2013年8月30日金曜日

高校野球の不思議

甲子園関連の記事ばかりとなっていますが、本日は特に私が高校野球を見てふしぎだなと思うことをいくつか列挙したいと思います。

皆さんは、どう感じますか?

不思議だなと思うこと

  1. 何故、監督の背番号がないのか?
  2. 何故、コーチがベンチに入ってはいけないのか?
  3. タイムを直接監督がかけることが許されないのか?
  4. アピール、抗議を選手を介してしかできないのか?

野球の世界で、背番号のない人がベンチにいること自体がおかしいと思います。
少年野球でも30番が監督と大方決まっているように高校の監督にも背番号ぐらいつけてと思います。

試合会場でもコーチなのか監督なのかの区別が付きにくいです。

選手が伝令としてマウンドに行ったり、審判に抗議に行ったりいうルールになっているようですが選手も間に入ってたいへんでしょう。

間違って伝えて後から大目玉なんてこともあっているのではと考えてしまいます。

おそらく歴史的な背景があってそうなったということは想像できますが、そろそろグランドに監督が出てもいいように変更した方がいいのではと思います。

U18のように世界大会では、監督が選手の交代を行わなければならない規則になっているように。
何か違和感を感じますね。

それから、日頃から練習を支えているコーチもベンチに入れるようにした方が良いと思いますよ。
監督も万能ではないのですから、生徒指導という面でも横にコーチがいた方が良いと思います。
その方がコーチの苦労に報いることになるのでは?

と言った具合に当たり前に毎年行われている甲子園。

いつも違和感持って見ているのは私だけでしょうかね。


甲子園に代表されるようにbaseballと何か違うようなということが日本野球には多いものです。

改善した方がいいと思うべきところは、改善すべきですね。

今度、高野連関係者に質問してみます!





甲子園で物議をかもしだしたカット打法~続編


高校野球の特別規則というものを良く理解しないまま記事を掲載しましたので、多少心配を覚えていましたら、先日、規則委員会の方より助言頂きましたので、正確に記事を掲載します。

カット打法の解釈は

以下は、高校野球特別規則より抜粋
バントとは、バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球である。自分の好む投球を待つために、打者が意識的にファールにするような、いわゆる"カット打法"は、そのときの打者の動作(バットをスイングしたか否か)により、審判員がバントと判断する場合もある。
と定められているそうです。
その真意は、ベースボールの精神に反する行為は、やらせないということのようです。

30年前にも同じことがあった・・・

30年以上前に甲子園で同じようなことが起きて、全国にこのような打者が出てきたら日本の野球がおかしな方向に行ってしまうと特別規則を作った経緯があるようです。
実態は、現場の監督、部長がこのルールを知らなかったということらしいですね。
高野連も審判委員長が「バントとみられるような場合は、ストライクと判定するので、念のためお知らせします。」と注意しただけのようですね。
これが一部の報道でカット打法が禁止と伝えられ、かなり高野連が叩かれた原因となったようですね。
輪をかけてサイン盗みと疑われる行為もあったようですので、この試合はある意味「フェアプレーの精神とは」と問われる問題提起の試合だったのでしょう。
以上の顛末を鑑みると、高野連側に不手際があったわけではなく、ルールを熟知していない指導者側に問題があったということになるのでしょう。
あの選手が必死になって探した「生きる道」であった粘って粘って四球をとるという方法、所謂るカット打法はルールに抵触する恐れがあったということだっただけと結論づけるべきでしょう。
厳しいようですが、指導者はルールを熟知することが義務であって、知らなかったではすまされない。
ついていく選手にとっては、大変悲しい出来事になります。

これだけは知っていていただきたい
U18の大会が台湾で開催されますが、世界の舞台でアメリカや中南米のチームと戦う時に、もしもカット打法、サイン盗みしたら、間違いなく打者がぶつけられることと思います。
これは前号でも話しましたルールでなく、モラルの問題であり、日本の野球とBaseballの違いだけと簡単に片づけられることではありません。

これを教訓に今一度同じ指導者として細心の注意を払うこととしたいと思います。


2013年8月28日水曜日

甲子園で物議をかもし出したカット打法

今回の甲子園で社会的に物議をかもした出したカット問題。

色々な人と話をしましたが、賛否両論あり、難しい問題ですね。

まず技術的な話では、あの選手の打ち方がカットか否かということですが、明らかにスゥイングしている時とプッシュバントの延長にもとられるような時もあったと思います。

ただ、打席に入ってから明らかにファール方向に打つ意識で最初から立っていたというのは見受けとれました。

小さい選手が野球の中で生き残る道であり、ルールの内側であればそれでいいではないかというご意見もありました。

確かに四球を選んで出塁することは勝つための一つの方法論であります。

一方、野球という競技特性からみると初めからフェアグランドに入れようとしないという打撃がモラルとしてどうなのかという問題です。

確かにルールブック上には記載されていないですが、試合の進行への影響、更に打つことが起源のbasaballを考えると最初からファールゾーンを狙うカットという行為はどうかとも思います。

野球はルールブックがすべてではありません。

マナーやモラルという重要なものもあります。

打者と投手の勝負が第一前提であり、フェアグランドに入れるように打つということが野球の醍醐味でもあります。

確かにあれ程のカットの技術を身につけるには相当の練習をしてきたと思いますし、その努力には敬服します。

しかし、四球で出ることも大事ですが、あれだけのバットコントール力があれば、打って出ることに対して執着してはと個人的には思いました。

今回の問題では高野連が注意したタイミングに問題があったと思います。

地方大会で認められてきているのになぜ甲子園で注意されるのか?

甲子園で既に2試合も経過しているのに今更、ダメと言われるのか?

この選手には酷だったことは間違いありません。

この問題は、カットかそうではないかという技術論ではなく、明らかにファールを打つ打撃を認めるか否かというモラルの問題であると思います。

カット打法という突きつけられたテーマ、高校野球だけではなく、野球界全体の話になるかとも思います。

前に打とうという意識がある中で際どい球をカットすることと、初めからファールゾーンに打つということは同じようで違うと思います。

野球界はスピードアップをテーマに全体で取り組んでいます。

これは競技の面白みを更に出したいという趣向です。

彼のカット打法が悪いということではなく、問題提起を受けたので納得がいくような
整理をする必要があると思っているだけです。

何でもルール化すると更にルールブックを見たくなくなります。

ルールとモラルが調和が取れてスポーツが成り立ちます。

今回の問題提起をしてくれた彼にお礼を言いいたいです。

もしかしたら、ファール何本でアウトとかルール化されるかもですね!














2013年8月24日土曜日

投手継投のポイント2

先号で投手継投について、育成を含めた起用のポイントを記載しましたが、今日は交代のタイミングについて少し記載をします。

 投手がベンチに送る交代時期のサイン

投手交代を決断する上で、重要事項の一つには、投手から送られてくる交代時期のサインです。
これを見逃さないことが大切です。

投手がベンチに送る交代時期の代表的なサインは、

  • (当然ながら)肩・肘の痛みをかばう動作やしぐさや指先のマメの状況
  • メンタル的に追い込まれたときに出す癖。→これは日頃の練習から注意してみておく必要があります。
  • サインミスや野手の声に耳を傾けられない余裕がない状況


指導者はいつもそのような眼で投手をみておく必要があります。


 投手交代を決断する要素

監督して、投手を交代する決断をする際には、色々な視点で判断をしていきます。
投手の交代を判断する要素は、以下のように事項が挙げられます。


  • 疲労(球数)
  • バッターとのタイミング(バッターのフォームが崩れなくなる)
  • 打者との相性(他の打者には打たれるが、この打者には打たれるみたいな)
  • 良い当たりが多くなってきた(慣れられてきた)
  • 今投げている投手よりも抑える確率がより高い投手を持っている
  • ゲームの流れ
野球の試合は、投手力が勝利に占める割合の90%程度であると言っても過言ではないとよく言われていますが、それであれば、継投は試合を左右する大きなポイントと言えるでしょう。

 投手を交代するタイミング

ではどのタイミングでリリーフをだした方がいいのか?と良く質問を受けます。
投手継投の極意は、
「打たれる前に代えろ」 だと私は考えています。

要は、打たれて代えるぐらいなら先手を打て!
チームとして後悔しない作戦をとるべしと言えるでしょう。

私が野手出身だからかもしれませんが、疲れた先発投手と心中よりも、とって代わる選手がいなければ別ですが、元気な投手をつぎ込んだ方が打たれる確率は少なくなります。
当然ながら投手を交代するには、なぜこの投手が今まで抑えていたのかというポイントをしっかり把握しておくことが、大事です。
スピードガンの表示が落ちてきたから球威が衰えていると錯覚しがちですが、要は相手を打ち取ればいいわけで、なぜ抑えられているのかをしっかりと監督として観察しておくことが重要です。
これが判断、決断の指標になります。

投手交代を告げるもっとも決断しやすい場面は、イニングの頭です。
これは、送る側もマウンドに登る投手もそれなりの気持ちの切り替えもでき、非常にシンプルです。
「できる限り、イニングの頭で」が極意のその2と言えるのではないでしょうか?

イニングの頭以外で、特にランナーを背負って投げるという状況は、どんな投手でも嫌なものです。

特に若い投手をリリーフで送る場合などは、できる限りイニングの頭代えが良いと思います。

継投は、後手に回るぐらいであれば、先手を打つ方が良い結果が生まれると考えています。

監督は、ゲーム前のプランをイメージしがら、且つゲームの進行、流れを感じながら決断を行うため、非常に難しい判断となります。

しかし、継投に際し最も大事なことは、リリーフに挙げた選手を先ず何よりも信じるということが一番大切なのではないでしょうか。

と偉そうに書いていますが、まだまだ未熟者です。

投手の継投のタイミングは、一番の悩みどころですz!

大学時代の斉藤(現日ハム)   管理者撮影










2013年8月20日火曜日

投手継投のポイント1


夏の甲子園、いよいよベスト4になりましたね。
連日の猛暑でさぞかし選手も大変でしょう。
今日の空き日を有意義に体力回復に使って欲しいものです。
しかし、戦前の予想に反して、東北勢の頑張りもあり、面白い大会になりました。
来年以降の大会では、地域格差が更に少なくなるとの予感がします。

さて、夏の大会は、春とは違い、暑さとの戦いが加わり、ベスト8以降になると、やはり一人の投手だけで乗り切るのは難しいものです。
それに加わり、金属バットを持つ打者が相手ですから片時も気を抜くことができず、昔の投手よりも今の投手は大変です。
監督として一番苦しむのが投手の継投ですが、ある意味、今の時代の試合における監督の役割の大部分を占めている重要事項です。

継投を行うにあたっては、今登板している投手よりも後から投げる投手のほうが抑えられるという前提ですので、そこの見極めが監督のポイントになるのでしょう。

戦況によっては投手を代えることによって、相手が喜ぶということもありますので、試合の流れというものも十分に視野に入れておく必要もあります。

良く左打者を迎えたケースで、左投手をワンポイントで送り込むことがありますが、アマチュアレベルでは、このワンポイントという作戦も非常に危険です。

ワンポイントで起用する投手は、チームの中でも力が落ちる投手が多く、勝負にこだわるのであれば、控えている力のある投手を送り出す方が寧ろ勝負という意味では定石となるかと思います。

継投のタイミングについては、次号で記載をしますが、チーム作りをしていく中ではリスク管理を行い、少なくとも3人は試合で投げられる投手を育成しておく方が今の時代にはあっているのでしょう。

安楽投手のように素晴らしい投手でも、毎試合150球を投げるような試合を繰り返せば、必ず疲労が蓄積され、結果的に掴まるイニングが出てきてしまいます。

3人も同じような力を出す投手を育成することなんて難しいとご指摘を受けると思いますが、決して同じ力でなくても良いのです。

但し、エースと第二エースの力の差はできる限り埋めることは大切ですが。

このエースと第二エースが先発、押さえという役目を交互に行うのは、お分かりでしょう。

では3番目の役割というと、これが非常に大事な役割を担います。

この3番目は、ゲームを通じてずっとブルペン待機という状況になります。

先ずは、先発投手が予想外の降板、例えば投手を直撃するような打球を受けるとか、故障とかに備え、エースの試合前投球と同時にキャッチボールを開始。

エースが順調に滑り出したら、一旦待機。

もし、早い回にエースが掴まるようなことがあれば、第二エースの肩ができるまでのつなぎとして登板。

高校野球の場合であれば、第2エースが守備についているケースも多いのですが、それでも少しでも時間を稼ぎ、第2エースが万全な状態で登板できるように役割を果たす。

エースが順調にイニングを伸ばしていけば、第2エースへのスゥイッチが通常となるため、、第2エースが登板後、またリリーフの準備を行うことになります。

従い、下手すると3番目の投手は、ブルペン完投ということも良くあります。

といった具合に3番目の投手がいるという安心感はチームの戦術にも大きな影響を与えるものです。

練習試合からこのような起用を練習しておくことで、いざ本番の大会でも慌てることもなく試合を進行できるようになります。

勿論、其々の投手を育成していく必要もありますので、3番目の投手も練習試合では先発を経験させておくことも必要です。

したがって、大会に臨むにあたっては、投手の力量診断を行い、この順番付けを行っていくことが監督として重要な責務となります。

次号では継投のタイミングについて記載をします。

2013年8月19日月曜日

コンパクトディフェンス補足

ベースボールクリニック9月号が発売されました。

地方では書店に山積みされているような雑誌でなく、どちらかというとアマチュア指導者向けの専門的な雑誌です。

毎回、アマ全日本の監督の視点で主に全日本チームの話題を掲載しておりますが、沢山の指導者が読んで下さっているようで、大変有難いです。

東アジア競技大会に向けた一次合宿を今月はじめに行いましたが、ベースボールクリニックでも取り上げましたコンパクトディフェンスの選手間の意識合わせを行いました。

センターラインを中心とし安打ゾーンを消していくと一言でいうとそのような守り方ですが、イースタン選抜とのオープン戦でも随所に網に引っかかるケースが見受けられました。

特に私が指揮をとってから初めて招集された日立製作所 岡崎二塁手はこの守りの意義を体感したのではないでしょうか。

センター前と思った打球が正面で捌く打球へと変わっていくことに。

これを体感してもらうことだけで、合宿の成果は十分あったと言えます。

読者の指導者からコンパクトを試したのですが、上手く行く時とそうでない時がありますとコメントを受けました。

それはごもっともな意見であり、一長一短があります。

したがって、イニング、得点差、打者、ランナーなどを頭にいれてポジショニングは変えて行く必要があるということになります。

まず基本形があり、応用編を作り上げるということになります。

このブログの前の号にも記載しましたが、守り方とは自チームの選手の能力に非常に左右されます。

私が掲げるコンパクトな守り方とあるチームで行うコンパクトな守りは違いがあって当然です。

非常に難しいことを言っているかもしれませんが・・・。

投手と捕手は、打者をどのように打ち取って行くかという明確なビジョンをもって毎回、毎打者と対戦して行かなければなりません。

これが基本なんですが、意外と三振を取ることだけに執着しすぎてこの大事なビジョンを
描けないまま試合を進めていることが多いような気がします。

何処に打たせて打ち取るかという明確なリードの意図、つまり配球が重要となってきます。

投手は投げることで精一杯でしょうから、冷静な捕手のリード、考えがあってこそ、守りは成り立ちます。

コンパクトディフェンスは、あそこに打たせたいという積極的且つ、明確な意識があってはじめて成立します。

失敗することもたくさんあると思いますが、その失敗のプロセスに明確な意図を生み出すというために取り入れているのが、このコンパクトディフェンスです。

一つの基本守備陣系をチームの指針におくだけで、選手、スタッフと攻めの話し合いができるようになります。

ぜひ試しに行ってみてください。












2013年8月16日金曜日

満塁策

熱い戦いが展開されている甲子園。

球児、家族、関係者の色々な想いが凝縮されているんだなと改めて感銘しています。

さて、今日の鳴門と修徳の試合、延長戦にもつれ込む非常に好ゲームでした。

同点で迎えた最終回、先行の修徳が9回に無死1塁から鳴門の厳しいバントシフトの裏をつき、バスターヒッティングの強行作戦を見事に成功させ、決定的な場面を作りました。

セオリーであれば厳しいシフトを取られても絶対にバントの場面でしたが、采配が的中しました。

監督としては、非常に勇気いる決断だったと思います。

「鳴門が上位打線を迎える裏の守りを考えると1点では危ない」と2,3点を取りにいくつもりの強行のサインかと私は思ったのですが、無死1,2塁となったところで、1点を取りに行く犠牲バントを選択されました。

このケースとしては、これが定石であり、監督の采配に問題があったわけではないと思います。

が、えてして定石に逆らって勇気ある決断や作戦が成功した後に、大事に行く作戦を行うと意外と失敗することって多いんですよね。

選手は、いけいけの状態から一転、失敗が許されないプレッシャーのかかる場面に追い込まれるわけですから・・・。

現にこのケースでバントをした修徳の打者も本来の姿ではなかったですね。

ファーストストライクをバント空振りしましたから・・・。

これに反応した2塁ランナーは、その場はなんとか戻りましたが、結局、絶妙のバントであったにも関わらず、スタートがやや遅れ3塁で封殺されました。

送っても打順が下位に回ることを想定、且つ左打者であったことを考えると思い切り引っ張らせた方が面白かったかもしれません。

鳴門は、逆に延長に入った10回に2塁打を放った4番打者を2塁に置き、5番打者にバントをきっちり決めさせ、更にバントヒットとなりチャンスが拡大しました。

このケースも2塁ランナーがあまり足が速くない選手であったことを考えると5番打者を歩かせてフォースプレーの場面を修徳はわざとつくり、次の打者に更に「良いところに転がさなければ」とバントにプレッシャーを与える場面もつくっても面白かったのかなと思います。

また、サヨナラの場面で満塁策をとるケースがあるのですが、満塁策をとることによって、四球という見えないプレッシャーを投手にかけるものです。

未完成の投手レベルであればあるほど、第1球目をストライク取りたいという心理にかられ、得てして甘いボールを投げがちです。

結局、この試合も初球の肩口から入ってきたスライダーを打たれてしまいました。

あくまで結果論で話をしていますので、私が言ったとおりに行ったとしても勝てたかはわかりません。

読売新聞社
高校野球の指導者は、大変です。

あの緊迫した場面をコーチの助言も受けられず、一人で決断しなければならないからです。

どんな優秀な人でも、絶対に全体には目は行き届きません。

高校野球もコーチを二人までベンチに入れることを許可してもいいのではないでしょうか?

ルールブックでは認められているのですから。

しかし、実にいい試合でした。








2013年8月14日水曜日

バッティング〜正確性


昨日、からだの回転における足の使い方についての話を記載しましたが、今日は更にバッティングについて興味深い話をお聞きしているので記載します。

バッティングにおいて「打球の飛距離をあげるためには」と問われると、ほぼスゥイングスピードを上げることが重要と殆どの指導者は言われると思います。

そこで、今回は、打球飛距離に影響する要素についてお聞きした話をしたいと思います。

打球飛距離に影響する要素は、以下3つが考えられるそうです

1.スゥイングスピード(バット速度)
2.ボールとバットの衝突角度(スィング角度)
3.インパクトの正確性

1項のスゥィングスピードは、言うまでもなく、速ければ速いほうがいい。

2項について。
直衝撃、つまり投球に対して直角にバットがコンタクトすることが一番打球速度は上がることは理解できるはずです。これがライナーということになるのかと思います。
直衝撃から少しずれた角度がフライとなり、遠くに飛ぶという打球になります。
15度~35度ぐらいが最適角度とお聞きしました。
良くバックスピンを与えた方がボール飛ぶなど言われていますが、実際、バックスピンは、距離、打球速度に与える影響は、マイナスの要素となるらしいです。

3項は、文字通り芯でボールを正確に捕らえることとなります。
これは、金属バットと木製バットでは、その特性から大きく変わりますが、木製バットでは、バットの芯の位置からグリップ方向に10cm程度の誤差であれば打球の飛距離は期待できるそうです。

ということを念頭におき、この3項のうち、どの事項が打球を遠くに飛ばすことに影響を及ぼしているかというと

バットの速度  41.7%
スゥイング角度 10.3%
その他     48.0%

という結果が得られたらしいです。

このその他という事項は、ほぼバットの芯で捕らえる正確性と置き換えても過言ではありません。

このデータからは、スィングスピードを高めることも大事ですが、それ以上にバットの芯で捕らえることを練習しなさいということでしょう

良くバントが上手い人はバッティングも良いなどといわれますが、おそらくバット操作が上手く、正確に芯で当てるコツをつかめているからだと考えます

タイミングを狂わそうと投球する投手に対して、バットの芯で正確に捕らえるバットコントロールを持ち合わせることが好打者の条件となるのでしょう。

当たり前のことを言っているではないかと思われでしょうが、意外とバットの芯で打つということの大事さを忘れている選手は多いものです。

昨日の甲子園の試合でも、解説の方がある打者の安打に対して「何かトスバッティングをしているような安打でした」といわれました。

本当に良い打者とは、そのような打者なのでしょう

速い、強いスゥイングを求めるあまりに正確性を欠くことは論外であり、逆に正確性を求めてスィングが弱くなる、いわゆる当てに行っても駄目。

バッティングとはそういう難しいものなのでしょう。

しかし、イチローが「本塁打を狙えば、それなりに打てる自信はある。」と言っていますが、野球における好打者というのは、ボールを遠くに飛ばすだけではないということを彼は一番わかっているからだと思います。

勉強すれば、勉強するほど、奥が深い。

まだまだ野球は解析する余地が沢山残っています。

2013年8月13日火曜日

バッティング〜前足の使い方


連日の猛暑、甲子園で戦っている高校球児は大変でしょう。
怪我のないように頑張って欲しいものです。

しかしながら、高校野球の試合をテレビで見ていると前にも指摘をしましたが、打席において、投手と捕手のサイン交換の後の捕手の動きを盗み見るしぐさが絶えません。
正々堂々がモットーの高校野球ですから是非全チームが意識統一し、改善を図って欲しいものです。
世界大会でこの様なしぐさをしていたら、間違いなく、次投球で故意に当てられますよ!

さて、今日は、久々にバッティング話題について、記載をしたいと思います。

最近、ある大学の動作解析をご専門としている先生とお話をする機会があり、非常に興味深い話を伺いました。

「バットスピードを上げる」という命題は、打者にとって永遠のテーマでありますが、そのスピードをあげるにあたっては、からだのスピンの速さを高めることがもっとも効果的である。つまり、下半身主導によるからだの回転運動の速度を高めること言えます。

このからだの回転速度を上げるために右打者であれば右足の力( 蹴り)を最大限に利用し、右足を軸足とした回転を意識するように指導をすることが殆どです。

しかし、今回この先生とお話では、実際に回転を生み出す力を測定したところ、後ろ足の力よりも前足(ステップした足)の力の発揮するちからの方がよりからだの回転に与える力が大きいことが判明したという内容でした。

実際に回転可能な椅子に腰掛けて、バッティングの動作と同じように右足(後ろ足)だけで回転、左足(前足)だけで回転の2パターンで回転を試したところ、明らかに前足だけで回った方が椅子はくるくると回ります。

つまり、ステップして着地した足で回転する力のほうが強いということになるとのこと。

これを聞くと、ステップ足の着地を完了してからの使い方を研究する必要があるのでしょうね。

良く後ろ足が浮いた状態で打っている選手の連続写真を見かけますが、この理屈を聞くと理にかなっているのかもしれません。

ステップをした前足で回転させる意識を今までよりも強く持たせてバッティングをさせるテストケースを次回の全日本で少しやってみようかなという気になりました

今思い出しましたが、富士大学から全日本に選出されている山川選手は、どちらかというとこの理屈でバッティングをしているような感じかと

先日、NPBイースタンとの試合をしたのですが、両チームを併せても一人だけ打球の速度が抜けていました。

からだはごついですが、プロ選手にも居そうな体格であり、おそらくパワーの発揮の仕方が上手いのでしょう。

彼のバッティングについて専門化に解析をお願いしてみようかと考えています。

今でも野球指導を行う際に使われている「足の母子球に乗って」という表現があるとおり、前足の母子球に乗って、回転を行うという意識は非常に重要なのかもしれません。

しかしながら、あまりこのことを強く意識しすぎるとからだが開く傾向に陥るかもしれませんので、要注意とも言えます。

今のところ、この件については、「回転を意識しすぎているあまりに後ろ足に体重が残りすぎて、開く現象がある打者の矯正をする際に前足を中心に回ってみては」という指導に応用できるなと考えています。

いずれにしても指導上でテストを行い、その感想を後日報告してみようと思います。


上述とは全く関係ないですが、今行われている甲子園大量得点でリードしているチームが終盤でまだ犠打を使っている場面を見ます。

解説もまだ「気を抜かない作戦ですね」と賞賛をしています。

これは死者に鞭を入れる好意であり、世界大会では大ブーイングを喰らうことになりますので、世界のマナーを日本でも適用するように是非検討をして欲しいものです。

NPBの世界ではこのようなことは行われなくなりましたよね。
アマでも実践すべきですね。

2013年8月9日金曜日

野球上達のための一人でやる遊び

スポーツナビの私のブログをご覧頂いていた皆様、この度ブログを引っ越すことで計画中です。
今後はこちらをブックマークしてください。こちらの更新をメインに行っていきます。


さて、前号で遊びの中で野球を覚えるということを記載しましたが、実際、練習中で覚えることって意外と少ないものです。
私は、主にバッターでしたが、打撃の感覚を掴んだのは、試合前のペッパーゲーム(通常言われている二人組みのトスバッティング)の最中でした。
「この感覚でボールをつかまえればいいのだ」というひらめきを感じ、その試合から打撃開眼、ボールを遠くに飛ばすことができるようになりました。
日頃から「どうすれば上手く飛ばせるようになるのか」と考えていたことが、このようなきっかけに繋がったことは言うまでもないことですが。

技術は、徐々に伸びていくものではなく、ある時にパッと開くものです。
今は上手く行かなくても、積み重ねの中から生まれてきます。
毎日やっているのに上手くならないなと思う人がたくさんいると思いますが、諦めないで試行錯誤を繰り返してみてください。

そこで、今日は、一人でやる遊びを紹介してみます。
あえて練習と書かないのは、自分の意志でやる内容であり、感性を磨くことを最優先させて下さい。
決して義務感でやらないように!続かないです。
アジア競技大会の選手村内にてストレッチ

野球を上達するために一人でやる遊び

〇投球編

1.       壁あて
最近は、壁に投げるような場所が少ないですが、ソフトテニスボールのような軽いボールで構わないので適当に場所を見つけて行う。壁との距離は、5m以上で10m程度が適当か。
自分が投手になったつもりで、試合の場面を想定して壁に向かって投げるだけ。
できれば的を作って投げた方がいいですが、特にこだわりません。
変化球を投げたり、アンダーハンド、オーバースローと投げ方を変える。
1回から9回まで色々と試合をイマジネーションしながら、先発、リリーフ、押さえと一人で何役もやるといった方法が効果的。試合には絶対勝つようなシナリオにすること。
自分が設定するのですから負けるわけがないでしょうが・・・。イマジネーションが野球において特に重要です。

2.       投げ上げ
昔から良くやっている練習方法ですが、仰向けに寝た状態で、ボールを上方に投げる。
肘からリリースまでの感覚を覚えるのに最適。天井擦れ擦れに投げ上げるのが醍醐味。
但し、マンションなどで、失敗して天井にぶつけたり、ボールを落とすと苦情の元になるので要注意です。

3.       握り替え
グラブをつけた手にボールを投げ、跳ね返ったボールを投げた手でキャッチ。更にすばやく握り替え、また投げるを繰り返し。上手い人は、グラブからボールが離れていないような錯覚に陥ります。少なくとも50回ぐらいは、継続できるようになるといいですね。

4.       タオルスウィング
タオルの片方の先を結び、それをボールに見立て、人差し指と中指にその結び目を挟み、ただ投球するだけ。結んでいない方のタオルの先が走る感覚が大事。

〇グラブ裁き編

1.       背面キャッチ
投げ上げたボールをイチローのごとく背面でキャッチする。フライの際のボールの置きどころを感覚的に身につく。
2.       グラブハンドサークル
グラブを持った手の円運動を何回か繰り返す。グラブの使い方を覚える。ベアハンド、バックハンド。

〇バッティング編

1.       ロープスウィング
右手にロープを持ち、バットを振る動作を行う。ロープの先端が走り、最後は、からだに巻きつく感じ。下半身主導でスゥイングすることにより、力の伝導を覚える。
2.       長尺バットスィング
上記1と同じ感覚であるが1.5m程度の長尺棒を振ることにより、下半身主導の動きを身につける。この際の留意点は、棒の重みを感じながら振り、腕力に頼らないこと。遠心運動につられてからだが回転するぐらいが丁度良い。
3.       平均台スィング
平均台の幅程度の足場でスゥイングすることにより、スゥイングバランスをつくる。振り切った後に前足に完全に体重が移ってしまう(片足で立つ)ぐらいで丁度良い。

〇バランスづくりの筋力強化
1.       片足屈伸
片足立ちして、そのまましゃがみ込む。しゃがみ込んだら、今度は片足で立ち上がる。この運動を繰り返し行う。片足10回程度連続でできるようになれば、合格点。
利き足でない方で行う運動は、かなりの難易度。バッティング、投球など片足で立つ瞬間の動作の安定性が増す。

2.       股割り
通常、どの指導者からも教わる股関節の柔軟性を高めるトレーニング。解説は不要と思うが、膝が内側に入り込まないように留意。

3.       イチローストレッチ
イチローがネクストバッタズサークルで行うスタンス肩幅で両膝をつけた状態でしゃがむストレッチ。膝の柔らかさはバッティングやピッチングに特に影響するためにこの運動ができなければ技術の上達はあまり望めないぐらい大事な運動。

※ブログ最下部にオススメBOOKをお知らせしています。


2013年8月8日木曜日

コンディショニング

甲子園が開幕。

また新たな怪物が現れるのでしょうね。

最近の高校野球、レベルがかなり上がっていると思います。

高校からプロ野球に進み、直ぐに通用することなど昔はなかったはずですから・・・。

精神力は昔の選手の方がタフであったが、身長、体格については現代っ子の方が間違いなく大きいと思います。

科学的なトレーニングが機能している証拠でしょう。

医科学的なトレーニングが導入され始めたのが私が現役の頃でした。

トレーナーが帯同したのも同時期ではなかったでしょうか。

当時からすると今はかなり進んでいますね。

サプリメント、栄養摂取、水分補給のタイミング、それから筋力強化など新しいものがどんどん取り入れられています

昔の人が、「昔の選手は凄かった(私の周りにもこのような人が多い)」と言っておられますが、世界記録が塗り替えられていくように現代っ子の方が明らかに凄いと思います。

トレーナーで思い出しましが、トレーナーとコンディショニングコーチとは厳密に言えば違います

トレーナーは、ケアを主に行う人で、コンディショニングコーチは強化を行う人です。

メジャー流に「コンディショニング」を訳すと筋力強化と言えますし、実際、メニューは筋力強化、ランニングを指します。

技術は、「強靭な体力なくして進歩なし」とブログ内でも今まで再三言ってきましたが、基礎体力と専門体力は確実に現代っ子の方が高いのでしょう。

それに関連して指導を行う上でのキーワードも変遷しております。

気合、忍耐、根性から「バランス」という一言が指導者の口から出るケースが多くなってきています。

このバランスが強化を行う上で一番重要だと私も思います。

自分の体格を使いこなす、強さ、柔らかさ、継続性など。

そうは言いながらも、これが抽象的で難しい。

野球で言うバランスとは、簡単に言いかえれば、体幹がしっかりしていて、更に柔軟性があり、瞬時に力を発揮することができるということでしょうか。

理解はできるけど、強化する側からすると漠然としていて唸りますよね。

結局、腹筋、背筋、腕立て伏せ、ランニングとなるのでしょうかね。
今流行の体幹トレーニングですが、腹筋、背筋をしっかりやれている選手は、特に悲鳴を上げることもありませんし・・・。

現代っ子は(今の選手)は、情報社会ですから新しいことを受け入れる能力は長けていますが、継続性という上では欠けているのかと考えています。

昔の腹筋は、やる動作も同じで、何セットも繰り返しやらされたものです。

今の子には全くこの指導はむかないでしょう。

同じ腹筋をやるのでも、種目を変えて、飽きが来ないように指導者が工夫しなければならない。

トレーニングの方は先進的であり、且つすぐ効果がでるから、このようなことも長続きしますが、こと技術の習得となれば根気強く、繰り返すしかないので、今も昔も技術指導は難しいとなるのでしょうか。

結局、今の指導者に求められているものは、同じことを違う方法で伝えること、良く言う「指導の引き出しを多く持つこと」といえるでしょう。

ドリルをたくさん知識として抱えることですね。

話は変わりますが、今の日本の野球界、ウォーミングアップの時間が長い。

トレーニングコーチの活躍の場面がそこしかないため、強化的な要素が多く入りすぎています。

からだをほぐしたら、走れる状態をつくり、どうせ行うならば、実戦に活かせるベースランニングの練習を行ったほうが良いのではと外から観ていて感じます。

今の時代は、コーチも分業制となっていますが、選手はオールマイティーに育成しなければなりません。

体力強化はトレーニングコーチの仕事と割り切ってはいけません。

技術練習の時間の中で体力をつけていくことこそが効率の良い練習といえるのではないかと最近特に思います。

筋力トレーニングは重要です。が、それ以上に野球の技術練習で鍛えていくことがもっと大事であることを監督、指導者は認識する必要があります。

コンディショニングとは、体調を整えることではないということを言いたかっだけですが、話が脱線してしまいました。

申し訳ありませんでした。

しかし、最近の選手、異様に脚が長いです。

もしかしたら、昔の技術指導が通用しなくなっているかもですね。


2006年 アジア競技大会(ドーハ)

Jake Peavy

スポーツナビでブログを記載していましたが、色々な機能が使えるようにBloggerというGoogleが無償提供するソフトに本日よりシフトしていきます。(まだスポーツナビにも残しています)

おそらく多種多様な人に見て頂くにはスポーツナビの方が良いのでしょうが・・・。

今のところ、このBlogger非常に使い勝手が良さそうです。


さてさて、先日、何気にBS1の大リーグ放送を見ていたら、ボストンの中継が・・・。

先発投手に目をやるとピービーではないですか!

私がJOCの在外研修の一環でサンディエゴパドレス1Aにコーチ留学をしていた時の選手です。

当時は19歳だっと思います。

私に懐いていたので良く覚えています。

剛腕という投手ではなかったのですが、当時からメジャーには珍しくコントロールの良いタイプの投手で、特にスライダーとチェンジアップに非凡さを感じました。

性格は短気。マウンド上では、ジャッジに対して絶えず後ろを向いて暴言を吐いていました。

ま、気分転換を図っていたのでしょうが。

先日のゲームも同じことをやっていました。(相変わらずで笑いました)

ピービーの凄さは手首の柔らかさにあります。

特にチェンジアップ。

投球する際には他人が真似することができない手首の使い方をします。

一度、このチェンジアップの投げ方について本人にレクチャーを受けたのですが、少しシュートをかけるようなリリースをするようなことを言っていました。

メジャーの場合、良くホームプレート付近で動くボールが良いボールと称されますが、特別に誰かが指導をするというようなことはないと言っても良いでしょう。

殆どが、遊びの中で色々な握りをテストして変化を確認し、自分のものにしています。

カーブを人差し指の親指の2本で投げる投手もいました。

人間、指の長さや腕の長さなど、人それぞれであるので、それぞれが投げやすいグリップで投げることが一番でしょうね。

基本の投げ方、握り方は理解した上で、目的は打者を討ち取ることでしょうから自分が一番投げやすく、更に変化の大きい握りで良いと思います。

このぐらのレベルになると1~2cmの変化が死活問題となるのでしょうから。


日本の指導は遊びをあまり容認する慣習がありません。

しかし、昔のプレーヤーの人に聞くとハンドベースボールやピンポン玉での野球遊びなどが有効であったと良く聞きます。

最近の子供は、すぐに指導者の教えを請い、スポーツクラブで習います。
というか遊び場もない状態ですが。

本来、スポーツは自由な発想があって楽しさが倍増するのだと思います。

ピービーの投球を見ながら今一度遊びの練習が大切さを思い返し、今後の指導する機会に選手に伝えて行くつもりです。





2013年8月6日火曜日

鷲づかみで投げる

私が所属する日本野球連盟の競技力向上委員会では、今回から新たに技術研究会を立上げ、「社会人野球選手に求める技術」というテーマで主に基本技術の追求を行なっていくこととしています。

そもそも「基本技術とは」と問われると「万民に通用する技術」、「誰がやっても変わらぬ技術」、「誰が教えても同じ指導となる技術」と言い換えられるのでしょう。

書店で野球に関する書籍を見るとこの類の本がたくさん陳列されています。
ざっと眺めただけですが、殆どの本がプロ野球選手をモチーフとしたケースが多く、本当にこの指導本を見て、指導者が理解できるのかなと違和感を感じます。
投手のスライダーの投げ方の解説とかが記載されている本もありますが、理解できるのでしょうかね。

購入する側の人というのは、殆どがアマチュアの底辺を支えているような方ばかりです。

例えば「このように投げなさい」というプロのモデルを示されてもイメージはわかりますが、それを実践できるようなジュニア選手は殆どいません。

ジュニア期の指導者の悩みは、どうすれば本に書いてあるような投げ方になるのだろうというこの「どうすれば」という部分を知りたいと考えます。

したがって、基本技術の解説を行なった際にそこに到達するための練習計画やドリルの紹介をたくさんすべきというのが私見です。
勿論、そのような指導本も多く販売されていますが・・・。

私は地元長崎において、文教シニアというチームの代表という立場で中学生を指導する機会を得ています。

或るときに一人の選手にイチロー選手がネクストバッターズサークルでよく行う、足を少し開いて膝をつけた状態でしゃがみ込むストレッチをテストしてみたところ、座ることさへ、出来ないという事象を目の当たりにしました。
このような選手にバッティングの膝の使い方などを指導してもおそらく全く理解できないと思います。指導者が目指している膝の動き事態が理解できないからです。

また、その類似例で、ジュニア期に多い投手のイン・ステップについて・・・。

指導本には、イン・ステップはコントロールをつけることが難しく、また肩・肘への負担が大きくなるため、まっすぐ踏み出せと記載があり、多くの指導者がこのイン・ステップを矯正しようとします。
しかし、足を上げて、片足でしっかりと立てないようなジュニア期の選手であれば、片足を上げ、両手を胸の前に上げた時点で前方向(右投手であれば3塁側)にバランスが傾き、ステップに入る瞬間に軸足の膝(右投手なら右膝)が前方向(右投手であれば3塁側)に動きながらステップするため、イン・ステップとなる傾向にあります。

この事象の要因を知っておけば、必然的に矯正するために何をすれば良いかが分かります。
答えは簡単、体力をつけることを優先しますし、イン・ステップをしても肩、肘に負担のかからない投球動作、投球数にしてあげることとなります。

このようにバッティングや投球動作など技術指導を行う前には、柔軟性、強さなどのチェックが必要となるのでしょう。

したがって、日常より指導者は選手の特性をしっかり見守っておく必要がありますし、指導者としての物指し(視点)を持っておく必要があります。

亡くなられた元巨人軍の藤田監督が王さん等と共に野球を通じ、少年の異国間交流を図るWCBFという活動にアマ側の指導者という立場で参加する機会を得ました。
その際に藤田さんが、「ボールの持ち方は中指と人差し指2本と親指の3点で握るのが基本って、すぐ教えたがるのだが特に小学生の低学年など、そんなの無理なんだよね。」「そういう時は、五本の指で鷲摑みか、或いは人差し指、中指、薬指の3本で持ちなさいと教えるのだよ」と話されたことを今でも鮮明に覚えています。

これだけのキャリアをお持ちの方がジュニア選手の指導を研究されていることに驚きを感じ、指導者として、かけだしの頃でしたから同方向からだけの指導では駄目なのだなと改めて気づかされました。
以後の指導人生においても、私の指導の基本としています。
今でも藤田さんには、感謝、感謝です。

現場は生き物です。
選手個々において特性があり、違いもあります。
したがって、指導者は、必ず自分の物指しを持っておく必要があります。

その物指しこそが基本なのでしょうね。



2013年8月5日月曜日

東アジア競技大会日本代表チーム1次合宿

先ずは、先号にコメントを戴きました方ありがとうございました。貴重な御意見として承りましたが、頂いたコメントを誤って削除し、公開できなかったことをお詫び申しあげます。

更に、更新の間隔が間延びしているにもかかわらず、沢山の方にご訪問戴き、ありがとうございました。

さて、東アジア競技大会日本代表チームの一次合宿が昨日終了致しました。

都市対抗本大会明けという状況の中、コンディショニング的にはまだまだという率直な感想でしたが、チームの方針の統一、寄せ集めである選手間のコミュニケーションの向上という意味では概ね目的は達成されたのではと思います。

合宿初日には、昨年から引続きのコンパクトディフェンスを中心としたディフェンスの説明を行いました。
このコンパクトディフェンスは選手相互がやるべきことをしっかり行わないと機能も半減することは連載しているベースボールクリニック、またはこのブログ上でも話をしたとおりです。

例えば投手であれば、低めに投げることが要求され、捕手は、投手が投球する低めのボール、特に低めのワンバウンドを後に反らさないようにする。内野手は、センターラインを締め、投手方向に集まり易い打球を処理する。外野は、頭の上を越える打球よりもライナーの打球を拾うといった具合に連動した動きになります。

したがって、この守りのコンセプトを十分に全員が理解する必要があり、今回の戦術的な大きな柱ともなり、練習、ミーティングにもかなり時間を割きました。

一方攻撃面では、「Next and forward」というキーワードを掲げました。

私は、今まで「攻撃こそ最大の防御なり」と積極的な姿勢で海外の大会に挑んで参りました。しかし、残念なことに中々、海外の好投手を打ち崩すことができないというのが現状です。
その気持ちが消えているわけではありませんが、今大会は、「後へ繋ぐ」という意識を持たせ、チーム全員で崩していくという戦いで挑みたいと考えています。

台湾、韓国、中国の一線級の投手からは、残念ですが今のアマチュアの打者では4点から5点を奪えるかというレベルにあります。
国際大会では、エラーや四球が国内大会よりも増して命とりになります。裏を返せば、そのような機会を如何に得点に結びつけるかが勝負になるのでしょう。
昨年のBFAアジア選手権も正にそのような展開となりましたし、結果的に得点に結びつけた日本が優勝したと言えるのではないでしょうか。

今回のこのキーワードは、如何にランナーを進め、確実に得点に結びつけるかということであり、その戦術を合宿にて選手に話をしました。
全日本に入る選手は、殆どが自チームではクリーンアップであり、どちらかというとランナーを返す役割の打順にいる選手が殆どです。
全日本チームにおいては、今までの役割を捨て、当てはめられた打順に応じた状況判断が要求されます。当然、その対応ができる力のある選手をこちらも選出したつもりですが・・・。
しかし、打順とは良くできたもので、其々の役割が機能しないと得点は中々積みあがりません。
「誰かがいつか打つだろう」というような気持ちに陥り易いのが全日本のようなチームであり、現にそのような傾向が強く、中々得点を積み上げることができませんでした。
今回の合宿では、打席における、塁上における自分の最低限の役割という観点で、その場面における決断の下し方について説明を行い、以後の合宿を通じながら判断のすりあわせ行うことを選手と申し合わせしました。

決してスモールベースボールを行うということを宣言しているわけではなく、チーム全体で得点を奪うというシンプルな考えを再度徹底したいということにつきます。
具体的な中味については戦術に直結するのでお話できないので、イメージが出来ないかもしれませんが、ニュアンスは掴んでいただけたのではと思います。

8月3,日と4日に実戦練習としてイースタン選抜と試合を行いました。
イースタンと言え、技術的にはさすがと思わせられるプレーばかりで勉強になりました。
特に、社会人の経験のあるジャイアンツの吉原コーチには大変お世話になりました。

結果は1勝1敗でしたが、1戦目の敗戦を受け、2戦目では、戦略を意識したプレーが随所に見られ、競り勝つことができ、次合宿に向けて弾みがついた内容でした。
選手個々人のコンディションを考えれば、及第点と言っていいでしょう。

しかし、プロ野球が相手だからといっても全日本チームが負けてはいけないという強い想いがあり、個人的には非常に悔しい気持ちです。

次回は、9月26日から出発まで神奈川地区を拠点として合宿を行なう予定としていますが、選手には、この合宿の最後に「全日本選手とは如何なる状況でも自分のパフォーマンスを十分に発揮する準備を怠らない選手である。次の合宿には絶対にベストの状態で来るように!」と厳しいコメントしました。

これは、先輩指導者から選手時代に受けた指導で大切にしている事項であります。
全日本の選手はそうあるべきですし、それが国を代表する選手の義務です。

選手諸君には、肝に銘じて行動して欲しいものです。

今回から「侍プロジェクト」として、アマ代表もWBC仕様のユニフォームに袖を通すことになるようです。
新ユニフォームは今回の合宿には間に合わず、次回合宿からとなりましたが、次回からは新ユニフォームで気分一新し、アジア最強を目指して選手、スタッフと供に更にヴォルテージアップして行きますので、以後もご声援をよろしくお願いします。

ジャイアンツ球場まで足をお運び頂きました社会人野球ファンの皆様、ご声援ありがとうございました。

それにしても大学から唯一選出され、2戦4番を務めた山川選手(富士大学)の連日のホームランは、プロ選手も唸るほどの強烈な2発でした。今後が本当に楽しみな選手です。