なぜ体罰が起きるのかという問題が社会現象となり、連日、スポーツもやったことがない、指導がどのようなものかも分からないような方が熱く語っていることを滑稽に観ています。
スポーツ技術を習得するためには心(自己自立)が育っていなければならいということを特に強いチームの指導者は良く分かっておられます。
本当に一流の選手を育成する過程では、「逆境に強い心を保有する選手であるべし」と精神的に追い込むようなことを行ないます。その結果が、一連の行き過ぎた指導になるのです。
精神的な脅威を与え、自然と追い込まれた環境を作るために体罰を繰り返す。方法論としては、それも一つになるのですが、その結果、競技からのバーンアウト(離脱)を招く怖れは高くなると思いますし、自立した選手は出てきません。
野球界でも名門の厳しい高校を出た選手が大学や社会人に行ってから「伸びない」というようなことをよく聞きますが、いつもやらされているような環境から急に自立を求めれた瞬間にどう対処していけば良いのかコントロールできない事態に陥っているのではと推察されます。
結局、スポーツは、メンタルなのだと思います。今の自分を知り、なりたい将来像にどのように向かっていくかを教えるのが指導なのですよね。
「心」「技」「体」言葉ではこの順番ですが、心なくして成長なし、体力なくして技術の習得はないことを考えれば、技術の習得の前に何をやらなければ分かりますよね。
前置きが長くなりましたが、今日は、前段の話を踏まえて、メンタルトレーニングについて私見を記載します。
メンタルを強化するということは指導者にとっての永遠のテーマです。
私もメンタルトレーニングなるものを社会人時代にチームに取り入れ、大学の先生の指導も選手に受講させたこともあります。
「効果は上がったのか?」と問われれば、メンタル面の効果が出たかどうかというそもそも評価が難しいのですが、少なくとも自己分析を選手がやる癖がついたという点では、有効な手段であったといえると思います。
メンタルの強化というのは、苦しい局面で逃げなくなったとか、日常の練習への計画的、意欲的な取組みに表れるように意識の向上のことを言っているのであり、それによって、試合に勝ったとなど直接的な要因と結論づけるのは更に難しいと思います。
メンタルトレーニングで求める最大の目的は、客観的に自己分析を行えるようになり、難しい局面などでしっかり自分のパフォーマンスレベルを発揮することへ繋げることではないかと考えています。
メンタルトレーニングをやればメンタルが強化されるのではなく、メンタルトレーニングを通じて選手自身が「変わっていきたい」と強く思うことが肝心であると思います。
したがって、メンタルトレーニングを行なったからといって直ぐにメンタル面が強くなることは無く、強くするための方法を習ったという程度と考えた方が良いでしょう。
私の経験から言うとメンタル面にて選手に必要なことは、プレーヤーは、「その瞬間にどのような精神状態でプレーを行なったのか」、「その判断が正しかったのか」ということを絶えず自問自答することが重要です。もし、間違っていたらば、同じ場面に遭遇した際には、同じ過ちをしないように日頃から準備をしておくことが良いプレーヤーになる条件であると思います。
メンタルは日々の厳しい練習にこそ育ち、難しい局面に試合で遭遇するたびに強くなっていきます。
メンタルトレーニングは、選手一人でやるものであり、周囲に合わせる必要はなく、まして指導者の顔色伺って行なうものではないのです。
正しい目標を設定し、それに向かって粘り強く着実に進めていく、試合では、今までやってきたことを十分に発揮することに執着する。これを進める手段がメンタルトレーニングです。
以前の記事でも記載をしましたが、目標の設定と自己実現までの計画は非常に重要なメンタルトレーニングの指標となります。
先ずは、明確な目標、なりたい自分を描がけないとメンタルトレーニングを行なっても意味がありません。
意外と盲点ですが、多くの選手が実はここで悩んでいます。
そのことを指導者は知る必要があります。一方的に目標を押し付けているからお互いの間に溝ができてしまうものです。
東京オリンピックの東洋の魔女と呼ばれた女子バレーチームを振り返る番組を先日観ましたが、あれだけ壮絶な練習にも耐えられた選手、あれだけの練習をやらせた指導者との絆は、「オリンピックで金メダルしかない」という人生をかけてもいいという明確な強い想いから生まれているのだなと関心させられました。
指導者も人間です。過ちがあってはならぬという風潮が出来上がるのが怖いのですが、指導者と選手で本当の意味で目標を共有できていれば、多少の理不尽なこともお互いに耐えることができます。体罰を容認しているわけではありませんので誤解なきように・・・。
もっと具体的なメンタルトレーニングの手法が記載されているのではとご期待された方には大変申し訳ございません。
メンタルトレーニングは、あくまでトレーニングですので、技術練習と同じように意識して強くして行こうを思うことが重要です。
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