2014年7月29日火曜日

都市対抗 決勝戦 直前予想

都市対抗いよいよ最終日となりました。
JX-ENEOSの3連覇を止めた西濃運輸と実力が開花し始めている富士重工業と決勝戦。
お互いに久々の決勝を迎えることになり、選手の気持ちも昂ぶっていることでしょう。

さて、準決勝の直前予想では明確に記載をしませんでしたが、この準決勝は点差が開く可能性が大だなと思っていました。
JX-ENEOSは不安である大城の次の柱投手の不在、今大会前から自慢のNTT東日本の打線が本調子でなかった。
対して、西濃運輸、富士重工業は都市対抗の試合を行う度に攻守のバランスが上がって来ていたことが根拠です。

とは言え、残念ながらJX-ENEOSは3連覇を逃しましたが、安定的な力を数年発揮していることからも日頃の練習がいかに良い練習をしているかが覗いしれます。
また、NTT東日本は名将 垣野監督からバトンを受けた飯塚監督が今までと少し違ったカラーを出して大会を盛り上げたことは次大会への期待を膨らませました
両チームの健闘を讃えたいと思います。

さて、決勝予想ですが、おそらく、西濃運輸が佐伯、富士重工は猿川(日立製作所補強)の先発が予想されます。
投手力は、コマ数で富士重工有利のように見えますが、西濃運輸の佐伯、佐竹(トヨタ自動車補強)の両ベテランのキャリアは数不足を補うには十分すぎる力があります。
打線の力とそれから状態も五分五分。

試合の鍵は、富士重工は、クリーンアップの出来、西濃運輸は1,2番の出塁かと思っています。
また、西濃運輸は、エース佐伯が5回まで持ちこたえること、一方、富士重工は猿川が都市対抗の決勝戦を意識せず、新人らしく攻めの投球ができるかがポイントとなってきます。
当たり前の話ですが、先発の出来次第と言える決勝戦になるでしょう!

話は変わりますが、月曜日にアジア大会の韓国代表チーム24名の発表が行われました
WBCでも活躍したキムガンヒョン、アンジンマン、韓国球界の主砲 パクピョンホなどが
選出されるなど文字どおりのドリームチーム構成となっています。

決勝戦には、我が侍JAPAN社会人代表の選手である主砲 富士重工 林、エース格の西濃運輸 佐竹(トヨタ自動車補強)の2名が双方のチームに分かれて対戦します。
終盤には両者の対戦も見られるでしょう。非常に興味があります。

さ、泣いても笑っても今年の都市対抗も最終日、悔いの無い戦いを期待しています。

2014年7月28日月曜日

都市対抗 準決勝 直前展望

大盛り上がりを見せている都市対抗もいよいよ今日 準決勝、明日 決勝の3試合を残すだけとなりました。
今年は精力的にJABA大会、都市対抗予選を視察して回った成果か、ほぼ4強は、自分の中では予想的中。

その中でもNTT東日本だけは、春先の調子を見た限り、予想を反する健闘ぶりです。いつから投手力のチームに変身したのか・・・。
とは言え、ここからは投手も疲れてくるため、NTT東日本が優勝するためには、打線の力が不可欠となります。打者陣の活躍が注目ですね。

王者JX-ENEOSの今大会の戦いぶりは見事としか言いようがないですね
1チャンスの生かし方、選手の集中力は他のチームも見習うべきところが多いと思います。野球は、9回トータルの勝負であるという基本的な考え方がチームにしっかりと浸透しているような気がします。
この1点、次の1点の意味を理解しているということでしょうか・・・。
ただ、若干、本来打たなければならない主軸に当たりが出ていないのが気がかり、これからの試合では、主軸の活躍が不可欠となりますので、期待したいところです。

前号でも書きましたが、今年の西濃運輸は今までのチームカラーを完全に払拭しています。
今年に限ってという前提となりますが、本当に強いチームが出来あがってます。
林監督も「試合をしていて楽しい」とコメントされているように全員が試合にかかわっているという雰囲気がベンチに漂っています。
但し、新人を含む未知数の選手が大活躍しているので、これからの2試合でその未知数の選手が優勝を意識しないで、今までどおり戦えるかが鍵となるでしょう。
勢いはこの4チームの中でダントツだと思います。
今日のJX-ENEOS戦は、胸を借りるつもりで戦って欲しいですね。

ダークホースの富士重工は、予選までは、誰がエースか分かり辛い投手起用をしていました。ここに来て、新人の小野、補強選手の猿川(日立)の粋の良い投手が完全に柱と化しましたので、投手力は優勝チームとなってもおかしくない戦力が整いました。
攻撃陣においては、元々ポテンシャルの高い選手が多いチームですが、まだ繋がっているという雰囲気はありません。ランナーを前に前に進めていくというようなバッティングをやり始めると打線爆発というようなこともあるやもしれません。

さあ、プレーボールまで間もなく。
今日の2戦はそれぞれに特徴があるチーム同士の対戦で面白い戦いとなりそうです。

2014年7月24日木曜日

高校野球へのタイブレークシステム その2

高校野球タイブレーク導入についての第2弾。
タイブレークのシステム内容は、前号でお分かりいただけたかと思います。
今日は個人的な感想を!

侍JAPANプロジェクトが昨年から開始され、全世代のJAPANチームが同じような方針で強化を図っていくということを目標に掲げています。
侍JAPANは世界で勝つことが使命であり、世界に日本の野球の素晴らしさを伝えることが付随した目標となります。
ということは、世界大会のルールに則した形で日常より試合を行っていることがこの目標を達成するには一番の早道であることは誰もがお分かりでしょう。
社会人、大学では、いち早くこの考え方で国内ルールを変更し、延長数回(大会ごとに回数は規定)を行った後、それでも試合が決しない場合はタイブレークを行うことを全国大会レベルでは導入しております。
厳密に言えば、社会人は世界大会導入前よりタイブレークシステムを導入しているのですが。
アマの世界では、世界ルールに則る形で進んでいると言えるでしょう。
現在の世界大会のカテゴリーは、
トップチーム(WBCやアジア競技大会などにプロ、社会人、大学選手が出場)
アンダー21(プロ、社会人、大学選手が出場)※今年から新設
ユニバーシアード(大学選手が対象)
アンダー18(高校生が出場)
アンダー15(中学生が出場)
アンダー12(小、中学生が出
場)
となっています。

世界大会のルールはカテゴリーに係らず(ジュニアの場合は、試合イニングの違いがある)統一であり、9回で勝敗が決しない場合は、即延長なしでタイブレークとなっています。

このカテゴリー分けの中で国内においてタイブレークが導入されていないのは、(プロを除く)U18の高校野球だけとなっています。
他のカテゴリーでは、導入時のいきさつは別として一応世界大会を意識した形式となっています。

したがって、この流れで行くと高校野球もその方向で進むのは決しておかしな方向ではなく、寧ろ自然な流れであると言えるのでしょう。

大会ルールが延長戦か、タイブレークかの違いによって、戦術は大きく変わって行きます。
例えば、延長戦のケースは、9回の攻防で、10回は引き続きの打順を想定し、回って来ない打順にリリーフ投手をおいたり、代打、代走を出したりします。
しかし、タイブレークでは好きな打順から打ち始めることもあり、クリーンアップには代打や代走を出し辛いということが生まれます
特に終盤の攻めでクリーンアップなどへの勝負の代走を送る場合に躊躇することもしばしばあります。


逆にタイブレークでは、5番以降の打線が力不足と総合力で劣っていても、好きな打順から始められるため、タイブレーク1回で決着をつけることが可能となるなど、何とかタイブレークまで漕ぎ着ければ力が劣るチームも勝てるというケースが増えます。

というように、もし9回で勝負が決しない場合は、延長か、タイブレークかにより、このように戦略そのものが変わるため、大きな違いがあります。

さて、日本における高校野球位置づけは、他の野球の盛んな国における高校野球の位置づけと異なり、高校野球そのものが文化となっています。
更に野球界の中でも、高校野球というステータスが出来上がっており、野球界という括りに留められていない特別なものとなっています。
ある意味、プロ野球と高校野球は他のカテゴリーから独立していると言っても過言ではなしでしょう。
特に高校野球は、日本の文化であり、象徴的な存在となっており、その大切な文化を壊してまでも世界基準に合わせる必要があるのか?という議論になるのでしょうね。

数々の名勝負が生まれ、そのたびに国民が一喜一憂し、感動を共有する高校野球。
簡単に決断できないのは、このような背景があるからです。
誰かが「世界で勝つために、タイブレークを導入するのだ」と言ってしまえば、誰も反論することはできないのですが、その誰が言うかが決まっていない野球界にも弱さがあります。
今回のタイブレークの導入については、単に高野連が判断する内容ではなく、WBCに繋がる強化策として日本野球界全体で判断をする事項とも言えるでしょう。

個人的には、世界基準に揃えるべきという意見ですが、強化方針が未だ確立できていない以上、それほど強く即導入すべきと言えないなとも考えます。

私のブログをスポーツに携わるマスコミの多くの方がお読み下さっていると聞いていますので、今回はマスコミの方を意識して書いたつもりです。
高校野球において、タイブレークを導入するということがどのような意義があるのかという本質を問うて、高校生への負担軽減、試合時間の短縮などを議論して頂ければと思います。

第85回都市対抗大会 初日〜5日目までを観て

都市対抗野球を開会式から5日間観戦してきました。
今年から毎日ダイジェスト版(23:00-23:30)が放送されることとなり、そのゲスト解説の依頼を受けたため、5日間も都市対抗にはまり込むことになりました。
ただ、代表チームの選手を7月16日に発表したこともあり、代表選手の状態をチェックするには非常に良い機会となりました。

さて、今年の都市対抗ですが、JX-ENEOSの3連覇が第一の関心事となっています。
1回戦JR東海に終盤まで追い込まれた状況から劇的な逆転勝ちしたこともあり、3連覇の序章のような気もしました。
試合終了後にJX-ENEOSの大久保監督と立ち話をした際に「相手チームがJX-ENEOSを意識しすぎているね」と私が言うと「そう感じます」と大久保監督も言っていました。
昨年の大会でもありましたが、相手チームが好投している投手を早めに交代したり、逆につぎ込まなければ行けない場面でワンテンポ遅かったりとか。
このように相手が勝手にこけてくれるようになるチームこそ真の強いチームの証なんです。やはりJX-ENEOSは強いのか・・・
とは言え、昨年の投手力よりも若干劣るので、以降のJX-ENEOSの戦いを見守って行く事といたしましょう。
では、JX-ENEOSの対抗馬は?
1,2回戦を見る限りJR東日本、西濃運輸かなという気がします。
JR東日本は、片山投手のできがここ数年で一番良く、若手が伸びている。
西濃運輸は1,2番打者がチャンスメーカとして機能しており、更に補強選手の状態が良いという点が挙げられるかと。
特に西濃運輸は、予選からの勢いを持続。チームの雰囲気がとても良いと感じました。
若手とベテランがしっかり融合しています。
勿論、1発勝負ですから分かりませんが、あくまで決勝まで残る戦力があるかという点で観た私見です。
これからの戦いはほぼレベル差がありませんので、接戦必死となることは間違いありません。面白いゲームが見られそうです。

大会展望はそのくらいにして、大会を視察しての感想は・・・。

まず、代表選手がよく活躍してくれています。この点はホッとしています。
それからここまでの試合、良く本塁打が出ています。
初日は、8本も一挙に出ました。
このペースであれば間違いなく、昨年の本塁打数を更新するでしょう。
関係者からも「本塁打が良くでますね」「どうしたんですかね?」などと質問されますが、決して飛ぶボールを使用しているわけではないので、打者が頑張っているのでしょう。
ここ数年、投高打低の大会が続いていましたから打者が奮起してくれているところも頼もしく感じています。
版で押したように無死1塁のケースでの犠打という采配も5日間を見る限り少なくなってきていると感じました。
各監督さんとも点を取らねば勝てないという意識が強くなってきているのかな。


クラブチーム同士の戦い、逆転劇があったり、タイブレーク試合があったりと1日で3度のドラマが観れる都市対抗野球は改めて面白いと思いました。

でも、流石に夜の生放送5日連続はサラリーマンには辛かったですね!

2014年7月18日金曜日

第17回アジア競技大会日本代表チーム

7月16日に第17回アジア競技大会の日本代表チームが発表されました。

※選手紹介はこちら →(侍JAPAN社会人代表

勿論、選手選考にあたっては、数度の選考会議が開催され、色々な角度、アジア大会を勝ち抜くにはという視点で議論を重ねました。

先ずは、メンバーに選出されました24名の選手に対して「おめでとう」と申し上げます。
代表選手になるというのは、実力もさることながらタイミングを含めた「運」もあります。アジア大会に選ばれるべくして選ばれていると思い、胸を張って代表チームに参加して貰えればと思います。

残念ながら代表選手から洩れた、特に最終選考まで残った選手の皆さん、おそらく大変悔しい思いをされていると思いますが、これをバネに更に素晴らしい選手になられることを期待しています。

昨年の東アジア大会代表チームから多数の選手がプロ野球へ進み、3分の2は新戦力となりました。それだけに選考には非常に苦労しました。
今まで以上に委員の方に球場に足を運んで頂き、相当の情報を集め、多くの選手を観てきたつもりです。

戦術になるため選考のポイントは明かすことはできませんが、選手一人一人を観て頂ければどういう野球をするのだろうかは何となくお分かり頂けると思います。

今回のアジア大会の強敵は、台湾、中国、韓国となりますが、特に地元開催の韓国が最強と言っても過言ではないでしょう。
「シーズンを止めて大会に望むオール韓国に勝つためには」という視点で選手選考にあたりました。
ドーハアジア大会で同じような韓国ドリームチームを下したようにアマ代表の力を再度見せる機会を持てたことだけで今からワクワクしています。

侍JAPANトップチームと同様、ご声援のほど、よろしくお願い致します。

明日から都市対抗野球が東京ドームで開催されます。

代表選手も出場し、更に社会人野球を盛り上げてくれると楽しみにしています。

球場に足をお運び下さい。よろしくお願い致します。




2014年7月16日水曜日

高校野球へのタイブレークシステム1

高校野球のタイブレーク導入について物議が起こっていますね。

高校野球へのタイブレークシステムの導入についての個人的な意見は次号に記載することとして、今回はタイブレークシステムについての説明を行いたいと思います

社会人野球においてのタイブレークの導入については、サッカー、ラグビーなどのスポーツと違い、試合時間が長過ぎるため観客に配慮されていないということがそもそものルールが導入された発端です。

一日に3試合を行うケースが殆どの社会人野球では、東京ドームの外に次の試合の観客を長時間待たせるということはファンを失うということに繋がり兼ねません。
当初は、賛否両論ありましたが今では定着してきて、それなりに面白みもあります。

一方、国内で一番早く同システムが導入された少年野球では当然ながら選手への負担の軽減ということが第一優先され、導入されていると思います。
では、世界大会では?

オリンピック復活には競技時間の短縮が命題であったということもあり、当時のIBAFで同問題を検討されていた時に日本から提言を行い、採用されたという経緯があります。

したがって、現在のWBCを含む、各世代における世界大会は、タイブレークシステムが導入されています。

日本で行われているタイブレークシステムは、お互いに1死満塁という状況で得点を争うのに対して、世界大会では無死1,2塁から始まります。

また、日本では、以前は、タイブレークに入る前のイニングの終了打者の次打者から打つということが主流でしたが、最近ではゲームを一旦振り出しに戻してフェアな状態で勝敗を決するべきとする世界大会の方式に則り、双方が好きな打順で攻撃できるように変更しました。

タイブレークになった瞬間から今までの試合の流れは関係なくなり、同じ状況で試合をすることになりますのでフェアと言えるでしょう

日本の1死満塁と世界大会の無死1,2塁となぜ違うのか?

定かでない記憶ですが、日本も当初無死1,2塁から始める検討をしたらしいですが、結局、犠打で送って1死満塁というケースになるのであれば時間短縮で1死満塁にしようと結論付けたと聞いています。

世界大会へも日本が1死満塁の採用を提案をしたと思いますが、野球は1イニングを3アウトとルール化されており、攻撃もしないで、1死の権利を奪うというのはルール上おかしい。この1死の記録をどのように扱うかが難しいというのが世界大会では無死1,2塁から始まるとなったと理解しています。

日本側の言い分は確かに分かるのですが、1死満塁では作戦的には打つという選択しかなく攻防という点では面白みに欠けます。

無死1,2塁からでは点差または表、裏によっては、バント更にはエンドラン、盗塁という作戦も加わり、更に守備隊形も変わってきますので、ベンチワークの難しさが加わります。

実際、広州のアジア大会で台湾とのタイブレークを経験しましたが、1球1球で局面が変わるといっても過言でないぐらいベンチワークは大変でした。
今どっと疲れた記憶が蘇ってきました。

アマチュア野球のように一つの球場で一日に3試合、4試合をこなすと試合時間が長く感じるのは当たり前であり、タイブレークシステムを導入することは合理的であると思います。

逆にプロ野球やメジャーのように1日に1試合しかやらないのであれば勝敗を決するまでやるほうが野球本来の試合の流れを楽しめるということになるのでしょう。

このような背景を知って、タイブレークシステムを議論しなければならないでしょう。

今日はご参考までに情報でした。

2014年7月11日金曜日

テンポとリズムについて

夏の高校野球予選が各地で開催されています。
私の地元長崎でも本日開幕致しました。

長崎文化放送さんから決勝の解説の依頼を受け、お引き受け致しましたので地元の方は是非ご覧頂ければと思います。

また、ベースボールマガジン社より発行されている「高校野球4」という本に私が解説している「コンパクトディフェンス」の特集が掲載されていますので、あわせてご覧戴ければと思います。

さて、少し投稿が滞っていましたが、今日は野球の試合を観る視点の一つとして、「テンポとリズム」ということを取り上げてみたいと思います。

良く「投球のテンポがいいですね」とか「守りのリズムが良いですね」などと解説者がコメントされていることを聞きますね。
勿論、「テンポが良い」「リズムが良い」というぐらいですから良い方向の言葉であることは間違いありません。

「投球のテンポが良い」というのは、サイン交換から投球までの時間が短いバッテリーを賞賛して使われるケースが多いのですが、投手と捕手の呼吸が合っているということでしょうか。
しかし、幾ら投球間隔が短くとも「ストライクが入ったり、入らなかったり」では、テンポが良いとは見えません。

逆に、そういった場合は、一呼吸置いてなどと解説者は良くいいます。

となれば、「投球のテンポが良い」というのはストライクが先行することが求められることになります。

次に「守備のリズムが良い」ですが、これは打者の放った打球が守備側の守備範囲に来て、確実にアウトにしているという状況が続いているということでしょうか。
となると安打を打たれているケースでは「守備のリズムが良い」という表現は使われることはないということですね。

「守備のリズムが良い」というのは、バッテリーと野手の呼吸があっているということになります。投手が意図したところに投球し、野手がその投球を観て打球の方向性を予測し、実際に飛んで来る打球を確実に処理すると言ったところでしょうか。

「テンポの良い投球が野手のファインプレーを生みましたね。」と言った解説も正にその象徴でしょう。

我々指導者は「試合に投球される全球に集中して守れ」などと選手に檄をよく飛ばしますが、1試合の1球1球に集中することは選手にとっては簡単なことではありません。
特にストライクとボールが交互となるような投手が投げているケースなどでは、「さあ来るぞ」と身構えても「ボールか〜」となかなか集中するのが難しい。
またジュニア期におこり易い「アウトコースを狙った球が逆玉となってインコースへ」などとコントロールに難があると野手の予測は立てづらくなってしまいます。
これでは、野手も集中が出来なくなってリズムも生まれなくなってしまいます。

以上の内容を良く良く考えてみると、テンポもリズムも結局投手のコントロール次第と言えると思います。
「この投手が投げると良く野手がエラーするんですよね」というような指導者がコメントをされているケース身近にありませんか?
そういう投手に限って、「三振か四球」というような一人で試合を作るタイプの投手だったりするものです。

野手はいつ自分のところへ飛んでくるのか予測できない投手ほど大変なものはありません。

「打たせて取る投球」と安易に良く使いますが、投手はどのような投手でも「打たせない」と思って投球しているわけで、たまたま、その結果が「三振」であったり「ゴロアウト」になるわけです。
強いて表現するならば、「野手の予測がし易い投球を行う」という表現ぐらいでしょうか。

纏めると、テンポは結局は投手のコントロール次第、リズムは守備側の予測の的確さと正確な技量が必要。その守りのリズムが最終的には攻撃のリズムも生み出すことに繋がると言ったところでしょうか。

野球は90%は投手次第と良く言われますが、試合をコントロールするのは投手であることを投手を任されている選手は自覚する必要があります。

東京ドームで行われる都市対抗野球のダイジェスト版放送、地元放送局での高校野球の解説でもこの辺りの視点で攻めてみたいと思います。

では、今日はこの辺りで。



2014年7月1日火曜日

第85回都市対抗野球の見どころ

サッカーワールドカップ大会、日本代表は予選敗退に終わりましたが、ワールドクラスの試合に大会の盛り上がりは未だ衰えずという感じです。
「ルーズベルトゲーム」で注目度が上がっています社会人野球、都市対抗野球大会の抽選も行われ、7月18日から熱い戦いが東京ドームで展開されることとなります

今回から新たに関東地方を中心として深夜時間帯で連日都市対抗ダイジェスト版が放映されることになっております。
大会前半戦のコメンテーターを依頼されておりますので、ご興味ある方はご覧下さい。

さて、今回の大会、JX-ENEOSの3連覇がかかった大会となっています。
春先から少し調子が上がらなかったJX-ENEOSですが、直前の北海道大会を見てもやはりと投手陣の踏ん張りが絶対条件となるでしょう。
昨年、主力として大活躍をした三上投手(現横浜ベースターズ)の穴が埋まりきっていないという感じがしていますが、そこは大久保監督の手腕にかかるのかと。昨年の磐石な状態からするとやや不安を抱えながらの大会になることは間違いないでしょう。

対抗馬は、JX-ENEOSの壁をうち敗れていないJR東日本が筆頭かと。
昨年の牽引者であった吉田投手(現オリックス)、田中内野手(現広島カープ)の穴を感じさせない充実した戦力補強が今年も出来上がっていると見ています。
但し、関谷、東條の新人投手がキーマンとなっていることから大会の雰囲気にのまれるという懸念材料もあり、初戦の戦い方が最も重要となるでしょう。

続いては、HONDA(和光市)。
円熟したベテラン野手に若手の投手陣が融合し始めてきているため、試合を観る度によくなってきている印象です。
実力がありながらここ数年、本大会では脆いという感じが否めませんが、今年は投手力が充実しており、簡単に崩れることはないのかなと感じています。
迫力ある打線を持っているチームですから攻守が噛み合えば勝ち進むことは可能かと思います。また、西郷兼任選手のホームラン記録にも注目したいですね。

更にかずさマジック。
昨年の日本選手権の制覇で選手が連続優勝という意欲が高い。
エース加藤を中心に典型的な接戦型のチームスタイルは健在。それに加え、充実した補強選手を加え、更に層が厚くなったと考えています。
派手さはないですが、侮れない存在であることは間違いありません。



さて、東高西低、関東対それ以外の構図が出来上がっているここ数年の都市対抗、私がダークホースとしてみているのが、西濃運輸と東海REXの2チーム。
西濃運輸は、復帰されたベテラン監督の林監督に鍛え上げられているなというプレーが東海予選では多く目につきました。豊富な練習量からくる自信というものが随所に予選では出ていたように感じました。
絶対的な投手はいませんが、レベルの高い投手陣であることは間違いなく、更に補強選手でトヨタ自動車から好投手を加えており、安定感を増して大会を迎えることができるのではと思います。

一方、東海REXには東海予選において勢いを感じました。
特に若い投手陣にボールの力がある投手が多く、打者に向かって行く姿勢には、チームの状態の良さが象徴されていると思いました。但し、久々の出場ということでドームの雰囲気に馴染むまでに失点をするとかなり苦しい展開になるため、このチームも初戦の出来次第ということになるでしょう。

この他では今年チームのバランスが良い日本新薬、近畿を制した三菱神戸、長年JR九州の牙城を崩せなかった九州地区を制したHONDA熊本あたりが目につきます。

とチームをあげましたが、補強選手が加わると全く別チームになるため、正直、どこが勝ってもおかしくなく、正に戦国大会になるのではと予想しています。
一歩リードというような特出したチームがないと断言しても過言ではないでしょう。

各地区予選でも波乱の大会の兆しがあります。
室蘭シャークス、全足利クラブ、松山フェニックスが企業チームを撃破して本大会にコマを進めていますし、更に初出場となる永和商事が激戦東海地区から代表となるど。
本大会でも何か起こりそうな予感が・・・。

初戦の入りが上手く行ったチームが「あれよあれよ」と勢いを保ちながら優勝まで漕ぎ着けるというケースもあり得ると思います。

優勝チーム予想は難しいので辞めておきますが、今年の都市対抗もまた面白い戦いが展開されることは間違いないです。


是非、ドームに足をお運び下さい!