2014年12月19日金曜日

野球の国際普及を考える

随分、更新が滞りました。
少しハードな日程が続き、バタバタしておりました。
横浜で野球教室、神戸でJOC共催のイベントで講演、更に仙台で野球教室、勿論、業務もありとタイトなスケジュールでと言い訳しております。
申し訳ございません。

最近の野球教室、講演の中では、「これからの日本野球界を考える」というテーマで少し話しをさせて頂いております。
その際に、野球界を取り巻く環境の中で、一番の脅威となるのが、少子高齢化という問題と冒頭に話をしています。野球界に留まらず、国レベルの大問題ですが・・・。
野球競技人口の減少は、今現在、大きなものではありませんが、今後、少子高齢化が続くと当然ながら競技を行う人口が減るのは間違いありません。
更に他競技との選手の奪い合いは免れることができず、それに起因してプレーヤーの質の低下問題が生じることも想定されます。
最終的には人気の低落となるのでしょうか。

現在、野球人気は、国レベルではまだまだ根強いものがありますが、近年ではサッカーに追いつかれそうな勢いで安閑としていられない状況でもあります。

一方、世界的にはという視点でみると、2020年の東京オリンピックで野球・ソフトボールが復活するのではとの報道が繰り返されていますが、野球・ソフトボールの知名度は他スポーツと比較してもかなり低いという調査結果にもあるとおり、世界的な普及が大きなウエイトを占めることは間違いありません。

話は変わりますが、現在、ケニアで行われている18歳以下ワールドカップ大会アフリカ予選に国際審判である小山 克仁さん他がボランティアで参加されています。
フェイスブックでのやり取りですが、現地に行かれて「日本野球の役割が明確になった」と言われています。

発展途上国で行われている野球は、世界基準に達するには気の長い強化が必要であり、それを継続できるかどうかという経済的な問題、国の情勢などの問題が山積しております。

小山さんの活動のように個人レベルでの普及活動はもちろん大事なことですが、国レベルで普及支援を行うことが、今後の国際化に対応する日本の一つの施策ではないでしょうか?

発展途上国での一番の問題は、「教育」と言われています。
「読み書き」も大事ですが、一番はモラルを指導することでしょう。
スポーツ普及は、それを解決するには大きな役割を果たすと考えます。
フェアプレーの精神を指導することで国全体に変化を及ぼしたということも過去に事例があります。

これこそ、外交ではないでしょうかね。

普及活動に名乗り出たいという若い気概ある野球人は沢山います。
この施策を実現することは、それ程難しいことはないでしょう。

なぜ人々がスポーツに熱狂するのか?
スポーツに国境はない。

小山さんの活動は、もっともっと日の目を浴びるように持っていかかればならない。
小山さん以外にもJICAの派遣員として、各国で野球普及活動に従事している野球界の仲間がいますが、その方々の活動ももっと取り上げなければならない。

「有名選手が契約金いくらだった」とか報道するよりも、このような方々の活動を披露するほうが、余程、教育的だと思います。
マスコミの皆さんももっと視野を広げて欲しいですね。

日本の野球界を取り巻く環境、刻々と変化しています。
野球界統一ということを前提に立ち上げられた「侍プロジェクト」ですが、このような活動を行っている方々がいることも頭に入れながら、将来の日本野球をどうするかを考えて欲しいものです。

今後の侍プロジェクトに期待しながら、今日はこの辺りで。


2014年12月3日水曜日

侍ジャパン大学合宿に参加

11月29日、30日の二日間、来年韓国で開催される予定のユニバーシアード大会に向けた強化選考合宿に参加してきました。
大会に参加できる対象者は、大学生選手。
現在大学3年生以下の有望選手を集めての合宿でありましたが、社会人の全日本経験者が指南役として数名参加することになり、私も強化委員として帯同することになりました。
福岡―松山間の飛行機で向かいましたが、プロペラ機ということもあり、結構揺れて久々に違った意味での緊張感を味わうことができました

練習は、主に紅白戦でしたが、流石に大学生、元気があって球場に活気がありました。
特に感じたのは、最近の大学生のからだの発達の素晴らしいこと。
筋力トレーニングの継続と栄養への意識の高さが伺えます。
投手の球も社会人投手よりも速いのでは・・・。
140KMを超える投手が沢山いましたし、145KMを超える選手も多く目につきました。

その一方で、プレーの精度が低く、特に投手を含めたスローイングの正確性が今一つかなという印象でした(全員がそうではないですが・・・)。
繰り返しの練習が苦手なんでしょうかね。
というか、誰しも飽きがくる練習は苦手なものですが。

我々の時代は、指導者、先輩から有無も言わさず「これだけやれ」と指示されて嫌々でもやっていたのですが、最近は指導者、先輩が優しい人が多くなり、ある意味、自己責任で上手くならなければなりません。
「言われてやっている間は成長しない」なんて格好の良い格言を選手に向かって私も言うことがありますが、一方で上達させるまでは、鬼になるというような指導気風がなくなっていることもあるのでしょうね。

座右の銘は「努力」とジュニア期に良くアンケートなどに書いたことがありますが、今思うと恥ずかしい限りです。
努力という言葉はそんなに簡単なものではありません。
「できないプレーを出来るようになるように練習を繰り返す」のは、選手として当たり前のことであり、それを努力と置き換えるのは大げさかもしれません。
確かに会得しようと継続していくことは努力していることに間違いはないのですが・・・。

話が横道にそれましたが、大学全日本監督である善波監督(現明大監督)に「投手全員に国際大会を戦うにあたっての心構えを話して欲しい」と頼まれました。
現早稲田大学の吉永選手を2013年のBFAアジア選手権に招聘した折、指導した内容を例に挙げ、「困ったらアウトロー」ということについて話をしました。

吉永選手は、ストレート、カーブ、スライダー、チェンジアップ、シュート、カットボール、フォークと確か7球種ぐらいが持ち球でした。
ブルペンで投球練習では、大方50球~70球ぐらいの投球を行っていました。
この球数を球種で割ると、1球あたり大方7球~10球程度ということになります。
これにアウトコース、インコースの両サイドに投げ分けるとアウトコースのストレートに要する球数は3球~5球となります。
実際には、得手不得手の球種がありますので、球種によって練習する球数は変わりますが、ざくっと計算するとこのようになります。
これでコントロールがつくのだろうか?

改めてブルペンでの吉永選手の投球を見ていると。
一つ一つのボールは素晴らしい勢いを持っており、「本当に良いボールを投げるな」と感じた反面、「どれもコントロール不足だな」と直ぐに感じました。
球種が多くて各球種の練習量が少なく、コントロールがついていないのだと思いましたし、「スリー・ツーピッチングとなり、間違うと四球を出してしまう危ない投球」に見えました。

そこで、直ぐに7球種ある球種の内、外国人に一番通用すると感じたストレート、カーブ、それから吉永選手の代名詞のシンカーの3球種に絞ってこの大会を乗り切るように指示を出しました。
この3球種については、狙ったところに思い通りというレベルではありませんでしたが、比較的コントロールできており、更に外国人が弱い、縦の変化がつくという強みもあります。

吉永選手もキョトンとしておりましたが、監督指示ですから従わなければならないといった感じで取り組んでくれました。

直ぐに効果が出始めました。
ストレートのキレが大学のリーグ戦以上に出始め、アウトコースへのコントロールの精度が良くなってきました。
二つの変化球もストライクとボールの使い分けを意識し始め、三振が取れるようになってきました。
練習に留まらず、勿論、この大会の大事な場面で起用し、しっかりと結果を出してくれたことは言うまでもありません。

変化球を沢山投げれば打ち取れると思いがちですが、先ずはコントロールを極めるということが良い投手になる早道であると私は考えています。
これにスピードが加われば文句なしです。

ストレートだけで打ち取れる投手が理想、ストレートだけでは打ち取れないので変化球を1個、2個と増やしていく。
勿論、コントロールされていることが条件。

学生の皆様に響いたかどうかは分かりませんが、投手は、結局、コントロールなのです。

吉永選手が早稲田大学のエースになっていないこと、更にこの合宿にも呼ばれていないことに一抹の寂しさを覚えました
1年生で日本代表に召集された台湾での投球を思い出して復活して欲しいと期待しています。

二日間という短い期間でしたが、久々に元気の良い練習に参加させて頂き、楽しかったです。
来年、復活競技となったユニバーシアード大会における野球競技。
侍JAPAN大学代表として、是非日の丸をセンターポールに掲げて欲しいと願います。
頑張れ、大学代表!

2014年11月20日木曜日

侍ジャパン21歳以下世界大会の総括

21歳以下の世界大会、ご承知のとおり、決勝で0対9と台湾に敗退し、銀メダルで終わりました。

この大会は初開催ということもあり、各国とも戸惑いを持ちながらの戦いとなったことは間違いありません。

大会を終えての感想は…。
まずは、世界大会の常連国であるアメリカ、キューバが参加しなかったこと。
この2国が参加しない世界大会は、寂しさを覚えました。
参加にあたっては、金銭的な隔たりがあったと大会関係者が洩らしていましたが。

次にヨーロッパ地区の強化が進んでいたという印象。
メジャー選手の派遣が制限されていたようで、殆どの国が自国のリーグで活躍している選手を中心にチーム構成されていました。
アジアの3国(日本、台湾、韓国)とヨーロッパ地区の対戦においては得点こそ開きましたが、中盤までは均衡するなど、投手があと2,3枚出てきたら「あるいは」という試合も多くありました。
そういった意味では、ヨーロッパでの野球強化が定着し始めたと考えるのが自然でしょう

その中でも、特に今大会チェコの頑張りが目を引きました。
誰しもが全敗で予選敗退すると思っていましたが、一次予選で2勝し、2次予選まで進出しました。これには正直びっくりです。
実際、2次ラウンドでチェコと対戦しましたが、2メートル近い投手が球速こそ135km程度でしたが、変化球もコントロール良く投げていました。

最後に台湾の強化のシステムが上手く行っていること。
台湾は、代表チームを構成するにあたり、野球協会とプロ連盟の不仲ということもあり、アマチュア(大学生と社会人)、MLB所属のマイナー選手を中心に長期的な強化を図っています。若い選手を数多く、海外に送り、強化を図っています。
今回の台湾の21歳以下チームは、仁川で行われたアジア競技大会に出場をした数名が核となり、かなりレベルの高い技術を身につけた選手も多かったように感じました。
元日ハムのクルーズを打撃コーチとして招聘し、5ヶ月間このチームの打撃力強化を図ったことなども特徴でしょう

クルーズ氏と少し話をしたのですが、その際に「台湾の打撃はスゥエーをしていたが、今はStay back(突っ込まない打撃)を叩き込んだ」と言っていました。
日本との決勝でも日本の投手が繰出す変化球にものの見事に対応していたのを目の当たりにして打撃力の強化が実を結んだのだなと敵ながらあっぱれと思った次第です。

話を日本チームに移しますが、今大会6名のオーバーエージ登録が許されている中(試合に同時に出場できるのは3名まで)、今回、日本チームは3名しかオーバーエージをつれて行きませんでした。
これは大会運営者と日本チーム側の連係が上手く行かなかったことによるもので、特に意図して3名にしたわけではなかったのですが、このオーバーエージの数の差が結局台湾との差になったことは間違いないと考えます。
世界大会を戦う上においては、このような情報のやり取りは非常に重要になってきますので今大会の最大の反省でしょう。

プロ、アマ混成で大会に臨んだ日本チームでしたが、寄せ集めの集団としては、纏まりは主将牧原を中心に非常に良かったと思います。
平田監督のリーダーシップが良かった!
勝負に対する厳しい姿勢がチームに芯を与えていたように思います

しかし、今年、私が携わった代表チームは、台湾が鬼門となりました。
というか、台湾の強化が進んでいたとも言えるでしょう。


今回、試合後、平田監督が「プロとしてこの敗戦は屈辱的であり、銀メダルでは駄目なんだ。この敗戦から何かを学びとり、今後の野球人生に生かし、今度はトップチームでリベンジしてくれ」と檄を飛ばされました。

落胆した選手に向かっては厳しい言葉ですが、逆に中々言えない、暖かい言葉であったと感心させられました。

初の21歳以下の大会でしたが、このカテゴリーはプロもアマも実力的には関係ないなと痛感しました。
次回は、オーバーエイジを含め、この大会に照準を合わせた選手選考、更に強化を進めていく必要があるかと考えます。

金メダル奪取とはいきませんでしたが、良いチームであったと思います。

しかし、アジア大会を含め、台湾に今年2度も敗退するとは悔しいですね。

皆様、ご声援ありがとうございました!

2014年11月11日火曜日

侍JAPAN21歳以下日本代表 予選ラウンド全勝突破

11月7日から台湾の台中市で開幕したアンダー21世界大会。

我ら日本代表は、本日ニカラグアを破り、B組全勝で1位通過し、第2ラウンドへと進出しました。

第1ラウンドは、オーストラリア、ベネズエラ、オランダ、ニカラグアの順で戦いました。

この第1ラウンドですが、結果的に初戦のオーストラリア戦を勝てたこと、特に9回1死からの逆転勝ちは後の試合に勢いをつけたことは間違いありません。

社会人代表の選手の活躍具合は…。

新日鉄住金鹿島 横山投手、三菱日立パワーシステムズ 野村投手の活躍が目を引きました。

横山は、オーストラリア戦の一点も与えられない中盤を見事なピッチングで乗り切り、更に本日のニカラグア戦は5回1失点と先発起用の期待に見事にこたえました。

野村はクローザーとして、オーストラリ戦の最終回、本日のニカラグア戦のクローザーとして2試合とも3人で仕留めてきました。

二人ともプロ選手が多くいる投手陣の中でもしっかりと中心選手になっているところは流石社会人選手と平田監督も賞賛していました。

もう一人の東京ガス 山岡投手については、不慣れな中継ぎ起用に少し戸惑っていましたが、持ち味のキレのあるスライダーが制球でき始めてきたので、第2ラウンドの当番機会は増えることでしょう。

大学生においては、今のところ出場機会が少ないですが、堂々とプレーをしています。
特に法政大学の畔上外野手は、プロの打者に負けず劣らず素晴らしい打撃内容を見せています。
今後が非常に楽しみな選手です。


21歳以下日本代表は、久々のプロ・アマ混成チームで、プロ選手、アマ選手ともお互いに刺激をし合い非常に良いチームとなってきました。

年齢が近いこともいい関係が維持できている要因でしょう。


私においては、今回ヘッドコーチとして平田監督の相談相手という仕事をしています。

オーダーの進言、戦術の提言など。

平田監督も若い私の意見をよく聞き入れて頂き、スタッフは一枚岩になって良い関係にあると勝手ながら思っています。


明日、休息日にはいよいよ運命の第2ラウンドが開始されます。

ここからが本当の戦いとなります。

おそらく韓国、台湾のアジア勢との優勝争いとなりそうですが…。

何とか残り4試合を全勝して優勝を勝ち取りたいと考えていますので、引き続きご声援をよろしくお願い致します。


余談ではありますが、開会式に王さんがお越しになり、激励を頂きました。

久々にお会いしましたが、やはり「世界の王さん」でしたね。

明日から、また頑張ります。



2014年11月6日木曜日

明日、いよいよ21アンダー世界大会

明日、11月7日から21歳アンダー世界大会が始まります。

本日はメイン会場である台湾インタコンチネンタル野球場で先ほどまで軽めの公式練習を行いました。

台中インタコンチネンタル球場

プロ選手16名とアマ(社会人、大学生)8名で構成されるチームは、同年代ということもあり、心配をよそに一つとなってきました。

投手力はおそらく大会でも群を抜く力を持っていると思いますので、あとは野手陣がどれぐらい奮起するかが鍵となるでしょう。

どのカテゴリーの世界大会においても「最後は野手がどう打つか」という永遠のテーマを今大会で如何に達成するか…

プロ選手もいることから期待を持っています。

野手では、近藤、鈴木、榎本、三好あたりがキーマンになるのでしょうかね。


とは言え。

21歳以下の大会は今回初開催となり、他国がどのぐらいのレベルの選手で構成されるのか全く分からないため、そういった意味で戦略が立て辛く、難しい大会であると言えるでしょう。

平田監督も初めての国際ゲームでの指揮ですので、経験者としてできる限りのサポートをして行きたいと思います。

直前合宿では、世界大会ならではの無死1、2塁でのタイブレークシステムに備え、読売ジャイアンツにお願いし、実践するなど世界大会を意識した練習は十分ではありませんが、やってきました。
読売ジャイアンツとの練習後のミーティング

「世界大会は国内大会と違い」に選手が早く対応できれば十分勝機はあると思います。

明日のオーストラリア戦から始まる大会、ご声援よろしくお願い致します!




2014年11月1日土曜日

アンダー21歳以下世界大会直前合宿

アンダー21歳以下世界大会が11月7日より台湾で開催されます。

(大会概要は以下で。)

侍JAPANホームページ


今回は、ヘッドコーチということで大会に参加することになりました。

アジア大会で目標であった金メダルを獲得できませんでしたので、今年最後の世界大会で雪辱を果たしたいと考えています。

さて、今回のアンダー21歳以下の侍JAPAN代表チームは...。

監督が阪神タイガースの2軍監督である平田氏。
ピッチングコーチが名選手であった読売ジャイアンツの豊田氏。
それから大学野球界から国学院大学の監督である鳥山氏。
と私を含め3名のコーチが平田監督を支えることになります。

選手構成は、
プロ選手16名、アマチュア(社会人 3名、大学生 5名)とプロ、アマ混成チームとなります。

現在、直前合宿中で昨日、本日とチーム連携を中心に練習を進めました。

プロ、アマ混成と言っても流石に同期世代の連中ばかりであるためか、プロ、アマの垣根は既に解き放たれていますね。

コミュニケーションもたった二日間ではありますが、予想以上に上手く図れていると感じています。

我らが社会人の3名は野村、横山のドラフト1位コンビと東京ガスで次期の全日本のエース格として期待される山岡という布陣。

プロ選手に負けず劣らず、良いボールを投げています。

おそらく大事な場面で起用されることとなるでしょう。

豊田ピッチングコーチも絶賛していましたので。

ま、こんか感じで合宿を進めていますが、ヘッドコーチとして今までの経験を生かして平田監督をサポートしていくつもりですので、ご声援をよろしくお願い致します。



2014年10月22日水曜日

野球の競技特性と技術指導

最近、野球の競技特性について改めて振り返ったりするのですが、改めて考えれば考えるほど、「求められる技術パフォーマンスがどんなものか」、「そもそも基本とは」というところに行きついてしまいます。

例えば、バッティングを教える際に「遠くへ飛ばすためには」という質問を時々受けることがあるのですが、遠くへ飛ばすということが「本塁打を打つのか」、「2,3塁打を狙うのか」によっては技術指導に大きな違いが出てきます。

本塁打はフェンスを越す飛距離が必要であり、そもそも飛ばすための強靭な体力が重要となります。

もっと簡単に言えば、本塁打は100m以上キャリーで飛ばすためにはという技術です。

一方、2,3塁打を打つには、まず外野手の間を打つ技術が必要となります。
となれば、おそらくバットコントコンタクトが重要で、更に脚力が要求されます。

という具合に目指すべきところが違ってきて、追い求める技術が変わってくるという類です。

何か禅問答のようですが、

意外にも選手本人も指導者もこの辺が整理されていないまま練習に明け暮れているようです。

「ヒットの延長が本塁打」と簡単に言いますが、この考え方では、それ程、本塁打を量産するこがきません。

このレベルの話ができるのは、プロ選手ぐらいの力がないと無理でしょう。


ジュニアの選手であれば、まずは100mを越すためにという練習をするよりも、まずは必ずバットの芯にボールをコンタクトする正確性を重視するほうが得策ということは皆が承知しています。

更に、そのために必要なフォームの習得を目指す方が良いに決まってます

遠くへ飛ばす人を見ていると打球が上がるポイントを良くしっています。

それから飛距離を伸ばす、打球角度を作りだすコツを良くしっています。

更にパワーも兼ね備えています。


一方、アベレージヒッターは、ボールを自分のポイントに引き込み、打ち終えた後の体のバランスが崩れないようなフォームをしています。

どのようなボールにも対応できるような両腕の使い方。

どのうような投球にも対応できるコンパクトなスィングを身につけています。

野球の競技特性からは、一般的にはホームランを打つ特殊能力よりもアベレージをしっかり残すことが重要となるのでしょう。
確率論の世界ですかね。

今指導される基本技術とは、どちらかというとアベレージを残すためにという技術であり、遠くへ飛ばすためのものではないと言っても過言ではないでしょう

要は、2兎を追ってはいけないということになるのかと思います。

ヒットを狙いに行って、時々ホームランがまぐれで出るぐらいの感覚がアマチュアレベルの指導では最も適しているのか。

これがアマレベルにおける「ヒットの延長がホームラン」という理屈なのではないでしょうか。

では、ホームラン打者は不要かというと流れを1発で変えることができるので、打線の構成としたはこういう打者も必要となるのでしょう。

しかし、かなり特異な力量が必要ですから僅かな人員しかチーム単位ではいないはずです。


野球を指導する際の一番の入り口のところで、「どのような打者になるのか」「どのような選手にするのか」というような整理がしっかりと出来ていないとおかしな話となります。

そういった意味では、選手の考えと指導者の想いが一致する必要があるので相互のコミュニケーションがかなり重要となります。

色々な場面や日々こんなことを考えながら指導にあたっているのが現状で日々進化中です。

何となくニュアンスは伝わりましたでしょうか?

纏まりの悪い内容で申し訳ございません。

話は変わりますが、アンダー21世界大会が台湾で開催されること、そのメンバーも昨日発表されました。

実は、このチームにヘッドコーチとして参加することになりました。

未だ侍JAPANのホーページにも私の名前は掲載されていませんが。

平田監督を支えられるように頑張ります。

2014年10月21日火曜日

北海道高等学校野球連盟 指導者講習会

10月18日から19日の二日間、札幌で行われた北海道高校野球連盟指導者講習会に講師としてお招き頂き、高校野球の指導者および秋の道大会でベスト8に入ったチームを中心とした30名強の選手に主にバッティングの指導を実技を交えながら行ってきました。

この指導者講習会、北海道を4分割し、4年に1回のペースで持ち回り4地区で開催するという極めて合理的なシステムとなっています。

昨年、網走で開催された講習会が初デビューですが、今年の札幌開催も昨年と同様、晴天に恵まれ、気温がこの時期としては異常に高いほどでベストの環境でした。

ブログでもご紹介したとおり、 超雨男である私が出向いているにも関わらず、この異常なまでの晴天は、北海道野球連盟の皆様の日頃の行いの良さなんでしょう。

実技では、ブログで紹介をしているような基本事項を徹底的に、且つ理論的に(自己満足ですかね?)解説してきました。

指導者が聞きたい情報は、弱点の修正方法や練習方法(ドリル)なんですよね。

「基本はこうです。」なんてことは何度も聞かされているためか、理論よりも練習方法の説明の時が目が輝いていた指導者が何人もおられました。

「小島さんのドリルは面白いし、分かりやすかった」とお世辞でも言って貰えて、大変嬉しく思いました。

私のバッティングのドリルは、バットを使う前の基本動作が中心です。

特に下半身の使い方、それからバランスの保ち方が中心で、なかなかバットスゥイングまで行かないという、ある意味地道なトレーニングです。

しかし、この動作ができないと幾らバットを振っても上達が遅くなるだけと思っているので特にジュニア期の選手を指導する際にはこの手法をとります。

その中でも、大事にしているのは、タイミングの取り方で、ボールを見逃す姿勢についてのドリルは多種に渡ります(講習会では全部披露する時間がありませんでしたが)。

種目を一つ一つ紹介するわけには行きませんので、ここでは割愛しますが…。


一方、選手においては、流石にレベルの高い北海道200校のベスト8チームの中心選手とあってかなり良いものを持っていました。

ただ、やはり新チームになって間もないこともあり、まだ体力面で物足りなさは否めません。

「正しいフォームを身につけるには、強靭な体力が必要となります。」
「長い北海道の冬にしっかりと野球に即した体力を養って欲しい。」

と注文をつけた程です。

初日に理論を解説、二日目にドリルを行い、その後、実打撃を行いました。

選手の感想は、
「ボールを長く見れるようになった。」
「突っ込みことが少なくなった。」
「打球が飛ぶようになった。」
と好評を頂きました。

勿論、「まだ理解出来なかった」という正直な感想もありました。

理論は、向き不向きがあって当然で万民に理解させることは至難の業です。
更に多数の選手を一人で指導しているわけで、其れ程、甘くないことも十分分かっています。

私のように巡回指導を行う指導者は、出来れば全員のレベルアップを図らねばならないのですが、そう簡単ではないので「一人でも救い上げて行く」という気持ちで指導にあたることが大切と日頃より考えています。

少しはお役に立てたようなので一安心しています。

話は変わりますが、この講習会では、小島姓の密度が高かったです。
北海道高校野球連盟の中に専務理事、常務理事のお二人が小島、更に講習会の講師が小島と。
周りの方は、面倒だったでしょうね。


バルセロナオリンピックのアジア予選前、当時26歳。
白樺並木を見ながら、札幌を拠点として行った強化合宿を思い出しました。

北海道、やっぱり良いところだな〜!

と思いつつも、

千歳空港、グランド、宿泊所、グランド、千歳空港と今回は天候も含めて北海度に来た感じは薄かったですね。

毛ガニも食べ損なったし。


来年は旭川で行われるそうです。

また、呼んで頂けるとの軽いお約束をしましたので、楽しみにレベルアップ自分が見せれる ように以後1年間頑張ります。


懇親会では、若い沢山の指導者の方と野球談義で大盛り上がりでした。

コンパクトディフェンス物議を醸し出していますね〜。


しかし、指導者で一番必要なものは、情熱ですね。改めてそう感じました。

北海道の皆様、大変お世話になりました。










2014年10月15日水曜日

仁川アジア大会総括 その2

今回は仁川アジア大会の総括 その2と題して、戦術の反省と相手国の分析を行ってみたいと思います。

大会の戦略は、予選グループを先ずは 1位で通過すること。
特に予選の最大の敵であり、且つ、最悪のシナリオとなった場合に3位決定戦で対戦する可能性が高い中国を圧倒的な力で勝つということをテーマとしました。
その中国が予選のスタートでしたが、思惑どおり、7回コールドで退けました。

前半の入りは非常に固さがありましたが、予想以上に打線が爆発してくれて非常に楽な展開に持ち込むことができました。
この時点で予選の1位通過はほぼ確定という状況となり、以降のパキスタン、モンゴル戦は準決勝を睨んだ選手起用を行って行きました。

パキスタン、モンゴルとも年々、野球になってきていますが、実力的にはアジアの4強を崩すという力はなく、そういった意味では対戦する方も難しいものです

このように予選を戦いながら、一方では韓国、台湾が入るグループ、特に韓国、台湾戦の試合結果を見ながら準決勝に誰を先発させるのかを考えて行くこととしました。

プロ野球のペナントレースのようにローテーションを組んで投手を起用していくという方法もあるのですが、試合数が大会期間のわりには少ないこと、更に社会人選手はそのような起用にあまり慣れていないことなどから、相手打線と調子の良し悪しを判断基準として準決勝前々日に先発投手を決めました。当然、韓国と台湾の打線を睨みながら。

予選における韓国対台湾のゲームは、地元韓国プロ野球のドリームチームの迫力ある打線が初回から爆発、本塁打のオンパレードと2回で試合が決まってしまいました。
台湾の打線も韓国のヤン・ヒョンジュンの前に押さえこまれ、投手力を含めた力の差を見せつけました。

但し、その試合で後半登板し好投したDENAベースターズの陳投手や押さえで登板した158kmを出したマイナーリーガー投手の投球は間近で見ていた私たちに台湾は手ごわいという脅威を与えるに十分な投球を見せました。

いずれにしても準決勝が山であり、おそらく台湾とやることになるということは、選手を含め大会前から十分に認識していましたので、気持ちの揺るぎはありませんでしたが・・・。

準決勝、台湾戦は、台湾打線が左打者が多いこと、更に決勝で強敵韓国を破るためにはという視点で投手の起用をスタッフで協議し、社会人1年目の左の横田に託しました。

1回の表、いきなり先頭打者を死球で出し、不安定な立ち上がりを見せましたが、後続をダブルプレーに切って取り、何とか0点に押さえて戻ってきました。

本来の出来からはコントロール、キレとも今一つ遠い感もであったのですが、彼の持ち味でもある粘りの投球で何とか3回ぐらいまでは持ち応えてくれると期待をしました。

その裏、想定をしていた台湾の19歳のマイナーリーガー投手の立ち上がりを攻め、1死満塁としました。
が、6番藤島の押し出し四球だけの1点に留まり、先制パンチとまでは行きませんでした。

続く2回の表の守りで、横田が掴まり、更に中継ぎのエースの幸松も打ち込まれ、一挙8点を献上するという大誤算の展開に。
打線は、その裏、2点を返し、3対8と追い上げムードを掴み掛けましたが、3回表に更に3点を献上し、3対10と前半で大きく水を空けられました。
その後は、阪神タイガースに在籍した経験を持つ、チェンに打線が押さえ込まれ、回を重ねていく展開となりました。

投手陣はその後、今村、佐竹、関谷が踏ん張り、追加点は許しませんでしたが、前半の点差が大きく圧し掛かかり、結果的に序盤のスコアを動かすことができず、敗退しました。

ベンチワークとしては最善手として考えた投手起用で勝負したので仕方ないという諦めはありますが、1回の横田の調子で2回表から幸松に代えることも頭をよぎったので、その点だけが結果論ですが少し引っかかってます。

何れにしても敗戦は監督の責任ですから選手は攻められません。

但し、冷静に力を台湾と比較すると今まで過去対戦した台湾の投手層からすると群を抜いていたため、競った試合となっても投手力の差で最後は力負けしたのかなという感じもしています。

それにしても韓国は、やはり凄かった。
決勝で台湾が意地を見せていましたが、やはり投手力、打撃力、走力のどれをとっても頭一つ出た戦力であったことに違いありません。

特に印象的だったのが、100キロを超える巨漢選手のスピードがあること。
流石、選りすぐられたプロ選手だなと改めて痛感した次第です。


準決勝で敗退した後のチームの落胆は想像以上に重く、三位決定戦に臨むに当たってはかなりタフな状況となります。

最低限メダルを死守しようと再度、中国に挑みました。
重苦しい雰囲気、接戦の緊張感の中、試合が進みましたが、頼りの主将の多幡が口火を切り、チームに自信を復活させ、打線が爆発しました。

先発 関谷も大役を果たし、最後は投手リーダーの佐竹が締め、見事銅メダルを獲得しました。

目標の金メダルとは行きませんでしたが、選手は立派でした。
素晴らしいチームになりました。
改めて感謝しています。

今後の強化については、暫く時間をかけて考えて行く必要があります。

また思いついた時点でアジア大会の記事を書いて行きます。

長文となりましたので、今回はこの辺りで。










2014年10月14日火曜日

仁川アジア大会総括 その1




アジア大会におけるJOCの情報発信規制があったため、ブログのアップを少し控えていました。

久々にアップ致しますが、この期間にご訪問頂いた方には大変ご迷惑をおかけしました。

さて、仁川で行われましたアジア大会ですが、当初の目標である金メダルは準決勝で台湾に破れ、達成することができませんでした。


前回の広州アジア大会から強化を重ねて来ましたが、結局、広州大会と同じ銅メダルという結果に終わったことは非常に残念でなりません。

ワールドカップ大会、BFAアジア選手権、東アジア大会とこの4年間着実に結果を残してきただけに仁川アジア大会で勝つことをアマチュア野球関係者、更にファンの多くが期待をされていたことと思います。

ご期待に沿えず、大変申し訳ございませんでした。


準備はほぼ思惑どおりに進んだのですが、大会を振り返ると結局はアマチュアの嵯峨というか、悲しいかなドラフトで選手が抜けて行くという難しい課題が浮き彫りになってしまいました。
前回広州アジア大会の経験者は、主将の多幡、4番打者の林、捕手の上田と3名。
仁川大会までの世界大会経験者は、捕手の中野、外野手の松本、藤島、井領の4名と24名中7名だけが海外大会の経験者という現状。
特に投手にいたっては、経験者が0名という状況でした。

打線は、この経験者を軸にそれなりに力を発揮してくれたのですが、投手においては、持っている力を十二分に発揮できなかったと感じています。
勿論、準決勝 台湾戦の敗戦の責任は、全て監督である私の責任ですので、選手を責めるつもりは毛頭ありません・・・。

「経験者と未経験者の違いは?」と問われるとメンタル面での余裕の違いと考えています。
国を背負って戦うというのは、国内で行うどの試合よりも緊張感が増します。

「そんな馬鹿な」とご指摘を受けるかもしれませんが、これは、経験している人しか分からないものがあります。

両国の国家を斉唱し、ゲームが始まる独特の雰囲気の中での試合は、平常心を保つことこそが、難しいものです。

強化を行っていく上で、この経験の重要さは、アマ球界の誰もが十分認識しているのですが、それをコントールできるシステムに現在、野球界がなっていないため、今後も連続した強化というものは難しいと考えています。
世界大会を経験したプロ選手とアマ選手の混成でチームを構成していくということもトッププロが出場できない(シーズン中に行われる世界大会)大会で勝つための一つかと個人的には思っています。
この問題は、非常に重いため、野球界で慎重に議論を行う必要がありますが・・・。

とは言え、監督及びスタッフをほぼ固定して望んだこの5年間は、アマチュア代表として一つの方向性は示せたのではと自負しています。


招集された選手以外にもJAPANのユニフォームに対する意欲が上がって来たと周囲の方から沢山お伺いできたことは有り難かったです。

話は戻りますが、台湾戦の敗戦については、単に経験の無さという一言で済ませられるものではありません。
ベンチの采配、更には双方の力関係などもしっかりと見ていく必要があります。

次回は、「仁川アジア大会総括2」として、この辺りを中心に纏めてご報告します。

沢山のご声援を頂き、誠にありがとうございました。

強化にご協力頂きました全ての方に感謝申し上げます。

今後ともアマ代表をよろしくお願い致します。

2014年9月14日日曜日

アジア大会 侍JAPAN社会人代表チーム直前合宿報告1

只今、アジア大会に向けての直前合宿中です。
11日に集合、12日はJABAチーム ホンダ、13日はロッテと2試合を消化しました。
山形鶴岡での8月の強化合宿から選手個々人がどれぐらい課題を克服してきてくれたかをチェックしましたが、それぞれにこの1ヶ月間を必死で過ごして来たという印象を強く受けました。

この2試合は試合結果よりもチームの戦略がどこまで浸透し、現在の個々の状態がどの程度であるのかをしっかり見極めることをテーマとして、結果に一喜一憂しないようにと自分に言い聞かせながら戦況を見つめていました。

それにしてもロッテに4対6で負けたことは非常に悔しいものでした。

アジア大会で対戦する韓国代表が更に上を行く戦力であることは明白なだけにロッテには負けてはいけなかった。
ただし、前半で0対6と一方的なゲームを最終的に後半押し戻せたことはチームにとって自信となったと思います。

「アマチュアは粘りが身上、絶対に諦めない!」という強い気持ちが見えた試合であったと思います。

投手陣は昨年の中国天津で行われた東アジア大会の布陣と比較すると試合を観戦した方はやや物足りない印象を持たれるかもしれませんが、ベテラン投手が引っ張る形でそれなりにバラエティーに富んでいると思っています。

野手陣はパワー不足の感は否めませんが、シュアな打者が多く、つながりを身上として少ないチャンスをものにする力は持っています。

圧倒的な力で勝ち抜けることは出来そうにありませんが、粘って粘って最後に笑えるようにタフな気持ちで挑んで行きたいと思います。

今日はアジア大会の結団式に参加しましたが、いよいよ大会だという緊張感がこみ上げてきましたし、選手自身もそう感じてくれたと思います。

明日からJABAチームと試合をし、最終調整に入っていきます。

侍JAPANアマ代表チームに対するご声援をよろしくお願い致します。


2014年9月9日火曜日

フランス国際大会 吉田チャレンジ

ブログのアップが滞り、サイトを覗いて頂いた方には大変迷惑をおかけしました。

いよいよ今月はアジア大会が開幕。

それに向けて我が侍JAPANアマ代表チームも9月11日から直前合宿を関東地区で行います。

代表に選ばれた選手は、日本選手権の地区予選やその他大会の疲れもとれぬまま合宿に参加することになり、調整が難しい状況ではありますが、泣き言は言えませんので、心新たに日本の為に頑張って貰いたいものです。

さて、侍JAPANと言えば、この夏休みの間にアンダー12、アンダー15、アンダー18と世界大会、アジア大会が開催されました。

各カテゴリーとも良く頑張ったのですが、狙っていた色のメダルを獲得するまでには至りませんでした。

勝負ごとですから結果がたまたまついて来ないときもあります。

が、侍プロジェクトとして縦のシステムづくりを真剣に考える良いきっかけになったのではないでしょうか?

我々アマ代表という少し理解しづらいチーム構成と違い、各カテゴリーの代表チームの強化は次の将来に直結するものであり、更に最終的にはトップチームの強化となっていくこととなります。

(だからアマ代表が負けても仕方ないなんてことを言っているわけではありませんが…。)

世界的に見て野球はまだまだ一部の国の競技であり、サッカーのワールドカップのような人気ぶりではありません。

最近、WBCが開催されるようになって少しは世界大会にも目が向くようにはなりましたが、サッカーやバレーの比ではありません。

それだけに世界大会で勝つと目的が希薄であるというように思います。

(最近では復活しましたが)バレーボールが一時期、国際大会でおいていかれ、人気が低迷した時期がありました。

一方、今回の錦織選手の活躍により、一気にテニス人気が浮上してくることは誰でも想像できます。

同様に野球もWBCで惨敗するようなことがあれば、一気に人気が低迷するなんてことはあり得ると思っておく方が自然でしょう。

それに加えて少子化により底辺の競技人口を各種スポーツで奪い合いみたいなことは今後起こりえます。
付随して競技力のレベルダウンなんてこともあるでしょう。

いつまでも野球人気は大丈夫なんて思いでいたら大けがします。



話がずいぶん遠回りしてしまいました。

今日は上記内容を兎や角、言うつもりはなかったのですが…。

フランスで行われていた「吉田チャレンジ フランス国際大会」ですが、なんとフランスが優勝という結果でした。

結果は、以下JABAホームページ。

http://www.jaba.or.jp/taikai/2014/taikai_etc/yoshidachallenge.pdf

「どうせレベルの低い大会なんでしょ」と思われているかもしれませんが、日本からは都市対抗を制覇した西濃運輸チームが出場。

その他にもオランダも出場しているといった内容。


最近、ヨーロッパの動向をウォッチしていなかったので、本当に「フ・ラ・ン・スが」という感じです。

フランスの野球なんて見たこともないので、今度、西濃運輸に確認してみます。

西濃運輸はフランスにも、オランダにもかなりの失点を許しての敗退。

オランダの強さは知っていますので、負けることもあるかなと思いますが、フランスのチーム構成は一体どんなチームだったのだろう。

本当に知りたい!


今日は、この話題を取り上げたかったのに脱線してしまい申し訳ありません。

何れにしてもヨーロッパの野球は以前のヨーロッパではなく、かなり進化していると見るべきでしょう。

侍JAPANもうかうかできませんぜ!


気合い入れてアジア大会頑張ります!














2014年8月28日木曜日

2014アジア大会野球競技の組み合わせ

2014アジア大会 野球競技の参加国、組合せが決定しました。

大会参加チームは、当初予定の10チームから8チームへと変更となりました。

参加国は減りましたが、試合方式はかわらず、A,Bにそれぞれ4チームを分け予選リーグ戦を行い、各組上位2チームが準決勝へ。

準決勝はA1位とB2位、B1位とA2位が対戦し、勝者同士が決勝戦へ、敗者が3位決定戦を争うことになります。

参加国は、

A組 日本、中国、パキスタン、モンゴル

B組 韓国、台湾、タイ、香港

となります。

日本の試合予定は、

9月22日 18:30 中国
9月23日 18:30 パキスタン
9月24日 REST
9月25日 12:30 モンゴル
9月26日 REST
9月27日 準決勝
9月28日 決勝

という流れです。

以前にもブログで話をしていますが、予選を2位までに入るのは確実ですので、最大の山は準決勝。
韓国または台湾にまず勝たねば金メダルはないということになります。

当然、金ダルを獲るためには、韓国、台湾に連勝する必要があります。

韓国は、新聞報道でも紹介されているとおり、キム ガンヒョン、ヤン ヒョンジュン、カン ミンホ、パク ピョンホ、キム ヒョンスなど、WBC仕様の文字通り韓国代表チームとなっています。

台湾は、MLB所属のマイナーリーガーを中心としたチームで、特にブリュワーズでローテーションにも入っていたワン ウェイチェン、横浜DENAベイースターズで先発経験もあるチェン グゥアンユの両投手が加わったことで強力な布陣になっています。

いずれも強敵であることに間違いありません。

大会日程は、他の大会に比べ余裕があり、準決勝では万全な形で韓国または台湾と対戦ができそうですので、今から楽しみにしています。

アマ代表は、昨年、一昨年とアジアの大会を2連覇してはいますが、今大会は各国ともメンバーを強化しており、少し様相が違います。

今までの経緯は忘れ、あくまでチャレンジャーの立場で立ち向かって行きます。

ご声援よろしくお願い致します。

2014年8月27日水曜日

第96回夏甲子園大会総括を見て

夏の甲子園、大阪桐蔭高校の優勝で幕を閉じました。

優勝戦は投手の踏ん張りもあり、クロスゲームとなり、見ごたえのあるゲームであったと思います。

三重高校の采配が、準決勝までと違い、決勝は慎重になっていたような。
決勝戦、更に相手が地元大阪桐蔭というプレッシャーが影響していたのかなと思いました。

それも含めて大阪桐蔭高校の強さと言えるのでしょう。
西谷監督、大変おめでとうございます。

さて、今朝ほど、某新聞に今大会の総括が掲載されていました。

タイトルが「投手力強化 課題残す」。

理由は、以下原文のとおり。

打率2割8部2厘は第92大会(2010年)の2割9分6厘以来の2割8分越え。
一方四死球は363個で、近年では第93回大会(2011年)の387個につぐ多さ。初回の大量失点が多く、「打高投低」の傾向が顕著だった大会は、投手力の強化という課題を残した。


そもそも、野球はゼロサムスポーツであり、一方が良ければ、一方が悪い結果になるという特徴があります。

打率があがると投手の防御率は一般的には上がる傾向となるのは当たり前の話であります。

したがって、今大会のデータだけをみると、「打高投低」となる。

間違っても「打高投高」という表記は有り得ないはずですから。

「何が言いたいのか」

この見出し部分についてです。

「投手力に課題を残す」大会であったという表現については、いささか疑問が。

まず、投手力に課題を残すとありながら、何が課題なのかが記載されていない。

見出しで大きく「課題を残す」と打ち出しながら、何が課題かが明記されていないのはどうか。

おそらく、初回の失点、四死球が多かった、沢山安打を打たれたというデータを見てだけの評価でしょう。

私は、テレビでの観戦でしかありませんが、少なくとも投手力は上がっているなという印象を持ちました。

球速は年々速くなっているし、殆どのチームが140kmを投げる投手を持っている。

また、球種も豊富で緩急、左右の揺さぶりも出来るようになっている。

明らかに投げるだけではなく、場面を意識したかなりレベルの高い、ピッチングをしているという印象を受けました。

よく若者に言う「色気づきやがって」というような投球を行っている。

特に決勝に勝ち上がった2校のエースは、正に投球術で打者を打ち取っていました。

加えて、どのチームもエースと同等の控え投手を複数抱えている点が目立ち、明らかに投手力は年々あがっていると評価せずにはいられないでしょう。

一方、打者は

相変わらず「ちら見(投球直前に捕手の動きを盗み見る行為)」は後を絶たたず不快感を覚えますが、全体的に「打つ」という意識は前面に出ており、更にベンチワークでも「犠打のケース」と思った場面でも強攻するなど打撃に自信を持った采配が行われるケースが目につきました。

よく言われている「当てにいくような打撃」が少なくなってきたなという印象で、全試合を観たわけではないですが、積極的にバットを振っていたように思います。

打撃に対する指導者の意識が変わってきたのかなと感じたほどでした。

特に、大阪桐蔭、三重、敦賀気比の打撃は特に凄ったなという印象です。

横道にそれましたが、

全試合数が48試合。
それぐらいのデータでは、悪い結果の対戦、例えば、参加チームの中の1,2校が四死球を10個以上出してしまえば全体の数値は跳ね上がるわけであり、投手力が弱かったという評価とは一概に言えなくなる。

数字の見方を間違えると評価も変わってくるということになります

冒頭で書きましたが、「投手力に課題を残す」という根拠が何なのかを押さえること。

それが議論の対象となって強化策に繋がっていくわけですし、非常に重要だと思います。

何となく論評などでは、「・・・に課題」とかいう見出しをつける傾向が多いです。
その方がよく考察されているような感覚を受けます。

しかし、今大会に限っては、「随所に積極的な打撃、攻撃力が向上」というような見出しの方が良かったような気がします。

全試合観ているわけではないので、「それは違うぜ」とお叱りを受けるかもしれません。
あくまで雑感であり、批判ではありません。
マスコミに対しても、悪意を持っているわけではありませんので、ご容赦下さい。

2014年8月19日火曜日

甲子園を観て感じること

甲子園熱戦が繰り広げられていますね。今大会は接戦が非常に多いような気がします。

球場に詰めかけるファンの数も心なしか多いような。

北陸勢の活躍も後押ししているのでしょうかね。
富山をはじめとして各県高野連の強化がもの凄く熱が入っていると聞いています。

さて、大会を見ていて特に感じることは投手の継投策が当たり前になってきていること。

各チームともちゃんと投げれる選手を2,3人抱えています。
選手の肩への負担軽減を考慮したチームづくりが進んできているのかと思います。

投手の分業を推進することはエースの影に隠れて埋もれていた投手が脚光を浴びる機会を得ることにも繋がります。

甲子園は球児にとっては、野球を行う場であることを勿論ですが、以後の進路に影響を及ぼす場であるとも言えます。
多くの方の目に留まることによって、次の可能性が広がることにも繋がります。

しかし、昔は投手をやっている人は大方攻走守3拍子揃った選手が多く、控え投手でも他のポジションを守っているというケースが多かったのですが、最近は、背番号2桁台がベンチからマウンドへ上がるというケースが増えましたね。

プロ野球の影響からか投手が専門職という風潮が強くなってきています。

高校野球レベルにおいては、私見ですが、この点は少し疑問を持っています。

多くのポジションを経験することによって得られるものは、ジュニア期においては非常に多くあるように思います。

専門化することによって、練習量、質の向上は図れるかもしれませんが、将来の可能性を考えると複数のポジションを併任した方がプレーやとしての幅が広がると考えます。

そう言いながらも投手と野手を併任することは容易くなく、さらに投手の技術は簡単にマスターできるものではないので、ある意味一定の技量を得るためには時間を要することになります。

高校3年間の1,2年生を野手併任、3年ぐらいから専門的に投手となるぐらいが理想ですが、指導する側からすると早く投手を育てたいという想いが強いですから中々難しいのでしょうね。

育成はチーム事情に影響されるものですからチームごとに考え方が変わるということも頭に入れなければいけません。

「理想と現実は違う」と指導者のジレンマに陥ることになります。
育成と勝利を連動させることは本当に難しい!

それにしても最近の高校生投手の完成度は、目につきます。ピッチングが大人の投球をしています。

インターネット、テレビなど良い情報が瞬時に見られる環境が早熟させている要因だと思います。
それにしても凄いなと素直に思っています。

さあ、折り返した甲子園大会、全力でプレーする球児の健闘を期待します。

2014年8月13日水曜日

U15世界大会 最終成績

U15世界大会ですが、決勝でキューバがアメリカを6対3で破り、金メダルを獲得しました。

今大会の最終順位は
1.      キューバ
2.      アメリカ
3.      ベネズエラ
4.      台湾
5.      メキシコ
6.      パナマ
7.      日本
8.      ブラジル
9.      オーストラリア
10.     アルゼンチン
11.     ドイツ
12.     イタリア
13.     チェコ
14.     グゥアテマラ
15.     ニュージーランド
16.     南アフリカ
17.     香港
18.     リトアニア
となりました。

おそらく、スコアだけを見る限り、上位6位チーム+日本の7強とそれ以外かという戦評ですが、実際のところは見ていないので鹿取監督に今度確認してみます。

成績及び参加国をご覧のとおり、WBC(ワールドベースボールクラッシク)では聞かない国が参加しており、更に最近WBCで目覚しい活躍をしているオランダの名前もありません。
WBCのように2世代前までの親族が保有している国籍で自由に参加が許可される場合と違い、実質、ネイティブ国籍で戦うようなジュニアの大会では、強いとされる国が変わってくるということが分かります。

今回の大会もそうですが、ジュニアの大会では、中南米対アジアという戦いですね。
個々の技術力が高いで中南米と投手力を中心としたチーム力のアジアと言えるのではないでしょうか?

今回の結果は、アメリカを含めた中南米チーム軍配があがりましたが、アジア圏も劣っているわけではありません。

これからU18、U21が今年開催されます。
U15の分まで上位の成績を残してくれることを期待しています。

2014年8月11日月曜日

お疲れ様!侍JAPAN U15代表

メキシコで行われたU15世界大会はキューバ対アメリカの決勝を残すのみとなりました。
3位決定戦ではベネズエラが台湾を下し、3位を確定したみたいです。
日本は残念ながら7位という結果でした。

計18チームが参加したこの大会ですが、以下の流れで大会を消化してきました。
予選第1ラウンドは、
18チームを3グループに分けて、6チームで構成される各グループで総当りを行い、順位を決定します。
続いて行われる第2ラウンドは、
第1ラウンドの各グループ上位2チームを集めた1位から6位を決めるグループ
各グループ3,4位を集めた7位から12位を決めるグループ
各グループ5,6位を集めた13位から18位を決めるグループ
の3グループに分けて各グループで総当りを行い、順位を確定するステージとなっています。
更に1位から6位を決めるグループにおいては、グループ順位が決まった後に1位と2位による決勝、3位と4位による3位決定戦がエキストラマッチが行われ、メダルが確定します。


このように過酷な戦いが続きますので、最終的には優勝するには総合力が必要となります。

世界大会では、ステージが上がるごとにタフなゲームが続くことになりますが、あまり先を見過ぎた采配をすると第1ラウンドでこけてしまうし、第1ラウンドで入れ込みすぎると第2ラウンドで消耗して減速してしまうことに繋がります。

戦略としては、第1ラウンドは力関係を見て、絶対に2位を死守するような戦略をとることが妥当と私は思っています。
第1ラウンドをクリアしなければメダル獲得はなくなります。
つまり、第1ラウンドで負けても仕方ないなというチームに全力で立ち向かって例え敗戦したとしても、「これは仕方ない」とダメージを引きずらずに、次の絶対に落としてはいけない実力が伯仲している2位狙いのライバルチームを倒すことに全力を傾けることが肝要です。

世界大会では、勝ちあがれば、同じ相手と大会期間に幾度と対戦する機会が出てきます。
敗戦を引きずらず、リベンジの機会を伺うぐらいの気持ちで予選は戦う方が良いかと思います。

今大会で日本が入ったグループBはアメリカ、パナマがいてかなり難しいパートに入ったなという印象を持っていました。
アメリカに接戦で破れたため、後のパナマ戦は少し敗戦のショックを引きずったのかもしれませんね。

ジュニアを含めたアマチュア野球ではこのようなリーグ戦の大会が少なく、負けることに対する免疫が出来ていません。
世界大会では、予選を全勝突破しても、4勝1敗で突破しても最終的な順位に大きな影響を及ぼすことはありません。「徐々にチーム力を上げていくのだ」というぐらいの気持ちで試合をする方が良いかといつも世界戦を観てそのように思います。

今回の日本チームは、鹿取さんが監督を努められたわけですからこの辺りは十分承知されているので、そのようなことは無かったかとはと思いますが・・・

予選の第1ラウンドをクリアできなかったための7位であって、妥当な順位とは思いません。
実力はもっと高いレベルにあったと思います。
改めて世界大会の難しさを感じましたね。

しかし、このようなタフな試合を乗り越えて選手一人ひとりは逞しく成長してくれたと思います。
1人の成長に留めず、国内の仲間に世界は広いということをしっかりと伝えて貰い、将来の日本野球界のリーダーに育って欲しいと思います。

侍JAPAN U15代表チームの皆様、お疲れ様でした。

2014年8月8日金曜日

強化合宿を経て想うこと

前号でアジア大会の強化合宿の総括を致しましたが、その最終日に会見が行われ、
「大会では、どのような戦いをされますか?」というご質問を受けました。
「昨年の東アジア大会から投打の主力選手が抜け、かなりフレッシュなチームになった。」
「投手力は昨年に比べ、世界大会を経験した選手が少ないため未知数な部分がある。」
「打力はそれ程代わらないが、昨年と比較して長打は余り期待できない。」
「また、更に相手(韓国、台湾)の投手レベルもかなり上がっているため、簡単に打ち込めないと思う。」
「したがって、少ない点数を守りぬくという展開になるし、勝つには接戦に持ち込むしかないと考えている。」
と回答したのですが、マスコミの方が飛躍して「守り重視の野球を目指す」という翌日の新聞記事になっていました。
話を要約するとマスコミの方が言うとおりですが、バッティングコーチという立場で全日本活動に長きに渡り携わってきたこともあり、「打ち勝ちたい」という強い想いは特に持っています。
ブログ内でもコメントしているとおり、4年間の集大成の位置づけである今回のアジア大会ですが、間に行なわれた大会に参加した選手がプロに行ったこともあり、大会ごとにチーム構成員が大きく変わるなど、4年間連続した強化が出来たかというと疑問が残ります。
世界大会では何よりも経験が優先します。
環境の問題、審判の問題、海外投手の独特な投球フォームなど、知らないより知っていた方が良いに決まっています。
我々コーチが「アジアの投手はこのような特徴がある」とレクチャーをするよりも「百聞は一見にしかず」で経験することにより、対応策を選手が進んで講じようとします。
今回の大会では、韓国はプロトップスター、台湾もMLB所属の投手が参加することとなっており、我々社会人選手が体感したことが無い、スピードレンジ(球速域)、変化であることは間違いありません。
何度も対戦した相手であれば、事前に策を練ることもできますが、殆どが初めて対戦するわけで、試合を進めながら対応して行くしかありません。
更に、次から次へと良い投手をつぎ込まれると慣れる時間さへも与えてくれません。
結局、最後は本当の打撃技術を持っていなければ打てないということになります。
国内で打っている選手でさへ、またプロの打者でもかなり苦労することとなります。
アマチュアの場合、卓越したバッティング技術を持っている選手は、それ程多くいるわけではなく(そういった打者はプロへ進んでいます)中々打つのが難しいというのは想像できるでしょう。
だからチーム力で攻略していくしかないと思っており、会見のコメントになったわけです。
では、「どうやって崩していくのか?」。
皆さんの興味あるところだと思いますが、戦術になりますのでご容赦下さい。
弱者が必ず負けるということもなく、やる前から悲観する必要もありません。
寧ろ勝って当たり前と評されている韓国チーム、台湾チームの方がプレッシャーはかかると想います。

強化合宿を終えた後のこの1ヶ月で参加した選手の意識がもう一段アップしていることを期待していますし、心の中では「打ち勝つぞ!」といつも思っています。

2014年8月6日水曜日

侍ジャパン社会人代表 鶴岡合宿

8月1日〜本日まで、アジア競技大会に向けて代表24選手を招集し、山形県 鶴岡ドリームスタジアムでの強化合宿、更に本日の横浜ベースターズとの強化試合を行って参りました。

先ず、感想は、非常に暑かった!

特に鶴岡は日中37度を超える温度計の表示。

鶴岡では、午前中を練習、午後小休息、夕刻よりナイターの試合というタイムスケジュールを三日連続で行いました。
今回の合宿の目的は、チーム方針の理解と相互のコミュニケーションを図り、寄せ集めの集団を一つのチームにすることが目的です。
更に私の立場では、戦力の把握も目的の一つでした。

東北のJABA加盟チームのご協力により、暑い中3試合をしっかり行うことができたなど予定通りスケジュールを消化できたことは非常に良かったですね。
残念ながら試合内容は思うような結果とは行きませんでしたが、選手は実直に戦術を理解しようと意識を持ってプレーを行ってくれました。

今回のメンバーは世界大会を経験している選手が9名しかおらず、その他の選手は未経験者であり、更に全日本の合宿に参加したことがない選手も居るという構成で、ある意味フレッシュなチームとなっています。
それ故にまだまだチーム相互の中で遠慮する場面が見え隠れすることもあり、次の直前合宿の課題となりましたが、アマチュアの強みは結束力、所謂、チームワーク。
直前合宿でキャプテン多幡を中心により強固な結束を作りあげ、大会に望みたいと思います。

合宿には韓国の偵察チームも乗り込んで日本チームのデータを精力的に取るなど迫るアジア大会へのムードが高まって来ました。
勿論、我々の気持ちが昂ってきたということです。

今回の合宿で選手に対して、「社会人代表チームではない、他国から見れば日本代表なんだ」「だから決して負けられない」と話をしています。
選手もその意味を理解し始め、本日の横浜ベースターズとの試合では相手がプロでも負けては行けないと意地を見せてくれました。

次回の直前合宿は9月11日から関東地区にて行います。

選手は今日の試合終了後に自チームへ戻りました。
この1ヶ月でどれぐらい成長してくるのか非常に楽しみにしています。

アマチュア代表チームの選手もがんばっていますので、ご声援をよろしくお願い致します。

最後に鶴岡の野球連盟の皆さんの献身的なご協力に感謝申し上げます。


2014年7月29日火曜日

都市対抗 決勝戦 直前予想

都市対抗いよいよ最終日となりました。
JX-ENEOSの3連覇を止めた西濃運輸と実力が開花し始めている富士重工業と決勝戦。
お互いに久々の決勝を迎えることになり、選手の気持ちも昂ぶっていることでしょう。

さて、準決勝の直前予想では明確に記載をしませんでしたが、この準決勝は点差が開く可能性が大だなと思っていました。
JX-ENEOSは不安である大城の次の柱投手の不在、今大会前から自慢のNTT東日本の打線が本調子でなかった。
対して、西濃運輸、富士重工業は都市対抗の試合を行う度に攻守のバランスが上がって来ていたことが根拠です。

とは言え、残念ながらJX-ENEOSは3連覇を逃しましたが、安定的な力を数年発揮していることからも日頃の練習がいかに良い練習をしているかが覗いしれます。
また、NTT東日本は名将 垣野監督からバトンを受けた飯塚監督が今までと少し違ったカラーを出して大会を盛り上げたことは次大会への期待を膨らませました
両チームの健闘を讃えたいと思います。

さて、決勝予想ですが、おそらく、西濃運輸が佐伯、富士重工は猿川(日立製作所補強)の先発が予想されます。
投手力は、コマ数で富士重工有利のように見えますが、西濃運輸の佐伯、佐竹(トヨタ自動車補強)の両ベテランのキャリアは数不足を補うには十分すぎる力があります。
打線の力とそれから状態も五分五分。

試合の鍵は、富士重工は、クリーンアップの出来、西濃運輸は1,2番の出塁かと思っています。
また、西濃運輸は、エース佐伯が5回まで持ちこたえること、一方、富士重工は猿川が都市対抗の決勝戦を意識せず、新人らしく攻めの投球ができるかがポイントとなってきます。
当たり前の話ですが、先発の出来次第と言える決勝戦になるでしょう!

話は変わりますが、月曜日にアジア大会の韓国代表チーム24名の発表が行われました
WBCでも活躍したキムガンヒョン、アンジンマン、韓国球界の主砲 パクピョンホなどが
選出されるなど文字どおりのドリームチーム構成となっています。

決勝戦には、我が侍JAPAN社会人代表の選手である主砲 富士重工 林、エース格の西濃運輸 佐竹(トヨタ自動車補強)の2名が双方のチームに分かれて対戦します。
終盤には両者の対戦も見られるでしょう。非常に興味があります。

さ、泣いても笑っても今年の都市対抗も最終日、悔いの無い戦いを期待しています。

2014年7月28日月曜日

都市対抗 準決勝 直前展望

大盛り上がりを見せている都市対抗もいよいよ今日 準決勝、明日 決勝の3試合を残すだけとなりました。
今年は精力的にJABA大会、都市対抗予選を視察して回った成果か、ほぼ4強は、自分の中では予想的中。

その中でもNTT東日本だけは、春先の調子を見た限り、予想を反する健闘ぶりです。いつから投手力のチームに変身したのか・・・。
とは言え、ここからは投手も疲れてくるため、NTT東日本が優勝するためには、打線の力が不可欠となります。打者陣の活躍が注目ですね。

王者JX-ENEOSの今大会の戦いぶりは見事としか言いようがないですね
1チャンスの生かし方、選手の集中力は他のチームも見習うべきところが多いと思います。野球は、9回トータルの勝負であるという基本的な考え方がチームにしっかりと浸透しているような気がします。
この1点、次の1点の意味を理解しているということでしょうか・・・。
ただ、若干、本来打たなければならない主軸に当たりが出ていないのが気がかり、これからの試合では、主軸の活躍が不可欠となりますので、期待したいところです。

前号でも書きましたが、今年の西濃運輸は今までのチームカラーを完全に払拭しています。
今年に限ってという前提となりますが、本当に強いチームが出来あがってます。
林監督も「試合をしていて楽しい」とコメントされているように全員が試合にかかわっているという雰囲気がベンチに漂っています。
但し、新人を含む未知数の選手が大活躍しているので、これからの2試合でその未知数の選手が優勝を意識しないで、今までどおり戦えるかが鍵となるでしょう。
勢いはこの4チームの中でダントツだと思います。
今日のJX-ENEOS戦は、胸を借りるつもりで戦って欲しいですね。

ダークホースの富士重工は、予選までは、誰がエースか分かり辛い投手起用をしていました。ここに来て、新人の小野、補強選手の猿川(日立)の粋の良い投手が完全に柱と化しましたので、投手力は優勝チームとなってもおかしくない戦力が整いました。
攻撃陣においては、元々ポテンシャルの高い選手が多いチームですが、まだ繋がっているという雰囲気はありません。ランナーを前に前に進めていくというようなバッティングをやり始めると打線爆発というようなこともあるやもしれません。

さあ、プレーボールまで間もなく。
今日の2戦はそれぞれに特徴があるチーム同士の対戦で面白い戦いとなりそうです。

2014年7月24日木曜日

高校野球へのタイブレークシステム その2

高校野球タイブレーク導入についての第2弾。
タイブレークのシステム内容は、前号でお分かりいただけたかと思います。
今日は個人的な感想を!

侍JAPANプロジェクトが昨年から開始され、全世代のJAPANチームが同じような方針で強化を図っていくということを目標に掲げています。
侍JAPANは世界で勝つことが使命であり、世界に日本の野球の素晴らしさを伝えることが付随した目標となります。
ということは、世界大会のルールに則した形で日常より試合を行っていることがこの目標を達成するには一番の早道であることは誰もがお分かりでしょう。
社会人、大学では、いち早くこの考え方で国内ルールを変更し、延長数回(大会ごとに回数は規定)を行った後、それでも試合が決しない場合はタイブレークを行うことを全国大会レベルでは導入しております。
厳密に言えば、社会人は世界大会導入前よりタイブレークシステムを導入しているのですが。
アマの世界では、世界ルールに則る形で進んでいると言えるでしょう。
現在の世界大会のカテゴリーは、
トップチーム(WBCやアジア競技大会などにプロ、社会人、大学選手が出場)
アンダー21(プロ、社会人、大学選手が出場)※今年から新設
ユニバーシアード(大学選手が対象)
アンダー18(高校生が出場)
アンダー15(中学生が出場)
アンダー12(小、中学生が出
場)
となっています。

世界大会のルールはカテゴリーに係らず(ジュニアの場合は、試合イニングの違いがある)統一であり、9回で勝敗が決しない場合は、即延長なしでタイブレークとなっています。

このカテゴリー分けの中で国内においてタイブレークが導入されていないのは、(プロを除く)U18の高校野球だけとなっています。
他のカテゴリーでは、導入時のいきさつは別として一応世界大会を意識した形式となっています。

したがって、この流れで行くと高校野球もその方向で進むのは決しておかしな方向ではなく、寧ろ自然な流れであると言えるのでしょう。

大会ルールが延長戦か、タイブレークかの違いによって、戦術は大きく変わって行きます。
例えば、延長戦のケースは、9回の攻防で、10回は引き続きの打順を想定し、回って来ない打順にリリーフ投手をおいたり、代打、代走を出したりします。
しかし、タイブレークでは好きな打順から打ち始めることもあり、クリーンアップには代打や代走を出し辛いということが生まれます
特に終盤の攻めでクリーンアップなどへの勝負の代走を送る場合に躊躇することもしばしばあります。


逆にタイブレークでは、5番以降の打線が力不足と総合力で劣っていても、好きな打順から始められるため、タイブレーク1回で決着をつけることが可能となるなど、何とかタイブレークまで漕ぎ着ければ力が劣るチームも勝てるというケースが増えます。

というように、もし9回で勝負が決しない場合は、延長か、タイブレークかにより、このように戦略そのものが変わるため、大きな違いがあります。

さて、日本における高校野球位置づけは、他の野球の盛んな国における高校野球の位置づけと異なり、高校野球そのものが文化となっています。
更に野球界の中でも、高校野球というステータスが出来上がっており、野球界という括りに留められていない特別なものとなっています。
ある意味、プロ野球と高校野球は他のカテゴリーから独立していると言っても過言ではなしでしょう。
特に高校野球は、日本の文化であり、象徴的な存在となっており、その大切な文化を壊してまでも世界基準に合わせる必要があるのか?という議論になるのでしょうね。

数々の名勝負が生まれ、そのたびに国民が一喜一憂し、感動を共有する高校野球。
簡単に決断できないのは、このような背景があるからです。
誰かが「世界で勝つために、タイブレークを導入するのだ」と言ってしまえば、誰も反論することはできないのですが、その誰が言うかが決まっていない野球界にも弱さがあります。
今回のタイブレークの導入については、単に高野連が判断する内容ではなく、WBCに繋がる強化策として日本野球界全体で判断をする事項とも言えるでしょう。

個人的には、世界基準に揃えるべきという意見ですが、強化方針が未だ確立できていない以上、それほど強く即導入すべきと言えないなとも考えます。

私のブログをスポーツに携わるマスコミの多くの方がお読み下さっていると聞いていますので、今回はマスコミの方を意識して書いたつもりです。
高校野球において、タイブレークを導入するということがどのような意義があるのかという本質を問うて、高校生への負担軽減、試合時間の短縮などを議論して頂ければと思います。

第85回都市対抗大会 初日〜5日目までを観て

都市対抗野球を開会式から5日間観戦してきました。
今年から毎日ダイジェスト版(23:00-23:30)が放送されることとなり、そのゲスト解説の依頼を受けたため、5日間も都市対抗にはまり込むことになりました。
ただ、代表チームの選手を7月16日に発表したこともあり、代表選手の状態をチェックするには非常に良い機会となりました。

さて、今年の都市対抗ですが、JX-ENEOSの3連覇が第一の関心事となっています。
1回戦JR東海に終盤まで追い込まれた状況から劇的な逆転勝ちしたこともあり、3連覇の序章のような気もしました。
試合終了後にJX-ENEOSの大久保監督と立ち話をした際に「相手チームがJX-ENEOSを意識しすぎているね」と私が言うと「そう感じます」と大久保監督も言っていました。
昨年の大会でもありましたが、相手チームが好投している投手を早めに交代したり、逆につぎ込まなければ行けない場面でワンテンポ遅かったりとか。
このように相手が勝手にこけてくれるようになるチームこそ真の強いチームの証なんです。やはりJX-ENEOSは強いのか・・・
とは言え、昨年の投手力よりも若干劣るので、以降のJX-ENEOSの戦いを見守って行く事といたしましょう。
では、JX-ENEOSの対抗馬は?
1,2回戦を見る限りJR東日本、西濃運輸かなという気がします。
JR東日本は、片山投手のできがここ数年で一番良く、若手が伸びている。
西濃運輸は1,2番打者がチャンスメーカとして機能しており、更に補強選手の状態が良いという点が挙げられるかと。
特に西濃運輸は、予選からの勢いを持続。チームの雰囲気がとても良いと感じました。
若手とベテランがしっかり融合しています。
勿論、1発勝負ですから分かりませんが、あくまで決勝まで残る戦力があるかという点で観た私見です。
これからの戦いはほぼレベル差がありませんので、接戦必死となることは間違いありません。面白いゲームが見られそうです。

大会展望はそのくらいにして、大会を視察しての感想は・・・。

まず、代表選手がよく活躍してくれています。この点はホッとしています。
それからここまでの試合、良く本塁打が出ています。
初日は、8本も一挙に出ました。
このペースであれば間違いなく、昨年の本塁打数を更新するでしょう。
関係者からも「本塁打が良くでますね」「どうしたんですかね?」などと質問されますが、決して飛ぶボールを使用しているわけではないので、打者が頑張っているのでしょう。
ここ数年、投高打低の大会が続いていましたから打者が奮起してくれているところも頼もしく感じています。
版で押したように無死1塁のケースでの犠打という采配も5日間を見る限り少なくなってきていると感じました。
各監督さんとも点を取らねば勝てないという意識が強くなってきているのかな。


クラブチーム同士の戦い、逆転劇があったり、タイブレーク試合があったりと1日で3度のドラマが観れる都市対抗野球は改めて面白いと思いました。

でも、流石に夜の生放送5日連続はサラリーマンには辛かったですね!

2014年7月18日金曜日

第17回アジア競技大会日本代表チーム

7月16日に第17回アジア競技大会の日本代表チームが発表されました。

※選手紹介はこちら →(侍JAPAN社会人代表

勿論、選手選考にあたっては、数度の選考会議が開催され、色々な角度、アジア大会を勝ち抜くにはという視点で議論を重ねました。

先ずは、メンバーに選出されました24名の選手に対して「おめでとう」と申し上げます。
代表選手になるというのは、実力もさることながらタイミングを含めた「運」もあります。アジア大会に選ばれるべくして選ばれていると思い、胸を張って代表チームに参加して貰えればと思います。

残念ながら代表選手から洩れた、特に最終選考まで残った選手の皆さん、おそらく大変悔しい思いをされていると思いますが、これをバネに更に素晴らしい選手になられることを期待しています。

昨年の東アジア大会代表チームから多数の選手がプロ野球へ進み、3分の2は新戦力となりました。それだけに選考には非常に苦労しました。
今まで以上に委員の方に球場に足を運んで頂き、相当の情報を集め、多くの選手を観てきたつもりです。

戦術になるため選考のポイントは明かすことはできませんが、選手一人一人を観て頂ければどういう野球をするのだろうかは何となくお分かり頂けると思います。

今回のアジア大会の強敵は、台湾、中国、韓国となりますが、特に地元開催の韓国が最強と言っても過言ではないでしょう。
「シーズンを止めて大会に望むオール韓国に勝つためには」という視点で選手選考にあたりました。
ドーハアジア大会で同じような韓国ドリームチームを下したようにアマ代表の力を再度見せる機会を持てたことだけで今からワクワクしています。

侍JAPANトップチームと同様、ご声援のほど、よろしくお願い致します。

明日から都市対抗野球が東京ドームで開催されます。

代表選手も出場し、更に社会人野球を盛り上げてくれると楽しみにしています。

球場に足をお運び下さい。よろしくお願い致します。




2014年7月16日水曜日

高校野球へのタイブレークシステム1

高校野球のタイブレーク導入について物議が起こっていますね。

高校野球へのタイブレークシステムの導入についての個人的な意見は次号に記載することとして、今回はタイブレークシステムについての説明を行いたいと思います

社会人野球においてのタイブレークの導入については、サッカー、ラグビーなどのスポーツと違い、試合時間が長過ぎるため観客に配慮されていないということがそもそものルールが導入された発端です。

一日に3試合を行うケースが殆どの社会人野球では、東京ドームの外に次の試合の観客を長時間待たせるということはファンを失うということに繋がり兼ねません。
当初は、賛否両論ありましたが今では定着してきて、それなりに面白みもあります。

一方、国内で一番早く同システムが導入された少年野球では当然ながら選手への負担の軽減ということが第一優先され、導入されていると思います。
では、世界大会では?

オリンピック復活には競技時間の短縮が命題であったということもあり、当時のIBAFで同問題を検討されていた時に日本から提言を行い、採用されたという経緯があります。

したがって、現在のWBCを含む、各世代における世界大会は、タイブレークシステムが導入されています。

日本で行われているタイブレークシステムは、お互いに1死満塁という状況で得点を争うのに対して、世界大会では無死1,2塁から始まります。

また、日本では、以前は、タイブレークに入る前のイニングの終了打者の次打者から打つということが主流でしたが、最近ではゲームを一旦振り出しに戻してフェアな状態で勝敗を決するべきとする世界大会の方式に則り、双方が好きな打順で攻撃できるように変更しました。

タイブレークになった瞬間から今までの試合の流れは関係なくなり、同じ状況で試合をすることになりますのでフェアと言えるでしょう

日本の1死満塁と世界大会の無死1,2塁となぜ違うのか?

定かでない記憶ですが、日本も当初無死1,2塁から始める検討をしたらしいですが、結局、犠打で送って1死満塁というケースになるのであれば時間短縮で1死満塁にしようと結論付けたと聞いています。

世界大会へも日本が1死満塁の採用を提案をしたと思いますが、野球は1イニングを3アウトとルール化されており、攻撃もしないで、1死の権利を奪うというのはルール上おかしい。この1死の記録をどのように扱うかが難しいというのが世界大会では無死1,2塁から始まるとなったと理解しています。

日本側の言い分は確かに分かるのですが、1死満塁では作戦的には打つという選択しかなく攻防という点では面白みに欠けます。

無死1,2塁からでは点差または表、裏によっては、バント更にはエンドラン、盗塁という作戦も加わり、更に守備隊形も変わってきますので、ベンチワークの難しさが加わります。

実際、広州のアジア大会で台湾とのタイブレークを経験しましたが、1球1球で局面が変わるといっても過言でないぐらいベンチワークは大変でした。
今どっと疲れた記憶が蘇ってきました。

アマチュア野球のように一つの球場で一日に3試合、4試合をこなすと試合時間が長く感じるのは当たり前であり、タイブレークシステムを導入することは合理的であると思います。

逆にプロ野球やメジャーのように1日に1試合しかやらないのであれば勝敗を決するまでやるほうが野球本来の試合の流れを楽しめるということになるのでしょう。

このような背景を知って、タイブレークシステムを議論しなければならないでしょう。

今日はご参考までに情報でした。

2014年7月11日金曜日

テンポとリズムについて

夏の高校野球予選が各地で開催されています。
私の地元長崎でも本日開幕致しました。

長崎文化放送さんから決勝の解説の依頼を受け、お引き受け致しましたので地元の方は是非ご覧頂ければと思います。

また、ベースボールマガジン社より発行されている「高校野球4」という本に私が解説している「コンパクトディフェンス」の特集が掲載されていますので、あわせてご覧戴ければと思います。

さて、少し投稿が滞っていましたが、今日は野球の試合を観る視点の一つとして、「テンポとリズム」ということを取り上げてみたいと思います。

良く「投球のテンポがいいですね」とか「守りのリズムが良いですね」などと解説者がコメントされていることを聞きますね。
勿論、「テンポが良い」「リズムが良い」というぐらいですから良い方向の言葉であることは間違いありません。

「投球のテンポが良い」というのは、サイン交換から投球までの時間が短いバッテリーを賞賛して使われるケースが多いのですが、投手と捕手の呼吸が合っているということでしょうか。
しかし、幾ら投球間隔が短くとも「ストライクが入ったり、入らなかったり」では、テンポが良いとは見えません。

逆に、そういった場合は、一呼吸置いてなどと解説者は良くいいます。

となれば、「投球のテンポが良い」というのはストライクが先行することが求められることになります。

次に「守備のリズムが良い」ですが、これは打者の放った打球が守備側の守備範囲に来て、確実にアウトにしているという状況が続いているということでしょうか。
となると安打を打たれているケースでは「守備のリズムが良い」という表現は使われることはないということですね。

「守備のリズムが良い」というのは、バッテリーと野手の呼吸があっているということになります。投手が意図したところに投球し、野手がその投球を観て打球の方向性を予測し、実際に飛んで来る打球を確実に処理すると言ったところでしょうか。

「テンポの良い投球が野手のファインプレーを生みましたね。」と言った解説も正にその象徴でしょう。

我々指導者は「試合に投球される全球に集中して守れ」などと選手に檄をよく飛ばしますが、1試合の1球1球に集中することは選手にとっては簡単なことではありません。
特にストライクとボールが交互となるような投手が投げているケースなどでは、「さあ来るぞ」と身構えても「ボールか〜」となかなか集中するのが難しい。
またジュニア期におこり易い「アウトコースを狙った球が逆玉となってインコースへ」などとコントロールに難があると野手の予測は立てづらくなってしまいます。
これでは、野手も集中が出来なくなってリズムも生まれなくなってしまいます。

以上の内容を良く良く考えてみると、テンポもリズムも結局投手のコントロール次第と言えると思います。
「この投手が投げると良く野手がエラーするんですよね」というような指導者がコメントをされているケース身近にありませんか?
そういう投手に限って、「三振か四球」というような一人で試合を作るタイプの投手だったりするものです。

野手はいつ自分のところへ飛んでくるのか予測できない投手ほど大変なものはありません。

「打たせて取る投球」と安易に良く使いますが、投手はどのような投手でも「打たせない」と思って投球しているわけで、たまたま、その結果が「三振」であったり「ゴロアウト」になるわけです。
強いて表現するならば、「野手の予測がし易い投球を行う」という表現ぐらいでしょうか。

纏めると、テンポは結局は投手のコントロール次第、リズムは守備側の予測の的確さと正確な技量が必要。その守りのリズムが最終的には攻撃のリズムも生み出すことに繋がると言ったところでしょうか。

野球は90%は投手次第と良く言われますが、試合をコントロールするのは投手であることを投手を任されている選手は自覚する必要があります。

東京ドームで行われる都市対抗野球のダイジェスト版放送、地元放送局での高校野球の解説でもこの辺りの視点で攻めてみたいと思います。

では、今日はこの辺りで。



2014年7月1日火曜日

第85回都市対抗野球の見どころ

サッカーワールドカップ大会、日本代表は予選敗退に終わりましたが、ワールドクラスの試合に大会の盛り上がりは未だ衰えずという感じです。
「ルーズベルトゲーム」で注目度が上がっています社会人野球、都市対抗野球大会の抽選も行われ、7月18日から熱い戦いが東京ドームで展開されることとなります

今回から新たに関東地方を中心として深夜時間帯で連日都市対抗ダイジェスト版が放映されることになっております。
大会前半戦のコメンテーターを依頼されておりますので、ご興味ある方はご覧下さい。

さて、今回の大会、JX-ENEOSの3連覇がかかった大会となっています。
春先から少し調子が上がらなかったJX-ENEOSですが、直前の北海道大会を見てもやはりと投手陣の踏ん張りが絶対条件となるでしょう。
昨年、主力として大活躍をした三上投手(現横浜ベースターズ)の穴が埋まりきっていないという感じがしていますが、そこは大久保監督の手腕にかかるのかと。昨年の磐石な状態からするとやや不安を抱えながらの大会になることは間違いないでしょう。

対抗馬は、JX-ENEOSの壁をうち敗れていないJR東日本が筆頭かと。
昨年の牽引者であった吉田投手(現オリックス)、田中内野手(現広島カープ)の穴を感じさせない充実した戦力補強が今年も出来上がっていると見ています。
但し、関谷、東條の新人投手がキーマンとなっていることから大会の雰囲気にのまれるという懸念材料もあり、初戦の戦い方が最も重要となるでしょう。

続いては、HONDA(和光市)。
円熟したベテラン野手に若手の投手陣が融合し始めてきているため、試合を観る度によくなってきている印象です。
実力がありながらここ数年、本大会では脆いという感じが否めませんが、今年は投手力が充実しており、簡単に崩れることはないのかなと感じています。
迫力ある打線を持っているチームですから攻守が噛み合えば勝ち進むことは可能かと思います。また、西郷兼任選手のホームラン記録にも注目したいですね。

更にかずさマジック。
昨年の日本選手権の制覇で選手が連続優勝という意欲が高い。
エース加藤を中心に典型的な接戦型のチームスタイルは健在。それに加え、充実した補強選手を加え、更に層が厚くなったと考えています。
派手さはないですが、侮れない存在であることは間違いありません。



さて、東高西低、関東対それ以外の構図が出来上がっているここ数年の都市対抗、私がダークホースとしてみているのが、西濃運輸と東海REXの2チーム。
西濃運輸は、復帰されたベテラン監督の林監督に鍛え上げられているなというプレーが東海予選では多く目につきました。豊富な練習量からくる自信というものが随所に予選では出ていたように感じました。
絶対的な投手はいませんが、レベルの高い投手陣であることは間違いなく、更に補強選手でトヨタ自動車から好投手を加えており、安定感を増して大会を迎えることができるのではと思います。

一方、東海REXには東海予選において勢いを感じました。
特に若い投手陣にボールの力がある投手が多く、打者に向かって行く姿勢には、チームの状態の良さが象徴されていると思いました。但し、久々の出場ということでドームの雰囲気に馴染むまでに失点をするとかなり苦しい展開になるため、このチームも初戦の出来次第ということになるでしょう。

この他では今年チームのバランスが良い日本新薬、近畿を制した三菱神戸、長年JR九州の牙城を崩せなかった九州地区を制したHONDA熊本あたりが目につきます。

とチームをあげましたが、補強選手が加わると全く別チームになるため、正直、どこが勝ってもおかしくなく、正に戦国大会になるのではと予想しています。
一歩リードというような特出したチームがないと断言しても過言ではないでしょう。

各地区予選でも波乱の大会の兆しがあります。
室蘭シャークス、全足利クラブ、松山フェニックスが企業チームを撃破して本大会にコマを進めていますし、更に初出場となる永和商事が激戦東海地区から代表となるど。
本大会でも何か起こりそうな予感が・・・。

初戦の入りが上手く行ったチームが「あれよあれよ」と勢いを保ちながら優勝まで漕ぎ着けるというケースもあり得ると思います。

優勝チーム予想は難しいので辞めておきますが、今年の都市対抗もまた面白い戦いが展開されることは間違いないです。


是非、ドームに足をお運び下さい!

2014年6月26日木曜日

サッカーワールドカップで考えさせられる強化策

前号で国際選手強化について取り上げたところ、皆様関心があるようで沢山の方にご覧頂けたようで今日は少しその続編を。

本日、ザックが退任会見を行っていました。
負けたから責任を取るという潔さを感じましたが、一方で何が駄目だったのかという監督しての原因分析があまり無かったように感じました。
確かに短期的なゲームの責任はチームを預かる監督にあると思いますが、4年間の強化となるとサッカー界全体の話になるのかなと思いました。
まだ試合が終わって間もないということもあり、今から分析を行うという段階で直ぐに話が出来ないとも考えますが、強化本部長あたりからの話は聞いてみたいものです。
もしかしたら強化本部長あたりから報告あっているのでしょうが、ザック退任だけ取り上げられているのかもしれませんが・・・。

話は変わりますが野球において長期で強化を行った大会は、プロが参加し始めたシドニーオリンピック以前、つまりアトランタ大会、バルセロナ大会、ソウル大会、ロス大会とアマチュアが出場をしていた時代です。
4年間というスパンで同じように強化を図ってきました。
正式に言うと4年間というスパンで強化体制を作って、監督を固定して取り組んだのはバルセロナ大会、アトランタ大会、シドニー大会と記憶しています。
具体的な強化策は、年間数回にわたる代表合宿と国際マッチ、当然、海外に出向いての試合などが柱となります。
その中で、中核を担うであろうという選手を中心に激しい競争を行い、最終的にチームが作り上げられました。
当時20名の最終メンバーを選ぶまでは野球連盟も大変なご苦労があったと思います。

出場したバルセロナ大会しか理解していなという前提ですが、数多くの合宿によってチーム内の結束も固まり、更にお互いの思考を理解し、チームルールなどが自然と出来上がってきました。
また、数多くの国際マッチを経験することにより異国で野球をするということに対する免疫は完全に出来上がったと思っています。
選手同士で練習計画を立案し、更にプレーの意識合わせなどのディスカッションの機会を多く持ちました。
全員がそれぞれに与えられた課題をクリアするように、次回合宿までに少しでも改善できるように自チームに戻ってからも努力していたと思います。
それもこれも国を背負うという責任感の醸成がスタッフによって図られていたことに尽きると思います。

さて、今回のサッカーワールドカップ大会に話を戻しますが、強化という点で、私が凄く気になったのは、大久保選手を土壇場で選出したこと、更にスタメンで起用したことの2点です。
4年間強化を図って来て、最終メンバーを発表するという段階で今まで合宿やテストマッチにも呼ばれていない選手をいきなり選出したということは、現況、つまり同じポジションに不安、または不満があるということであり、今までプレーをしていた人間にとってはあまり面白くない話であることは間違いありません。
特に最後の点を取るという部分が弱い日本チームにとっては、4年間の最重要強化ポイントであったはずです。
だから柿谷選手や香川選手、大迫選手などを積極的に起用、育成していたはずではなかったのか、なぜこのタイミングで大久保選手かと疑問を抱いたのは私だけではないと思います。
大久保選手の能力は既に皆が承知していたはずですが、敢えて直前まで召集しなかったのは現有勢力でやっていけるという判断ではなかったのかと思います。
大久保選手が絶好調、しかもベテランであり、今までの流れも理解してやってくれるという結局は信頼感がそのような決断をしたと思います。
が、強化という視点でみると怪我で外れるような選手もいない状況では、判断したのがザックなのか、連盟なのかは良くわかりませんが敢えてチームバランスを崩すかもというリスクを冒してまで、そのような決断は普通しないと思います。
召集しているメンバーはプロフェッショナルであり、置かれた環境でプレーするということにいくら慣れていると言っても、阿吽の呼吸でプレーをするサッカーみたいな種目では微妙なにチームバランスにズレが起きることがあるのではと素人ながらに考えます。
サッカーを専門的にやったことがない人間の意見ですから、「素人が分かるわけない」とお叱りを受けそうですが私見ですのでお許しを。
特に大久保選手の活躍が悪かったとかいう類の考えではないので・・・。
しかし、この辺りの真意は是非聞いてみたいですね。

とサッカー界の批判をしているように聞こえるかもしれませんが、はっきり言って、サッカー界の強化は他の種目よりも進んでいると個人的には考えていますので・・・。

再び、野球界に戻りますが、オリンピック種目から外れている現在、中期スパンによる強化的な動きが無かった野球界。
参加した国際大会の殆どが大会前にぱっと寄せ集めて試合をしているという状況です。
その中でも世界ランキング2位という位置を保っているのはある意味凄いことです・・・。

今回「侍JAPANプロジェクト」が今後その重責を担うこととなりますが、野球界を一本化するのには時間を要するのかなと懸念しています。

それには、先ずは2017年のWBCに向けて、プロ側が模範となって強化に取組むことが一番の早道です。
侍JAPANとしての興行も重要ですが、国民は勝利を一番期待しています。
是非、小久保監督をしっかりバックアップしてWBCで勝つて頂きたい。

強化担当の鹿取さんの腕の見せどころです。鹿取さん、頑張れ!

2014年6月25日水曜日

サッカーワールドカップに見た国際選手強化

サッカーワールドカップ ブラジル大会 日本代表チームは大変残念な結果となりました。サッカー界と野球界、国内で切磋琢磨しながらスポーツ界を盛り上げている中、何とか世界でも通用するというところを見せて欲しかったというのが本音ですが、勝負ごとですから上手く行かないときもあります。

ただ、サッカーやラグビーなどに代表されるコンタクトスポーツではやはり体格的なハンディを感じずにはいられません。

真剣勝負になればなるほど、激しいコンタクト戦が繰り広げられ、最終的には身長差だとか体格差だとか、運動能力の差だとか悲しいコメントが解説の口からも出てきます。

テストマッチや非公式な練習試合などでは、それ程、激しいプレーをしない外国チームが一転、ワールドカップ大会だけは別物とからだを張ってのプレーが目を引きます。
正にワールドクラスのプレーですね。

日頃から勤勉な日本人は、練習試合でも本大会でもプレースタイルを変えることはしませんので、今大会のように最後のひと頑張りという時の余力が残っていないのかなとも考えてしまいます。

ラストスパートに弱い国とも言えるのではないでしょうか。
殆どのスポーツ種目で最後の最後で必ず負けるシーンを目にすることが多いですね。

そういった意味では、選考逃げ切り型の国民性なのでしょうね。
優位に立った状況では、「それ行け」となりますが、劣勢の状況では耐え切れなくなって結局自滅するパターンが多い。

昔から日本人がそうだったのかと言われるとそうではないのでしょうが、発展途上国に代表されるようにスポーツで生計を立てるしかないというように追い込まれた生活環境に育った人間と比較的安定した日本のような国で育った人間とでは、(私を含めて)「何が何でも」という最終的なメンタルの差が出てくるのでしょうか?

結局は、ハングリー精神の差と言われるのですよね。

一方、今後、敢えて生活環境を劣悪にし、選手を追い込み、東京オリンピックに望むなどという戦略は本末転倒ですから有り得ないことですので、日本のスポーツ界にとって「メンタルタフネス」は非常に難しいテーマになってきていると思います。
世界で戦うということは、諸外国とのスポーツ文化と戦うということであり、日本の常識はまず通用しません。
日本人が美徳としているフェアプレーの精神も不本意ながら通用しないこともしばしばです。
ルールぎりぎりのラフプレーなどは日常茶飯事であり、日本が世界に「ラフプレーをやめよう」と働きかけても中々目を向けてくれないという現状もあります。
だから目には目をというような行為をしていいというものではないですが、世界で戦うためには其れぐらいの心構えで望むことも必要となってくるのでしょうか?

これが日本スポーツ界で活躍する選手が世界大会で戦うジレンマとなっているのかもしれませんね。

競争社会の中で「一番になりたい」という気持ちが芽生え、「絶対に勝つんだ」という向上心が宿ります。
決して学校教育を批判している分けではありませんが、今の学校教育の機会均等という流れでは、このハングリー精神は育ちにくいということは間違いないと思います。

では、スポーツ界はどのような対応をすれば良いか問われると自立した選手を早く作りあげ、国際経験を積ませるしかないのではと・・・。

自立した選手とは指導者や保護者の言いなりではなく、自分で判断し、行動をしていくような人間を作りあげること。
これに国際経験を早い段階から行い、国際大会では「それが当たり前」ともの応じしないような状況を作りあげること。

それには、当然ながらお金が必要となりますので、スポンサー企業から育成資金を調達する。また早い段階でスポーツ事業に興味のある会社とジュニア選手とマネージメント契約を締結するなどのような仕組みを作り上げることが重要でしょう。

とは言え、日本のジュニア期ではスポーツは学校教育一環、人間形成を目的として推奨されているため、このようなイレギュラーな考えは到底受け入れられないのですが・・・。

このように国際強化においては、今の日本におけるスポーツ文化と逆行することが沢山あります。
強化する側も「良く頑張ったね」と言える程度で良しとするのではなく、本当に勝つためにはと真剣に考える時期が来ているのではないでしょうか?

ワールドカップ大会を見て改めてスポーツの素晴らしさを痛感しています。

スポーツは国民に勇気を与えます。

東京オリンピックで日の丸が多く掲揚され、この国に生まれて良かったと誇りに思えるような強化を図って行って欲しいものです。

2014年6月18日水曜日

サッカーワールドカップで監督を考える

サッカーワールドカップ大会で盛り上がる日本列島ですが、野球界はひっそりとスケジュールを消化しています。

ワールドカップが終了すると都市対抗、甲子園、そしてプロ野球の優勝争いと野球が鼻息荒くなってくることは間違いありません。

また、今年は小久保侍JAPANがアメリカを招いて日米野球に望むことが決定しており、オフシーズンの話題になることは間違いありません。
「またコーチで入るんですか?」と多くの方に聞かれますが、今回の日米野球はプロ選手のみということで、私のコーチとしての帯同は今回は無いかと...。

ま、それよりも今年はアジア競技大会での「金メダル獲得」という監督としての最大の責務がありますので、そちらにまずは集中したいと思います。

以前小久保JAPANの台湾遠征に帯同した時に「アマ代表」とのスタッフの数の違いに驚かされたとブログにも感想を書きましたが、アマ代表の監督の仕事は多岐に渡ります。

選手選考、視察に始まり、相手国の情報収集、分析、当然ながら戦略、方針立案、更に現地連盟との調整、場合によってはチームマネージャーとしての行動など。

加えて通常の仕事を抱えておりますので、野球だけに集中できないという制約がかかります。

と泣き事を言っているわけではなく、確かに大変ですが、それはそれで結構自分の為になっているなと思っています。

野球の事ばかり考えていても中々発想に行き詰まることもあり、仕事をしている時に色々なヒントを貰えたりして。

私の今の仕事は、三菱重工から長崎県産業労働部に出向し「長崎県に新エネルギーを導入して産業の育成、雇用の創出を目指す」というミッション。
そういったことで、大手商社さんやその世界の著名な大学教授、国の各省庁関係者の方、更に電力会社の方など幅広い分野の方とお会いすることがあります。

殆どの方が侍JAPANのコーチ、アマ代表の監督ということは知りませんから、その情報を人を介して聞いたりし、次回お会いした時には「びっくりしました!」なんて良く言われます。
そりゃそうですよね、世間一般論から言えば侍JAPANのコーチが野球以外の仕事をしているなんて想像もつかないですからね。

通常の仕事もできる(出来ているかどうかは人が評価するのですが)日本代表監督なんていうのも中々よろしいのでは。

一方、アマ代表の監督としては。
何から何までやる必要があるので、時間を作るのには苦労をしますが、その分、相手国の特徴や戦力の分析については頭に入っていきますね。

WBCなどでも良く目にする光景ですが、監督が通訳付きでホームプレート上で相手国とメンバー交換するシーンやプレーに対する抗議を目にしますが、私は自分一人で行く事にしています。
JOC海外在外研修でアメリカに1年行かせて貰ったこともあり、大方の作法は分かっているつもりですし、更に三菱重工の営業として外国の方とやり取りなどをした経験も少し自信になっているからか。

特に英語が堪能という訳ではないですが、国際大会の監督を受ける以上は最低でも通訳なしで台頭に渡り会う必要があると思っているからです。
時々、通じていないなと思うことがありますが。

と、私は監督は野球を熟知しているということは一番重要なことですが、判断や決断をするにおいては色々な経験をしていた方が柔軟に対処できると考えています。

「仕事と野球、大変ですね」と多くの方に労いの言葉を頂きますが、若い頃から高校も進学校で「文武両道」でそれなりに大変でしたし、そのお陰で創意工夫する癖はついているような気がします。

自分が素晴らしい監督だと自負しているのではありません。

色々な経験をして、名実ともに「野球バカ」になれば良いと思っています。

ワールドカップ大会をテレビで見ていると何故か私は元日本代表監督の「オシム」の顔が浮かんできます。
オシムの一言一言には、重みがあり、且つ教養を感じ取れました。
彼の書籍は結構購入しました。
日本代表の監督してどうだったかはサッカー関係者ではないので良くわかりませんが、指導者として非常に尊敬しています。

そうそう、現監督のザッケローニもプロのプレー経験がないと先日知りました。
ジュニアのクラブから代表監督まで上り詰めたらしいですね。

結局、指導者はプレーが上手かったから指導も上手いかは分からないということでしょうね。

日々研究の毎日。肝に命じて、任務を全うします。




2014年6月13日金曜日

アジア大会の展望〜アマ代表選考過程

9月に開催される韓国アジア大会の会場の紹介をしてきましたが、実は未だに野球競技に関しては、参加国が確定していません。

基本的に、10カ国と言われていますが、どうなることでしょう。

少なくともアジアの4強と言われる韓国、台湾、中国そして日本とその他という構図が変わることはありませんが・・・。

今のところ10カ国を2グループに分け、予選リーグ戦を行い、その後、各グループの上位2チーム同士による決勝トーナメントを行うという形式をとるようです。

決勝トーナメントは基本的に4強の争いになることは間違いないかと思いますが、メダルがかかる準決勝の組み合わせは予選のグループ振り分けにかかることになります。

A,Bの2グループに分かれるとすれば、準決勝でA組1位 対 B組2位、B組1位対A組2位 という対戦カードになります。

通常、予選グループ分けについては、IBAF(国際野球連盟)が示す国際ランキングの上位チームから振り分けを通常行います。

国際ランキングについては、以下のアドレスに詳細に記載されていますので参照下さい。
http://www.ibaf.org/en/infopage-detail.aspx?id=149f4e9a-9427-4a7b-b8df-18ab77845d33

現時点(2014.4現在)のランキングを考えると
A組 日本(世界ランク2位)、韓国(世界ランク8位)、
B組 台湾(世界ランク4位)、中国(世界ランク20位)
というのが順当な考え方でしょう。

このようにグループを想定するとB組の1位が台湾になる可能性が強いことから準決勝でB組2位の中国と戦いたいというのがA組に入ると想定される日本と韓国の心情。
となるとグループ1位通過を賭けての予選における韓国戦はメダル争いの最重要試合という位置づけとなります。

普通このように予想をするのですが、世界ランクでは格下の中国が台湾だけには強いんですよね。

今回の大会形式とは違いますが、予選総当りで戦った昨年の東アジア大会の予選の最終戦で中国と台湾が対戦。
台湾が勝てば、予選1位通過、中国が4位確定、その時点で日本が2位、韓国3位という順位に。

順当であれば準決勝で台湾対中国、日本対韓国という組合せになるところ、何とタイブレークの末、中国が台湾に勝ってしまった。
それにより予選順位がガラリと替わり1位 日本、2位 韓国、3位 中国、4位 台湾となってしまい。
結局、翌日の決勝トーナメント準決勝では、お互いに想定外の日本と台湾の対戦となってしまった。
この試合でも日本に負けた台湾は、本来であれば2位以上が固い組合せであるにも関わらず、3位という結果になってしまった。

中々順当に行かないというのが世界大会であるということを知って貰えればと思います。

とは言え、一番プレッシャーがかかる試合はメダルが確定する準決勝の試合であり、準決勝でどこの国と対戦するかを想定するかは、戦略を立てる場合に重要な試合となります。
特に投手の起用については・・・。

大会要綱も来ていない中、長々と試合の展望めいたことを記載してしまいました。


一昨日、この大会に出場する社会人選手を競技力向上委員会にて約30名程度に絞りこみました。
この後、メディカルチェックを経て、7月中旬には最終的に24名代表選手を選出します。

その後、8月1日~5日にて山形鶴岡で一次合宿を行い、9月の大会を迎えるということになります。

直向なアマ代表も今後ともよろしくお願い致します。

2014年6月9日月曜日

仁川アジア大会会場視察2〜韓国プロ野球

前号で韓国視察の初日の話をしましたが、今日は二日目、アジア大会のサブ球場となっているネクセンヒーローズが本拠地とする木洞(モクトン)球場での視察の報告を致します。

その前に今回の視察ですがドーサン・ベアーズの香田コーチ(元読売ジャイアンツ)、試合チケットなどの手配を頂きました。
香田コーチは元読売ということは皆が知っていることですが、私の2学年下で同じ長崎の出身です。佐世保工業時代には甲子園出場を経験されています。
私は対戦経験はないのですが、海星の酒井、佐世保工業の香田、清峰の今村、長崎日大の大瀬良と長崎の高校野球界では今でも記憶に残る選手として長崎県人が憧れる存在であることは間違いありません。
その香田コーチとの会話の中で、「プロでも結局、練習した奴が最後まで生き残るんですよね」という印象深い言葉が忘れられません。
一時の成果は、長い期間でみれば成功ではないということでしょうか。
プロ野球で長く野球を続けるためには、結局は練習しかないということなのでしょう。
今後の指導の糧にしていきたいと思います。

元に戻って、二日目の視察の報告ですが、木洞球場は、全面人工芝でフィールドはかなり狭いです。外野の観客席もなく、外野の膨らみが少ない、良く本塁打がでる球場のように感じました。
実際にこの試合乱打戦となりましたが、ネクセンヒーローズの3番打者から5番打者が何れも本塁打を放ち、特に4番打者は、2打席連続でほぼ完璧な本塁打でした。
一本は、120mのはるか上に設置されている電光掲示板の最上段にぶち当てたものでした。
香田コーチも話をしていましたが、日本のプロ野球と比較しても韓国は良く本塁打が出るような錯覚を受けるといっています。「打球の勢いが違う」という言い方をされていました。
韓国の打者は、パワフルな打者が多く、特に中軸打者は体格的にもボディービィルダーのような逞しさがあります。
一部の打者のパワーが並外れている?ソフトバンクのイ・デホが象徴ですかね。
では、攻略のポイントは?
今は明かせませんが少しイメージできましたので、チーム編成をしっかりと組みたいと思います。

一方、韓国投手ですが、術というよりも、打者と同じようにパワフルな投手が多いですね。スピードガン表示が殆ど140km中盤という内容。
緩急というよりも速球系のチェンジアップ、カットボール、スライダーというのが主体かと思います。
台湾の柔らかい投法とは違い、パワー投法とでもいうかボールの勢いがあります。
速いボールに対応する練習が必要となってくるでしょう。

と収穫の多かった二日の視察でしたが、やはり生で観るのと映像とでは臨場感が違うということを改めて思いました。

都市対抗予選が終われば、いよいよ24名を決める作業に移ります。

この韓国の地で日の丸を掲げられるようにしっかりとしたチーム作りを行います。


2014年6月6日金曜日

仁川アジア大会会場視察〜韓国プロ野球

本日よりアジア大会が行われる韓国仁川のスタジアムを確認に来ております。

某出版社様の取材企画も兼ねておりますが…。

さて、本日、視察した球場は、SKワインバーズが本拠地とするムナク球場、内野が天然芝できれいな球場です。
観客席が外野まで3階構成ですり鉢球場ですね。


メジャー球場のように外野の3階席の一部が芝生席となっており、バーベキューも可能。
と家族向けの場所も確保されております。

今日、視察した試合は、ワインバーズ対ベアーズの試合。
ベアーズには元読売ジャイアンツで投手として活躍された同郷の香田コーチが所属されています。
試合前練習中にお話 (高校以来かな)する機会を得ましたが、韓国プロ野球の印象とか選手の気質など大変興味深い話を聞けました。

今日の試合の感想ですが、スターティングメンバーの中でも力の差があるなというのが一番かな。
簡単に言うと層が薄い。
WBCの韓国チームの力は皆さんご存知のとおりですが、韓国プロ野球においては代表チームのような選手ばかりかというとそれほどではなく、チームに凄いなというレベルの選手は其れ程多く存在しないのかなという印象です。
とは言え、プロ選手ですからレベルが低いわけではありませんから誤解なきよう。
また、アジア大会に出場する韓国代表は、シーズンを止めてWBCクラス、所謂凄いなと言われる選手が参加すると言われています。おそらく間違いありません。

何度も韓国代表チームと対戦していますが、相変わらず荒いという感想に変わりはありませんが、ただ今日の試合で、韓国のスーパースターであるキム・ガンヒョンが投げていたこともあってか、ワインバーズの監督が3回裏0対0無死2塁のケースで3番打者に送りバントのサインを出しました。

先取点を取りたかったというのは分かりますが、プロの世界でこの采配は大変珍しく、韓国でもこういう野球をするんだと驚きを覚えました。
また送りバントのサインがこの試合でも結構出てましたし。

韓国もスモールベースボールなるようなもの流行っているのかな!
良くわかりませんが…。
頭には入れて置かなければなりませんね。

その他の特徴として代表チームを筆頭に韓国では、1番打者が特に足の速い選手、しかも左打者というのが多いですね。打力は落ちても出塁を重んじ、更に足でかき回すという戦術が定番のような気がします。
韓国でジャイアンツの坂本みたいな豪快は1番打者は少ないと思います。

韓国野球の特徴は、大方頭に入っているのですが、やはり直に観てみると先入観で判断しては行けないなと改めて感じました。

都市対抗予選の結果が気になる中、来てよかったな。

それから今日は自分が観たことがないようなバントシフトをベアーズが取りました。
今後の日本代表の参考となるプレーでしたので、輸入したいと思います。

それにしてもキム・ガンヒョン、相変わらずいい投手でした。
左投げで150km超え。
アジア大会で対戦できたら嬉しいな。

明日も何か気づき事項あれば引き続き報告致します。






2014年6月2日月曜日

都市対抗予選視察〜東海地区

5月31日(土)、6月1日(日)の二日間、東海地区の都市対抗予選を視察に行って参りました。
先ずは、フルアテンドを頂きました東海地区連盟に対して御礼申し上げます

さて、久々に岡崎球場に足を運びましたが、自然に囲まれたいい球場ですね。

現役時代に何度か実際に試合をしたこともあり、広いという感覚がありましたが、意外にも本塁打が出るんですよ。

「飛ぶボール使っているんでは?」なんて疑念を持つぐらい。

東海地区委員の方も年々本塁打の数が増加してきていると話をしておられました。

東海地区は打力が少し弱いかなという印象でしたが、視察した試合だけでしたが打者が頑張っていましたね。

以前このこの地区の予選は大変だとブログでもご紹介しましたが、打者の成長は、この大変な予選の成果かもしれません。

今回の視察、JABA競技力委員からの報告を元に視察を行いましたが、今後が楽しみという選手を何人も見つけました。

東海第一代表を決めた西濃運輸の若手投手、決勝を争った東海REXの投手、それから永和商事ウィングの打者とか。

145km以上のスピードガン表示を
投げる手元のリストに載っていない選手が複数いました。

「今年は昨年と比べて社会人にはいないですね」とプロスカウトから良く言われますが、いやいやどうして結構出てきていますよ。


と言いながらも、最近の社会人野球では、製造業チームでも高校生を採用することが少なくなったことや、大学への進学率が高くなったこともあり、高校生を採用して長いスパンで育成するケースが昔よりも少なくなってきています。

高校生の原石が、大学またはプロへ流出し、高校生のスーパースターが社会人野球で活躍するということが少なくなっています。
昔で言えば、野茂(新日鉄-近鉄-ドジャース)、塩崎(松下電器-西武ライオンズ)、渡辺(NTT四国-西武ライオンズ)などのような選手ですかね。

加えて、体が大きくて能力の高い選手は大学から社会人を回避してプロ野球へ進むケースが多くなっており、身体能力の高い大型選手が社会人、特に野手に少なくなっています。

投手については、逆に昨今の科学的な体力トレーニングにより早熟化され、大学生投手も社会人投手のスピードレンジとあまり変わらなくなっており、大学時代に主戦投手ではなかった選手においても社会人で十分通用するという現況のようです。

各企業の事情もありますが、1人ぐらいは高校から直に採用し、大型選手として育成していくようなシステムがあっても良いのかななんて思っています。

社会人野球事態が厳しい状況下にあり、負けたら廃部の危機に直面しているチームも多くあり、育成する時間などないという事情も良くわかりますので何とも難しい問題ですが。

野球の面白みは、決して大型化だけではありませんが、スケールの大きな、豪快な選手は観ているファンからすると楽しみがあります。

話が脱線しましたが、東海地区、正直、関東地区に比べて少し劣るかなという印象でしたが、今年は少し違うなという印象を持ちました。

第1代表を争った西濃運輸、東海REXが牽引していることは間違いありません。

東海地区の都市対抗本大会での活躍が非常に楽しみです。

第1代表を決められました西濃運輸チーム様に敬意を表し、今日はこのあたりで。


2014年5月29日木曜日

ジャッキーロビンソン〜野球の力



都市対抗予選話題は、一休みして。今日は少し違った観点で。

自宅の書棚に置かれている本を眺めていると「BASABALL」と書かれた原書が目に。
久々に手にとって改めて眺めました。

この本、JOC在外派遣研修でサンディエゴパドレスに1年間コーチング留学していたころに現地の書店で購入したもので、アメリカの野球の歴史が古い写真などを数多く使って紹介されています。

BASEBALLの起源とか、発展の経緯、MLBの歴史などが記載されていますが、全文英語で記載されていることもあり、購入して既に10年以上経過しているにも関わらず読破までは至っていません。
持ち歩きができるような重さと大きさではなく、寝る前に手にする程度であるため、頁が進まなかった。というのが言い訳です・・・

この本の中で一番インパクトがあり、また多く取り上げられているのは、4月15日にメモリアルデーがあったブルックリンドジャースのジャッキー・ロビンソン。

アフリカ系黒人というために根強かった人種差別に会い、それに真っ向から立ち向かい、ドジャーズの一員として長きに渡って活躍した選手です。

「42~世界を変えた男」と映画にも取り上げられました。

恐らく本や映画などでは伝えられない苦痛があったはずです。

それを跳ね除け、人種差別という問題に完全に立ち向かっていく苦労は私ごときには理解できないと思います。

ただ、1人の選手の勇気ある行動が、人種差別という大きな問題に風穴をあけたという素晴らしい事実は理解できましたし、BASEBALLにはそのような力があるということを我々は知っておく必要があると考えました。

また、体を鍛えるとか、心身を鍛えるとか個人的な鍛錬のためにスポーツはあるのではなく、世界平和に寄与しているということを我々は誇りに思い、それに恥じないような行動をすべきであると改めて思います。

1997年4月15日から背番号42をMLB全体で永久欠番とし、「ジャッキー・ロビンソン・デー」として彼の功績を讃えると伴にBASEBALLの役割を次代のプレーや引き継いでいます。

皆さんもこの日にMLB選手が全員42番の背番号をつけて試合をしている姿を放送で見たことがあると思います。

「42」の映画、実は観たいと思っていたのですが、まだ観ていません。
近々、観てみたいと思っています。

BASEBALL、大きく言えばスポーツは世界を変えることができるということでしょうから、我々今携わっている人間もしっかりとその精神を受け継いで後に繋いでいかなければと改めて思った一日でした。

今、都市対抗予選を戦っている皆さん、皆さんのプレーで何人の方が感動し、勇気を得られているか。
誇りを持って、全力で戦って下さい。





2014年5月27日火曜日

都市対抗東京予選〜弱者の理論

「ルーズベルトゲーム」ばかりを頭だしにしていますが、今日はそのモデルチームとなっている鷺宮製作所。
昨日、敗者復活1回戦で新鋭のゴールドジムベースボールクラブに負け、都市対抗本大会への出場が絶たれたとニュースをお伝えしなければなりません。

「クラブチームに負けたの!」と思われる方も沢山おられると思いますが、東京地区の監督にゴールドジムベースボールクラブについて聞いてみると上武大、八戸大とか企業チームに負けず劣らずの出身選手を抱えており、更に練習もしっかりやれているとのこと。決して侮れないというレベルだそうです。

実際、鷺宮製作所も先発にエースを立てるなど、決して油断をした采配ではなかったようです。

では、力が五分五分であったかというとおそらく鷺宮製作所の方が戦力は上であったと思います。

ルーズベルトゲームのモデルチームとしての周囲からの期待も倍増していたことやここ数年都市対抗本大会に出場できず、「今年はなにが何でも」という気負いがゲームにおいて逆の方向に働いたのだと思います。
再三再四のチャンスを生かせなかったというのが物語っています。

都市対抗の予選だけは、「何が起きるか分からない」と社会人野球の関係者は口を揃えて言うほどです。
力の差があるチーム同士の試合を前に「試合はやって見なければ分からない」と社交事例的に使う言葉がありますが、予選においてはそれが本音と変わって行きます。

プレッシャー!一言でいうとそうなると想いますが、7対3の力関係が押し迫る緊迫感により、5分5分という力関係となってしまうのが常です。恐ろしいものです。

実際、ドーハで行われたアジア大会の日本対韓国の試合もそうでした。
韓国は、兵役免除+報奨金をかけて韓国プロ野球のドリーム選手でチームを構成。韓国国民も「アマチュアで構成される日本には負けるわけがない」と誰もが思うような力関係でした。
私たちも予選を視察した際に正直同じような感想を持ちました。
しかし、試合は一転、日本がリードする展開に!そうすると韓国の選手が普段では考えられないミスを侵し、固くなった打者のスゥイングが目立つようになってきました。

同点まで追いつかれましたが、結果的に逆転を許さなかったことで我々日本チームの士気が落ちなかったことが最終的に劇的な長野(当時日本大学、現読売ジャイアンツ)のサヨナラ本塁打を生んだ要因となったことは間違いありません。

弱者が強者を追い込むには、兎に角、先制をしてリードした有利な展開に持ち込むことが金星をあげる条件となります。
そういう意味では、1回の攻防が全てとなると思っています。
先手を取るということであれば、先攻を取るのが良いでしょう。
世界大会では先攻と後攻が大会運営上、試合前に決まっていることが殆どなので、中々思い通りにはならないのですが・・・。
国内トーナメントでは殆どのチームがジャンケンに勝って後攻めをとる傾向が強いので、比較的先攻となるのは容易です。

1回の表の攻撃が最終回ぐらいの覚悟で望むと思わぬ展開が生まれることがあります。
弱者の理論と言われればそれまでですが、力関係の差を埋めるための戦術として実際に奇抜なことをやっていました。

逆に力関係に開きがあるチームとやる鉄則は、リードを許した展開にしないこと。先制点を奪うこと。試合を諦めるように早めに点差を開くこととなります。

今回の鷺宮製作所とゴールドジムクラブの試合展開は、正に初回の攻防で3点を奪ったゴールドジムが行けるという雰囲気になり、その裏に2点を直ぐに返した鷺宮製作所は、点差をすぐに詰めたことによりいつでも返せるという気持ちに陥ったのではないかと勝手に想像しています。

当事者に聞いて見なければ確かなことは言えませんが大方金星が生まれる際はそういう状況下になった時に起こります。

鷺宮製作所はJABA静岡大会を制した素晴らしいチームであり、伝統あるしっかりしたチーム方針を持ったチームです。
ルーズベルトゲームのモデルチームとしての対比で色々なプレッシャーがあるやもしれませんが、日本選手権の代表権は既に獲得されていますので、日本選手権での活躍を期待しています。

ルーズベルトゲーム第5話で大事な試合を前に高ぶる部員を前に
「何のために野球をやっているのだ?」
「野球部の存続のためにやっているのか?」
「いやそうではないだろう。野球が好きだからやっているのだろう。」
との監督の台詞がありました。
全くそのとおりで、背負っているものが重ければ重いほど、そのような心境、つまり平常心に戻ることが大事になってきます。

しかし、簡単なようですが、重い荷物を降ろすことは簡単に行かないですよね。
難しいものです・・・。

都市対抗予選は本当に面白い!

2014年5月26日月曜日

敗者復活戦と都市対抗予選の戦い


「ルーズベルトゲーム~第5話」も都市対抗予選の最中、敗者復活戦に青島製作所も回ることとなったようです。

現在行われている都市対抗予選、特に激戦となっている東海地区においても、トヨタ自動車が新日鉄住金東海REXに2回戦で敗れるという波乱が起き、同じように敗者復活戦に回ることになりました。

都市対抗予選で導入されている面白いシステムが敗者復活戦ですが、組み合わせによる有利、不利が出にくいようにした措置で、更に予選各地区において力のあるチームを東京ドームに送り出すことを主眼として採用されています。

基本的に2敗失格制ですが写真の組み合わせ表のように東海地区や近畿地区ではそれ以上に負けても、まだ望みが残るという組み合わせになっています。
場合によっては、通算勝敗で負け越しても代表獲得できることにもなります。

このシステムがあるためにどうしても敗者復活戦の方に頭が行き、監督の采配が1ゲームに集中できないことが起きます。
私もこの都市対抗予選の采配を経験しましたが、監督の経験が浅い時期は、敗者復活戦が気になり、特に試合中の投手の起用については非常に神経を使いました。
僅差の試合における先発投手を何処まで引っ張るのか、更にリリーフ投手の投入時期、また前半にリードを許した際のエース投手の起用の方法など。
連戦となる敗者復活戦が待ちうけるためにそのゲームの勝利だけに集中できないということが起きてしまいます。

さて、今回の東海予選では私が采配を振るうとすれば・・・。
これは東海予選を経験したことがない者の無責任な発言であるので、失礼があったらご容赦下さい。

大会に入るゲームプランでは、先ずは本戦での2連勝というキーワードをチームに掲げると思います。
2連勝をしてしまえば、仮に敗者復活戦に回ってもスケジュール的に非常に楽に大会を進行できます。

となれば、1戦目と2戦目は、私ならエースをぶつけるという選択をすると思います。
当然、1戦目を勝つということが最大の前提条件となりますが・・・。
同じような力がある第2投手が居たとしても今大会のエースはお前だと意識付けることを優先することを取ると想います。

予選に入る前にエースの選別は終わっているのでしょうから、エースを見誤ったとすればそれは監督の責任ということでしょうか。その時点で既にチーム作りに失敗していることとなります。

各チームの事情がありますので、私の言っていることが全て正しいわけではないですが、敗者復活戦を意識して戦いを展開すると普段やっているような采配ができなくなってきます。

初戦、2戦目で敗退するぐらいであれば、東京ドームには進出できないぐらいの大会プラン、気構えで戦う姿勢が大事だと思います。

敗者復活戦というシステムがあるからこそ、目の前の試合にどうやったら勝てるかに集中することが逆に良い結果に繋がると思っています。
勿論、頭の片隅には少しは明日以降のことも考えているのは事実ですが。

大きな得点差(6点以上)にならない限り、試合を諦めるような采配をしない方が仮に負けても次に繋がることが多いですね。選手は、試合を捨てたことに対しては敏感です。


プレッシャーの無い、無責任な立場で話をしていますので失礼あったらお詫び申し上げます。

いずれにしても連日、緊張感の中、戦っている全てのJABAチームに「頑張って下さい」とエールを送ります。