2012年7月31日火曜日

守備陣形の選択

守備陣形についての記事を掲載したところ、非常に興味があるというご意見が多かったので続編を掲載します。
よく序盤( 特に1回)のスコアタイ、無死又は1死で2,3塁及び満塁などのピンチを迎えた際にいきなりバックホーム体制を選択するケースがアマチュアの世界では多いような気がします。
少年野球では、打球が外野まで届く確率が低い、打球のスピードもなく内野の間を抜ける確率も低いということで、この陣形を取るのは理解できますが、高校野球以上のレベルであれば、前半から大量失点のリスクを高めることになり、この陣形を選択するのは如何かと考えます。
確かにスコアタイのケースであれば「主導権を渡したくない」、「前半だから2,3点ぐらいであれば何とかなるから、0点に押さえることにチャレンジしてみたい」という気持ちは分かりますが、序盤の3点以上の得点差を追っかけていくような場合では、自チーム投手が以降の回を失点しないという想定が出来ないのであれば、攻撃時に使用する作戦が単一化(打つこと)してしまい、上手く試合を作って行けないケースが多いようです。
逆に、1点を争うゲームをしている限り、「先ずは1点」「1点であれば何とかなる」と考え、思い切った作戦を打てることになり、好結果に繋がることが多いようです。
したがって、リードを許すにしても、1チャンスで同点又は逆転の射程距離の状況に常に置いていくことを考えて守備、ゲームを進めて行くことが重要です。
一方、終盤で1点取られたら負けというケースにおいては、逆に思い切った守備陣形を選択しなければなりません。「あそこを抜かれたらどうしよう」、「後に打球が行った場合は、どうするのだ」などと不安を覚え、本当は、極端に守備を取らなければ行けないのに知らず知らずのうちに1歩、2歩と後方または定位置に寄ってしまい、最終的に打球に1歩及ばす失点してしまうようなことはやってはいけません。これが、一番悔いが残ります。
勝負をかけて守らなければならない場面においては、「あそこに飛んだら仕方ない」と確率の高い方に勝負をかけて、ベンチ一体(指示という意味)となって割り切った考え方で守ることが重要です。
両極端な例示を出しましたが、守りというのは、基本的に安全サイドに進め、何とか最小失点に抑え込むべきものであるのは間違いありません。反対に勝負をかける場面においては、腹をくくるという表現が適切かはわかりませんが、そのような心境で守るということが大切であるということを今日のテーマとしています。
アトランタ五輪で、キューバが最終回表、同点、無死満塁のケースでバックホームゲッツーを選択せずに、通常のダブルプレーシフトをしいて、物の見事にダブルプレーを取り、最小失点で切り抜け、裏に2点を取ってサヨナラ勝ちしたことを思い出しました。
同じようなケースであれば、私だったらどう判断するのだろうなと今考えながら今日の記事とします。



2012年7月27日金曜日

守備陣形~コンパクトな守り

コンパクトな守りを今の全日本チームに求めています。
「コンパクトって、どういう意味?」と質問が来るかと思いますが、簡単にいうとセンターラインに少しずつ各ポジションを寄せて守っていくことです。
例えば、3塁線、1塁線の打球がくる確率は極めて少ないので、1.3塁手とも其々、遊撃手より、二塁手よりに2-3歩程度寄ったポジショニングを行なう。
外野手においては、後方飛球がくる確率よりもライナー性の前の打球がくる確率が非常に高いため、自チームで守っている位置から思い切って5歩程度は、前に守らせて、センターラインのヒットゾーンを消すという守り方です。
はじめは非常にがら空きのゾーンが増えて不安がりますが、慣れてくるといわゆる割り切り的な感覚が出て非常に守りやすくなります。
野球は、センターラインが一番ヒットになるゾーンですからこのゾーンを少しでも狭めることにより被安打数を減らすことができると考えているからです。
投手にとって、一番ダメージが残るのが、良く言われている俗称「カンチャンヒット」です。外野手が下がって守備したために討ち取った詰まった打球が外野と内野の間に落ちるというものですが、これが相当ショックを残します。これを避けたいというのもあります。
とは言え、この守備陣系を行なうにあたっては、外野の走力及び後方飛球に対する勘の醸成が必要だったり、内野手のバックハンド捕球のレベルアップと肩の強さが要求されてきます。ここまで記載したら、コンパクトの意味を理解してもらえると思います。
この反意語は、ワイドに守るという言い方を私は使っています。安打確率のゾーンを無視したオールマイティーな打球処理を考えて守るというやり方。通常、日本のアマチュア野球界で使われている守り方です。いつも1、3塁手が1、3塁線をケアしている。遊撃手も内野安打になり易い、三遊間をケア、2塁手は、ヒットが一番出易いセンターラインよりも1,2塁間をケアしている、外野は、一番安打がでる前の打球よりも確率の低い頭を超える打球を想定して守備を取っているというイメージでしょうか?
意外とポジショニングって通常守っていると当たり前の感覚になって、思い切って変わったことをするという発想にならないものです。
当然、バッターの特性に応じて守備陣系は変化していきますが、コンパクトに守るを基本に、状況に応じた守備体系を随時とっていくことを検討されてはと思います。



BFAアジア選手権代表チーム合宿

BFAアジア選手権第一次合宿をJR東日本グランド(柏市)で行ないます。候補メンバーは、最終的に7月30日に発表しますので、公表はできませんが、都市対抗で活躍をした選手と大学3年生以下の将来日本の柱となる選手で構成されています。
とは言え、大学の方は、既に先行してプレス発表しましたので、皆さんご承知かと思いますが、今一度、選手の紹介を致します。
投手:大瀬良(九州共立大学)、吉永(早稲田大)、岡(明治大学)
捕手:梅野(福岡工業大学)
一塁手:山川(富士大学)
二塁手:中村(早稲田大学)
遊撃手:野中(国際武道大学)
外野手:高山(明治大学)  の計 8名。
これに社会人選手を42名加えて、計50名で合宿を行なうことになります。
合宿スケジュールは、
8月2日 集合
8月3日 午前 JR東日本と試合 午後 JFE東日本と試合
8月4日 午前 JR東日本と試合 午後 住友金属
8月5日 午前 JR東日本と試合
と試合を中心に行ないます。
注目されている早稲田大学 吉永の登板日は、今のところ8月5日の午前に行なわれるJR東日本との先発を考えています。雨が降らなければという条件ですので、変更になったら御免なさい・・・。
アマチュアの代表チームは、マスコミへの露出度が少なく、選手が可哀想なんですが、多くのファンの方がグランドに足を運んでいただき、勇気付けて貰えることを期待しています。



都市対抗本大会総括

久々のブログアップです。代表選手の選考のため、都市対抗の予選からつい先日エネオスの優勝で終わった本選まで、仕事の合間に視察していましたので、ブログをサボってしまいました。申し訳ございません。沢山の方に訪問戴き、ありがとうございました。
さて、今日は、都市対抗本大会が終わり、7月26日に毎日新聞に掲載された総合成績を元に、自分が見た試合内容も踏まえ、今大会の総括と課題を以下に記載致します。

��.延長戦が1試合とタイブレークになるような試合がなく、ここ5年では、イニング数が過去最小であった。
失点をイニング別に見てみましたが、1,3回、7,8回の失点が多く(データは、1回戦のみ)、後半に投手が踏ん張れない、または継投策が裏目に出るケースが多かったのかと思います。
特に完投数も最小( 31試合中、2試合のみ)であり、殆どが継投に頼るという采配が多く、すっかり分業という形式が根付いていたのかと思います。花野監督率いる日本生命だけが、「エースは1試合投げきらなければならない」という考え方で吉原投手が2完投をあげています。優勝を狙うには、結果的に、良かったのかはわかりませんが・・・。

��.決勝を争った2チームの四死球の少なさ(1試合1.8)は際立っており、失点を防ぐ原動力であったと思います。上位4チームにおいても、その傾向にあります。やはり、「四死球を減らすことが、失点を防ぐ!」という当たり前のことができているチームが勝っているということになります。
海外大会でも同じことが言えますので、来るアジア選手権の合宿でも、引続き、1球目からストライクを取れるように指導をしていきます。

��.打撃においては、1試合1チームあたり7.8本と例年どおり、放っていますが、こと長打率を見ると過去最低の数値となっています。本塁打数は、過去の東京ドームで行なわれた大会と同等ですが、2塁打の数が激減しています。これは、ライナーで二塁手、遊撃手の頭を超えて、外野手の間を抜けていくような打球が少なくなっていることと、反面、打球に勢いがなく、外野手に追いつかれていることが考えられます。
バッティングの技術そのものになりますが、もう少しセンター方向にライナーで打ち返す練習を心掛けさせる必要があるかと思いました。

打撃の低下を課題に以前から挙げていますが、今大会の1チームあたりの1試合平均得点は、3点。4点目を争う攻防と言い換えても良いかと思います。そう考えると3回に1点を取る野球、打者1.5順で1点づつという考え方が成り立ちます。そのようなことを考えると試合を決めるようなビックイニングをつくるような前半の戦いが逆にギャンブルとなりますが、功を奏すのかとも思いました。

8月2日から代表の一次合宿をJR東日本グランドで行ないます。このあたりの解説も選手にきっちっと伝えて、意識の統一を図っていくことにしていきます。