2014年10月22日水曜日

野球の競技特性と技術指導

最近、野球の競技特性について改めて振り返ったりするのですが、改めて考えれば考えるほど、「求められる技術パフォーマンスがどんなものか」、「そもそも基本とは」というところに行きついてしまいます。

例えば、バッティングを教える際に「遠くへ飛ばすためには」という質問を時々受けることがあるのですが、遠くへ飛ばすということが「本塁打を打つのか」、「2,3塁打を狙うのか」によっては技術指導に大きな違いが出てきます。

本塁打はフェンスを越す飛距離が必要であり、そもそも飛ばすための強靭な体力が重要となります。

もっと簡単に言えば、本塁打は100m以上キャリーで飛ばすためにはという技術です。

一方、2,3塁打を打つには、まず外野手の間を打つ技術が必要となります。
となれば、おそらくバットコントコンタクトが重要で、更に脚力が要求されます。

という具合に目指すべきところが違ってきて、追い求める技術が変わってくるという類です。

何か禅問答のようですが、

意外にも選手本人も指導者もこの辺が整理されていないまま練習に明け暮れているようです。

「ヒットの延長が本塁打」と簡単に言いますが、この考え方では、それ程、本塁打を量産するこがきません。

このレベルの話ができるのは、プロ選手ぐらいの力がないと無理でしょう。


ジュニアの選手であれば、まずは100mを越すためにという練習をするよりも、まずは必ずバットの芯にボールをコンタクトする正確性を重視するほうが得策ということは皆が承知しています。

更に、そのために必要なフォームの習得を目指す方が良いに決まってます

遠くへ飛ばす人を見ていると打球が上がるポイントを良くしっています。

それから飛距離を伸ばす、打球角度を作りだすコツを良くしっています。

更にパワーも兼ね備えています。


一方、アベレージヒッターは、ボールを自分のポイントに引き込み、打ち終えた後の体のバランスが崩れないようなフォームをしています。

どのようなボールにも対応できるような両腕の使い方。

どのうような投球にも対応できるコンパクトなスィングを身につけています。

野球の競技特性からは、一般的にはホームランを打つ特殊能力よりもアベレージをしっかり残すことが重要となるのでしょう。
確率論の世界ですかね。

今指導される基本技術とは、どちらかというとアベレージを残すためにという技術であり、遠くへ飛ばすためのものではないと言っても過言ではないでしょう

要は、2兎を追ってはいけないということになるのかと思います。

ヒットを狙いに行って、時々ホームランがまぐれで出るぐらいの感覚がアマチュアレベルの指導では最も適しているのか。

これがアマレベルにおける「ヒットの延長がホームラン」という理屈なのではないでしょうか。

では、ホームラン打者は不要かというと流れを1発で変えることができるので、打線の構成としたはこういう打者も必要となるのでしょう。

しかし、かなり特異な力量が必要ですから僅かな人員しかチーム単位ではいないはずです。


野球を指導する際の一番の入り口のところで、「どのような打者になるのか」「どのような選手にするのか」というような整理がしっかりと出来ていないとおかしな話となります。

そういった意味では、選手の考えと指導者の想いが一致する必要があるので相互のコミュニケーションがかなり重要となります。

色々な場面や日々こんなことを考えながら指導にあたっているのが現状で日々進化中です。

何となくニュアンスは伝わりましたでしょうか?

纏まりの悪い内容で申し訳ございません。

話は変わりますが、アンダー21世界大会が台湾で開催されること、そのメンバーも昨日発表されました。

実は、このチームにヘッドコーチとして参加することになりました。

未だ侍JAPANのホーページにも私の名前は掲載されていませんが。

平田監督を支えられるように頑張ります。

2014年10月21日火曜日

北海道高等学校野球連盟 指導者講習会

10月18日から19日の二日間、札幌で行われた北海道高校野球連盟指導者講習会に講師としてお招き頂き、高校野球の指導者および秋の道大会でベスト8に入ったチームを中心とした30名強の選手に主にバッティングの指導を実技を交えながら行ってきました。

この指導者講習会、北海道を4分割し、4年に1回のペースで持ち回り4地区で開催するという極めて合理的なシステムとなっています。

昨年、網走で開催された講習会が初デビューですが、今年の札幌開催も昨年と同様、晴天に恵まれ、気温がこの時期としては異常に高いほどでベストの環境でした。

ブログでもご紹介したとおり、 超雨男である私が出向いているにも関わらず、この異常なまでの晴天は、北海道野球連盟の皆様の日頃の行いの良さなんでしょう。

実技では、ブログで紹介をしているような基本事項を徹底的に、且つ理論的に(自己満足ですかね?)解説してきました。

指導者が聞きたい情報は、弱点の修正方法や練習方法(ドリル)なんですよね。

「基本はこうです。」なんてことは何度も聞かされているためか、理論よりも練習方法の説明の時が目が輝いていた指導者が何人もおられました。

「小島さんのドリルは面白いし、分かりやすかった」とお世辞でも言って貰えて、大変嬉しく思いました。

私のバッティングのドリルは、バットを使う前の基本動作が中心です。

特に下半身の使い方、それからバランスの保ち方が中心で、なかなかバットスゥイングまで行かないという、ある意味地道なトレーニングです。

しかし、この動作ができないと幾らバットを振っても上達が遅くなるだけと思っているので特にジュニア期の選手を指導する際にはこの手法をとります。

その中でも、大事にしているのは、タイミングの取り方で、ボールを見逃す姿勢についてのドリルは多種に渡ります(講習会では全部披露する時間がありませんでしたが)。

種目を一つ一つ紹介するわけには行きませんので、ここでは割愛しますが…。


一方、選手においては、流石にレベルの高い北海道200校のベスト8チームの中心選手とあってかなり良いものを持っていました。

ただ、やはり新チームになって間もないこともあり、まだ体力面で物足りなさは否めません。

「正しいフォームを身につけるには、強靭な体力が必要となります。」
「長い北海道の冬にしっかりと野球に即した体力を養って欲しい。」

と注文をつけた程です。

初日に理論を解説、二日目にドリルを行い、その後、実打撃を行いました。

選手の感想は、
「ボールを長く見れるようになった。」
「突っ込みことが少なくなった。」
「打球が飛ぶようになった。」
と好評を頂きました。

勿論、「まだ理解出来なかった」という正直な感想もありました。

理論は、向き不向きがあって当然で万民に理解させることは至難の業です。
更に多数の選手を一人で指導しているわけで、其れ程、甘くないことも十分分かっています。

私のように巡回指導を行う指導者は、出来れば全員のレベルアップを図らねばならないのですが、そう簡単ではないので「一人でも救い上げて行く」という気持ちで指導にあたることが大切と日頃より考えています。

少しはお役に立てたようなので一安心しています。

話は変わりますが、この講習会では、小島姓の密度が高かったです。
北海道高校野球連盟の中に専務理事、常務理事のお二人が小島、更に講習会の講師が小島と。
周りの方は、面倒だったでしょうね。


バルセロナオリンピックのアジア予選前、当時26歳。
白樺並木を見ながら、札幌を拠点として行った強化合宿を思い出しました。

北海道、やっぱり良いところだな〜!

と思いつつも、

千歳空港、グランド、宿泊所、グランド、千歳空港と今回は天候も含めて北海度に来た感じは薄かったですね。

毛ガニも食べ損なったし。


来年は旭川で行われるそうです。

また、呼んで頂けるとの軽いお約束をしましたので、楽しみにレベルアップ自分が見せれる ように以後1年間頑張ります。


懇親会では、若い沢山の指導者の方と野球談義で大盛り上がりでした。

コンパクトディフェンス物議を醸し出していますね〜。


しかし、指導者で一番必要なものは、情熱ですね。改めてそう感じました。

北海道の皆様、大変お世話になりました。










2014年10月15日水曜日

仁川アジア大会総括 その2

今回は仁川アジア大会の総括 その2と題して、戦術の反省と相手国の分析を行ってみたいと思います。

大会の戦略は、予選グループを先ずは 1位で通過すること。
特に予選の最大の敵であり、且つ、最悪のシナリオとなった場合に3位決定戦で対戦する可能性が高い中国を圧倒的な力で勝つということをテーマとしました。
その中国が予選のスタートでしたが、思惑どおり、7回コールドで退けました。

前半の入りは非常に固さがありましたが、予想以上に打線が爆発してくれて非常に楽な展開に持ち込むことができました。
この時点で予選の1位通過はほぼ確定という状況となり、以降のパキスタン、モンゴル戦は準決勝を睨んだ選手起用を行って行きました。

パキスタン、モンゴルとも年々、野球になってきていますが、実力的にはアジアの4強を崩すという力はなく、そういった意味では対戦する方も難しいものです

このように予選を戦いながら、一方では韓国、台湾が入るグループ、特に韓国、台湾戦の試合結果を見ながら準決勝に誰を先発させるのかを考えて行くこととしました。

プロ野球のペナントレースのようにローテーションを組んで投手を起用していくという方法もあるのですが、試合数が大会期間のわりには少ないこと、更に社会人選手はそのような起用にあまり慣れていないことなどから、相手打線と調子の良し悪しを判断基準として準決勝前々日に先発投手を決めました。当然、韓国と台湾の打線を睨みながら。

予選における韓国対台湾のゲームは、地元韓国プロ野球のドリームチームの迫力ある打線が初回から爆発、本塁打のオンパレードと2回で試合が決まってしまいました。
台湾の打線も韓国のヤン・ヒョンジュンの前に押さえこまれ、投手力を含めた力の差を見せつけました。

但し、その試合で後半登板し好投したDENAベースターズの陳投手や押さえで登板した158kmを出したマイナーリーガー投手の投球は間近で見ていた私たちに台湾は手ごわいという脅威を与えるに十分な投球を見せました。

いずれにしても準決勝が山であり、おそらく台湾とやることになるということは、選手を含め大会前から十分に認識していましたので、気持ちの揺るぎはありませんでしたが・・・。

準決勝、台湾戦は、台湾打線が左打者が多いこと、更に決勝で強敵韓国を破るためにはという視点で投手の起用をスタッフで協議し、社会人1年目の左の横田に託しました。

1回の表、いきなり先頭打者を死球で出し、不安定な立ち上がりを見せましたが、後続をダブルプレーに切って取り、何とか0点に押さえて戻ってきました。

本来の出来からはコントロール、キレとも今一つ遠い感もであったのですが、彼の持ち味でもある粘りの投球で何とか3回ぐらいまでは持ち応えてくれると期待をしました。

その裏、想定をしていた台湾の19歳のマイナーリーガー投手の立ち上がりを攻め、1死満塁としました。
が、6番藤島の押し出し四球だけの1点に留まり、先制パンチとまでは行きませんでした。

続く2回の表の守りで、横田が掴まり、更に中継ぎのエースの幸松も打ち込まれ、一挙8点を献上するという大誤算の展開に。
打線は、その裏、2点を返し、3対8と追い上げムードを掴み掛けましたが、3回表に更に3点を献上し、3対10と前半で大きく水を空けられました。
その後は、阪神タイガースに在籍した経験を持つ、チェンに打線が押さえ込まれ、回を重ねていく展開となりました。

投手陣はその後、今村、佐竹、関谷が踏ん張り、追加点は許しませんでしたが、前半の点差が大きく圧し掛かかり、結果的に序盤のスコアを動かすことができず、敗退しました。

ベンチワークとしては最善手として考えた投手起用で勝負したので仕方ないという諦めはありますが、1回の横田の調子で2回表から幸松に代えることも頭をよぎったので、その点だけが結果論ですが少し引っかかってます。

何れにしても敗戦は監督の責任ですから選手は攻められません。

但し、冷静に力を台湾と比較すると今まで過去対戦した台湾の投手層からすると群を抜いていたため、競った試合となっても投手力の差で最後は力負けしたのかなという感じもしています。

それにしても韓国は、やはり凄かった。
決勝で台湾が意地を見せていましたが、やはり投手力、打撃力、走力のどれをとっても頭一つ出た戦力であったことに違いありません。

特に印象的だったのが、100キロを超える巨漢選手のスピードがあること。
流石、選りすぐられたプロ選手だなと改めて痛感した次第です。


準決勝で敗退した後のチームの落胆は想像以上に重く、三位決定戦に臨むに当たってはかなりタフな状況となります。

最低限メダルを死守しようと再度、中国に挑みました。
重苦しい雰囲気、接戦の緊張感の中、試合が進みましたが、頼りの主将の多幡が口火を切り、チームに自信を復活させ、打線が爆発しました。

先発 関谷も大役を果たし、最後は投手リーダーの佐竹が締め、見事銅メダルを獲得しました。

目標の金メダルとは行きませんでしたが、選手は立派でした。
素晴らしいチームになりました。
改めて感謝しています。

今後の強化については、暫く時間をかけて考えて行く必要があります。

また思いついた時点でアジア大会の記事を書いて行きます。

長文となりましたので、今回はこの辺りで。










2014年10月14日火曜日

仁川アジア大会総括 その1




アジア大会におけるJOCの情報発信規制があったため、ブログのアップを少し控えていました。

久々にアップ致しますが、この期間にご訪問頂いた方には大変ご迷惑をおかけしました。

さて、仁川で行われましたアジア大会ですが、当初の目標である金メダルは準決勝で台湾に破れ、達成することができませんでした。


前回の広州アジア大会から強化を重ねて来ましたが、結局、広州大会と同じ銅メダルという結果に終わったことは非常に残念でなりません。

ワールドカップ大会、BFAアジア選手権、東アジア大会とこの4年間着実に結果を残してきただけに仁川アジア大会で勝つことをアマチュア野球関係者、更にファンの多くが期待をされていたことと思います。

ご期待に沿えず、大変申し訳ございませんでした。


準備はほぼ思惑どおりに進んだのですが、大会を振り返ると結局はアマチュアの嵯峨というか、悲しいかなドラフトで選手が抜けて行くという難しい課題が浮き彫りになってしまいました。
前回広州アジア大会の経験者は、主将の多幡、4番打者の林、捕手の上田と3名。
仁川大会までの世界大会経験者は、捕手の中野、外野手の松本、藤島、井領の4名と24名中7名だけが海外大会の経験者という現状。
特に投手にいたっては、経験者が0名という状況でした。

打線は、この経験者を軸にそれなりに力を発揮してくれたのですが、投手においては、持っている力を十二分に発揮できなかったと感じています。
勿論、準決勝 台湾戦の敗戦の責任は、全て監督である私の責任ですので、選手を責めるつもりは毛頭ありません・・・。

「経験者と未経験者の違いは?」と問われるとメンタル面での余裕の違いと考えています。
国を背負って戦うというのは、国内で行うどの試合よりも緊張感が増します。

「そんな馬鹿な」とご指摘を受けるかもしれませんが、これは、経験している人しか分からないものがあります。

両国の国家を斉唱し、ゲームが始まる独特の雰囲気の中での試合は、平常心を保つことこそが、難しいものです。

強化を行っていく上で、この経験の重要さは、アマ球界の誰もが十分認識しているのですが、それをコントールできるシステムに現在、野球界がなっていないため、今後も連続した強化というものは難しいと考えています。
世界大会を経験したプロ選手とアマ選手の混成でチームを構成していくということもトッププロが出場できない(シーズン中に行われる世界大会)大会で勝つための一つかと個人的には思っています。
この問題は、非常に重いため、野球界で慎重に議論を行う必要がありますが・・・。

とは言え、監督及びスタッフをほぼ固定して望んだこの5年間は、アマチュア代表として一つの方向性は示せたのではと自負しています。


招集された選手以外にもJAPANのユニフォームに対する意欲が上がって来たと周囲の方から沢山お伺いできたことは有り難かったです。

話は戻りますが、台湾戦の敗戦については、単に経験の無さという一言で済ませられるものではありません。
ベンチの采配、更には双方の力関係などもしっかりと見ていく必要があります。

次回は、「仁川アジア大会総括2」として、この辺りを中心に纏めてご報告します。

沢山のご声援を頂き、誠にありがとうございました。

強化にご協力頂きました全ての方に感謝申し上げます。

今後ともアマ代表をよろしくお願い致します。