平成27年度岩手県高校野球連盟主催の技術指導研修会に講師として参加してきました。
元陸前高田高校 佐々木監督(現岩手県高校野球連盟事務局長)が早稲田大学の同級生であり、依頼を受け、今回に至りました。
お話を頂いた際に、佐々木元監督からは、「今年、岩手で国体があるので強化したい。」「東北で甲子園の優勝旗を持って帰っていないので、岩手県がその最初になりたい。」とのことでした。
勿論、「1日や2日指導をしたからと言って、直ぐに全体の底上げになることはならない。」したがって、私の方からは、「指導者が実技体験をするような参画型の研修会」にしましょうと提案を致しました。
通常、生徒(選手)と指導者がセットになって研修会を開催するケースが多いのですが、今回は、岩手県全域の指導者が一同に介して、実際にボールを投げたり、打ったりと非常に面白い試みとなりました。
勿論、今の時期の岩手県は、真冬で積雪のシーズン、屋外で野球をやるような環境でないため、富士大学の屋内練習場を使って、やれる範囲での実技体験となりましたが・・・。
目標は、強化ですが、高校野球のチームには、強豪校もいれば、部員が不足して連合チームで予選に臨むというケースもあるようにレベルが均一化されているわけではありません。
したがって、今回の研修では、基本の説明、それから上達するためのドリルの紹介を中心として、どのレベルのチームにも当てはまるような研修会を目指して進めてきました。
「やって見せる」というのが、指導方法の第一にあるのですが、指導者が理想とするフォームを指導者自身が出来ないまま、「こうやって打つのだ!」と生徒に見せるということは良くあることです。
実際、選手は言葉よりもイメージで捉えることが多いわけですから、下手するとチームの監督のフォームと選手のフォームが似てくるということが起きます。
昔、広岡達朗さんから「指導者も選手に見せるのであれば、しっかりフォームをチェックし、影で練習しなくてはいけない」と直接お話をお聞きしたことがあります。
そういった意味では、今回の研修で、指導者自身が実技を行ったことは大いに意味があったと思います。
実際、打撃指導の際に幾つかのドリルを紹介し、実際に数人の指導者の実技指導を行ったところ、フォームが改善し、打球が速くなった指導者が何人もいました。
スポーツを含め、何でもそうですが、結局は、コツを掴むということが大変重要です。
このコツを体感し、自分のモノとして吸収し、更に選手にそのフィーリングを言葉で伝えられるかが良い指導者との分岐点になるのではないでしょうか。
選手がいる前では、中々指導者も恥をさらすことはできませんが、同じ指導者同士であればその辺りの感覚はなくなっていたようです。
津波によって大きな被害を受けた岩手県の皆様ですが、やらなければという使命感がひしひしと伝わって来て、こちらが非常に考えさせられました。
復興支援という言葉を軽々しく使うものではないのでしょうが、少しでもお役に立てればと二日間完全燃焼して参りました。
少しでも岩手県高校野球の発展に寄与できれば幸甚です。
雪積もる岩手県花巻で雪国の厳しさを体感し、一路九州へ戻りましたが、岩手県と変わらない地元の風景を見て、時の流れが一瞬止まったような錯覚を受けました。
この数日は、全国的に大変な荒れ模様でした。
皆様、今後もお気をつけ下さい。