盗塁をMLB流で翻訳すると「Stolen base」、文字通り塁を盗むということですが、あらゆる盗むがあるかと思います。
①間(隙間)を盗む。→油断している。
②モーション(投手の癖)を盗む。
③カウントを呼んで、変化球のサインを盗む。
などがあげられるでしょう。
この3つの項目だけみると、盗塁が足が速い人だけのものではないことがお分かりいただけるでしょう。
足が特に速い人は別にして、速いなという選手と普通といわれるような選手のスタートから2塁までの到達の差は、コンマ何秒といわれるぐらいです。距離として、1~2m程度です。
しかし、スタートの反応によっては、この差は、直ぐに縮まります。更に、盗塁は、陸上のゴールの様には行かず、最後にスライディングをしなければなりません。このスライディングにおいては、ベースカバーの野手の動きを見ながら、スライディングの手法を決め、更に実演できなければなりません。ボールがどこに来ているのか、また、それによって、どのようなタッグとなるかを野手の動きで見抜かなければならなりません。
スタートの反応(リアクション)スピード、スライディング技術によっては、走力の差は確実に縮めることができます。
一般的に、2塁への盗塁では、捕手がキャッチしてから2塁に到達するまでのタイムがメジャーでは、2.1秒をきる。投手においては、1stムーブ(セットした状況から投球のために動いた瞬間)から1.3秒以内ならチャンスがないと判断します。両方のタイムが其々に下回ると殆ど盗塁のサインが出なくなります。
余談になりますが、日本投手のクイックモーションは、芸術的です。
盗塁で重要な要素は、
①そこそこの走力
②フライングスタートするぐらいの洞察力と判断力
③カウントで配球を読める力
④もっとも重要なことが、走るという勇気
足が遅い選手も、ノーマークだからこそ、時々盗塁を試みれば、意外と成功する確率は高まります。
逆に、マークが厳しい足が速い選手は、失敗を恐れない勇気が一番重要になるのかもしれません。
2012年6月13日水曜日
2012年6月11日月曜日
バッティング全般(#2)
全アマの委員でもあられます東京大学の平野先生の論文を拝読させて戴きました。論文内容は、2012年に行われた世界大学野球選手権におけるキューバ選手と日本大学代表選手の打撃の比較。
論文要点は、以下のとおり。(かなり要約しています。)
①キューバ選手の方が、スウィングスピードが10%程度速い結果となっている。キューバ選手のホームラン数は、大会を通じて群を抜いている。
②キューバ選手の方が、下半身が基点となった連動したスウィングを行い、重心移動が大きい。
③キューバ選手のスウィングは、アップフライトに振っている。且つ、インパクトを迎える前のバットヘッドの水平時間が長い。つまり。点で捉える日本選手と違い、線で捉えるキューバ選手と言える。
④計算上では、打球を最も飛ばす為には、ボールの中心の2.6cm下を、上方へ10度のアッパースゥイングでインパクトすること。
指導法の違いが、打撃力の差を生み出していると読み取れます。勿論、持っている身体的な能力の差は、キューバ選手と日本選手では大きいことはキューバの試合を沢山観て痛感するところではありますが・・・。
国際トーナメントを終えると総合成績が発表されるが、長打、本塁打では、キューバ、アメリカが二強、その後に中南米のチームが続く結果が続いている。一方、打率では、日本も上位に位置付けられており、アメリカ、キューバと匹敵する成績を上げている。更に、1試合平均の三振の数は、圧倒的に日本選手は少なく、バットに当てる技術はあるということが伺える。しかし、昨今の成績を見る限りでは、長打率の差が、成績の差になっていると言っても過言ではない。シーズン開幕前のWBC(ワールドベースボールクラッシク)では2連覇をなし得ているが、過去のオリンピック、世界大会では優勝したことがない。記憶に新しい北京オリンピックのドリームチームでの惨敗、プロトップ選手派遣でのアテネの銅メダルを見ればお分かりいただけるでしょう。
明確に世界大会における日本チームは、投手力を中心としたディフェンスのチームです。特出したスピードを持つイチローを除く、日本の打者がMLBで受け入れられないのは、長打力が不足しているという評価もあるかと思います。松井選手にしてもしかり、出場機会に恵まれていないとはいえ、日本でプレーした時の3割程度しか本塁打をMLBでは打てていません。
長打が出ないと判断されると外野手はいつもより前に守ります。そうなれば、ランナー2塁の状況で1点が取れなくなってしまいます。外野手を後に守らすことで、安打ゾーンが広がり、打率アップに繋がります。
現在、日本のプロ野球でも打撃が課題となっています。飛ばないボールの影響もあるかと思っていますが、打率、長打(本塁打)とも減少しており、日本打者のホームランバーターは限られた選手となってきています。行き詰る投手戦も、ファンには楽しみではありますが、Baseballの本質は、打撃で得点を奪い合うことからするとホームランを沢山観たいという想いは強いと思います。
平野先生の論文には、そのエキスが沢山含まれており、全日本の打撃コーチ時代からずっと世界に通用する打撃を追い求め、この打撃フォームを研究、指導してきていますが、中々浸透しないというのが本音。論文内に「王選手が真剣で麦わらを切っていたイメージが強すぎるのではないか」と記載あったが、その指導がまだ根付いていると思います。
ダウンスィングとか両腕の使い方を教える前にからだを使い切ったスウィングを幼少期から指導することが大事で、バットの重みを感じながらバットヘッドをボールにぶつけることを体得して欲しいと思っています。}}
論文要点は、以下のとおり。(かなり要約しています。)
①キューバ選手の方が、スウィングスピードが10%程度速い結果となっている。キューバ選手のホームラン数は、大会を通じて群を抜いている。
②キューバ選手の方が、下半身が基点となった連動したスウィングを行い、重心移動が大きい。
③キューバ選手のスウィングは、アップフライトに振っている。且つ、インパクトを迎える前のバットヘッドの水平時間が長い。つまり。点で捉える日本選手と違い、線で捉えるキューバ選手と言える。
④計算上では、打球を最も飛ばす為には、ボールの中心の2.6cm下を、上方へ10度のアッパースゥイングでインパクトすること。
指導法の違いが、打撃力の差を生み出していると読み取れます。勿論、持っている身体的な能力の差は、キューバ選手と日本選手では大きいことはキューバの試合を沢山観て痛感するところではありますが・・・。
国際トーナメントを終えると総合成績が発表されるが、長打、本塁打では、キューバ、アメリカが二強、その後に中南米のチームが続く結果が続いている。一方、打率では、日本も上位に位置付けられており、アメリカ、キューバと匹敵する成績を上げている。更に、1試合平均の三振の数は、圧倒的に日本選手は少なく、バットに当てる技術はあるということが伺える。しかし、昨今の成績を見る限りでは、長打率の差が、成績の差になっていると言っても過言ではない。シーズン開幕前のWBC(ワールドベースボールクラッシク)では2連覇をなし得ているが、過去のオリンピック、世界大会では優勝したことがない。記憶に新しい北京オリンピックのドリームチームでの惨敗、プロトップ選手派遣でのアテネの銅メダルを見ればお分かりいただけるでしょう。
明確に世界大会における日本チームは、投手力を中心としたディフェンスのチームです。特出したスピードを持つイチローを除く、日本の打者がMLBで受け入れられないのは、長打力が不足しているという評価もあるかと思います。松井選手にしてもしかり、出場機会に恵まれていないとはいえ、日本でプレーした時の3割程度しか本塁打をMLBでは打てていません。
長打が出ないと判断されると外野手はいつもより前に守ります。そうなれば、ランナー2塁の状況で1点が取れなくなってしまいます。外野手を後に守らすことで、安打ゾーンが広がり、打率アップに繋がります。
現在、日本のプロ野球でも打撃が課題となっています。飛ばないボールの影響もあるかと思っていますが、打率、長打(本塁打)とも減少しており、日本打者のホームランバーターは限られた選手となってきています。行き詰る投手戦も、ファンには楽しみではありますが、Baseballの本質は、打撃で得点を奪い合うことからするとホームランを沢山観たいという想いは強いと思います。
平野先生の論文には、そのエキスが沢山含まれており、全日本の打撃コーチ時代からずっと世界に通用する打撃を追い求め、この打撃フォームを研究、指導してきていますが、中々浸透しないというのが本音。論文内に「王選手が真剣で麦わらを切っていたイメージが強すぎるのではないか」と記載あったが、その指導がまだ根付いていると思います。
ダウンスィングとか両腕の使い方を教える前にからだを使い切ったスウィングを幼少期から指導することが大事で、バットの重みを感じながらバットヘッドをボールにぶつけることを体得して欲しいと思っています。}}
2012年6月8日金曜日
都市対抗予選での出来事(守備編)
都市対抗予選の出来事Part3。今日は、守りについて記載します。
両チーム、エースを立てるという大事な試合。両投手とも素晴らしい立ち上がりを見せ、投手戦の様相。3回表、無死で四球を出したランナーをバントで送る作戦をとった。捕球した捕手がランナーと交錯する角度からの送球となり、暴投で無死2,3塁の大ピンチを招いてしまった。ここで守備側は、1点もやらないバックホーム体制の守備陣系を引いた。迎えるバッターは、2番打者の左、投げる投手は、最近台頭してきた若手の投手。1点もやれないというベンチの期待に力が入ってしまい、粘られたあげく、四球を与え、無死満塁とピンチを広げてしまう展開に・・。
満塁となった為、前半でもあるし、二遊間はダブルプレーを狙うシフトを引くかと予想したが、またもや先取点をやりたくないという想いからか引続きバックホーム体制の陣形をとった。迎える打者は、好打を誇るポイントゲッターの3番打者、ツーストライクまで追い込んだがセンター前に運ばれ、先ずは、先取点。1点後の無死満塁も、更にバックホーム体制を引き続け、今度は4番打者に投手横をゴロでセンター前に抜かれ、2点を追加され、結果的にビックイニングとなり、試合の主導権を握られてしまった。
ここでのポイントは、3つ。
一つ目は、2番打者を迎えた無死2,3塁の場面で、前進守備を引いたこと。左打者でもあるし、レフト方向に打たせる投球をし、且つ通常シフト、すなわち無死2塁の気持ちで守っていれば、1点は取られるが、1死2塁で3番打者を迎えられたはず。そうなれば、3番打者にも真っ向勝負ではなく、ボール球を投げられる余裕ある勝負を迎えられたと思う。
二つ目は、無死満塁で3番打者を迎えた場面で、引続きバックホームを選択したこと。2番打者を迎えたケースでは、2番打者の打力を勘案して、内野ゴロを打たせることが出来るというベンチ采配の意図があったと思うが、3番打者の打球速度を見ている限り、ゴロでも前進している内野の間を抜けて行くように観れた。
セオリーでは、3回の早いイニングで、1点を死守するのではなく、「1点は仕方ない」、「ビックイニングを作らない」という考え方であろう。
結果的にセンター前安打になったかもしれないが、「1点もやれない」と「1点は仕方ない」では、投手への精神的な負担、つまり次打者に向かう気持ちは、全く違うものである。
三つ目は、おそらく内野手に一人ぐらい、セオリーに反する守備体系を引いたことに疑問を抱えて守っていた選手がいたはずである。その選手が納得行かないまま、守っていたことに問題があると思う。逆に一人も疑問を抱えてなかったとしたら、それはそれで大変な問題である。
この守備体系を引くときにマウンドに集まって、確認をするようなことがなかった。もし、迷って守っていたなら、良い結果は生まれないものである。本来であれば、ベンチからコーチがマウンドへ行き、「ここはセオリーに反して、1点もやらない守備体系を取る。」としっかり伝えるべきである。とは言え、この場面は、1点に拘る場面ではないというのが正解であり、前進守備体系でなく、ダブルプレーを狙わないと行けないと言い切れる。
守備を行う場合、ベンチの指示、捕手の指示に納得して、皆がその意図をわかって守備することが非常に重要であり、日常からこの類の議論を行い、コミュニケーションを図っておくことが大切となる。
セオリーは、確率が高いからセオリーであり、セオリーを無視することは、リスクを背負うことであることを指導者は、心得ていなければならない。
昔昔、プレーヤーだった頃、初回に無死満塁のチャンスに打席を迎え、敬遠された。次打者がダブルプレーを取られ、一点しか入らず、結果的に負けてしまったことを思い出した。その時の監督が、今競技力向上委員の中にいらっしゃる。破天荒な人ですが・・・。
両チーム、エースを立てるという大事な試合。両投手とも素晴らしい立ち上がりを見せ、投手戦の様相。3回表、無死で四球を出したランナーをバントで送る作戦をとった。捕球した捕手がランナーと交錯する角度からの送球となり、暴投で無死2,3塁の大ピンチを招いてしまった。ここで守備側は、1点もやらないバックホーム体制の守備陣系を引いた。迎えるバッターは、2番打者の左、投げる投手は、最近台頭してきた若手の投手。1点もやれないというベンチの期待に力が入ってしまい、粘られたあげく、四球を与え、無死満塁とピンチを広げてしまう展開に・・。
満塁となった為、前半でもあるし、二遊間はダブルプレーを狙うシフトを引くかと予想したが、またもや先取点をやりたくないという想いからか引続きバックホーム体制の陣形をとった。迎える打者は、好打を誇るポイントゲッターの3番打者、ツーストライクまで追い込んだがセンター前に運ばれ、先ずは、先取点。1点後の無死満塁も、更にバックホーム体制を引き続け、今度は4番打者に投手横をゴロでセンター前に抜かれ、2点を追加され、結果的にビックイニングとなり、試合の主導権を握られてしまった。
ここでのポイントは、3つ。
一つ目は、2番打者を迎えた無死2,3塁の場面で、前進守備を引いたこと。左打者でもあるし、レフト方向に打たせる投球をし、且つ通常シフト、すなわち無死2塁の気持ちで守っていれば、1点は取られるが、1死2塁で3番打者を迎えられたはず。そうなれば、3番打者にも真っ向勝負ではなく、ボール球を投げられる余裕ある勝負を迎えられたと思う。
二つ目は、無死満塁で3番打者を迎えた場面で、引続きバックホームを選択したこと。2番打者を迎えたケースでは、2番打者の打力を勘案して、内野ゴロを打たせることが出来るというベンチ采配の意図があったと思うが、3番打者の打球速度を見ている限り、ゴロでも前進している内野の間を抜けて行くように観れた。
セオリーでは、3回の早いイニングで、1点を死守するのではなく、「1点は仕方ない」、「ビックイニングを作らない」という考え方であろう。
結果的にセンター前安打になったかもしれないが、「1点もやれない」と「1点は仕方ない」では、投手への精神的な負担、つまり次打者に向かう気持ちは、全く違うものである。
三つ目は、おそらく内野手に一人ぐらい、セオリーに反する守備体系を引いたことに疑問を抱えて守っていた選手がいたはずである。その選手が納得行かないまま、守っていたことに問題があると思う。逆に一人も疑問を抱えてなかったとしたら、それはそれで大変な問題である。
この守備体系を引くときにマウンドに集まって、確認をするようなことがなかった。もし、迷って守っていたなら、良い結果は生まれないものである。本来であれば、ベンチからコーチがマウンドへ行き、「ここはセオリーに反して、1点もやらない守備体系を取る。」としっかり伝えるべきである。とは言え、この場面は、1点に拘る場面ではないというのが正解であり、前進守備体系でなく、ダブルプレーを狙わないと行けないと言い切れる。
守備を行う場合、ベンチの指示、捕手の指示に納得して、皆がその意図をわかって守備することが非常に重要であり、日常からこの類の議論を行い、コミュニケーションを図っておくことが大切となる。
セオリーは、確率が高いからセオリーであり、セオリーを無視することは、リスクを背負うことであることを指導者は、心得ていなければならない。
昔昔、プレーヤーだった頃、初回に無死満塁のチャンスに打席を迎え、敬遠された。次打者がダブルプレーを取られ、一点しか入らず、結果的に負けてしまったことを思い出した。その時の監督が、今競技力向上委員の中にいらっしゃる。破天荒な人ですが・・・。
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