてしまう。
が代表的でしょうか。
一方、2ストライク後の投手の投球に対する変化は、
① 2ストライクまで漕ぎ着けたのだから、少々ボールになっても何とか際どいコースに投げようとする。
② 追い込むまでの力配分と決め球の力配分を変えている。
が挙げられると思います。
この数字だけをみる限り、待球型の打者は、結果的に打率が低くなりがちということに繋がると考えます。
では、好打者はというと3つのストライクを同じ精神状態で望み、且つ、スウィングもストライクごとに変えないということになるでしょう。
上述のようにかなり精神的な側面が技術に影響するので、タフなメンタルは当然好結果を生み出すことにつながります。
しかしながら、アマレベルの選手においては、このようなタフなメンタルを身につける経験が浅いので、比較的バットが思い切り振れる早いカウントで打っていくことが打率の上昇に繋がると思います。


野球における統計学

コンパクトな守りを以前に記事として取り上げましたが、実はデータ的に示せるものが見つからなく、ちょっとインパクトがないなと思っていました。
が、本日、ネットを覗いてみるとなんとすごいデータがあるではないですか、思わずFacebookにも投稿してしまいました。
如何にアドレスを記載致しますので、覗いて見てください。
公開されているイメージ図も合わせて掲載させて頂きます。

http://archive.baseball-lab.jp/column_detail/&blog_id=17&id=156

野球における統計学は、マネーボールで有名なビルジェームスが発端になって野球界にも活用がされていますが、実はアマ現場サイドではそれ程浸透されていないというのが現実です。
プロ野球のように試合数も多く、また同じプレーヤーのデータが多くとれる場合は、特徴的な傾向がでるものですが、アマチュアの中ではデータ数が乏しく参考データでしか使用できないからです。
例えば、1,000打席分の打球のデータと10打席分のデータの信頼性はと聞かれたら、勿論、1,000打席分のデータの方が信用できるといった具合です。
しかし、一方、1,000打席中300本安打を打っても、10打席中3本安打を打っても打率3割となるため、数字だけ見せられるといずれも結構打っているなという印象も植え付けることにもなります。
また打者の打球の傾向を見て、シフトを引くケースなどでは、おおよその傾向と打たれた印象によって指導者が守備位置を決めるケースも多く見てきました。
統計の利用は、試技が多くなればなるほど、そのデータは真に近づいてくる傾向になると昔学校で習ったような気がします。
したがって、指導者はデータの試技数が評価に値する数値なのか、どうかを判断し、「試合に活かす判断」や「選手に与える情報」を決めていく必要があります。
よく高校野球で、予選打率4割などと報道されますが、実は10打数4安打で、「内4本は格下の投手相手というケースも多くあります。このケースでは、好打者かどうかの判断は判断する人の考え方で、全く違ったものになるでしょう。
しかしながら、データを馬鹿にするものは、データに泣く(昔、バルセロナオリンピックチーム監督の山中さんに言われたような)と言われるように数字を理解するということは試合を進めるにあたっては非常に重要なことです。
コンパクトな守りもこの統計で出ているように一番打球が飛ぶ場所ともっとも安打数が多い場所を少しでも消して、アウトを拾えるようにするというのが目的であります。
その為には、「どこかをケアする」と「どこかががら空きになる」というリスクを背負うということを覚悟しなければなりません。
確率とは、要は全部はカバーできないことであり、「割り切れ」ということだと思います。
元楽天監督の野村さんが、やま勘ではだめ、データあって初めて勘が当たると言っておられましたが、確かにその通りです。
これだけスポーツ科学が進歩してきて、技術が同じレベルに到達してくれば、あとは如何に数字を追うのかという勝負になるんでしょうね。
ビルジェームスが統計学を野球に取り入れようとしたとき、野球は統計では勝てないと嘲笑われたことをマネーボールでも披露されていました。
情報戦!そうは思いたくありませんが、もうそういう時代が来ているのかもしれません。
今度の全日本合宿(私が監督かどうかはわかりませんが)では、統計学の大切さを選手に伝えて行きたいと思います。
因みに「マネーボール」のDVDは英語学習の教材として何度も繰り返して見ています。





野球のルールとフェアプレー


��写真は、広州アジア競技大会 モンゴルチームと対戦後、記念撮影)

2月2日、3日にて開催される南部・北部九州地区中学校野球指導者講習会の講師として参加致します。中学生硬式チームの指導者が対象で、初めてリトルシニア連盟、ボーイズ連盟、フレッシュ、ヤングなど様々な中学硬式野球の連盟が一同に介する、日本野球連盟が主催する画期的な取り組みです。今回この元締めは、日本野球連盟の後専務理事ですが、鶴の一声で何か話せということになり、講演という形で話をすることになりました。
演題は「フェアプレーを考える」と既にお題を割り当てられ、その内容でパワーポイント資料を現在作成中です。
中味については、日米の野球の比較を行いながら、少しずつ「フェアプレー」とは何ぞや?と指導者の皆様に考えて貰う時間を提供する内容にするつもりです。
その資料の1項目に野球ルールの第1条を記載し、解説をするつもりです。
めったに原文を見る機会がないと思いますので、和訳と一緒に以下に記載をします。

1.00 Objectives of the Game、the Playing Field,Equipment
1.01 Baseball is a game between two teams of nine players each, under direction of a
manager, Played on an enclosed field in accordance with these rules, under jurisdiction ofone or more umpires.
1.02  The objective of each team is to win by scoring more runs than the opponent.
1.03 The winner of the game shall be that team which shall have scored, in accordance with these rules, the greater number of runs at the conclusion of a regulation game.

1.00 試合の目的、競技場、用具
1.01  野球は、囲いのある競技場で、監督が指揮する九人のプレーヤーから成る二つのチームの間で、一人ないし数人の審判員の権限のもとに、本規則に従って行なわれる競技である。
1.02 各チームは、相手チームより多くの得点を記録して、勝つことを目的とする。
1.03 正式試合が終わったとき、本規則によって記録した得点の多い方が、その試合の勝者となる。

以上のような内容が書かれているのですが、ここで注目なのは、1.01条にあるように「囲いのある競技場」と記載されていること。野球が発祥した際は、囲いのない広場で行なわれ、永遠と得点を争うゲームであったことから、時間が長くかかった。その後、時間を短縮するために3アウトが導入され、且つ囲いを作ったという経緯が読み取れる。逆に、囲いがないグランドで行なうものは、野球ではないということになる。
次に、1.02の「相手よりも多くの得点を記録して、勝つことを目的とする」という条文は、先日のオリンピックで行なわれた中国と韓国のバトミントンの無気力試合にも見られるように如何に負けようとすることが起きていたかが読み取れる。もっと平板に言えば、八百長が横行し、負けて金を貰うことがあったかが伺える。野球は、どのような状況でも八百長をやってはいけないということになる。
このようにルールブックは野球の歴史の変遷であり、指導者はルールをよく勉強し、できれば歴史まで勉強するとより競技力を高めることに繋がるといつも話をしています。また基本技術と一言で片付けますが、なぜこの基本が確立されたかを勉強することこそが指導者の理論となるし、技術や知識を他人からの請負ではなく、自分なりに考え、自分なりの解釈を作り上げることこそが指導者の醍醐味となります。
「フェアプレー=ちゃんとルールどおりに正々堂々と戦え」ということでしょう。
ルールのグレー部分を探して、ルールに記載していないからと姑息な手段をとるのではなく、力対力の勝負で試合を戦って欲しいものです。それがスポーツと思います。
少なくとも指導者にはルールブックを手放さず指導に当ってもらいたいものです。
この講習会は、宮崎と福岡で開催されます。両方で話をするため南北縦断となりますが、頑張って想いを伝えてきます。



指導について


今日は、指導を行うにあたって、私が今実践していることを少しご紹介します。
これは、今まで数多く失敗をして携わった選手に迷惑をかけた経験から学んだことに基づいたものなので、それなりの信憑性があるのかなと思います。
①何よりも安全第一
②方針(チームルール)を明文化すること
③指示を出したら必ずその評価をする
④技術指導を行う前に選手の現状を聞く
⑤技術指導の際は出来る限り、映像を見せる(実技も含め)
⑥叱る際には、できる限り、1対1で行なう
などが代表的なものです。
他にも列挙すればあるのですが、大事だなと思っていることを6点少し説明します。
①「何よりも安全第一」は、野球のボール、バットは一種の凶器となる可能性が高く、現に死者まで出ています。楽しいスポーツをやって大きな怪我をすることは、出来る限り裂けなければなりません。練習はじめに環境面のチェックを必ず行い、また練習を行わせるに至っては、この練習が安全なのかという視点でもう一度自問自答し、確認をすることが重要となります。
特に通常の練習場所でなく、環境が変わったときはこの面を十分に注意することが重要です。選手は直ぐに気が緩みます。事故は気が緩んだ時、慣れてきたときに起こるものです。少なくとも指導者だけは、絶えず緊張感を持って練習に臨むように心掛けておくことが非常に大切です。
②「方針(チームルール)明文化すること」は、日本においては、チームルールそのものが指導者というケースが多いです。
しかし、言った、聞いていないというように伝達が上手く行かない場合が多々あり、それによって信頼関係が崩れていくという落とし穴があるからです。
チームルールは指導者の理念であり、必ず文書化して選手に伝える。このことがチームづくりの第1歩になると思っています。
③「指示を出したら必ずその評価をする」は、指導者は数多くの指示を選手に出します。したがって、自分が何の指示を出したのか覚えることすら大変です。
しかし、指示受けた選手は、しっかり覚えており、もし指導者が評価を忘れていると「指示するだけか、言ったら言いっぱなしなんだ」と指導者の発言を軽んじることに繋がります。
指示を出したら、必ず評価することを繰り返すことで、大事な局面で指導者が指示を出したときに全員右に習えという姿勢に繋がります。できれば、指示は少し絞って出したほうが、指導者にとっては楽かもしれません。
④「技術指導を行う前に選手の現状を聞く」は、指導者は選手を指導する場合に良く「こうだ」と決めつけて指導をしがちです。
教えながら、選手の意向を確認すると指導者の感覚とは違うなとなるケースが多くあります。「何を悩んでいるのか」「どうなりたいのか」という単純な質問を選手に投げかけてからでも、指導をするには遅くはありません。相手の言うことを聞くというのは、何かと難しいのですが、これは指導上のポイントかと思います。私も未だ同じ過ちをしております。
⑤「技術指導の際は出来る限り、映像を見せる(実技も含め)」は、よく指導者が「こうやって打つんだ」と実技をしたり、言葉で説明したりしますが、実際に話をしている指導者の感覚と選手の感覚のズレは絶対に起こります。
特に指導者自らが指導を行う場合は、自分の試技を事前にチェックする必要があります。良く「そのチームの監督の打ち方に全員似ているな」なんてことがあるのも映像(模範)が、それしかないからではないでしょうか?
実技で見本を見せることができなければ、プロの選手のビデオ、チームの中で理想となる選手の試技をショーケースとしてみせることをお勧めします。
⑥「叱る際には、できる限り、1対1で行なう」は、叱られるとどんな人でも落ち込むものです。ましてやジュニア期の選手にとっては、人前で恥をかくことこそが最も落ち込む原因となっていると思います。叱ると注意は意味が違うので、叱る際には出来る限り、1対1で叱ってあげることが効果的であると考えています。
勿論、これだけでないのですが、先ずはこれだけでも実践に移せば、ある程度のチーム内における変化が生まれると思います。
たった6項目なんですが、意外と忘れてしまうんですよね!
指導者は日々、勉強なりです。

※少しでもお役に立てれば想いでブログを綴っています。どうぞ暖かい目で今後ともご協力お願い致します。
また、野球を愛する方々に広くお読み頂ければありがたいです。
どうそ、このブログを野球を愛する方々に広めて頂けるようにご協力よろしく御願い致します。





過剰な指導について~続編

前号で過剰な指導についての記事を掲載しましたが、本日の毎日新聞朝刊の社会面に「型にはめる指導 体罰に」という記事が掲載されており、ちょっと視点が違うのではと思ったので続編としてコメントを書き込みます。
そもそもこの記事を書かれた方に質問したいのですが、「型にはめる」ということがどういうことなのかお分かりですかと?
おそらく「選手の自主性を尊重しろ!」という対比で使っているのかと思いますが・・・。
ジュニア期に必要なものは、先ずは基本技術の習得であり、おそらく中学、高校と僅か各々3年間(実質は2年半程度)の短い期間に、この基本技術を全部指導し、習得させることはかなり難しいと思います。
現に社会人の監督をした時代に多くの高校生、大学生を新入社員として預かってきましたが、殆どの選手が一から、つまりキャッチボールからやり直しという具合です。
この中学、高校の3年間では同じことの繰り返し(反復)による技術の習得を如何に選手をやる気にさせて実践させていくかがある意味指導者の役割であり、良い指導者ほど、繰り返しの大切さを知っております。
ちゃんとボールを投げられない選手に戦術を教えるのと同じで、ある程度のレベルに到達しないと応用的な動きはできないわけです。
イチローでも、松井でも高校時代は、ある意味指導者の発言が大きく影響されたような打撃をしていたはずです。結果的に自分のスタイルが確立したのは、プロに行ってからでしょう。要は、ある意味、型にはまった指導を受けなければ、自分のプレースタイルは生まれないと思います。はじめから自分のスタイルで成績を長期に継続している選手など皆無だと思います。
型の重要性は、どのスポーツでも同じであり、多くの指導者もそのように考えていると思います。
そういった意味では、今回の記事の見出し「型にはめる指導 体罰に」というフレーズはちょっと行き過ぎた表現ではと思います。
体罰などの過剰な指導を行う原因は、どちらかという指導者の人間性に起因することが多く、「この指導で間違いない」と思っている傲慢な考え方を正すような環境がないことに問題があると思います。「殴らないと指導者の本意が伝わらない、チームが締まらない」などのレベルの低いコーチングを行なっていることこそ大問題です。
勝つためには方法論を選ばないというような考え方、そのものが誤った考え方であり、もはやスポーツマンシップから逸脱している行為であります。
毎日、グランド整備などを選手と一緒に汗を流して行なう監督、指導者の姿に感銘を受けない選手はいません。「俺が監督だ」と伝家の宝刀を絶えず振りかざさないと選手がついてこないような指導は長続きしません。今回の事件もその一つです。
私は選手に話しをするときは、「本当に何を話せばいいのか」、「どう話せば理解してくれるか」を真剣に考えます。
私の体験からは、指導者が本気で選手と向き合っていれば、選手は必ずついてきてくれます。選手は将棋の駒ではない。よく例えられますが・・・。
誰が、金で、誰が飛車、角でなんてないのです。「全員が戦力である」と全日本合宿でも、それ以外でも話をしています。






主将の役割~仙台編

昨日まで宮城県高校野球連盟主催のリーダー(主将)研修会の講師と㈱スポーツプログラムスの比佐社長が8年間継続されている宮城県野球界(高校野球が対象)に対する研修会の講師を務めてきました。今回は、そのご報告を致します。
ご報告をする前に、ついに全国的に私の雨男ぶりが浸透してしまいました。ドーハで行なわれたアジア競技大会では、年間数日しか雨が降らないのに大会期間中、殆どが雨模様の愚図ついた天候、広州アジア大会では、広州に到着した途端に雨、一昨年のパナマのワールドカップ大会は、初戦のアメリカ戦の試合開始直前に豪雨で中止、青空は2週間の内、3日程度。今年の台湾でのBFAアジア選手権ではなんと大会期間中ずっと雨、帰国日だけが晴れという全日本関係者の中では伝説的な雨男ぶり。勿論、全日本合宿のほぼ初日は雨からスタートという始末。中島コーチからは「いい加減にしてください」と言われてしまいました。私の仕業ではないのに・・・。
当日の仙台も雨。自分では意識していなかったのですが、ご一緒したスポーツプログラムスの滅多に会わない須田さんからも「小島さん、さすがですね。」と言われてしまいまいした。小島の行くところ必ず雨、困ったものです。
さて、このリーダー研修会は宮城県の硬式、軟式の高野連に所属する高校の野球部の主将を一日缶詰状態に集めて主将としての心構えづくり、各校との友好を目的とした全国的にも珍しい取り組みです。午前中の一コマを「組織づくりと冬場のトレーニング」という全く相関関係のない演題で話をしましたが、事前に各校主将の悩みアンケートの集約表を頂いていたので殆どが「主将の役割」という内容となりました。
「主将の役割は」と問うと「チームを纏めることです」と沢山の主将が応えました。「その纏めるのが大変なのです」とも・・・。
私も主将という役割を高校、社会人と経験してきましたが、実は、主将が苦しむもっと大きな原因は、チームメートに発揮するリーダーシップではなく、監督、コーチに対してのフォローワーシップなのです。主将は、チームメイトに監督の意向を正しく伝え、また監督に対してチームの現状、課題を意見具申しなければなりません。
「監督とのコミュニケーションが取れていると思っている人?」と質問したら全く手が上がらず、笑っていました。逆に「監督とのコミュニケーションは難しいか?」と質問すると殆ど全員が手を上げました。これには、多数の周りにいた指導者も苦笑するしかありません。
色々な高校野球、ジュニア層のチームに指導や練習参加するケースがあるのですが、大半の指導者は、「子供たちの心を掴んでいる」と言葉には出しませんが、雰囲気を醸し出しているように感じています。
しかし、主将ですらこのような事態でありますので、言うほど大した関係ではないと言えるでしょう。
日本の指導者は、指示をしたり、選手に向かって話しをしたりした場合に必ず締めくくりに「分かったか?」と言います。この「分かったか?」は疑問形ではなく、応えが「YES」しかない一方的な疑問文なのです。選手の返事の選択枝は、「ハイ」しかない。
だから私は、「ハイ」という返事ほど指導者には気をつけなさいと言っています。選手は、質問などしたら叱られるとの心理状態であると思った方が良い。
アメリカに1年行きましたと前記事で記載を致しましたが、アメリカ人のコーチは、指導した後、「私の意見に賛成か、反対か」と聞きます。また、「質問はないか」と締めくくります。要は、選手に対して発言の機会を与えるような指導を行っていきます。
日常のこのような積み重ねが、選手との距離を縮めることになり、選手の悩みを救い上げる手段となるわけです。
話を戻しますが、主将の人たちに「では現状を変える方法は?」と再度問うと沈黙しました。応えは二つしかなく、監督が選手に歩みよるのを待つか、自分から積極的に監督に立ち向かうか。「なぜ監督に立ち向かえないのか」= 「本気で勝ちたいという欲求の低さ」だとも話をしました。本当に勝ちたいと思えれば、言いたくないことも平気で言えます。涙ながらに訴えられれば大方の監督も聞く耳は持ってくれるでしょう。
もっと言えば、監督もそのような行動を待っていて、その積極的な行動ができる選手づくりが目標なのですとも話しをしました。
�� ここで選手の目つきが変わったのは言うまでもなく。)
次に8割の理論を説明しました。いつも100点を取れるやつは天才であり、大方の人間は凡人である。100点を取り続けることはない、但し80点を取り続けることは可能かもしれない。
それからいつも100%全力でプレーをしていたらここという場面で120%の力を発揮しようとしていい逆に結果が出ないことがある。絶えず8割ぐらいの力でプレーを行い、ここぞっていう局面に100%が出せるように余力を残しておくぐらいで丁度良いと話をしました。
「ましてや高校生であるから失敗が許される。今失敗しないでいつ失敗するのか?」と付け加えました。
殆どの主将が力の抜けた良い顔になっていたように感じました。
大方の指導者が全力でものごとに対処しろという指導をされる中、少し違う観点で話をしたので、少しは受けたのかな?
当日の夜の懇親会で、その関連として「野球ノート」で選手とのコミュニケーションを図るとの話題となったので、以下の意見を少し述べました。
本来「野球ノート」は自分の振り返り、成長のために人には言えない(監督の悪口含め)、知られたくないような自分の気づきを記載するのが本当の目標であるのに最近では監督とのコミュニケーションのツールとなっている。
ノートを通じないとコミュニケーションが図れないことに問題があるのではないかと思う。最近の大人は、子供たちに対して「横にいる奴にメールで気持ちを伝えてくるのだよな」と現代の子を批判していますが、大人がコミュニケーションの仕方を教えていないだけなのではないのかと正直思いますよと話をしました。
グランドに出たら一言でも良いから部員全員と会話をして下さい。選手なんて単純で監督と会話ができたということでどのような練習にも耐えていけるものです。
選手、監督とも勝ちたいという想いは一緒のはず、その想いがあれば多少のぶつかり合いは大きな問題になりません。
でも、監督と話をするのは難しいよな、多端君!

雨の日は相手がやりたがっていないからチャンス。小島Japanは雨に強いって選手に言い聞かせています。
帰り着いた長崎は、今にも雨が降りそうです。



野球界の将来

1999年10月-2000年10月JOCの在外研修アメリカに単身渡った経験があるとキャリアの中に記載をしていますが、この経験をアマ球界で持っているものは、私を含めてたったの2名。もう一人は、私より先にアメリカ、キューバに1年間勉強に行かれた現在日本体育大学の教授である筒井さん(元住友金属、ソウル五輪チーム主将)。
筒井さんは、帰国後、日本野球連盟、全日本アマチュア野球連盟の仕事をされていましたが、日本体育大学の監督に着任されて暫く連盟活動から離れておられました。勇退された後、その筒井さんを活用しない手はないと今年度から全日本アマチュア野球連盟の委員、日本野球連盟の競技力向上委員として再度、迎え入れることとなりました。私としても非常に切望していたこともあり、大変喜んでいます。
社会人かけだしであった当時の私にとっては、雲の上のような存在であったこともありますが、一言一言に重みがあり、しっかりとした意見を述べられ、今後のアマチュア球界の救世主になられるのではと信じております。
先日の委員会でも「野球界はアマチュアが支えている。プロ、プロとプロを当てにするような発言が多いが、我々はプロの下請けではない。プロがアマに如何に協力していくのかをプロ側に提案するぐらいの意気込みでやらなければ発展的な活動はできない。」とややもするとマンネリ化した運営に手厳しい発言をされました。(思ってても中々言えない!)
サッカー界の動きを見る度に野球はサッカー界の変革が始まる以前よりも遅れているとつくづく感じています。WBC開催、世界大会の年齢制化など取り巻く環境の変化に対して、歴史、伝統が邪魔して即座に対応ができていない。確かに伝統とか歴史は大事にして行く必要がありますが、ドラスティックに変革をする時期に差し掛かっていると思っています。これは私だけでなく、球界全員が感じているはず。
指導者のライセンス制度しかり。「皆やった方が良い」と分かっているのですが、こんな簡単なことも決められない。WBCを2連覇したから、現状でいいとなってしまっているのでしょうね。もし、敗退していたら強化をどうするかという問題になり、議論が繰り返されたはずです。
ま、今現在、WBCはプロのもの、アマは関係ないとなっているから仕方がないですが・・・。
サッカーでいうワールド杯が野球においては、今後WBCと位置づけられていくことは間違いありません。開催時期も将来的にはもっと適切な開催日に変更されていくことが想定されます。野球ファンは世界で一番強い国であって欲しいと日本野球を見続け、グローバル時代に生きる子供たちは、自国を誇れるスポーツを生涯スポーツとして選択するように変化するようになるでしょう。嘗て向かうところ敵なしであった男子バレーが後進国にどんどん追い抜かれていったように日本野球もその兆候があると思ったほうが良い。
今年のU15では日本はインドに敗れていますし、ドラフト選手を沢山擁したU18ではコロンビアに敗れています。先日開催されたアジア選手権では中国のポテンシャルの高さを痛感しました。2m近い選手が真面目に練習に取組んだら体力差で劣る日本人は勝てなくなると危機感を感じました。
プロ野球選手の移籍話が1面に掲載され、我々が参加した世界大会(アジア選手権)がどこに掲載されているかわからないような取り上げられ方をするマスコミも少しは責任を感じて欲しいですね。日本のスポーツ文化を育てるという気構えぐらいでやって欲しい。
と愚痴をいうためにも野球界の一本化、スリム化をそろそろ考えていくべきでしょう。
某球団関係者から「そろそろ真面目に話し合いをしましょう」と相談ありました。
筒井さんとも少し話しさせて戴き、そのような機会づくりをすることが今後の使命かなと思っている今日この頃です。



アジア選手権直前合宿にむけて

アジア選手権の台湾代表、韓国代表のメンバーが発表されたようです。
いずれもプロ選手中心の構成でアマ全日本としては大変厳しい戦いとなることは必死のようです。
特に台湾は、ソフトバンクの楊投手を筆頭に日本プロ野球でも活躍している選手を中心に構成されており、ホスト国の威信をかけてという強力なスタッフとなっています。
開幕戦でいきなり台湾とやることになっていますが、アマを代表する投手陣がどこまで通用するかが鍵となることは間違いありません。
木製バットに変更されてからの国際大会では顕著に投高打低の傾向が現れており、大量得点を望むことが厳しくなっています。
厳しい戦いは想定のうちですが、相手がプロだから負けるなどとは思ったことはなく、寧ろ選手を含め「やってやる」という強い気持ちでいます。
過去、ドーハで行なわれたアジア競技大会において、韓国、台湾がプロドリームチームの参加に対し、両国と対等に戦い、韓国には勝利を、台湾には惜しくもサヨナラ負けという結果をアマチュアチームだけで残したという過去の拠りどころが私の今回の支えとなっています。
大学生であった長野(ジャイアンツ)、野本(中日)などが当時のメンバーでした。
日本では全く報道にも取り上げてもらえませんでしたが、この大会で韓国に勝った次の日の韓国メディアは、「ドーハの悲劇」として、日本の社会人チームに負けたということを辛辣に大報道しています。
10回やって1,2回勝てるかという差があるかもしれませんが、一発勝負の中で生きているアマ選手の力を結集すればやってみないとわからないと思っています。
プロにとっては、単なるオフシーズンの大会と位置づけているものと思われますが、世界大会に出場できる機会が減少しているアマにとっては、存在価値を高める絶好の機会であることは間違いありません。
明日から全員揃って直前の合宿に入ります。想いを一つにして、全力で戦いますので、「もう一つのJAPAN」を暖かい眼でご声援を御願いいたします。



キューバvs侍JAPAN

「侍JAPAN対キューバ」の2戦をテレビで観戦し、久々にビクトル・メサ(監督)を見て懐かしさを覚えました。昨年パナマで開催されたワールドカップではキューバチームのコーチとして帯同しており、開会式では一緒に写真を撮ることができました。ビクトル・メサ監督は、バルセロナ・オリンピック、日本の元ニコニコドー(熊本)チームに彼が所属していたときに対戦したこともあり、私の中では友人の位置づけにあります。 
勿論、相手はスペイン語で会話をまくし立てますので会話は成立していませんが、会えば「アミーゴ」と笑顔で応対してくれます。
さて、今回のキューバについては、かなり戦力が落ちていたと思います。
3番を打っているグリエルが凄い選手と放送では折に触れて解説されていましたが、はっきり言って元中日にいたリナレスにはほど遠い実力であり、またグリエルの親父の方がよっぽど凄かった。
今のグリエルの力では、10年前のキューバではおそらくベンチに入れないと思います。
打線も昔から落ちる変化球に弱い特徴がありましたが、あれほど変化球を簡単に空振りする選手は以前のチームにはいませんでした。
ボール際をしっかり見極められる選手ばかりであった印象があります。
投手においても少し前のキューバのエースのラソ程度の選手が育っておらず、普通の中南米の投手と差ほど変わりが無いレベルに見受けられました。以前は、150kmを投げる投手は当たり前であったし、コントロールも良かった。国内に数名の選手を置いてきているのかは分かりませんが・・・。
チャップマンのようにアメリカ大リーグに一流どころが亡命していることが戦力ダウンの一つの大きな要因かと思います・・・。チャップマンはWBCに参加するのでしょうか?
しかしながら、メサの気性は相変わらずでしたね。普段は陽気なおじさんですが、こと試合になるといつも怒り、短気者になる。キューバの歴代監督の中でも、珍しいタイプであり、よく監督に指名したなと思います。今頃、キューバ連盟も後悔しているのでは?
現役時代は、不動のセンターフィルダーであり、特にチャンスでの集中力は並大抵のものではなく、良く打たれた思い出があります。
キューバ選手は総じて怒りを闘争心に変える傾向にあり、火がつくと無類な集中力を試合で発揮します。
よって、キューバと対戦するときは、日本選手に「兎に角、怒らせるな」「友好的に」と代表チームのヘッドコーチ時代に本当に指示したこともあります。
「打席に入る前に捕手と握手しろ」とか、逆に打席に入ってくる打者には捕手が「握手を差し出せ」とかの類です。
キューバは、一方的に試合を決めることもありますが、大方後半に集中力を発揮し始めるという傾向が強いです。要は緊迫してこないと気分が乗ってこないというラテン人の気質が試合にもろにでる傾向にあります。
そういった意味では、昨日行なわれた親善試合については、観光気分であり、本来の姿ではないのかもしれませんが・・・。
現に札幌で雪がちらついていた時こぞって写真を取りまくっていたと帯同していた連盟関係者から報告がありました。
WBC予選のキューバ戦は今回みたいには行かないと思いますが、以前のキューバに比べると少し戦力ダウンしているので日本の勝機は高いと思います。
が、最近キューバは日本の野球を勉強し、積極的に取り入れています。
昨晩の代打を出してのバントなど以前では考えられない作戦でした。それだけ木製バットになって点数が入り辛いということを受けれいれており、投手を含めたディフェンスの強化が急務であると考えているからでしょう。
昨年には日本野球連盟に指導者派遣をキューバから要望され、元バルセロナ・オリンピック代表監督の山中正竹氏をはじめ3名の指導者がキューバを訪れています。
キューバに学べという時代の私たちからは到底考えられないようなことですが、キューバの貪欲さに頭が下がります。前回、前々回大会のWBCで負け、日本野球を研究しているということは間違いないでしょう。
この親善試合で勝ったという結果を鵜呑みにしないで引続き分析、強化を図ってもらいたいと野球人として切に望みます。
オリンピックから野球が除外され、WBCが世界大会の目玉となり、WBCがジュニア層の希望となっています。
国対国の戦いは、個人の欲求が勝ってはいけない戦いです。
一心不乱に「日本国のために」と強く想っている選手を集め、ぜひとも連覇をして欲しいと思います。
しかし、メサのマウンドに行くスピードは現役時代を彷彿とさせるほど素晴らしいスピードで大笑いでした。
山本監督もあれぐらいのスピードで今でもマウンドまで走れるのかな?
今度全力疾走のパフォーマンスでもやって欲しいですね。






摂津 正

昨晩、ライターである友人と電話で話している際にソフトバンクホークスの摂津投手の話題となりました。
「今でもアマチュア当時と変わらない取材対応をしてくれて、プロ選手に珍しく派手さもない本当に素晴らしい選手ですよ」という評価でした。
その摂津投手は、台湾で行なわれた第35回のワールドカップ日本代表チームが人生の転機であったことは、自身がよく分かっているのではないでしょうか?
この当時、私はヘッドコーチとしてチーム帯同をしていました。山形で開催された代表一次合宿には、摂津投手は選ばれていませんでした。たまたま、練習試合の相手として所属チームの先発として代表チーム相手に投げ、見事に押さえこんだことが代表入りのきっかけとなったことは間違いありません。
山形の合宿を終えて、一次登録の60名を選考しなければならない会議(実際にはホテルの監督の部屋)で、60人目の選手が決まらず、私が「今日投げた摂津を入れましょう」と進言したことを今でも鮮明に覚えています。
あの独特な縦のカーブは外国人が打てないという理由で進言しました。
最終的に、当時の垣野監督(現NTT東日本監督)もその事由に納得を戴き、60名の登録選手から本戦の代表チーム入りへと至りました。
その大会の日本チームの初戦 南アフリカ戦に先発した摂津投手は、初回いきなり無死満塁のピンチから押し出し四球を与えるという今の姿からは想像できないコントロールで最悪の出来でした。これには垣野監督も堪り兼ねて、私に「交代させよう」と相談を持ちかけました。私は「まだ1回です。この大会で摂津が使えるか使えないか、この試合で決するので預けましょう」と答え、垣野監督もぐっと我慢して戴きました。
その期待に応えて、それ以降の打者をきっちりと押さえ込んで摂津投手はベンチへ戻ってきました。実は、今大会攝津投手が取られた得点は、この最初に与えた1点で、その他の登板した試合は全て無失点で切り抜けてきました。
大会当初は、ローテーションの4番目ぐらいの位置づけでありましたが、大会での信頼度は日に日にあがり、最後のメダルを争う3位決定戦 オランダ戦には絶対的なエースとして、7回を見事に無失点で切り抜け、日本に久方ぶりのメダルを与えた原動力となりました。大会でも最優秀選手に選ばれるなど本人の自信に繋がった大会であったことは間違いありません。面白いようにストライクからボールになるカーブで空を切らせました。困ったらカーブ、今でも摂津投手の信条になっているのではないでしょうか?
帰国後に待ち受けていた日本選手権でも疲れもみせず、2連続完封を行なうなどそのマウンド裁きは自信に満ち溢れており、この大会を機転に別人となったといっても過言ではないでしょう。
その後、たまたまソフトバンクホークスのスカウトから「推薦できる選手はいますか」と聞かれ、直ちに「摂津」と推薦しました。私の言葉を信じて下位指名ではありましたが、ドラフト指名したソフトバンクの勇気には敬服しております。
今でも当時の担当スカウトから「ありがとうございました」という言葉を戴きます。
このネタを記載している理由は、私が攝津投手の人生に多いに関わってきたという自慢半話をしているわけではありません。
沢村賞を受賞するような選手でも一人の力でその立場を勝ち得てわけではなく、結局は何かのきっかけを他人から与えられているという事例の紹介をしたかっただけです。
勿論、その機会をものにしていく人こそが人生の勝者になるのでしょう。
その勝利者となった摂津投手が今でもアマチュア時代のように謙虚に振舞ってくれているということを聞き、非常にうれしくなって記載してしまいました。

写真はウィキペディアより。







BFJアジア選手権日本代表

第26回BFJアジア選手権日本代表チームの編成もいよいよ大詰めとなってきました。2次合宿に参加してくれた選手の中からドラフトされた選手も出ました。編成にあたっては、ドラフトされた選手についても最終メンバーの対象としております。ドラフトされた選手がクローズアップされることは間違いないのですが、ドラフトされなかった候補選手については、年齢的な面、本人がプロに進みたくないなど様々な理由によりドラフトから漏れたわけで、決して力が劣っているということではありません。したがって、ドラフトされた選手が必ずしも代表入りということではないことだけは明言できます。
特に今回候補に選出している大学生は敢えてドラフト対象外の3年生以下の選手ばかりで、ドラフトされた4年生に負けず、劣らずの実績、実力を秘めている選手ばかりです。
数名の大学生を代表チームに招聘する方向で検討をしておりますが、このうち何名かは次の韓国仁川でおこなわれるアジア競技大会の中心メンバーとして活躍して欲しいという期待もあります。
最近、アマチュア野球が世界の舞台で試合をすることが希薄になっています。先にU18チームが異質な海外野球に困惑したように経験不足は否めない状況下にあります。日本の野球が正しい野球であるとか主張しても世界を変える力は今の日本にはありません。日本の野球が一番であることを見せるけるためには、WBCで勝つ、アマチュアレベルの国際大会を全部勝つことが一番の早道です。
そのためには、「習うより、慣れろ!」。早い段階で国際試合を経験させることが重要であり、これを手を抜いていると野球強国には近づけません。
そういった意味では、我々アマチュア日本代表も重要な責務があり、その使命を持って国際大会に臨む必要があります。
選考する選手については、日本代表としての気概を持っている選手を第一に選出したいと考えています。
「この選手よりもあの選手が力は上ではないの?」と思われる選考となるかもしれませんが、あくまでチームに必要かという視点で選考をしていくつもりです。
それがアマチュア代表であると先輩方から教えを受けました。
「和を持って日本と成す」については、賛否両論あるかと思いますが、アマチュア日本代表の強みは、これであると思います。
台湾、韓国、中国ともプロ選手で構成されるらしいですが、全く引けをとらない選手ばかりだと思っています。
代表選手は、11月13日に最終発表する予定です。

画像は、メイン会場となる台中インターコンチネンタル球場





アジア選手権日本代表チームの編成

��次合宿を終え、いよいよ最終メンバーを選考する時期となりました。
予定では、11月13日社会人野球の日本選手権決勝をメンバー発表の日と考えています。
既に構想は固めているのですが、社会人、大学で編成するため、日本選手権(社会人)、神宮大会(大学)での怪我を最終的に考慮する必要があり、通例よりも少し遅めの発表としています。
投手の選考においては、組み合わせも決まり、ピッチングスタッフの人員構成も具体化してはおります。が、前述のとおり、一人が怪我をすると大きく編成を再編する必要がありますので非常にデリケートです。
初戦の台湾、続いてパキスタン、フィリピン、韓国、中国と試合を進めて行きますが、選出にあたっては、エース投手の当番機会をどこにするかを基本的に先に決めて、それ以外のピッチングスタッフの人選を進めて行きます。
勿論、アマを代表する選手ですから候補選手に甲乙つけるのは非常に難しく、海外で通用する投手、中継ぎで毎日投げれる投手、抑えに適性があるという選手など色々な判断材料をもとに決定して行きます。したがって、防御率がいい選手を上から順番につれていくやり方はしないで、「なんでこの投手が代表に選ばれないの」と思われることもあるやもしれません。
一方打者の選択の視点は、まず海外標準の150km近郊のスピードとチェンジアップなどの微妙な変化に対応できる選手、また短期決戦だけに1打席毎の結果に一喜一憂しないようなメンタル面のタフな選手が当然ながらレギュラー選手となります。
その一方、チームづくりをしていく中で、代打であったり、代走、守備固めであったりとその適性がある選手が次にくる選手となります。
ポジションによっては、レギュラーが二人となることもありますが、基本は控え選手にはなんらかの特徴がある選手が選ばれることになります。
今回は、シーズンが終わった時期での試合となりますので、アマチュア野球の慣例で会社の仕事に専念する時期、授業を優先的にでる時期などチームでのばらつきが起こり、コンディショニングと調子の把握が非常に難しくなります。
こういうと無責任になりますが、大会に臨むにあたっては選考された選手の自覚に頼る部分が大きいと言えるでしょう。
大学生からは3-4名、その他は社会人という構成になると考えています。
しかし、1次、2次と合宿を重ねて気心が知れた選手も何人もいる中で、選考を進めていくのは本当に辛いです。
もうしばらくスタッフと一緒に悩みます・・・。

写真は本文とは全く関係なく、パナマのダウンタウンにある野球場です。









打撃理論~ヒップターン

前号で回転軸の話をしましたが、体重移動でもう一つ欠かせない事項が、どのようにからだを回転させるかということです。
からだの回転をするためには、まずは両足が地面をしっかりと掴んでいなければならないことは説明する必要もないでしょう。
これがスタートとなります。
からだを回転させるために指導で使っている言葉がヒップターンという言葉です。
文字通り、投球に対して平行に構えている位置を0度としてお尻をしっかり90度回すことをヒップターンと読んでいます。
よく「壁を作れ」と指導者が言い、腰(お尻)を回転させず中途で止めて打たせることを目にしますが、本来遠心力をバットに伝える必要があるので、どこかを止めてしまえば必ずバットに伝わる遠心力は半減するはずです。中途で止めるのではなく、お尻は90度まで回しきることが大切です。

ヒップターンを行う時に注意をしなければならないことが、重心の位置です。右打者を例にとって解説しますが、右打者の左側の腰を意識して回転を行うと背中側に重心が移動します。重心は踵方向に移動すると考えてください。次に、右腰を意識して回転をすると投球の方に右腰が出てくる感じがして、重心はつま先方向に移動してきます。
昔の人が「腰で打て!」と言われていましたが、この腰で打てはきっと後者の右腰を意識して打つ方法であると考えます。
インサイド→アウトのスウィングが良いことは皆さんご承知のとおりだと思いますが、要は後者の右腰が前に出てくる意識、つまりつま先方向に重心移動ができたならば簡単にこのスウィングが身につきます。
逆にインサイド→アウトのスウィングは、手の使い方を行っているのではないことを理解してもらえるはずです。要は正しいからだの使い方さへできれば、インサイド→アウトのスウィングは習得できます。
ヒップターンをスムーズに完成させるためには、後ろ足(蹴り足)の踵が上がるくらいまで、しっかり回すことが重要となります。
お尻が回転するより早く足首が回転するのですが、あまり踵を意識しすぎると右腰を意識した回転がおろそかになるので、やりすぎには要注意です。

「反対方向に強く打てるようになりたいのですが?」という質問をよくされるのですが、右腰が投球に出てくる感じがもっともこの答えに近いかと考えます。
右腰と書いているのは、右打者の例ですから左打者は、左腰というのを間違えないでください。

松井選手がメジャーで活躍できなくなってきているのは、写真のとおり、ボールの変化に対応しようとして後ろ足に体重を残しすぎており、尚且つ、腰(お尻)の回転の意識が前側の腰(松井選手は左打者なんで右腰)に意識を持って回転しているためで、結果的に背中側に重心が移り、体重が軸足に残った状態でボールを打ちに行っている、即ちアウトサイド→インのスウィングになっているためと考えています。
しかし、松井選手がこんな状態になるんですからメジャーの投手の投球がホームプレート付近でどれだけ動いているかが分かります。
回転しながらつま先方向に重心を移しながら打てば、松井選手はまだ活躍できるはずです。

回転、単に回るだけなんですが、意識の持ちようでその後のスウィングが変わってしまうという大変難しい技術です。
文章では中々掴めないと思いますが、写真をしっかり見比べて見て、研究ください。







打撃理論~回転軸

打撃理論の続編が遅くなって誠に申し訳ございません。
体重移動の話をするにあたっては、回転軸の解説の必要性がありますので今日は回転軸に主眼をおいて記載します。
今日もyakyuusyounennさんのホームページの連続写真をお借りして進めて参ります。
日本の指導者は、軸の指導をする際に頭の天辺からお尻を通じて地面まで結ぶ線を中心に回転することとよく指導します。
確かに立っている時には対称を意識するとそういう理屈になります。
しかし、ことバッティングにおいては、いかに後ろ足にウエイトを残したたままボールを待つかが重要であり、回転軸を日本の指導のように置くと既に構えた時点で後ろ足に体重が残りにくく、よくいう突っ込むような傾向が強くなります。また、回転軸を頭からお尻の線とし、回転すると必ずウエイトが背中方向にかかり、よく言われる開く傾向が出やすくなります。下写真の元ジャイアンの清原選手を見て貰えればお分かりいただけるでしょう。

一方、メジャー(アメリカ)では、回転軸は、ステップしたつま先から前方の肩のラインといいます。少し斜めになっている軸がイメージできますか?ボンズ選手の写真を見て貰えればよくわかるかと思います。

確かに斜めに傾いた軸ですから、少しアッパー気味になりますが、前にも記載したとおり、前方に突っ込むことがバッティングにおいては一番やっていけないことなので、この確率はかなり少なくなります。
また、もともと高いところから下に向かって投げられるボールを打たなければならず、その投手のリリースポイントから捕手を結ぶ線と平行にバットを振ればボールを捕らえる確率は上がるはずです。よくメジャー選手が顔はレフト向いているのにライトに強烈な打球を打っているシーンを目にしますが、正しくこのことが要因となっています。
日本人のダウンスウィング理論は、最短距離にバットヘッドを出すということには一理あるかと思いますが、線でボールを捕らえることには向いていないと最近考えています。
小さい頃にこのように指導を受けていたので、中々最初はメジャー式のバッティングは受け入れられなかったのですが、意外とやれるもんです。自分が経験してきているから明言できます。
回転軸を私が指導するときは、日本でよく言われている軸を二等辺三角形に例え、メジャー式の打撃フォームは直角三角形にたとえて、比較して説明します。
直角三角形の斜辺が回転軸と教えています。一度、トライしてみてください。



U18世界選手権~続編

今日全アマ連盟の田和専務理事から今回の本塁激突問題について、情報提供を頂き、併せて意見を求められました。
昨日、Collision Rulesの話を記載しておりましたが、U18のNorms(規約)には、その関連事項の記載が削除されていたらしいです。
昨年のパナマで行われたワールドカップのNormsには明記されていたので、てっきり継続されているものとばかり思っていましたが、そうではなかったことが判明しました。
確かにNormesは大会ごとに記載事項が変更されることは当たり前でありますが、このような重要事項を大会ごとに変更する理由がよくわかりません。
これは間違いなく、IBAFにしっかり説明を求めるべきでしょう。
普通、本規約にグランドルール、ローカル・ルールが追記されることは良くある話で理解できますが、本規約から重要事項が大会ごとに削除されるということ自体がおかしいと思います。
田和専務理事が日本側の窓口となって、IBAFに早速抗議文を送っておられましたので、何かしらの回答があるでしょう。
それから、私だけ知らなかったのかもしれませんが、アメリカとカナダの決勝戦でも、明らかにアウトのタイミングで同じようなプレーをアメリカが行って、今度は主審がラフプレーとして退場の処分を下したようです。報告によると裁定を下した審判が国際ルールを熟知していたため、そのようなジャッジができたのではとのこと。
前日の日本、アメリカ戦でかなり深刻な問題として取り上げられたため、そのような裁定に切り替えたのではと疑うしかないです。
これも審判によってとったり、とらなかったりというのは大変おかしく、ましてやネット裏にはTCがいるのですからミスジャッジは正すのが本当の扱いではないでしょうか?非常に不可思議です。
いずれにしても、この問題を単にこのU18大会だけの出来事にとどめず、執拗に抗議を行い、日本戦で起きたようなプレーにつては、ラフプレーとして明確に位置づけなければならいないと思います。
確かに野球は格闘技の要素も兼ね備えており、コンタクトプレーもありますが、最初からそれを狙ったようなプレーをするのは絶対に間違っています。
昔、元巨人軍の清原選手が本塁に突入するときに、体当たりのタイミングを見計らったかのように捕手めがけて体をあずけて行ったことを思い出しました。キャッチャーが吹き飛んでボールを落とした瞬間にニヤッと笑ったことも。プロ野球ですから見せるプレーは確かに必要で、激しいプレーによって観客に真剣味をさらに与えることになることは十分わかりますが、そのプレーを見て同じように青年期の若者が真似をしたら、タックルを受けた捕手は、一生野球ができないからだになってしまうとも限りません。
日本に至っては、アマチュア規定が厳しく、体当たりプレーは厳しく戒めれていますが、やはり世界大会になると文化の違いにより、まがったルールの解釈をする国、選手も出てきます。
この問題、非常に重要な問題ですから会議を招集してでも解決する必要があると思います。
早期の解決を期待します。



U18世界選手権~大会総評


アメリカの優勝で終えたU18世界選手権ですが、日本チームを主体とした大会総評を今日は記載します。
先にも記載しましたが、18歳以下の年齢制限ある大会で他国が大学1年生と同年代の選手も入れている中、高校生だけで戦った日本チームは良くやったと誉めるべきというのが大会の感想です。
結果は、最終戦で韓国に敗れ、6位となってしまいましたが投手力のレベルの高さは今まで同様にアピールできたと感じます。
敗因は、小倉監督のコメントにもあるように「世界大会への慣れ」「準備不足」につきると思います。
一方、選手が「長丁場の戦いで、コンディションが落ちて行った」と漏らしているように世界大会でもっと要求されるのがタフさと精神的な逞しさです。
体力的な持続力、コンディショニングについては、相手チームを見て、レギュラー選手を交代で休める、試合前の練習を抑えた形で行うなど対策をやる必要があったのだと思います。高校の大会は、トーナメント制で行うため連戦となっても3試合ぐらいが一番長い連戦となりますが、世界大会では今回のように初戦が雨で流れると下手をすると8連戦、9連戦と経験を超えた疲労との戦いになります。
外国の選手は、母国においてもリーグ戦方式の試合になれており、体力が落ちてきているなと感じると試合前のバッティング、ノック練習をキャンセルし、試合前にストレッチとキャッチボールだけで試合に臨ませるなどの対応策を講ずることもあります。
日本人はルーティンが壊れることを怖がり、いつもどおり練習を行って試合に望むことを選手が希望し、他国のような手法をとるのを嫌がります。しかしながら、いかに休むかというのが長丁場の戦いでは、非常に重要となり、この辺りの決断と実行が最終的に勝敗を決める一つの要因となります。
日本チームがどのうような対応をしたかは聞いておりませんので、あくまで一般論で話をしていますが、休むという観念が不足していたのではないかと思います。
体力面と関連して、一番要求されるのがタフな精神力です。日本で行わる世界大会であれば、さほど気にする必要はないのでしょうが、環境、慣習が違う、異国で試合をする場合は、日本の常識が通用せずに色々な意味でストレスがたまっていきます。
如何に今日のことを忘れて明日と切り替えられるがポイントになり、少々のことでは驚かないタフさが必要となります。選考の時にも、非常に重要な要素となるでしょう。
大会中に前半から結果がよろしくない選手は、殆どこの大会期間では上がってこないというのが日本人の特徴であり、まさしく期待していた選手が思い通りの活躍をしてくれなかった大会でもあったのではないでしょうか?打者であれば、前半戦は、「あいつに任した。後半戦は俺がやる」的な発想ができるような選手を育成する必要があります。確かに大会通じて、何割打ったとか直ぐに評価をする傾向にある日本の風潮(特にマスコミ)の中では、打率は低いけれどもここぞっという時に打つ選手を取り上げることはないので、そのような感覚を持つことはできないかもしれませんが・・・。
我々がバルセロナオリンピックに参加した時の山中監督(現法政大学教授)からは、いつもこタフさの要求をされていました。
今後の日本野球界のテーマになるでしょうね。

敗戦の弁に「疲れてバットが思う通り振れなかった」「木製バットは、金属バットと比べて飛距離が出ず、戸惑った」とのコメントがあり、新聞のコメントにも「下位打線で3割を打った選手がいなかった」など、打撃に苦しんだというような大会内容の様でした。
しかしながら、アメリカでも、韓国でも、台湾でも学生は皆金属バットを使って国内大会を行っているので日本だけが不利な条件であったわけではありません。
確かに木製バットへの慣れというものがありますが、根本を正せば結局、打ち方そのものが問われていると考えるべきです。
日本の場合は、小さい頃から戦術を教える練習が主になります。簡単にいうとどのようにチームプレーで1点をとるかということ。ランナーを如何にして先さきに進めていくかという類です。
無死1塁は必然的にバント、場合によっては、1死2塁でも3塁にバントで進める。ランナー3塁に至っては、打てないと判断したらスクイズと。
逆にアメリカでは、戦術よりも個の力量を伸ばすことをジュニアでは教えていきます。ボールを如何に強く打つか、正しいバッティングフォームに主眼を置いて個人指導に力を入れます。
したがって、ジュニア期のアメリカチームでは、戦術が確立されておらず、小学生チーム、中学生チームにおいては、戦術がきちっとしている日本が制覇できるのです。
しかし、年齢があがり、レベルがあがるにつれ、戦術を教え込まれてくると最後は個の力の勝負となり、結果的にそこがポイントとなるわけです。ランナー2塁で如何にヒットを打つかが勝負の分かれ道になります。小さい頃からこの機会を与えないで、いつ与えるのか?何本もバット振っているのにその機会を奪うのか?今一度、指導そのものを考えるいい機会ではないでしょうか。
日本のプロ野球も年々打率が下がっていますし、日本人選手のホームラン打者は激減しています。
要は、アマチュアにそのような選手が育っていないということになると思います。
話が脱線しましたが、バッティングについて今まで個性の尊重だとか、個人の特性を活かしてなどと色々な理由で、統一した指導が行われてきませんでしたが、そろそろアマチュア教本みたいなものを作って全レベルで一貫した指導がおこなわれるべきです。
アメリカの打者を観てて、皆同じような打ち方をしているなと感じる方は少なくないと思います。

冒頭にも書きましたがU18チームよく頑張ったと思います。
敗因は、あなた方のせいではないない。世界大会をどうみるかという野球界すべての責任です。
いちはやく年齢制限による世界大会の流れに順応しているサッカー界のように野球界も早く舵を切らなければならない時期に来ているということです。
��BCでなんとかプロが連覇をして人気を保っている野球ですが、他国が力を入れてくるとそれもいつまで続くかわかりません。
世界で勝つことこそが、人気の継続、子供の憧れ、夢となります。
その強化に携わっている一員として、責任を感じると共にやらねばと改めて感じさせてくれた大会でした。
U18チームお疲れ様でした。

��写真:IBAF公式ホームページから引用)


U18世界選手権~アメリカ戦

U18チームアメリカ戦非常に後味の悪い試合となりましたね。何か我々シニア代表チームの大会を見るような感覚を受けました。
世界大会で負ける要因は、兎に角、四球とつまらないミス。これは世界大会に限らずですが、特に相手にチャンスを渡すことは命取りになってしまいます。
高校生と言えども、日本の投手のコントロールの良さは世界の中でも群を抜いています。それが災いして、日本には居ないような強烈なスウィングを見せられると、どうしても厳しいところへ投げたがり、結果的にボールが先行してしまうピッチングとなってしまいます。
コースも偏りがちで外が中心の配球となり、踏み込んでくる外国人選手の餌食になってしまいます。
恐れずにインコースをしっかり見せることが世界大会で通用するキーとなります。全試合、すべての投球を見たわけではないので、日本チームがそのような配球をしたとは断言できませんが、大方外中心の攻めになっていたような気がします。初めて外国選手と対戦すると投手も捕手も体格の違いや大きなスウィングに戸惑ってしまうものですので、致し方ないかとは思いますが。
しかし、藤波選手は良く投げたと思いますよ!150Kという少し重さを感じるボールで3連投は立派です。高野連が使っているボールよりも乾いた感じの革で、且つ縫目が高いこのボールは、相当違和感を感じたでしょう。お疲れでした!
今日のホームのクロスプレー2発は日本の高校生にはショッキングだったでしょうね。メジャー級の体当たりでしたから。
よく捕手の森君は、続けて出場しましたよ!普通、すぐに病院送りです。
この体当たりについては、賛否両論あるかと思いますが、世界大会では、こういうプレーは当たり前ですので、アメリカの選手にしてみれば全く悪びれた仕草はなかったですよね。
我々も日本代表チームの捕手には、そのようなプレーの対処として必ず受け身の姿勢と交わしながらのタッチの練習をさせています。
僅かな練習期間で大会に臨んでいるU18チームにおいては、このようなプレーの練習はできなかったでしょうね。
しかし、このプレーについては、世界的な流れで、やめさせようとい動きになっていたはずで、IBAFの内規にもCollision Ruleとして、体当たりの禁止をうたっていたはずです。
日本チームは、100ドル払ってでも(国際大会では、抗議する場合は書面とお金と添えて抗議をしなければならない)抗議をすべきだったと思います。裁定は変わらなかったとしても。
��LBの試合でなく、将来ある若者の大会なんですから、ラフプレーとアピールしておけば、2回目は流石にアメリカもできなかったはずです。
残念ながら、世界大会の経験不足という感は否めません。
まだ明日を残していますが、今大会はやはり日本の強化システムとチーム編成に問題があるように思います。
高校野球の選手を中心に選考した方が監督問題、選手の選考も簡単に済むのは非常にわかりますが、18歳以下の大会ですから大学生、社会人1年目の選手も対象となるはずです。
年齢的には半年ぐらいの差しかありませんが、大学1年生、社会人1年目の選手と高校3年生ではまったく体力、技術、知識が違います。
他国は、特に高校生に拘らず編成しているわけですから、高校生だけで戦っている日本チームがここまでやっているということは、逆に素晴らしいと思います。
また、日頃、高校の先生として、且つ野球の監督として生徒指導や技術指導に明け暮れ、甲子園という目標を達成すべく努力されている高校の指導者の方に世界を見よと言っても中々無理があると感じます。
日大三高の小倉監督は素晴らしい監督さんだと思います。しかし、日頃、世界を相手にしているわけではないですから、色々な意味で戸惑いがあったはずで、ご苦労はお察しできます。
本来であれば、折角、全アマという組織があり、そこに海外を経験している多くの指導者がいるわけですから、その中の誰かが指揮をとり、側近コーチを高校の指導者が固めるという形が一番スムーズなのではと思います。
全日本野球会議という組織の中にジュニアからシニア、プロまで代表チームに携わった方との意見交換の場、情報共有を行う組織を作ってくれと要望するつもりでいます。
特にU18大会を観て、情報共有の大切さと世界を相手にするために必要な知識をを伝達しなければいけないと改めて感じました。
決して、現U18チームを批判しているわけではありません。注目されて負けるととやかく言われてしまうのが代表チームであれば少なくとも強化するということに対して、もう少し力を入れるべきです。
シニアチーム(アジア選手権)に対しては、連盟よりかなりバックアップをいただいていますが、ジュニア層強化にはもっと力を注ぐ必要があります。
ファイトマネーも何もない名誉だけで戦っているアマチュアにとっては、勝利こそが大きな救いとなるのです。
怪我したらどうするんですかとWBC参加にしり込みするどこかのプロ選手と違って、日本の国民のためにからだ張って本塁を死守しようとした高校生の姿の方がどれだけ立派であるか。

メダルは持ち帰ることができなくなったが、明日は宿敵韓国、絶対に勝て、頑張れ、U18代表チーム!

それにしても、大谷投げて欲しいな!







U18世界選手権

韓国で開催されているUnder18世界選手権で今日、コロンビアに日本が敗退した結果を全アマ連盟事務局より知らされました。
予選第一ラウンドでのカナダ戦の敗戦を含め、この大会の戦いぶりを見る限り、情報の共有化ができていないなと改めて感じてるとともに責任を痛感しています。

カナダ戦の敗戦は、タイブレークの戦い方に慣れていないことが問題であったと感じています。この制度が導入されていない高校野球、大学野球の選手にとっては違和感のあるものであったでしょう。
以前の世界大会では、タイブレークのシステムは導入されておらず、延長戦で勝敗を決していました。この制度は、4年前から導入され(日本が言いだしっぺ)、9回終了すると即このシステムで勝敗が決せられます。しかも、9イニングの流れは、一旦リセットされ、タイブレークはお互いに無死1,2塁でしかも好きな打順から攻撃を開始するというものです。
通常は、9番、1番が其々、2塁、1塁のランナーに行き、2番バッターから攻撃、2番打者は、バントで送り、一死3塁、2塁で3番打者を迎える采配が一般的です。表側は、それでもいいですが、表に何点取られたかによって裏の攻撃は、変わってきます。3点先制されれば、いきなり打って行かなければなりませんし、逆に1点または2点先制されれば、表側と同じ攻撃を行い最低同点という戦略を取ることもあります。
要は、シュミレーションを沢山行い、攻撃オプション、守備の際のバリエーションを多く練習しておく必要があるということです。
��年前にこの制度が導入されたイタリアで開催されたワールドカップ大会では、前任の杉本監督(現西部ガス監督)と共にコーチとして大いに戸惑いました。この頃、社会人野球ではタイブレークシステムが導入されており、タイブレークは大丈夫という甘い考えでいましたが、一死満塁で行う現行の社会人で採用されているケースと無死1,2塁の国際大会ケースでは攻守共に全く考え方が違い、かなりベンチワークも混乱させられました。
この経験を踏まえて代表強化合宿においてはタイブレークの戦い方を練習しています。時には内野手5人で守るシフトも練習したりもしました。
今回のU18チームもおそらくタイブレークの練習は行っていたと思いますが、寄せ集めのチームであり、練習する時間はそれほどなかったのではないかと考えています。
国内ルールと世界大会ルールの違いによる慣れの差が結局は世界大会の大事な戦いで勝敗を決することとなっています。
今までの学生野球の歴史、背景を考えると世界基準にルールを統一するということにはならないのかと思いますが、甲子園出場のかからない公式試合などでは世界大会ルールを適用した大会があってもいいのではと考えています。
話が長くなっていますが、今日のコロンビア戦においては、昨年パナマで開催されたワールドカップ大会の敗因そのものがU18でも起きたと思っています。
��.緩急に対する対処の仕方と長身投手への対応。
��.日本で言われる150kmの速球は外国ではそれほど通用しない。
��.日本選手は、予選の集中力が長丁場(2週間)の国際大会において保てない。
と大きく分けて3点を報告しています。
��については、打ち方そのものとなりますが、基本的に体重移動の大きさとテークバックまでの余分な動作が多い日本人選手は、手元で変化する、また日本では見られないホームプレート付近で微妙に変化する特に中南米投手の球に対応できていません。
また、190cmを超える長身投手に対戦した経験が少なく、ストライクゾーンに入ってくるボールの角度の違いに戸惑ってしまう。具体的には、顎があがった状態で最も投手にとって力のある高めの球に手を出してしまう傾向が強いです。
��については、再三話をしているとおり、もはや高校生と言えども150kmを投球する投手は世界レベルでは沢山おり、速いとは感じられていません。それ故に思い切った緩急を駆使した投球を心がけるべきです。初球のゆるい変化球は、まず外国人選手は振りませんので、簡単に1ストライクを稼げるはずです。
��については、忠実で、且つ手を抜くことが悪と称される日本の国民性が原因かと思いますが、兎に角、予選1試合目からフル回転で後半にスタミナ切れみたいな結果が多いです。長期戦の大会が国内大会にないので、この辺りも要因の一つかと思いますが・・・。
これらの問題も、世界大会に積極的に参加することで少しは解決できると考えますので、これからも連盟関係者に訴えて行くことと致します。
肝心なことは世界大会を戦うにおいても、ジュニアからトップまでの強化方針の一本化が必要であり、今後、そのような話し合いの場をつくつことがまず第一歩になるかと考えます。
長々と記載しましたが、今日負けたと言え、U18チームには残り試合を必死で戦ってもらい、なんとかメダルを持って帰って欲しいものです。
アジア選手権代表チームの次回合宿を10月3日より大阪で開催しますが、このU18メンバーからの招聘も考えています。
頑張れ、U18!

http://sankei.jp.msn.com/sports/news/120905/bbl12090518040005-n1.htm




打撃理論~体重移動

先号で、「構え」について記載しましたので、今回は体重移動について記載をします。今回は、yakyuusyounenさんに掲載されてる写真が一番分かりやすく解説されていたので、引用させて頂きます。

体重移動とは簡単に言うと後足(軸足)から前足に体重を移動しながらスウィングを完成することですが、大きく二通りの方法があるかと思います。
一つ目(A)は、日本人の左打者に多い回転するよりも早くウエイトを前足に移しながら、下半身が回転する方法。スゥエーするという言い方が適切ではありませんが、そのような打撃フォーム。


二つ目(B)は、軸足に体重を残したままボールを待ち、ヒッティングポイントにボールが到達する間際に体重はそのままの状態で、軸足で回転をし、その回転力で前足に体重を移動する方法。体重が残ったままに見えます。
が、実は回転しながら打つ瞬間は、一旦、前足に体重が移動し、振り切った後に体重がまた後ろ足に戻ってきています。


Aの利点は、横方向の体重移動を利用しながら打つことができる。ボールを線で追いながら打つという言葉がわかりやすいでしょうか?よって、タイミングの微調整(アレンジ)が容易となる。
とはいえ、横方向に移動するため、スピードの変化(緩急)にもろく、突っ込むことが多くなります。左打者であればまだ、走りながら打つことができますが、右打者がこの打撃をするとほとんどがレフト方向の打球、よく言われる引っ掛ける打球が多くなります。
Bは、パワーヒッターの多いアメリカ式の打撃(外国はこれが主流か)フォーム。できる限りからだの突っ込みを抑えながら打つ方法で、ホームプレート付近の変化に対応できます。外人は、よくStay Back(前にでるな)という言い方をします。
軸足で待つということは、ヒットポイントに至る寸前で回転しなければならないため、からだの回転する(ヒップターンと読んでいます)スピードが求められますし、強靭な下半身が要求されます。
このからだの回転スピードが足りないとボールを正確にとらえることができませんし、とらえようとして逆に突っ込む原因ともなります。
勿論、アッパー気味のスィングになりますからフライアウトが多くなります。

では、いずれが日本人に適しているのかというとBを目指して欲しいというのが今のところの私の回答です。
��の打ち方は、右打者には通用しない理論です。世界標準で、ホームプレート付近の小さな変化(カットボール、チェンジアップ)が全盛期の中、打者がボールを見極める力、即ち、最後までボールを見れる姿勢こそが対応するための重要事項となるからです。
但し、この打撃フォームを習得するには小さな頃からの習慣づくりが必要です。
・少々のフライアウトは仕方ない。
・アッパースィングはそれほど悪いことではない。
・体の回転スピードの醸成(ヒップターンの速度アップ)、訓練
世界を相手にするとは、世界基準をイメージして技術追求をするということです。
あのイチローが振り子をやめたこと、松井が足を上げるのをやめたとか、日本でのやり方では、MLBの中ではやっていけないと判断していることに注目して貰えればお分かりいただけるかと・・・。
難しいとは思いますが、でも取り組まなければ置いていかれます。日本の野球は!
野球指導者の方には特にこの辺りの検証をお願いしたいところです。
ちょっと話がそれましたが、皆で打撃を追求していきましょう!





打撃理論~「迫力ある構え」

沢山の方にご覧戴き、感謝申しあげます。
野球界への情報発信という想いでブログ立上げておりますので、趣旨ご賛同戴き、更に、多数の方に訪問していただけれるように、ご紹介のご協力よろしくお願い致します。

バッティングを行なう上で、打撃のスタートとなる「構え」は、非常に重要なウエイトを占めます。「構え」においては、特に重心の位置、バットの傾き、グリップの位置は、注意を払う必要があります。
構えたときに、踵方向(背番号側)に体重がかかっている選手が日本人選手には多く見受けられます。確かに、両足で立つ動作をイメージすると自然な状態のように映りますが、バッティングは体の前面、言い換えれば内側で動作を行なうため、常につま先方向(ホームプレート方向)に体重がかかっていなければなりません。
解り易く言えば、僅かですが、ホームプレート方向に少し前傾した姿勢となるべきです。このつま先体重とするだけで、よく言われるステップしたときの開きというのは抑制されます。逆に踵に体重がかかって構えている選手は、ステップした際に開く傾向があるとも言えます。
更に前足と後足へのウエイトの割合ですが、常に軸足となる後ろ足に体重を乗せた状態で構えた方が、より緩急に対応できるようになります。良いバッティングをしている選手の殆どが投球された時点で、一旦体重を軸足に乗せます。一本足打法も同じことです。
プロ選手になるとリラックスするために構えた時点で体重を均等に両足にかけ、投球と同時に軸足に移してテークバックを作る選手も多くいますが、投球にタイミングを合わせるというのが打者として技術的に一番難しいことを考えると最初から軸足に体重を乗せた状態にしておくことが簡単であることは間違いなく、アマチュアレベルには推奨です。
次に、トップをつくるという言葉を打撃指導する上で良く使いますが、まさしく打撃に入る、今からバットを振るという動作ポイントに近いところがトップであり、このトップに近い構えをしていれば、いつでも打てる動作になっていることが言えます。
では、「トップを作って構えれば・・・」と質問が出そうですが、止まっている状態からいきなりスタートというよりは、動いている状態からスタートする方がスムーズにからだが反応しますし、打撃動作にスムーズに移行できることはイメージできると思いますので回答の必要はないでしょう。トップに近い位置に構え、トップを作る動作にあまり時間を要しないようにすれば、速球にも対応できるはずです。
「構え」の指導の中で脇を絞れと良く効きます。また、傘をさす感じがベストと指導書などで書かれています。が、本来自由に使えなければ行けない両手が脇を絞ったためにフレキシビリティーがなくなり、非常に窮屈な状態となり、使い辛いということになっていると思います。ボクシングの構えもやや脇を空けた状態で構えていますね。それと同じであると理解してください。但し、両脇を空けてしまうとトップの位置が出来にくくなるので、後の手、右打者であれば右手、左打者であれば左手の脇をあけ、前の手は、心持ち絞っておく程度でよいかと思います。文章で書き表すと難しいですが、写真を参考にしてください。

グリップの位置ですが、トップに近い位置ということを勘案すると後の肩と地上のラインよりも後にあるべきと考えています。但し、グリップの高さについては、頭の高さ、肩より低い高さのどこにあっても特に問題ないと考えています。
「構え」についてジュニア層へは、
①頭を頂点とした二等辺三角形をつくるのではなく、直角三角形をつくりなさい。
②グリップは、後肩の後に置きなさい。
③更につま先の方向に少し体重をかけ、やや前傾しなさい。
と指導しています。
これにより、自然にバッティングで一般的に重要だと言われているインサイド→アウトのスィングが身につきます。
一点書き忘れましたが、構えたときのバットの傾きですが、ヘルメットのつば側ではなく、後ろ側にバットヘッドがある傾きが、トップに近い構えが出来ていると言えます。
「迫力ある構え」が、威圧感を生み、打球を強く、遠くに飛ばすことにつながりますので「構え」の重要性を認識してもらえればと思います。
文章では、説明し辛いですが、しつこく次回からも打撃理論を記載していきます。




TCクリニック受講修了

先ずは、軟式野球連盟の長久保さんより、ブログページの配色が読み辛い、写真も入れた
方がよいと言うアドバイスを受けましたので、変更してみました。如何でしょうか?
さて、前回ご報告していましたTC(Technical Commissioner)クリニックに参加してきました。
今回は、オーストラリア、ニュージーランド、香港、韓国、台湾の主にオセアニア地区を中心としたくメンバーで開催されました。
IBAF主催の大会におけるTC資格者を増やすということが主たる目的として開催されましたが、大会の運営ルール、規則など世界大会に出場する指導者も勿論知っておかなければならない事項も沢山ありました。非常にためになりました。
日本からの参加者は、NPB審判の井野さん、平林さん、全アマ審判の林さん(早稲田OB)、軟式野球連盟 長久保事務局長、日体大の河野ドクター、東海大の伊藤元監督、女子野球の先駆者 鈴木慶子さん、そして私。
いきなり英語で自己紹介、それから英語による講義と久々に英語なるものを使ったので疲労度は普段以上でした。初日が講義、二日目は東大野球部の協力を元に実践というスケジュールでしたが、受講者の方々が明るく非常に楽しい講習でした。
それにしても、いつも思うのですが、なぜ外人がしきるこのような会議は、明るく、建設的な会議になるのか?意見を求め、議論をするからでしょうかね・・・。
夜は懇親会ありましたが、韓国から来られた朴(Park)さんのホスト役になりました。この朴さんは、ロス五輪の韓国代表で、更に韓国プロ野球で投手、野手として活躍され、その後、解説、現在、スポーツマーケティングの教授をされている方。非常に愉快な人で、非常に親しみを感じました。
それから、鈴木慶子さん、現在も東京都町田にてプレーイングマネージャーとしてチームを運営されていることとか。日本人女性で初めてアメリカ女子プロに選手として渡った御仁。雑談の中で殿堂入りの対象者ですねと冷やかしましたが、本当にそれに値する方で、次回の合宿にでも講師で呼びたいと考えています。
��Cの受講修了書を貰いましたが、使う日がくるのかな!
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試合前の準備#3

アマチュア野球チームの場合、大方試合の前に弁当というのが、ひとつの定番となっています。
実は試合前の食事こそがパフォーマンスを左右する大きな要因であることを今回は認識して戴きたいと思います。
炭水化物がエネルギー源ということでゲーム直前におにぎりを沢山食べさせる光景を良く目にします。確かにスタミナ切れを起こさせたくないという配慮であることは十分理解できますが、試合直前に消化をしなくてはならない食べ物を摂取することに関しては、問題があります。食べ物を摂取するのであれば少なくとも試合の2時間程度前までが、一つの目安です。胃のなかをとおりすぎ、少し空腹間が出てくるぐらいが丁度良いのではないでしょうか。このことは栄養学の講座などを受講して多くの指導者も知っていることですので釈迦に説法かとおもいますが、つい「ま、いいか」と妥協してしまうのが、この部分です。
特に少年野球では、弁当を頼んでいるから食べないととついつい忘れがちになることも良くあるかと。ま、勝負にそれほど重きを置いていない少年野球ではそれでも構いませんが、年齢が上がると共にレベルが高くなるとその油断で勝ち負けが決まってしまうものです。
イチローがよく「最高の準備」と口にしますが、まさしくこの辺りまで配慮をすべき事柄です。
私が三菱長崎の監督時代にトレーニングコーチの勧めもあり、1日六食とビタミン、プロテインの六回摂取を一年間義務つけたことは社会人野球界では有名になっています。当然、試合前の食事計画についても何処のチームより気を使いました。日本一になると目標をおいたからにはそれに相応しいこだわりが必要です。面白いエピソードは、飛行機移動の最中に3時となった瞬間に一斉にチーム全員がバナナを取り出して食べ始め、周囲の方々に不思議そうに見られたこともありました。
話が本論から脱線しましたが、勝ちたければ徹底的にやれということを言いたかったのです。
一回の食事が命取りと理解している選手が沢山出てきてほしい。
今の全日本選手は、まだまだ甘い!
プロ選手もしかりか?
イチローのすごさは、けた外れた徹底ぶりではないでしょうか。並みの意志の強さでは、一流にはなれない。断固たる覚悟を持って夢の獲得に望んでほしいです。指導者においては、妥協しない強い信念を持ち続けてほしいです。
題目とは大きく離れましたが、後戻りして今さら修正する気力が今日はありませんので勘弁してください。


試合前の準備2

前回では、特に球場に入った際の準備確認事項について記載をしましたが、今回はウォーミングアップについて記載をします。国際試合では、試合前に両チームにバッティングとシートノック( 国際的にはファンゴ)が与えられ、球場入りしてから試合まで2時間以上の広義な意味でのウォーミングアップ時間が与えられます。一方、日本のアマチュアの場合は、概ね前の試合終了に併せて体を動かし、球場に入るなりキャッチボール、シートノック、試合と流れていきます。この為か、日本人は、短時間で直ぐに体が動くように一生懸命にからだを動かします。
この理由なのか、日本チームが国際大会に参加すると試合前の2時間をどう過ごすのかに戸惑い、何となく間延びしてしまう傾向にあります。また球場入りしてから練習スタートの合図と共にウォーミングアップが開始されるとウォーミングアップ用上着(俗称、カッパ)を着込んで一生懸命スタートダッシュを繰り返し、まるでサウナから戻ってきたかのように発汗し、顔も熱を持っているような状態でベンチに戻ってきます。
慣れていないから仕方ない話ですが、用意ドンでスタートして速さを競うスポーツと違い、野球は序盤から終盤まで乗り切らなければならないスポーツです。勿論、1回の表からガンガン飛ばしていくことも重要ですが、概ね日本チームは、終盤に息切れしてしまうケースも多く、ストレッチとキャッチボール、数回のダッシュとバットスィングで十分動けるようになります。これにシートノックが入れば、いつでも試合はレディな状態なはずです。
コンディショニング全盛期の日本、コンディショニングコーチがついてウォーミングアップを行なうチームが増加していますが、ストレッチぐらいはチームで纏まってやっても、後の過不足は自分の判断でアップを行なうべきと思います。自己コントロールできなければ、成長はないと思います。
私見ですが、日本のウォーミングアップには、強化が入っています。練習時におけるウォーミングアップに強化的な要素を取り入れることは、全く問題ないですが、強化メニューまで盛り込まないと試合がやれないというのでは、試合においてはマイナス効果になると思います。海外チームにおいては、力を貯めるという観念の方が強く、試合前にトップスピードでの動きは殆どいれません。やるとすれば、試合開始直前の数メートルのダッシュぐらいでしょうか。
勤勉な国日本においては、手を抜くという行為が良い印象ではなく、いつも全力が美徳と賞賛されます。しかし、試合の終盤に失速するケースを見るといつも全力では、持たないということが一方では言えます。
大きな声を出して、集団で行動しないと何となく盛り上がって来ない体質に小さい頃から慣らされている日本の野球選手にとっては、手を抜くと魂まで抜かれてしまうような感覚になってしまうことは十分理解できますが、本当の連戦を勝ち抜いていく上では如何に体力を温存するか、気持ちをリフレッシュするかが最重要ポイントです。
夏も冬も同じアップ時間を要し、いつも同じ種目のウォーミングアップを行いという方法ではなく、体力を温存することを少し視野に入れた試合に勝つための必要最小限のアップを検討されては如何でしょうか?
ベンチから挨拶に出たその一歩からが「ゲームモード・スィッチON」の状態です。常に集中を持続していくことはできません。
少なくとも試合前のアップと練習前の強化の入ったアップとは分けて考えるべきだと思います。



IBAF主催Technical Commissioner’s(TC)クリニックへの参加

��月末にTechnical Commissioner’s(以下TCと記載します)クリニックに参加する予定です。日本で開催されますが、アジア圏の方々が多数参加する国際会議的な勉強会となっています。勉強会に参加する前ですから、TCの具体的な役目というのは良くわかりませんが、我々が世界大会を戦う上で、大会運営行なう事務局的な役割をされているということだけは理解しています。日本では、現在審判委員長の麻生さんがこの役目をされています。
国際大会においては、色々な国から審判やこのTCが参加しているため、統制を取るのが大変難しいようです。特に試合において、大きな揉め事などがあると国際問題に発展する恐れがあるため、TCが仲裁に入り、採決を下すことになります。非常に難しいポジションであることは間違いないです。ラフプレーやビーンボールなど日本では考えられないような事項が盛り沢山の中での任務遂行だから特に大変でしょう。
その他、TCの面白い役割の一つに罰金行為の監視というものがあります。国際大会では、禁止行為が大会規約に記載されてあり、これに逸脱すると罰金を試合後に徴収するという取り決めとなっています。三塁コーチャーがホームランを打った選手とホームベースを踏む前にハイタッチの禁止、スリーアウト後にファンサービスで野手がスタンドにボールを投げ入れる行為の禁止、ラフプレーの禁止などが例にあげられます。
これをTCが監視し、違反した行為あれば罰金キップを切ります。因みに罰金の金額は、ラフプレーが一番高く、他は軽微で20ドル程度です。私も国際大会における三塁コーチャーとしてデビューした際にハイタッチで罰金を徴収されました。当時の事務局の方からは笑われましたが、ルールを熟知しておかないと行けないと再確認した事項でもありました。
このようにTCは国際大会を熟知していなければならず、現在の麻生さんは凄いと常日頃から感じています。色々な国の方々との共同作業、共同生活ですからご苦労は大変なものであると思います。このような方々のお蔭で、試合ができるわけで感謝をしなければ行けないなと記述しながら、改めて思う次第です。
そう言えば、中国広州で行なわれたアジア競技大会にて、麻生さんから「( 小島JAPANは)マナーときびきびしたプレーぶりは、今までの日本チームにあっても上位に値する」とお褒めの言葉を戴きました。試合に勝つことが最重要事項ですが、代表チームのその他の目的に、日本の野球を発信するという大きな使命も担っています。そういう意味では、まとまりを欠く日本のプロ野球チームがでるよりもアマチュアチームがこのような大会に出た方が普及という観点からはいいのかもと考えます。
TCクリニックでしっかり勉強して、また皆様にご報告します。



犠打について

走塁とくれば、次はバントについてということになるかと思いますので、今日はバント、特に犠打について記載をします。
最近の社会人野球は、金属バット全盛時代の得点争いとは明らかに戦術が変わり、犠打で得点圏に進めるという傾向が強くなっています。
戦術の変更は、致し方ないとしてもあまりにも多用する犠打についてはいかがなものかと思ってしまいます。
1回の表、手堅く2番打者にバント。1回の裏、手堅くバント。2回の表、打者5番に手堅くバント。とくれば、ビックイニングはやってこないし、27アウトしかできないのに、序盤から簡単にアウトをやるということが戦術的に正しいのかと考えてしまいます。
したがって、最近の社会人チームも練習の内容に、最重点項目として犠打バントの練習が多く取り入れられているみたいです。
犠打バントの技術は、投球に対し、正対するように平行に両足を構えるパラレル型といつでもヒッティングに行ける様に、打席と同じように構えるスクゥエア型の二通りが旧来からの基本となっています。
しかし、最近の日本選手においては、この基本から離れ、旧来基本と呼ばれていた上述の2パターンの中間、つまり右打者であれば3塁ラインに平行に足を構え、バット操作でボールの勢いを殺しながらバントをする選手が多くなっています。
大リーグに目を向けると殆どの選手が、スクウェアに構えてバントをします。これは、小さい頃からヒッティングの構えからバントをすることを教える指導が主流であり、またあまりバント練習については時間を割かないため、ほとんどの選手がある意味このスタイルで行っていると思います。アメリカの解説書を読む限り、犠打の技術に関しては、構え方と体の向きで打球方向を決める程度の記述しかありません。
話は戻りますが、日本で行われている現在の主流のバントの構え方を昔の全日本で行っていたら確実に叱られていることでしょう。基本から逸脱していると・・・。
私は、窮屈にバントするぐらいならばボールがリラックスして一番見える構えで構わないと思います。但し、投球をバットだけ、小手先で追わないことが重要です。
構えたバットの角度を変えずに、体の動きでボールをしっかり受け止めることこれができれば犠打を成功できます。
あともう一つ重要なのがタイミングです。あまり早めに構えると内野手のチャージがきつくなり、プレッシャーがかかりますし、また余計なところが固くなると共に、腕だけでバントをすることとなり、結果的に失敗につながります。逆に遅く構えすぎると投球されたボールのスピードを判断しながらバットをコントロールしなければならず、特にスピードの変化に対応できず失敗するケースも目にします。
したがって、バント練習は、よくグランドの片隅でマシンを使用して行われていますが、できる限り、特に投手でなくても構わないので、投球モーションをつけて練習することが効果が上がると思います。
上段の方で、バントの戦術に苦言めいたことを記載していますので、バントは不要ととられがちなんですが、私は、ここぞっていうケースでバントは使います。バントはそういう作戦とも思っていますので、この重要な場面で使うからこそしっかりと日頃から練習をおこなっておく必要があり、それほど大切な作戦、技術であると認識をしています。
主導権を握ることも大事ですが、それ以上に早い回では、打者の力を信じてみたいものです。特にクリーンアップにおいては・・・。




走塁について

走塁を忘れているんではないかと叱られましたんで、今日は走塁(盗塁を除く)に関して記載をします。
走塁だけはスランプがないと良く言われているとおり、攻撃の中で非常にテクニックが発揮できる項目です。
走塁と聞けば、全力疾走と良く言われていますが、全ての状況において当てはまるとは思っていません。
走塁(盗塁を除く)においては、判断力がもっとも必要であり、そのためには状況を把握することが大切です。コーチャー任せでなく、自分の眼でボールみることにより、次の行動を決定することができます。コーチャーの指示が出てからでは、タイミング的に遅くなります。
走塁は、ホームベースに届く最後の0,01秒、10cmの攻防が究極の場面となるので、いかにロスなく判断し、早く塁に到達するかを競うものです。良く安打を打った選手が一塁まで全力疾走し、早く一塁まで到達しすぎたために、オーバランの動作に入り外野手が捕球する時は丁度ベースを踏むタイミングとなり、捕球時が観れない、且つストップの動作に入りかけており、外野手が実際ファンブルした際に直ぐにトップスピードに入れないという光景をしばしばみます。
外野への通常安打であれば、テイク1ベースが90%であり、まず1塁どまりです。よって、逆に10%以下のエラーを狙ってベースランニングをすべきです。その走り方は、ベースを踏むタイミングより前に捕球動作を確認するぐらいで丁度いいと思っています。
このように書くと高校野球の指導者に怒られるかもしれませんが、ファンブルして動きを起こすより、ファンブルを予想して走るではどちらが速く2塁ベースに到達できるかを一度テストしてみて下さい。
前にも書きましたが、野球は、前に進むだけのスポーツではありません。状況によっては、後に下がらなければ行けないこともあります。
よって、100%で常に前に進んでいては、状況が変化したことにより、走る方向を変えたり、STOPからGOのような動きができなくなります。
8割ぐらいの力で力むことなく走る方が上手く走れるはずです。
8割ぐらいの力と指導すると5割ぐらいになってしまう選手がいるから、この表現も適切でないのかな・・・。
余力を残し、どのような状況でも、自分の眼で打球を追うことを訓練してみて下さい。


都市対抗予選での出来事(捕手編)

都市対抗予選の出来事、パート2。今回は、捕手の出来事!
追いつ追われつの好試合での終盤の出来事。
沢山の安打を打たれている割りに僅かな得点差と何とか耐えている苦しい展開、迎えた7回の守り、第2エースを登板させ、勢いを持ってきたいとのチームの思惑。
それに反して、四球でランナーを出し、続く打者に安打で1,3塁を作られ、迎える打者は、2番の左打者と、何んでもできるケースを作られてしまった。攻撃側は、何を思ったか、代打を起用し、勝負に出たかと思ったが、なんと送りバントでランナーを2塁に送る作戦をとった。
采配ミスかと思わせる展開に・・・。
迎える3番打者は、得意のアウトコースのスライダーで簡単に2ストライクと追い込んだ。一つアウトコースのボール球を挟み、タイミングの合っていない、アウトコースのスライダーで勝負かと思われる場面を迎え、捕手がインコースに構えた。
裏をついてインコースのシュート系のボールを要求するのかと思った瞬間、インコースにスライダーが来て、ものの見事に左中間を深々と破られ、勝負が決した。
おそらく裏の裏をかいた捕手のリードであったのだろうが、打者がスライダーケアの状態で、インコースのスライダーがどのように打者に映るのか捕手は考えなかったのだろう。
これ以上失点できないケース、或いは出来る限り最小失点というケースで博打を打つ場面であったのだろうか、疑問が残る。
捕手は、監督の代行である。したがって、9回トータルでのゲームマネージメントを要求されるポジションであることを忘れてはいけない。
この失点が、どのような意味を持つのか、もっと厳しいく言えば、この1球がこの試合のどういう位置づけにあるのかと返球している間に瞬時に判断して行かなければならない。
��試合終って、全配球を覚えているのは、当たり前であるし、各イニングで常に配球を見直し、次に生かしていく姿勢が重要となる。
強気で行くケースなのか、逃げて逃げて逃げまくって、なんとか最小失点に抑える場面なのかということを冷静に判断できることを日常から練習しておく必要がある。
捕手は、愛妻だと言われているが、投手に好かれるだけではなく、時には厳しく、冷たくあたることも非常に大切である。
結果論で批判されるポジションが捕手であり、辛いと思いますが、一番面白みのあるポジションですから捕手の方は、誇りを持ってください。
私も野球を含めて、頼りにしている人物は、バルセロナオリンピックで正捕手であった方です・・・。




都市対抗予選での出来事(投手起用)

都市対抗視察を行っていた為、随分更新が遅くなりました。今日は、都市対抗予選で実際にあった出来事を話題に取り上げながら、投手起用について書いてみます。
都市対抗予選の準決勝で両チームとも「この試合だけはとりたい」、「負けると敗者復活戦に回る」という重要な試合での出来事。
エース同士のガチンコ対決で、序盤から中盤にかけて両者1点を争う好ゲームを展開。6回に戦力的に劣るだろうと予想された表のチームが、一挙4点を奪い、試合は後半に。4点をリードしたエースは、疲労の色を隠せないままなんとか8回裏までリードを保持した。一方、リードされたチームは、敗者復活戦を意識したのか、第2エースではないリリーフを7回から登板させたが、内容も良く、9回表まで追加点を許さず、4点差で9回裏の攻撃を迎えた。
8回までに二桁安打を許しながらもなんとか追加点を凌いできたエースであったが、9回裏に入り、いきなり3連打を浴び、続く打者にもレフト線を抜ける走者一掃の長打を打たれ、一点差まで詰め寄られ、尚、ランナー無死2塁へ。打者は左打者二人が続く場面でリリーフの左投手を出したい場面であったが、1点のリードをエースに任せた。結局、バント、犠牲フライで同点に追いつかれ、延長戦を迎えることになった。
延長に入り、同点に追いついたチームは7回からリリーフし、好投をしている投手を続投、あまり厳しい場面の登板経験がないせいか、いきなりの四球、ワイルドピッチで無死ランナー2塁。ここで溜まらず投手を第2エースに交代。「時すでに遅し」で、バントで送られ、犠牲フライで決勝点を上げられ、ここで勝負あり。
長い前触れとなりましたが、ここでのポイントは2点。チームのエースに4点リードを託したが、明らかに球威が衰え、コントロールも甘くなっている中、続投を命したチーム事情。もし、エースをどうしても残しておきたかったら、DHを解除して一旦、外野に退かせ、別の元気な投手で勝負するという手もあったのかと思った。逆に日頃の練習からその練習を行っていれば思い切った作戦に出れたはず。
次に、4点リードを追いついた次回に気楽な場面で好投した投手をそのまま続投したという負けチーム。気楽な場面だから好投できたのに、今度は1点もやれないと思った瞬間に、延長線では絶対やってはいけない、四球を出してしまった。どうせ第2エースを登板させるのならば、「ここからはお前の仕事」と頭から交代させるべきであったはず。折角、9回まで好投した投手も結局、負けにつながる失点をし、自信も半減という結果となってしまう。
どちらのチームも投手起用に迷いが出て、逆に白熱した試合になってしまった。
投手の起用は、難しい。特に緊張する場面を迎えると監督そのものが我を忘れてしまうことも良くある。いかに沈着冷静に試合を進めるかが重要であり、そのような意味では、野村、落合監督は、それができる監督なのかもしれないと思う。
外から見ていると判断できることも、試合中となれば難しいんですよね。


アジア選手権スタッフ

アジア選手権のコーチングスタッフが決定しました。
私の他に、
JR東日本 監督 堀井さん
明治大学 監督 善波さん
住金鹿島元監督 中島さん
の3名のコーチの皆様です。

堀井さんとは、3年前のイタリア開催のワールドカップ以来のタッグ。
中島さんには、最近ずっとご一緒戴いている。
善波さんは、大学時代の六大学野球での早明戦以来となります。

お三方とも野球の実績は、非常に高く、優秀な方ですので、これから戦略をしっかり練ってアジア選手権で優秀するようにチームづくりを行なって行きます。

まだ未確定ですが、台湾は、WBC予選のメンバーが中心、韓国もプロでくるとのことで、今までのアジア選手権よりは、確実に難しい大会となりそうです。

負けるわけにはいかないので、これからアマチュアのトップ選手からの選択を行い、文字通り全日本チームに相応しいチームとなるように大会に向けて十分に準備していきます。

ご声援の程、よろしくお願い致します。


投手の育成(#5)

連日沢山の方にご訪問戴き、ありがとうございます。
投手は、投げるか、走るかというのが大半の練習となりますが、今回は特に走る練習に着目して、投手の特性について記載をします。
仮に100m走を10本、タイムを計測して走るというメニューを行なった時に選手のタイプは以下に分類されると考えています。
(1)1本目から全力で走るが、後半バテてタイムが悪くなる選手
(2)1本目~9本目までは、力を温存して最後の1本が特にタイムがよくなる選手
(3)1本目~10本目までほぼ同じタイムでくる投手
(4)本数によってタイムにバラつきがある選手
(1)のタイプは、リーリーフ向きかもしれません。直ぐにマウンドに上がれる気持ちの作り方のうまい選手とでも言えるでしょうか。
(2)のタイプは、ここぞっていうときに力を発揮するタイプでしょうが、平均的な力を発揮するタイプではないので、先発投手向きではなく、どちらかというとクローザーとかに向いている可能性があります。勝負どころで力を発揮するタイプ。
(3)のタイプは、いつも同じ精神状態で、同じような力を発揮することができる先発向きと言えるのではないでしょうか。
(4)のタイプは、試合ではあまり信用ができないタイプ。良かったり、悪かったりというようにムラが多い選手にある傾向。
というようにランニング練習でも結構傾向がでるのが、投手です。
全力で走っているふりをしながら、実は計算して走っていることは選手時代に良く私も行ないましたが、これとは別にこのような傾向を見ていくのも選手育成の一助になるかと思います。
指導者の一番の仕事は、しっかり選手を見ることですから、このような視点で見ていくと長い練習も指導者にとってみれば、面白みのあるものになります。


打順について(#2)

��番打者を重要視していると前回書きましたが、試合において、8番打者から始まる攻撃の巡り合わせは非常に展開的に嫌なものです。
一方、守り側からすると8番から始まる打順になるように切っていくと流れをとめることができます。
というのも、最近の野球では、9番打者は、1番打者に匹敵するぐらい足が速く、繋ぐことができる選手を抜擢することが多くなってきているからです。1,2番においても遜色ない選手となることが多いようです。
初回以外は、1番から始まる打順は、そう簡単にありません。下位から上位に上がってくるケースが殆どであり、一人でも1番打者の前にランナーがいると嫌な雰囲気になるものです。
そういった意味からいうと7番打者って大事になるんですね。2死で回った7番打者は、兎に角、安打、四球に拘わらず、8番まで回すことが責務となります。
��番打者は、打力が打線の中で一番劣る選手となることが一般的かと思います。逆に、強いチームでは、8、9番が1,2番に匹敵するような足も速く、出塁する力を持つ選手で構成されているように感じます。
下位打線の組み方は、意外と神経を使います。単に打力の順番だけでは、打線は組めないんですね。そのチームの特性に合せて打順を考えることが大切です。
相手チームの投手との兼ね合いも大事にしなければなりませんが、それよりも日頃からこのチームの特性を生かす打順はどうかを常に考え、練習及び練習試合で試して作り上げていく必要があります。
とは言いながら試合前日の夜は、悩むんですよね…。誰を起用するかを。


BASEBALL

忙しかったため、ブログをアップすることができず、ご訪問下さった方には申し訳ございませんでした。
さて、中学生のシニアチームの代表もやっていることは一部の方はご存じかと思いますが、先週九州大会が宮崎で行われ、我が長崎文教リトルシニアは予選リーグ2勝2敗で得失点差で予選敗退という結果に終わりました。選手は、非常に頑張りましたが、残念な結果となりました。
本日は、その大会においてアマチュア野球で見受けられる出来事についてコメントします。
シニアの大会は、7回戦で行われますが、九州では、4回10点差、5回以降は7点差がつけばコールドゲームが成立となります。
予選の3試合目、力の差はほとんどなく、接戦が予想されましたが、予想に反して初回にミスが重なり、一方的な展開となりました。5回表の攻撃、0対7とこの回に1点とらなければコールドゲームとなってしまう場面を迎え、何とか主軸が奮い立ち、2死から1点を獲り、持ちこたえました。
その裏、相手の攻撃は、1死2,3塁となり、3塁ランナーが生還すればコールドゲーム、迷わず満塁策をとり、1点阻止の守備体系を引いて勝負にでました。
その初球、なんとスクイズであっけなく、コールド成立。
その場面を観て呆然としてしまいました。全く、予想もしなかったプレーであったため。
この予想もしなかったためというのは、こういう場面でスクイズという作戦は私の頭の中には浮かび得ないからです。
世界大会でこんなことやったら、間違いなく乱闘になります。点差が離れたケースでの盗塁やスクイズは相手を軽視していると見なされ、必ず報復され、ファンはブーイングがあたり前です。
よく高校野球で大量リードしているにも関わらず、最後の1点を得点圏に送るために犠牲バントを行ったり、同じように3塁のケースでスクイズしたりとか見受けます。その度に解説者(殆ど社会人の出身なのに)が、「明日に繋がる手堅い作戦ですね」と褒めたたえる。
解説者は、実はダメなことを知っていて、批判されるのが怖くて本音の解説をしていないのですが・・・。
その解説を聞いたアマチュアの指導者がまた同じようなことをやってしまう。宮崎で行われたプレーが当たり前だと思われては困る。
もし、甲子園の解説を依頼されたら、絶対にダメなプレーは、ダメと言います。(こんなこと言っていたら、お呼びがかかることはないですが・・)聞いてみたくありませんか、副音声で本音解説!
褒めるだけが解説ではない。なんか違うなって、最近、高校野球を観てて思います。我がバルセロナのチームメイトであった広瀬氏ぐらいかなまともに話ているのは・・・。
話が脱線しましたが、要は相手あっての野球ということ、相手に敬意を表することが大切、スポーツであることを忘れては行けないと思います。表題にBASEBALLとつけたのはそういう意味を含んでいます。


H24年度JABA大会

JABA大会が各地で開催され、続々と日本選手権の本大会の出場権を獲得したチームが名乗りを上げています。
しかし、各大会を観て回って、まず乱打戦の試合が少ない、投手力が際立っているとはとても思えないが、いささか寂しい打撃陣の内容ですね。
JABA大会の殆どで採用されているタイブレークシステムですが、このシステムにより大方の試合が勝敗を決しているような印象を受けています。
日ごろからタイブレークシステムの練習をした方が良いのではと思ってしまいそうです。
金属バットで都市対抗を戦った私ですから木製バットの現状と比較した批評はしてはならないと思いますが、少なからず木製で練習試合をした際の打率は、金属バットを使用したときと大して変わりない程度の成績を残したと記憶しています。
点が取れないので、進塁打を打つことが重要になるのは理解できますが、そうであれば無視1塁から犠打二つ使ってランナーを3塁に進め、相手のミスを待つような野球をするような極端な戦法をとった方がかえって勝利につながったりして・・・(甲子園でもありましたね)。
私は絶対にできませんが。
BASEBALLは、打つことから始まったスポーツです。間違いなく、打撃の停滞は、野球の停滞に繋がります。かつて森監督率いる常勝西武ライオンズがファンに受け入れられなかったように・・・。
ホームランが希少価値になる時代が来るのかなと心配しています。オーバーフェンスは、ファンの心を引くと共に、1発で流れを帰る野球の醍醐味でもあります。
もし、ホームランが激減してきたらホームランを打ったら3点ぐらいあげてはいかがかと思います。そうすれば打撃の向上に繋がるはずです。
ゲームの進行はスピーディーになることは結構ですが、試合内容もそれについて行って欲しい。
プロスカウトも「最近、金属時代よりも試合時間が極端に短くなり、観るのが楽になりました。しかし、打者がいませんね。」口を揃えて言っています。
アマチュア打者の奮起を期待しています。


指導の留意点~目標

甲子園に出場したことがないという、いくつかの高校を訪問したことがあります。その殆どが「甲子園出場!」をチームの目標に掲げています。
その時々に「本気で甲子園に行くつもりありますか?」と聞いてみます。選手全員、「ハイ!」と応えます。
しかし、指導者に同じ質問をすると正直、行けたらいいなという程度の方が殆ど・・・
甲子園常連校であれば、監督、選手とも自信を持ってハイと答えるのでしょうけど・・・。
「どうしたら甲子園に行けるのか」の解はないのでしょうが、少なくとも次の点は、必要条件となるのかと思います。
①相手を上回る技術力ある選手を多く保有する。
②相手を上回る体力(決勝まで戦い抜く体力)を保有する。
③相手を上回る精神力を保有する。
④戦術に長けた監督を保有する。
⑤チームワークに富んでいる。
この必要条件をクリアできれば、90%以上の確率で甲子園に行けると思います。
但し、このようなチームは、殆どゼロに近いでしょう。いずれかの要件が、相手より劣っていたり、勝っていたりしているものです。
したがって、自チームの弱点を知り、強みを最大限に活かす戦略をとることが戦う中で重要となります。本気で甲子園に行くためには、少しでも強みを増加させる、勝負できるポイントを高くすることが必要になります。
年頭(新チーム)に毎年の目標、方針を立てますが、ややもすると今の時期には風化し、日々の練習に忙殺されることもしばしばです。
「自チームの目標は?」
「目標を達成しようとする強い気持ちがあるか?」
「達成のための手法は適当か?」
「選手と目標が共有できているか?」
など今一度、振り返る時間を持ちましょう。
「本気になる=必死になって考え、行動に移す」です。
書きながら、またもや猛省しております。


指導上の留意点~評価

監督とか、コーチという職業につくと選手を前にすると何か喋らないといけないという感覚に成りがちです。
実際、社会人監督になりたての頃の私自身も気がつけば選手を長く立たせたまま、一生懸命話をしていたことがよくありました。気合が入っている時こそ、その想いを伝えたいばかりに一生懸命話をしていたように思います。
想いを伝えることは重要なことですから、このことは特に悪いことではないのですが、長く話をしていると選手に対して多くのオーダー(指示)をつい出してしまっているものです。
これもまた選手が消火できれば、大きな問題ではないのですが、大方選手も覚えられないということになります。
よく言われるとおり、要点は絞って、できれば重要であるという3つ程度に絞り話をすることが重要です。
ここまでは誰でも心がけていることですが、もっと重要なことは、自分の出した指示に対する評価をきっちと行うということです。
例えば、練習前に「今日は、元気出して行こう」と指示を出していたとすれば、練習終わった後に必ず元気があったのか、どうだったかを評価してあげることです。これが結構おろそかになる。
評価を行うという、この行為の積み重ねが、選手が監督(指導者)の声に反応し、一言いえば全員が同じ方向に向かうチームに近づくこと繋がります。
評価をしない指導者の一言は、選手は、指示はするがチェックはしない指導者と捉え、いつしか選手は、指導者の言葉を軽んじることになります。言ったら言い放しは一番危険です。
書きながら反省しています。


指導上の留意点~オノマトペ

オノマトペというのは擬声語のことで、指導の際に「パァーンと打つんだ」「パッとボールを投げろ」などと使う「パァーン」「パッ」という言葉です。指導者はこれ良く使いますよね。長嶋監督はこの名人ですが・・・。
「良く説明して貰わないと分からない」と選手は言いますが、野球などの一瞬の動きを説明するときにこのオノマトペが一番分かり易く伝えることができるのかも知れないと思うときがあります。
当然ながら理論は、熟知していることが前提ですが、場面によっては、このぐらいの適当な表現方法を使うのも指導者として必要なものです。理屈ばっかりでも選手は、飽きるものです。野球で必要なものは、感性です。このオノマトペから掴み取る選手の感性に頼ることになるのでしょね・・・。無責任ですが、結局、全部を細かく指導することはできないんですよね。


投手の牽制について

個人用のフェイスブックに投手の牽制についての以下質問がありましたので、そのご回答を含め、記載します。
ご質問内容は、
高校野球の場合、牽制はプレートの後方に軸足を外して、牽制することとなっているが、社会人、プロの場合は、前方に外している場合があり、ルール適用が違うのか?
とういう内容。
おそらく2塁牽制を意味しているのではと思いますが、基本的にルールは、少年野球~プロまで同じです。社会人の場合は、後方に外さないと高校と同じようにボークを宣告されます。
プロの試合を見ているとこの部分は、寛容にジャッジされているように感じます。
前に同じ質問をプロコーチに向けましたが、「以前は、プレートの上に軸足を乗せて投げる投手が殆どであったが、最近のプレートは2段プレートになっており、後方に軸足を外すことが難しくなり、その点は、寛容になっているのでは・・・。」とのコメントを受けました。
ルールは、ルールであり、きちっとやるべきでしょうが、確かにプロコーチのコメントも一理あると思います。
前にターンすることが、有利に働くならば、問題となりますが、後方に外しづらいプレート構造がある以上、少し考える必要がありますね。


日本野球連盟

全日本アマチュア野球連盟とか日本野球連盟とか、正直、組織にいながら最近まで良くわかりませんでした。
全アマは、日本代表(プロ、アマ含めて)選手を派遣するところ、日本野球連盟は、社会人野球を管轄する団体と簡単に言えばこんな説明になるのでしょうか?
全アマとして出場しない、できない大会に社会人単独で出場する場合は、日本野球連盟として選手を選考し、参加することになります。
時々オランダで開催されるハーレム大会などに出場する際は、日本野球連盟として参加し、縦縞のユニフォームを着用できず、紺と白のツートンのユニフォームを着ることになります。
連れて行く選手は、それほど変わらないのですから、なんとなく違和感ありますね。



ボールを投げることについて

多くの技術書には、ボールを投げるための基本技術の習得が大切であり、非常に詳しく解説がされています。
確かに正しい投球動作のメカニズムを知ることは重要であります。
しかし、多くのボールを上手く投げられない選手を見てて気づいたのですが、「ボールを投げる動作」の「ボールを投げるタイミング」つまり「ボールを投球動作のどのタイミングで放すか」が大方良く理解できていない。
おそらく、多くの技術本を見ましたが、このタイミングの解説が書かれていない。
フォームどうこう言う前に、どのタイミングで放せば、力強く投げられるかを体感できなければ、いつまで経っても投げる動作は覚えられないということに行き着きました。
「ステップした足が、着地した後の一瞬で、ボールを放せ」と指導本に書くならばこのような表現になるのでしょうか?絶対に伝わりませんよね・・・。
実は、指導で一番難しいのが投球です。いくらバッティングが良くても結局、上手く投げれない子は、上のレベルに行けない。
指導者の腕の見せどころは、投げることをしっかり指導できるかにつきると思います。
この体感ドリルは、ベースボールクリニック4月号の「Hint」に掲載していますので、是非ご覧下さい。


2012年7月31日火曜日

守備陣形の選択

守備陣形についての記事を掲載したところ、非常に興味があるというご意見が多かったので続編を掲載します。
よく序盤( 特に1回)のスコアタイ、無死又は1死で2,3塁及び満塁などのピンチを迎えた際にいきなりバックホーム体制を選択するケースがアマチュアの世界では多いような気がします。
少年野球では、打球が外野まで届く確率が低い、打球のスピードもなく内野の間を抜ける確率も低いということで、この陣形を取るのは理解できますが、高校野球以上のレベルであれば、前半から大量失点のリスクを高めることになり、この陣形を選択するのは如何かと考えます。
確かにスコアタイのケースであれば「主導権を渡したくない」、「前半だから2,3点ぐらいであれば何とかなるから、0点に押さえることにチャレンジしてみたい」という気持ちは分かりますが、序盤の3点以上の得点差を追っかけていくような場合では、自チーム投手が以降の回を失点しないという想定が出来ないのであれば、攻撃時に使用する作戦が単一化(打つこと)してしまい、上手く試合を作って行けないケースが多いようです。
逆に、1点を争うゲームをしている限り、「先ずは1点」「1点であれば何とかなる」と考え、思い切った作戦を打てることになり、好結果に繋がることが多いようです。
したがって、リードを許すにしても、1チャンスで同点又は逆転の射程距離の状況に常に置いていくことを考えて守備、ゲームを進めて行くことが重要です。
一方、終盤で1点取られたら負けというケースにおいては、逆に思い切った守備陣形を選択しなければなりません。「あそこを抜かれたらどうしよう」、「後に打球が行った場合は、どうするのだ」などと不安を覚え、本当は、極端に守備を取らなければ行けないのに知らず知らずのうちに1歩、2歩と後方または定位置に寄ってしまい、最終的に打球に1歩及ばす失点してしまうようなことはやってはいけません。これが、一番悔いが残ります。
勝負をかけて守らなければならない場面においては、「あそこに飛んだら仕方ない」と確率の高い方に勝負をかけて、ベンチ一体(指示という意味)となって割り切った考え方で守ることが重要です。
両極端な例示を出しましたが、守りというのは、基本的に安全サイドに進め、何とか最小失点に抑え込むべきものであるのは間違いありません。反対に勝負をかける場面においては、腹をくくるという表現が適切かはわかりませんが、そのような心境で守るということが大切であるということを今日のテーマとしています。
アトランタ五輪で、キューバが最終回表、同点、無死満塁のケースでバックホームゲッツーを選択せずに、通常のダブルプレーシフトをしいて、物の見事にダブルプレーを取り、最小失点で切り抜け、裏に2点を取ってサヨナラ勝ちしたことを思い出しました。
同じようなケースであれば、私だったらどう判断するのだろうなと今考えながら今日の記事とします。



2012年7月27日金曜日

守備陣形~コンパクトな守り

コンパクトな守りを今の全日本チームに求めています。
「コンパクトって、どういう意味?」と質問が来るかと思いますが、簡単にいうとセンターラインに少しずつ各ポジションを寄せて守っていくことです。
例えば、3塁線、1塁線の打球がくる確率は極めて少ないので、1.3塁手とも其々、遊撃手より、二塁手よりに2-3歩程度寄ったポジショニングを行なう。
外野手においては、後方飛球がくる確率よりもライナー性の前の打球がくる確率が非常に高いため、自チームで守っている位置から思い切って5歩程度は、前に守らせて、センターラインのヒットゾーンを消すという守り方です。
はじめは非常にがら空きのゾーンが増えて不安がりますが、慣れてくるといわゆる割り切り的な感覚が出て非常に守りやすくなります。
野球は、センターラインが一番ヒットになるゾーンですからこのゾーンを少しでも狭めることにより被安打数を減らすことができると考えているからです。
投手にとって、一番ダメージが残るのが、良く言われている俗称「カンチャンヒット」です。外野手が下がって守備したために討ち取った詰まった打球が外野と内野の間に落ちるというものですが、これが相当ショックを残します。これを避けたいというのもあります。
とは言え、この守備陣系を行なうにあたっては、外野の走力及び後方飛球に対する勘の醸成が必要だったり、内野手のバックハンド捕球のレベルアップと肩の強さが要求されてきます。ここまで記載したら、コンパクトの意味を理解してもらえると思います。
この反意語は、ワイドに守るという言い方を私は使っています。安打確率のゾーンを無視したオールマイティーな打球処理を考えて守るというやり方。通常、日本のアマチュア野球界で使われている守り方です。いつも1、3塁手が1、3塁線をケアしている。遊撃手も内野安打になり易い、三遊間をケア、2塁手は、ヒットが一番出易いセンターラインよりも1,2塁間をケアしている、外野は、一番安打がでる前の打球よりも確率の低い頭を超える打球を想定して守備を取っているというイメージでしょうか?
意外とポジショニングって通常守っていると当たり前の感覚になって、思い切って変わったことをするという発想にならないものです。
当然、バッターの特性に応じて守備陣系は変化していきますが、コンパクトに守るを基本に、状況に応じた守備体系を随時とっていくことを検討されてはと思います。



BFAアジア選手権代表チーム合宿

BFAアジア選手権第一次合宿をJR東日本グランド(柏市)で行ないます。候補メンバーは、最終的に7月30日に発表しますので、公表はできませんが、都市対抗で活躍をした選手と大学3年生以下の将来日本の柱となる選手で構成されています。
とは言え、大学の方は、既に先行してプレス発表しましたので、皆さんご承知かと思いますが、今一度、選手の紹介を致します。
投手:大瀬良(九州共立大学)、吉永(早稲田大)、岡(明治大学)
捕手:梅野(福岡工業大学)
一塁手:山川(富士大学)
二塁手:中村(早稲田大学)
遊撃手:野中(国際武道大学)
外野手:高山(明治大学)  の計 8名。
これに社会人選手を42名加えて、計50名で合宿を行なうことになります。
合宿スケジュールは、
8月2日 集合
8月3日 午前 JR東日本と試合 午後 JFE東日本と試合
8月4日 午前 JR東日本と試合 午後 住友金属
8月5日 午前 JR東日本と試合
と試合を中心に行ないます。
注目されている早稲田大学 吉永の登板日は、今のところ8月5日の午前に行なわれるJR東日本との先発を考えています。雨が降らなければという条件ですので、変更になったら御免なさい・・・。
アマチュアの代表チームは、マスコミへの露出度が少なく、選手が可哀想なんですが、多くのファンの方がグランドに足を運んでいただき、勇気付けて貰えることを期待しています。



都市対抗本大会総括

久々のブログアップです。代表選手の選考のため、都市対抗の予選からつい先日エネオスの優勝で終わった本選まで、仕事の合間に視察していましたので、ブログをサボってしまいました。申し訳ございません。沢山の方に訪問戴き、ありがとうございました。
さて、今日は、都市対抗本大会が終わり、7月26日に毎日新聞に掲載された総合成績を元に、自分が見た試合内容も踏まえ、今大会の総括と課題を以下に記載致します。

��.延長戦が1試合とタイブレークになるような試合がなく、ここ5年では、イニング数が過去最小であった。
失点をイニング別に見てみましたが、1,3回、7,8回の失点が多く(データは、1回戦のみ)、後半に投手が踏ん張れない、または継投策が裏目に出るケースが多かったのかと思います。
特に完投数も最小( 31試合中、2試合のみ)であり、殆どが継投に頼るという采配が多く、すっかり分業という形式が根付いていたのかと思います。花野監督率いる日本生命だけが、「エースは1試合投げきらなければならない」という考え方で吉原投手が2完投をあげています。優勝を狙うには、結果的に、良かったのかはわかりませんが・・・。

��.決勝を争った2チームの四死球の少なさ(1試合1.8)は際立っており、失点を防ぐ原動力であったと思います。上位4チームにおいても、その傾向にあります。やはり、「四死球を減らすことが、失点を防ぐ!」という当たり前のことができているチームが勝っているということになります。
海外大会でも同じことが言えますので、来るアジア選手権の合宿でも、引続き、1球目からストライクを取れるように指導をしていきます。

��.打撃においては、1試合1チームあたり7.8本と例年どおり、放っていますが、こと長打率を見ると過去最低の数値となっています。本塁打数は、過去の東京ドームで行なわれた大会と同等ですが、2塁打の数が激減しています。これは、ライナーで二塁手、遊撃手の頭を超えて、外野手の間を抜けていくような打球が少なくなっていることと、反面、打球に勢いがなく、外野手に追いつかれていることが考えられます。
バッティングの技術そのものになりますが、もう少しセンター方向にライナーで打ち返す練習を心掛けさせる必要があるかと思いました。

打撃の低下を課題に以前から挙げていますが、今大会の1チームあたりの1試合平均得点は、3点。4点目を争う攻防と言い換えても良いかと思います。そう考えると3回に1点を取る野球、打者1.5順で1点づつという考え方が成り立ちます。そのようなことを考えると試合を決めるようなビックイニングをつくるような前半の戦いが逆にギャンブルとなりますが、功を奏すのかとも思いました。

8月2日から代表の一次合宿をJR東日本グランドで行ないます。このあたりの解説も選手にきっちっと伝えて、意識の統一を図っていくことにしていきます。



2012年6月13日水曜日

走塁について~盗塁編

盗塁をMLB流で翻訳すると「Stolen base」、文字通り塁を盗むということですが、あらゆる盗むがあるかと思います。
①間(隙間)を盗む。→油断している。
②モーション(投手の癖)を盗む。
③カウントを呼んで、変化球のサインを盗む。
などがあげられるでしょう。
この3つの項目だけみると、盗塁が足が速い人だけのものではないことがお分かりいただけるでしょう。
足が特に速い人は別にして、速いなという選手と普通といわれるような選手のスタートから2塁までの到達の差は、コンマ何秒といわれるぐらいです。距離として、1~2m程度です。
しかし、スタートの反応によっては、この差は、直ぐに縮まります。更に、盗塁は、陸上のゴールの様には行かず、最後にスライディングをしなければなりません。このスライディングにおいては、ベースカバーの野手の動きを見ながら、スライディングの手法を決め、更に実演できなければなりません。ボールがどこに来ているのか、また、それによって、どのようなタッグとなるかを野手の動きで見抜かなければならなりません。
スタートの反応(リアクション)スピード、スライディング技術によっては、走力の差は確実に縮めることができます。
一般的に、2塁への盗塁では、捕手がキャッチしてから2塁に到達するまでのタイムがメジャーでは、2.1秒をきる。投手においては、1stムーブ(セットした状況から投球のために動いた瞬間)から1.3秒以内ならチャンスがないと判断します。両方のタイムが其々に下回ると殆ど盗塁のサインが出なくなります。
余談になりますが、日本投手のクイックモーションは、芸術的です。
盗塁で重要な要素は、
①そこそこの走力
②フライングスタートするぐらいの洞察力と判断力
③カウントで配球を読める力
④もっとも重要なことが、走るという勇気
足が遅い選手も、ノーマークだからこそ、時々盗塁を試みれば、意外と成功する確率は高まります。
逆に、マークが厳しい足が速い選手は、失敗を恐れない勇気が一番重要になるのかもしれません。


2012年6月11日月曜日

バッティング全般(#2)

全アマの委員でもあられます東京大学の平野先生の論文を拝読させて戴きました。論文内容は、2012年に行われた世界大学野球選手権におけるキューバ選手と日本大学代表選手の打撃の比較。
論文要点は、以下のとおり。(かなり要約しています。)
①キューバ選手の方が、スウィングスピードが10%程度速い結果となっている。キューバ選手のホームラン数は、大会を通じて群を抜いている。
②キューバ選手の方が、下半身が基点となった連動したスウィングを行い、重心移動が大きい。
③キューバ選手のスウィングは、アップフライトに振っている。且つ、インパクトを迎える前のバットヘッドの水平時間が長い。つまり。点で捉える日本選手と違い、線で捉えるキューバ選手と言える。
④計算上では、打球を最も飛ばす為には、ボールの中心の2.6cm下を、上方へ10度のアッパースゥイングでインパクトすること。
指導法の違いが、打撃力の差を生み出していると読み取れます。勿論、持っている身体的な能力の差は、キューバ選手と日本選手では大きいことはキューバの試合を沢山観て痛感するところではありますが・・・。
国際トーナメントを終えると総合成績が発表されるが、長打、本塁打では、キューバ、アメリカが二強、その後に中南米のチームが続く結果が続いている。一方、打率では、日本も上位に位置付けられており、アメリカ、キューバと匹敵する成績を上げている。更に、1試合平均の三振の数は、圧倒的に日本選手は少なく、バットに当てる技術はあるということが伺える。しかし、昨今の成績を見る限りでは、長打率の差が、成績の差になっていると言っても過言ではない。シーズン開幕前のWBC(ワールドベースボールクラッシク)では2連覇をなし得ているが、過去のオリンピック、世界大会では優勝したことがない。記憶に新しい北京オリンピックのドリームチームでの惨敗、プロトップ選手派遣でのアテネの銅メダルを見ればお分かりいただけるでしょう。
明確に世界大会における日本チームは、投手力を中心としたディフェンスのチームです。特出したスピードを持つイチローを除く、日本の打者がMLBで受け入れられないのは、長打力が不足しているという評価もあるかと思います。松井選手にしてもしかり、出場機会に恵まれていないとはいえ、日本でプレーした時の3割程度しか本塁打をMLBでは打てていません。
長打が出ないと判断されると外野手はいつもより前に守ります。そうなれば、ランナー2塁の状況で1点が取れなくなってしまいます。外野手を後に守らすことで、安打ゾーンが広がり、打率アップに繋がります。
現在、日本のプロ野球でも打撃が課題となっています。飛ばないボールの影響もあるかと思っていますが、打率、長打(本塁打)とも減少しており、日本打者のホームランバーターは限られた選手となってきています。行き詰る投手戦も、ファンには楽しみではありますが、Baseballの本質は、打撃で得点を奪い合うことからするとホームランを沢山観たいという想いは強いと思います。
平野先生の論文には、そのエキスが沢山含まれており、全日本の打撃コーチ時代からずっと世界に通用する打撃を追い求め、この打撃フォームを研究、指導してきていますが、中々浸透しないというのが本音。論文内に「王選手が真剣で麦わらを切っていたイメージが強すぎるのではないか」と記載あったが、その指導がまだ根付いていると思います。
ダウンスィングとか両腕の使い方を教える前にからだを使い切ったスウィングを幼少期から指導することが大事で、バットの重みを感じながらバットヘッドをボールにぶつけることを体得して欲しいと思っています。}}


2012年6月8日金曜日

都市対抗予選での出来事(守備編)

都市対抗予選の出来事Part3。今日は、守りについて記載します。
両チーム、エースを立てるという大事な試合。両投手とも素晴らしい立ち上がりを見せ、投手戦の様相。3回表、無死で四球を出したランナーをバントで送る作戦をとった。捕球した捕手がランナーと交錯する角度からの送球となり、暴投で無死2,3塁の大ピンチを招いてしまった。ここで守備側は、1点もやらないバックホーム体制の守備陣系を引いた。迎えるバッターは、2番打者の左、投げる投手は、最近台頭してきた若手の投手。1点もやれないというベンチの期待に力が入ってしまい、粘られたあげく、四球を与え、無死満塁とピンチを広げてしまう展開に・・。
満塁となった為、前半でもあるし、二遊間はダブルプレーを狙うシフトを引くかと予想したが、またもや先取点をやりたくないという想いからか引続きバックホーム体制の陣形をとった。迎える打者は、好打を誇るポイントゲッターの3番打者、ツーストライクまで追い込んだがセンター前に運ばれ、先ずは、先取点。1点後の無死満塁も、更にバックホーム体制を引き続け、今度は4番打者に投手横をゴロでセンター前に抜かれ、2点を追加され、結果的にビックイニングとなり、試合の主導権を握られてしまった。
ここでのポイントは、3つ。
一つ目は、2番打者を迎えた無死2,3塁の場面で、前進守備を引いたこと。左打者でもあるし、レフト方向に打たせる投球をし、且つ通常シフト、すなわち無死2塁の気持ちで守っていれば、1点は取られるが、1死2塁で3番打者を迎えられたはず。そうなれば、3番打者にも真っ向勝負ではなく、ボール球を投げられる余裕ある勝負を迎えられたと思う。
二つ目は、無死満塁で3番打者を迎えた場面で、引続きバックホームを選択したこと。2番打者を迎えたケースでは、2番打者の打力を勘案して、内野ゴロを打たせることが出来るというベンチ采配の意図があったと思うが、3番打者の打球速度を見ている限り、ゴロでも前進している内野の間を抜けて行くように観れた。
セオリーでは、3回の早いイニングで、1点を死守するのではなく、「1点は仕方ない」、「ビックイニングを作らない」という考え方であろう。
結果的にセンター前安打になったかもしれないが、「1点もやれない」と「1点は仕方ない」では、投手への精神的な負担、つまり次打者に向かう気持ちは、全く違うものである。
三つ目は、おそらく内野手に一人ぐらい、セオリーに反する守備体系を引いたことに疑問を抱えて守っていた選手がいたはずである。その選手が納得行かないまま、守っていたことに問題があると思う。逆に一人も疑問を抱えてなかったとしたら、それはそれで大変な問題である。
この守備体系を引くときにマウンドに集まって、確認をするようなことがなかった。もし、迷って守っていたなら、良い結果は生まれないものである。本来であれば、ベンチからコーチがマウンドへ行き、「ここはセオリーに反して、1点もやらない守備体系を取る。」としっかり伝えるべきである。とは言え、この場面は、1点に拘る場面ではないというのが正解であり、前進守備体系でなく、ダブルプレーを狙わないと行けないと言い切れる。
守備を行う場合、ベンチの指示、捕手の指示に納得して、皆がその意図をわかって守備することが非常に重要であり、日常からこの類の議論を行い、コミュニケーションを図っておくことが大切となる。
セオリーは、確率が高いからセオリーであり、セオリーを無視することは、リスクを背負うことであることを指導者は、心得ていなければならない。
昔昔、プレーヤーだった頃、初回に無死満塁のチャンスに打席を迎え、敬遠された。次打者がダブルプレーを取られ、一点しか入らず、結果的に負けてしまったことを思い出した。その時の監督が、今競技力向上委員の中にいらっしゃる。破天荒な人ですが・・・。


2012年5月23日水曜日

投手の育成(#4)

練習から連想するのは、グランドの上でやる厳しい練習ですが、実際に技術的な気づきの瞬間は、意外と自分で練習しているときの方が多いと思います。私は、打者でしたが、「こうやって打つんだ」とひらめいた瞬間は、試合前のペッパーをやっている時でした。当然ながら、日頃から一生懸命考えて取組んでいたからこそ、この瞬間を迎えたと思ってはいます。
さて、投手の練習は、ブルペンでの投球練習と勘違いしている投手が沢山います。確かに、マウンドの傾斜で投げる練習は、必要ですが、高々100球程度(100球の内訳もストレートが60%-70%で、変化球がその他)ボールを投げたからといって体得するまでには至らないと思います。体得するとは、「コツを掴む」ということであり、反復の回数に比例するものです。
では、どのような練習がお勧めか、以下に記載します。
��.コントロールを良くするためには、フリーバッティングで投げることが一番かと思います。若い選手は、ブルペンでは良くても打者が立つと変わってしまう選手が多く居ます。これは、打者が立ったときの感覚の欠如と対打者との練習が少ないからと考えます。したがって、その機会を沢山つくることが重要で、一番もってこいの練習がフリーバッティングへの登板だからです。7割ぐらいの力でストライクを必ず投げることを目的として・・・。投げながら、試合における打者が入った感覚は、自然と覚えてくるので、コントロールに対する不安は、少なからず軽減されます。また、フリーバッティングで打者に投球することで、どのようにやれば打者がタイミングが外れるのかを実戦的に体感もできます。フリーバッティングからブルペン投球へのセット練習をお勧めします。
��.次にキャッチボール後の10m程度での遊び感覚での二人組みでの変化球の投げあいです(片方は捕手役)。色々な握り方で変化球を投げて見て、変化の度合いをみます。ボールの握りは、個人の指の長さとか手首の硬さなど個人差があり、教科書に載っているような握り方が適当でない場合もあります。この練習で試してみた握り方をブルペンでの投球練習に入れて見ると投球練習に目的が出来て、楽しみが出て、集中力も増します。
��.フォームを固めるためには、同じフォームで何度もできるようにまさにからだで覚える必要がありますから、投げるしかありません。
そのためには、10m-15m程度離れたネットにターゲットをつくって、何度も同じ動作を繰り返し行なうことが一番の方法と思います。
この練習は、根気が入りますが、「ああでもない」「こうでもない」と自分で一番考えながら課題を解決していく一番の練習です。
この練習を真面目にやれているかを私は、監督の立場でよく見ています(勿論、声はかけません)。
投手は、マウンドでは、一人です。1球1球自分で修正、修復して行かなければならないポジションです。一人で練習する時にどのような態度、姿勢で取組むかが、マウンドでの結果に現れます。そのような意味では、指導者がいる時は、しっかりやるが、影ではサボっているという選手は、エースにはなれません。逆に、一人でしっかり練習ができる選手が結果的には、頼りになる選手ということになります。
投手は、ブルペンで投げて、走って終わりの風潮がありますが、試合の90%でウエイトを占める投手の練習は、野手と比較して比べものにならいぐらい本来は、辛い練習でなければならないと思っています。
無謀な練習は、不要ですが、唯一個人種目である投手の練習については、しっかりと指導者は見てあげる必要があります。


2012年5月22日火曜日

投手の育成(#3)

投手の資質って、そもそもなんだろうって考え始めると、
��.スピードボールを投げれること
��.変化球を投げれること
��.コントロール良くなげれること
��.体力(強さ、柔らかさ)を保有すること
��.タフな精神力を持っていること
などが挙げられるかと思います。
少年野球などで、投手を選択する場合に着目した方が良いのは、4の体力で、特に肩関節の柔らかさとからだのバランスを見分けると良いでしょう。
体のバランスとは、自分の体を上手く使いこなしている選手、例えば反復横とびなどをやらせると一目瞭然なんですが、横に動く動作から直ぐに切り返して逆方向に動く瞬間のからだの使い方などを見るとわかります。からだがふられないという言葉がぴったりかと思いますが・・・。
一方、肩関節の柔らかさとは、ボールを投げている動作で直ぐにわかりますから、これは説明することも要らないでしょう。
なぜ、体力面を重視するかというと、投手の絶対条件は、スピードが速いことではないからです。
投手の本来の目的は、相手に点をやらないこと、仮に点を取られても、味方の得点を超えられないこと、つまり勝つことが目的であるからです。ということは、相手打者を打ち取ることが大切であり、打ち取る方法を持っているかということがポイントとなります。打者が一番に嫌う投手のタイプは、タイミングが合わない投手です。
どうやったら、打者のタイミングを外すことができるかが鍵となります。
タイミングを外すために、早いボールがあったり、変化球があったりするわけですが、そもそも投球フォーム自体がタイミングが取り辛い投手を見つけ、育てる方が勝てる要素が高くなります。
ソフトバンクからジャイアンツに移籍した杉内投手は、この代表的な選手であると思っています。
彼の特徴は、腕の振りは、打者からは、130KM程度のボールが来るように身受けられ、ホームプレートで140KM近いボールが来るという、他の投手にない幻惑した投球フォームを持ち合わせています。打者からすると軽く投げられていると勘違いし、予想を超える球威があるのですから手が出なくなることはお分かりいただけるでしょう。
これができるのも、杉内選手の肩関節の柔らかさと強靭な足腰があるからです。肩関節の柔らかさがリリースのタイミングを遅らせ、打者のタイミングをすこしづづ狂わせることができる武器となっています。
また、彼は、力んでスピードボールを投げると150KM近い球を投げることはできますが、150KMの速球を投げようとして、150KMの速球を投げると打者が予想できていつか打たれてしまうことを知っています。
肩関節の柔らかい選手は、宝です。指導者の眼力でこのような選手を是非、投手に起用してみて下さい。
体力がつけば、必ずスピードは上がります。場数を踏めば、メンタルは強くなります。選手の資質を見抜いて、良い投手を育てて下さい。
初めてキャッチボールをやってって怖いと思った選手が杉内投手でした。


投手の育成(#2)

最近「ドジャースの戦法(1957年7月20日初刊):内村祐之氏訳」を再読しています。この本は、日本の近代野球の根幹を築き上げた本と言っても過言ではないと思います。読売巨人軍の野球もこの本がベースとなっています。今の指導書の中に、これだけしっかりした指導書は見当りません。技術書でもあり、指導者の心得が書かれた素晴らしい本だと思います。この本の中で投手についての数多くの基本事項が書かれていますが、特に印象にある記述(コントロールの悪い理由の項の中の一部)を原文のまま次に掲載します。

'最後に、「勇気」について述べたい。勇気とは相対的なものである。マウンド上でおどおどしている若者は、たぶんしばらく野球から遠ざかっていたのだろう。それでグランドになじめないのだろう。こういう際には、肉体と精神とを周囲の環境に合わせるようにしなければならないのだが、コーチや教師のあるものは、これを恐怖や臆病のためと思いこむのである。この投手板になじめないということも、コントロールを悪くする原因となる。しかしこれとても、彼にもう少し機会を与えるならば、改善されることなのである。
私は、シーズン中にたくさんのゲームを見るが、ゲームの前半、見るからに体力にあふれている投手が、これから大いにやりだそうとする矢先、コーチに交代を命ぜられるのを見るとがっかりする。
コーチや監督のこうした性急さが、投手の自信を失わせることもあるのである。
また監督やコーチが、向こう見ずと勇気とを取り違えることもある。強打者相手に速球一点ばりでいく投手を評して、「腹のすわったやつだ」といい、強打者に対して慎重な投手を「臆病だ」と批評する。しかし、ほんとうに臆病な選手などはあまりいないもである。また、生来、人なみはずれて攻撃的な若者もいることだろう。コーチの方にお願いする。内気そうに見える投手に別な機会を与えてほしい。彼はおそらく予想外の勇気を示すかもしれないのだ。'

原文を忠実に訳されていると思われ、少し理解しづらいかもしれませんが、なんとなくニュアンスはわかりますよね。
昔のドジャースの方が書かれた本ですが、投手がころころと変わる今の大リーグのシステムからは想像もつかないような内容です。
「勇気の考え方」「若い選手の機会の大事さ」という指導者の心構えが書かれています。
やはり、育成は、機会の創出なんですよね。


2012年5月20日日曜日

投手の育成(#1)

投手という生き物は、他の野手と違い、扱いがかなり難しいと思います。アマチュア野球では、9割が投手の力によって試合が決まると言われています。
したがって、いい意味でも、悪い意味でも自尊心が強い選手が投手になりたがる傾向にあります。その中でも、特にエース投手になるような選手は、その顕著な例であり、その扱いについては、別格に位置づけて接しないとプライドを傷つけられ、直ぐすねてしまいかねません。高校野球でいう1番と10番、11番の投手とは、まったく違うのだということです。
逆にそれぐらいの気持ちでエースがいてくれないと頼りがいもありません。では、どう扱えばいいのかということですが、別に過保護にしろと言っているわけではありません。過保護にするとどこまでもつけ上がっていくのが、投手であり、チーム内の収拾がつかなくなってしまいます。
特別に扱うというのは、「練習試合でエースが投げるゲームは、負けてはならない」「エースだから10本走るところを15本」とか少し他の選手と君は違うんだよと威厳を持たせてあげることです。
要は、勝ち負けの責任をしっかり自覚させることが重要となります。
たったこれだけのことで、エースは頑張ることができます。
また、エースに自覚が芽生えると野手もエースの頑張りに応えようとして相乗効果でぐんぐん力が付いてきます。
試合の9割は投手と言われていますが、練習を含め、日常からチームのエースの存在はチームづくりの大きなウエイトを占めます。
指導者は、そういった意味で絶えずエースとのコミュニケーションを図り、お前に全幅の信頼をおいているよと伝えてあげることが重要となります。
私も高校までは、内野手と投手を併用していました。大学に入り、投手をやれと言われましたが、走るのが嫌いで野手を選びました。こういった選手は、投手に向いてないんですよね・・・。


2012年5月14日月曜日

打順について(#3)

元中日監督の落合監督は、「左打者の打撃コーチに右打者の指導は、難しい」「1,2番打者を打っていた打撃コーチに4番打者の育成は難しい」ということを話されていると共通の友人を介してお聞きしました。
私も同意見で、レベルが高くなればなるほど、この二つの指摘について傾向が高いと思っています。
日本人の左打者は特に一塁方向に重心を移動しながら打つ打者が多く、軸で回転しながら打つ選手が少ないことは既に先にブログ内でコメントしておりますが、この感覚は、右打者には絶対にあり得えず、右打者からすると全く異質なものです。逆に言えば、左打者に右打者の感覚はわかり辛いと思います。特に逆方向に打つ打ち方については、特に顕著で全くからだの使い方が異なります。
しかし、右打者の打撃コーチは、左の打撃コーチが右打者を理解できないのと違い、左打者の気持ちを少し理解している人が多いと思います。子供の頃から、左打者が右打者に転向する人が少ないのに比べ、右打者が左打者に転向するのは非常に多く、また成功事例が多い。簡単に転向ができるとも捉えられると考えても良いかと思います。
そう意味で案外、誰でも一度は、左打ちへの挑戦を右打者は行なっていることも大きな要因かと思います。
題目からかけ離れてしまいましたが、落合さんコメントの二つ目が今日の本題です。
現役時代、私もあらゆるチームで色々な打順を打ちました。夫々に打順の役目があることを知りましたし、逆に打順によって試合への取組み方が変わってきます。
個人的には、この打順の中でも、4番打者だけは、他のどの打順とも少し違うと強く思っています。4番打者が一番好打者とは限らないとは思いますが、やはりチームの精神的な支柱であり、相手チームから最も警戒されるのも事実です。
上位打者がチャンスを作り、4番打者が1発で試合の流れを変える、または決めるという醍醐味は、この打順しかないからです。
私が4番打者に期待することは、結果よりも、いつも同じ精神状態で相手に立ち向かっていくことです。三振を怖がって当てにいくような打撃をすると相手チームからチームの資質を問われることになり、舐められてしまいます。前打席まで3三振でも、最後の打席で本塁打を打って試合を決めるのが4番の役割です。勿論、全打席安打を打ってもらうに越したことはないのですが・・・。
私は、どちらかというと「こいつが4番」と決めたら、かなり我慢して起用し続けます。これは、4番を努めた人間しかわからない重責があることとチームの顔となる人間は、そうそう居ないと思っているからです。
良くクリーンアップを頻繁に入れ替えるチームがありますが、結局、芯がないので、長い目で見たときでは強いチームが出来上がらないと思っています。
野球は、打っても、打てなくても批判を受けるスポーツです。結果に囚われると自分のパフォーマンスが出来なくなってきます。4番打者は、チームの顔と思い、批判を一心に受ける覚悟で試合に臨み、どんな場面でも自分のスゥイングをするという強い信念で打席に立つべきです。
4番を打っている選手には、このような気概を持ってプライドを持って試合に臨んで欲しいものです。
4番打者を降格させるときは、4番に不適切と判断したのだということを指導者は理解し、4番という打順が特別な打順であることを知って欲しいと思います。


2012年5月2日水曜日

打順について

先日、長崎大学在学中に我が長崎文教シニアのコーチとして在籍してくれた、現在、南大隈高校の酒匂監督から質問を受けました。部員が9人しかいないらしく(1年生がいない)打順について悩んでいるが、どうすれば良いかという内容です。
打順は、非常に難しいですね。
一般論では語れますが、やはりチーム事情をしっかり把握していないと軽んじることはできないものです。
最近、特に打順で私が考えていることを記載します。
特に重要視しているのは、2番バッターです。
求める2番バッター像は、できれば左打者ですが(右打者でも構いません)、①長打が打てること②足が速いこと③ボールに当てるのが上手い選手④犠牲の精神があること。
これは3番打者ではないかとご指摘を受けるかもしれませんが、全くそのイメージで、2番に据え置きたい。
通常、1,2番を入れ替えることは、よくありますが、調子に応じて2,3番を入れ替えたいというのが理想です。
��番打者には、犠打を求めるのではなく、安打でチャンスを広げてクリーンアップに繋ぐことを求めたいという想いです。
大半のチームは、3番打者がチームで一番の好打者、4番打者がその次にあり、1番打者は3番打者に続く打者で、尚且つ足が早いこと。
��番打者は、バント及び小技ができ、足が速い選手というのが定番です。
��番打者で1アウトを簡単に謙譲したくないというのが、私の想いであり、大半のケースは打たせることが多い采配をとっていると自己分析しています。
逆に1番打者は、ボールに食らいついていくようなしつこいタイプを置きたいところです。以前は、私も1番打者には、思い切りの良いタイプの選手を起用することが多かったのですが、最近は、この傾向にあります。
��番打者の出塁がカギとなるのは、確かなので1番打者には、出塁率が高い打者、打率がよく、選球眼が良い選手、特に足には拘らないいうイメージでしょうか。
次回は、もう少し打順について、掘り下げて記載をします。
纏まらないものとなりましたが、このイメージで今年のアジア選手権も組み立ててみたいと考えています。




2012年4月26日木曜日

BASEBALL SPIRIT

民放でのプロ野球の放映機会が減少しています。ま、野球は球場に足を運んで観るものという視点に立てば、別にどうでもいいのでしょううが・・・。
昔は父親の権威が強く、今で言うゴールデンタイムは、殆ど長嶋、王を半強制的に家族で見ていたものです。「長嶋が打った」とか、「王のホームランが凄かった」などある意味、コミュニティーの中での日常的な会話となっていました。そのような時代であれば、自然の流れで皆が野球を愛し、後継となる子供たちも野球をするようになります。
今の状況と大きく違いがあることは説明する必要もないでしょう。
私は今でも日本文化の道徳心を継承するには、スポーツしかないと信じています。ルールの範囲の中で、敵(相手)と向かい合って戦うという環境は、今の日本の中では作り得ないからです。諸外国は、兵役という制度の元に多くの忠誠心、愛国心を育くむ機会を強制的につくっています。決して、兵役制度が良いとは思いませんが、決定的な違いであることに間違いないでしょう。
話は、変わりますが、ダルビッシュの大リーグ挑戦がスタートしていますが、彼が渡米する前に「日本には、対戦を楽しみにした相手はいなくなった」みたいな内容のコメントをしたと記憶しています。
この真意は、おそらく日本プレーヤーに対戦したいと思う人がいないのではなく、野球そのものの在り方に疑問を持っていたのではないかと勝手に解釈しています。
投手という人種は、大方の人が1対1の勝負に生きがいを見出している人が多いようです。対戦相手を討ち取るために自分なりに戦略を立てていくわけです。が、どちらかというと日本のケースでは、チームの戦略が先にたって、個の勝負はその次ということが多いようです。
リスク回避を優先し、戦術的な、例えばボールゾーンを有効に使った配球などが好まれ、自分の持ち球で1球目から勝負みたいな風潮は、敬遠されるケースが多いです。
別に配球論を否定しているわけではないのですが、野球のルーツから考えると反しているのかなと最近考える次第。
BASEBALLも進化しているので、特に前に立ち帰れと苦言しているのではなく、ただ原点を理解して試合にのぞむことが大切かなと考えます。大リーグの捕手が1球目からボールソーンに構えることは敬遠の機会以外は滅多にありません。ご覧下さい。


2012年4月16日月曜日

チームづくり

日本代表チームを編成することは、意外と簡単です。勿論それなりの苦労はあるのですが・・。「なぜ?」それは、ある範囲の中でこれだっという選手、ニーズのある選手をピックアップし、戦略の元に戦うだけで、育成という観念があまりないからです。
当然ながら、方針、戦略を浸透させるためにチームとしての練習は行いますが・・・。(逆にこの部分に力を注ぎます。)
一方、日頃からチームをずっと預っているような少年野球、高校野球の監督さんは、このような分けにはいきません。
育成こそチームの活力、勝利になるわけです。
チームづくりにおける重要事項は、方針と前にも記述をしましたが、、チームを作っていくにあたってもう一つ、チームの行動規範、ルールをしっかりと決めておく必要があります。
例えば、「時間厳守」とか、「挨拶の励行」とかのような類ですね。
殆どの皆さんが、これを聞いて「当たり前、そんなの当然のごとく決めているさ」と思われたことでしょう。
但し、チームルールとして意外と明文化(文書化)されているチームは少ないものです。
アメリカ仁野球留学しましたが、どのチームにもロッカー等にこのチームルールが貼り出されています。このチームルールがかなり細かく、学校の校則のように「頭髪は耳にかからないようにスポーツ刈りにしろ」とか、「時間厳守で集合時間に遅れた者は、自費で現地に来ること」とか・・・。
要は、指導者の意図をしっかり伝えるということに重きを置いているということでしょうか?
日本の場合は、案外指導者が思いついたタイミングでこの類の決め事をするケースがあります。
浸透させるとは、理解させることですから振り返る場面の提供も必要となります。
チームづくり=指導者の考えの浸透ですから是非チームルールを策定され、明文化することをお勧めします。


アジア選手権

新聞報道されていますが、アジア選手権の代表監督を拝命しました。4月12日に今年度の各層の代表監督が一同に介して、発表となりましたが、U15の鹿取さん(元読売)、女子野球の新谷さん(元西武)、日大三高の小倉さん、法政大学の金光さんと蒼々たるメンバーであったにも関わらず、今一つ盛り上がらず。
WBC(ワールドベースボールクラッシク)と違い、アマチュアが出場する代表チームに対するマスコミの取りあげ方は、残念ながらこの程度なんでしょうね。
今まで少年野球から大人まで一同に介して、このような発表をすることは無かったので、野球界統一みたいなイメージを期待していたのですが、単なる代表監督の紹介に留まってしまいました。非常に残念です。
いずれにしても、また日本代表監督を仰せつかりましたので、結果を残すために全力で努めて行きますので、よろしくお願い致します。
選手は、これからの選考となりますが、ドラフトで抜けた選手に代わる新戦力の台頭を期待しています。
また、このところ世界大会で通用していない打撃の強化を念頭においてチーム作りをしていきたいと思います。
10月に第2回目の合宿をする際は、過去オリンピック、世界大会を経験したプロで活躍されている方の指導を入れることも考えています。
頑張りますので、ご声援よろしくお願い致します。


2012年4月11日水曜日

バッティング全般

プロ・アマ含めて投高打低の風潮が際立っていると感じています。特にプロにおいては、最近の統一球使用の影響もあるのか確実に長打が激減しています。社会人においても、都市対抗の打率は、金属バットから木製バットに変わった以降は、年々平均打率が下降し、2割台前半と寂しい限りです。
あくまで私見ですが、打撃に対する考え方が変わってきているのかと思います。
ON(王、長嶋)全盛期には、やはり子供は、ホームランが最大の魅力とし、皆ホームランを打つことに憧れを持っていました。
現在では、イチロー選手に代表されるように安打メーカーが日本の中ではクローズアップされているようです。
特に右投げ左打ちの選手が多くなり、幼少の時から足が速ければ、左打ちに変えるというケースが増えているように感じます。
反対方向(レフト方向)にバットコントロールして、三遊間の深いところに打球を飛ばし、足で内野安打を稼ぐ。
確かに、イチロー選手を見る限り、左打者の一塁までの有利というのは否めないと思います。しかし、全員がイチロー選手みたいであれば、それはそれで、得点力はアップに繋がらないと思います。
��死1塁からでもヒット1本で得点ができるというのが、俗に言われる9回2死からの逆転劇という野球の醍醐味ではないでしょうか?
小学生の頃、単に足が速いと言っても、中学、高校と進んでいくうちに意外にも走力が並レベルになっているなんてことが多々あります。
別に「左打者に変えるな!」と言っているわけではありません。
「しっかり振り切る力をつけ、振り切れるフォームを身につけよ」ということです。レベルが上がれば、内野安打の確率は確実に減少します。
出塁することも大事ですが、ランナーを帰すことができるかがポイントとなります。強い打球を打てることが、安打に近づく第1歩。
幼少の頃は、センターバックスクリーンめがけて、体全体を使って、渾身のスウィングを心がけてもらいたいものです。
体を使って振り切るということは、大人になってからでは、中々身につくものではありません。小さい時期から意識を持たせることが重要です。
少年野球の指導者の皆様、野球界の面白みづくりのためにも、打撃の向上を今一度考えてみて下さい。



2012年4月10日火曜日

指導の留意点~叱る

練習、試合において指導者が選手を叱るケースは多くあるかと思います。時には、チームに活をいれるため全員に向かって叱るケース、技術的事項をわからせるべく叱るケースもあるでしょう。
叱るという行為そのものは、特に悪ではないのですが、忘れてならないキーワードは、信頼だと思います。
信頼関係の構築ができていないと指導者の心(上達して欲しい)は選手に伝わりません。
したがって、日常からの信頼関係の構築があってこそ、初めて叱るという行為が効果をもたらすと言っても良いでしょう。
選手は、監督という響きだけで既に一目おいており、また距離を図ろうとします。できる限り、日頃からコミュニケーションを図ることこそが、この距離を縮めることに繋がるのではと思います。
叱る目的は、上述していますが、叱り方と叱るタイミングについては、指導者の腕の見せどころということになります。
叱る際には、
①プライドを持っているなどのパーソナリティーを見極める
②個別に叱るのか、全員に聞かせるかなどの状況
③今叱るべきか、後で叱るべきかのタイミング
をしっかりと冷静に判断して実行するべきだと考えます。
叱るときは、概ね感情が高ぶっています。したがって、つい余計なことまで話題に持ち出してしまうものです。
その打開策として、叱るときには、選手に先ず言い訳させてみることから始めると少し間が取れて冷静に判断できるのではないかと思います。「言い訳するな」と言いたくなりますが、先ずは冷静に。
そうは言いながら、中々冷静にはなれないものですがね・・・。


2012年4月6日金曜日

指導の留意点~手本

前回、ボールを投げる(ボールを放す)タイミングの重要性につき、記載しましたが、技術の指導を行なう上で、重要なポイントを記載します。
良く指導者が自分で見本となり、投げる動作を行ない、選手に見せる指導ケースがありますが、良く監督のバッティングフォームに選手が似てくることがあるように、選手は映像で指導を捉えることが多いのです。従って、見本を見せる指導者のフォームが間違っていれば、当然ながら誤って映像を捉え、実践しようと選手は努力します。若い内は、見せる動きができていても、年を重ねていく上で次第に指導者のイメージと実際の動きが違うことが多くなります。
実際、私自身も指導で一番気をつけるポイントとしています。
指導者も実際に見せる指導をするのであれば、自分のフォームをチェックし、練習しておく必要があります。
もし、指導者自身が上手く表現できないとなれば、いいフォームの選手の事例(自チームの選手またはプロ野球などの映像)を紹介しながら指導を行うことをお勧めします。
手本が手本になっていないのが一番まずい、私も気をつけて行きます。


2012年4月4日水曜日

H24年度全アマ活動

今年度の全アマの主な活動は、以下のとおり。
 第6回 FISU世界大学選手権
 第15回 Under15世界選手権
 第25回 Under18世界選手権
 第26回 BAFアジア選手権
 世界女子野球

各大会のスタッフ発表は、4月12日一同に介して発表、記者会見という予定のようです。
今までは、各連盟ごとのJAPANユニフォームデザインでありましたが、次年度からはプロからアマまで統一ユニフォームを着ることも決定しているようです。
組織の中味はともかく、今回の発表のセレモニー、ユニフォームの統一については、アマ球界、日本球界の統一化に向けての一歩になるのではと期待をしております。
第26回BAFアジア選手権は、社会人と大学生の混成チームで代表チームを編成することが決定しており、東京地区(8月開催)、関西地区(10月開催)での合宿も検討が進められています。但し、11月後半開催であるため、コンディショニングは、シーズンオフに近く、非常に難しくなるのでは・・・。
また、ドラフト後の大会となるため、大学4年生の選出は、非常に難しく、おそらく大学3年生からの選考となるのではと話し合いが進められています。