2012年6月11日月曜日

バッティング全般(#2)

全アマの委員でもあられます東京大学の平野先生の論文を拝読させて戴きました。論文内容は、2012年に行われた世界大学野球選手権におけるキューバ選手と日本大学代表選手の打撃の比較。
論文要点は、以下のとおり。(かなり要約しています。)
①キューバ選手の方が、スウィングスピードが10%程度速い結果となっている。キューバ選手のホームラン数は、大会を通じて群を抜いている。
②キューバ選手の方が、下半身が基点となった連動したスウィングを行い、重心移動が大きい。
③キューバ選手のスウィングは、アップフライトに振っている。且つ、インパクトを迎える前のバットヘッドの水平時間が長い。つまり。点で捉える日本選手と違い、線で捉えるキューバ選手と言える。
④計算上では、打球を最も飛ばす為には、ボールの中心の2.6cm下を、上方へ10度のアッパースゥイングでインパクトすること。
指導法の違いが、打撃力の差を生み出していると読み取れます。勿論、持っている身体的な能力の差は、キューバ選手と日本選手では大きいことはキューバの試合を沢山観て痛感するところではありますが・・・。
国際トーナメントを終えると総合成績が発表されるが、長打、本塁打では、キューバ、アメリカが二強、その後に中南米のチームが続く結果が続いている。一方、打率では、日本も上位に位置付けられており、アメリカ、キューバと匹敵する成績を上げている。更に、1試合平均の三振の数は、圧倒的に日本選手は少なく、バットに当てる技術はあるということが伺える。しかし、昨今の成績を見る限りでは、長打率の差が、成績の差になっていると言っても過言ではない。シーズン開幕前のWBC(ワールドベースボールクラッシク)では2連覇をなし得ているが、過去のオリンピック、世界大会では優勝したことがない。記憶に新しい北京オリンピックのドリームチームでの惨敗、プロトップ選手派遣でのアテネの銅メダルを見ればお分かりいただけるでしょう。
明確に世界大会における日本チームは、投手力を中心としたディフェンスのチームです。特出したスピードを持つイチローを除く、日本の打者がMLBで受け入れられないのは、長打力が不足しているという評価もあるかと思います。松井選手にしてもしかり、出場機会に恵まれていないとはいえ、日本でプレーした時の3割程度しか本塁打をMLBでは打てていません。
長打が出ないと判断されると外野手はいつもより前に守ります。そうなれば、ランナー2塁の状況で1点が取れなくなってしまいます。外野手を後に守らすことで、安打ゾーンが広がり、打率アップに繋がります。
現在、日本のプロ野球でも打撃が課題となっています。飛ばないボールの影響もあるかと思っていますが、打率、長打(本塁打)とも減少しており、日本打者のホームランバーターは限られた選手となってきています。行き詰る投手戦も、ファンには楽しみではありますが、Baseballの本質は、打撃で得点を奪い合うことからするとホームランを沢山観たいという想いは強いと思います。
平野先生の論文には、そのエキスが沢山含まれており、全日本の打撃コーチ時代からずっと世界に通用する打撃を追い求め、この打撃フォームを研究、指導してきていますが、中々浸透しないというのが本音。論文内に「王選手が真剣で麦わらを切っていたイメージが強すぎるのではないか」と記載あったが、その指導がまだ根付いていると思います。
ダウンスィングとか両腕の使い方を教える前にからだを使い切ったスウィングを幼少期から指導することが大事で、バットの重みを感じながらバットヘッドをボールにぶつけることを体得して欲しいと思っています。}}


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