大阪で起きた体罰が起因となった生徒の自殺の問題、入試制度のあり方などで話しが刷り変わってきていますが、「そもそも何故体罰が起きるのか?」「何故、行き過ぎた指導が行われるのか?」など抜本的な問題には誰も踏み込まれていません。
この男子生徒が訴えたものは、単にこの学校へのメッセージとして受け取るのではなく、スポーツ界の問題だと国レベルで考える必要があると思います。
ジュニア期(小学校-高校レベル)の情緒不安定な時期における目に余る指導者の過剰行為を幾度となく、私も目の辺りにしていますが、なぜこのような指導になるのかと本当に疑問を持ちます。
少なくともジュニア期では、スポーツを通じて健全な精神を養うということが重要なのに対して、体罰などが必要なのかという思いがあります。
私も大学時代に先輩の方々から数多くお説教を受け、その一連で殴られた思い出があります。昔のスポーツ界は一種当たり前の出来事であったと思います。おそらく生意気だったから厳しさを教えておかなければならないとの想いで殴られていたと思いますが、殴られた方は、どちらかというと「この野郎」という気持ちが強く、「殴ってもらってありがとうございました。」などという冷静な気持ちにはなれません。
時間が立てば笑い話にはなるのですが。
では、なぜ手を出してしまうのか?
手を出す行為事態は、自分の怒りの感情を抑えきれなくなり、本能的に手が出てしまうことが多いと思います。指導をしている最中に、相手(選手)が気にいらいない態度などとると怒りが納まらなくなってしまい、つい手が出てしまうというパターンが殆どです。手を出した後は、誰でも「しまった。殴る必要はなかった!」と反省の念に囚われるものです。
さて話を戻しますが、「ジュニア期になぜ行き過ぎた指導になるのか?」という本質的な原因については、過剰な勝利評価の高さが全てであると思います。高校生の全国大会一回戦から全国テレビ放映される国は、日本しかないといっても過言ではないと思います。アメリカで高校生の大会が全国放映されるのは決勝戦ぐらい程度で、極めて稀であると思います。競技レベルが低すぎて放映に値しないということだと思います。
一方、「青春」「感動」に価値を置く日本人には、競技のレベルよりもその取組む真摯的な姿勢にスポーツの価値を見出しているため、純粋な気持ちでプレーを行なう高校スポーツが受け入れられるのでしょう。最たる例が、高校野球であると思います。
日本におけるスポーツの普及の歴史(外国への敵対)が、日本のスポーツ文化となってしまっているから仕方がありませんが・・・。
また、一重にマスコミの過剰反応が、ジュニア期の勝利至上主義をあおっていることは間違いありません。もう少し、美辞麗句だけを並べるのではなく、しっかりとした批評をしてもらいたいものです。
このように、勝利をさせること=良い指導者の構図が出来上がっている以上、中々過剰な指導の体質はなくならないと思います。正直、選手の自覚を待つよりも、押さえつけてやらせた方が手っ取り早く、早く結果(試合に勝つ)が出しやすい。ましてや成長過程にあるジュニア期の子供に自覚を促すのは、かなり難しいことであるので、どうしても一方的な指示命令型のマネジメントになり勝ちです。
では、何か策は無いのか問われれば、即効性のあるアイディアは、以下二つかと考えています。一つは、ライセンス制度の導入。二つ目は、NCAAのようなルールを作り、観察員をおくこと。
高校野球がプロ経験者を受け入れることが決まったように、これからのスポーツは、学校体育の範疇ではなくなり、より専門的なクラブ化に移行されていくと考えています。そのような時代を想定した場合にしっかりとした教育を行なうことが非常に重要になります。
その第一関門がライセンス制度であると思います。ジュニア期からトップまでサッカー界が行なっているような制度をスポーツ界全体で行なわなければなりません。逆に指導のライセンス制度を導入できなかったスポーツ種目は、淘汰されていくぐらいの強い覚悟でのぞまなければなりません。
一方、ライセンスどおりに指導が行われているかを監視するものがNCAAのようなルールです。例えば、高校バスケットのシーズンは、10月-8月とか、高校野球の平日の練習時間は、夜8時までなど決め事を作ってしまうこと。
そのルールを監視するような専門的な組織および人員を配置して、全国巡回し、ランダムに学校を監査すればよいと思います。そうすれば、指導の実態もしっかり把握でき、今回のようなこと未然に防ぐことができます。もしルールを違反するような指導が行われていれば、予め準備されたルールで処分を行なえば良いのです。
ジュニア期の本文は、学業とスポーツの両立です。
文部科学省がちゃんと旗振りをして、この問題を重大問題としてスポーツ界全体で議論されることを切に望みます。
亡くなられた生徒のご冥福をお祈りするとともにスポーツに携わる一人として、今後このような痛ましいことが起きないように今回のメッセージを肝に銘じ、行動していこうと思います。
野球界がその先導にたって戴きたいと思いますし、野球界はそうあるべきだと強く思います。
これから色々な会議で積極的に発言させて頂くようにします。
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