2013年7月9日火曜日

監督の資質

幻の完全試合から6年かけて中日の山井投手がノーヒットノーランを達成しました。
立場柄、良く研修の講義をする機会を頂くのですが、この6年前の出来事を置き換えて話をします。
「優勝において、重要な試合に期待を込めた若手投手を先発。予想以上の活躍で少し疲れは見せてきたが、8回まで完全試合で押さえ込んだ。得点差は僅かに1点。ストッパーにはリーグで一番の安定感のベテラン投手が控えている。9回をあなたは誰に託しますか?」という質問を投げかけます。
「交代させます」という意見と「続投」という意見に2分されます。
中には「ランナーを出すまで、続投させ、交代させる」という意見もありますが、私が「ランナー出すまでと送り出したらホームランを打たれるケースが良くあるのですよね」とコメントすると「交代させます」と答えが変わる場合も。
これは、育成を優先するのか、または経営を優先するか、或いは、個人を優先するか、チームを優先するかという究極の選択といえるかと思います。
当時、落合監督は、このケースで山井投手をあっさり交代し、押さえの岩瀬投手に継投しました。最終的には、岩瀬投手が抑えて勝利を手にしたのですが、マスコミからは非情の采配と茶化されていたように記憶しています。
判断を下すにあたっては、次の視点があるかと。
①プロ野球がファンサービスの職業であって、記録達成の瞬間をファンに見せてあげることの重要性。
②記録達成による個人の満足度及び自信をつけさせることの重要性。
③ペナントレースを制するという視点で記録よりも勝利を優先させなければならない。
④チームの勝利の方程式、役割を崩さず、例外を作らない。

落合監督は、コメントでも「長いペナントレースだがこの勝利は重要であった。山井で勝てたかもしれないが、指揮官としては、絶対に落とせない。したがって、岩瀬を登板させた。」というようなニュアンスで述べていたと記憶します。

どれが正解か?

賛否あって答えは出てこないと思います。結局、結果論ですから。
しかし、個人の尊重があって、チームが成り立ち。
チームを優先させるあまり、個が死んでしまっては本末転倒ということにもなります。
おそらく、試合を終ってから山井投手を落合監督は相当労ったと思いますよ。

指揮官や経営者になれば、時としてこのような非情な場面で決断を下さなければならない時が多々あります。
自分がどういう判断を下すタイプのリーダーであるかということを事前にシュミレーションをしておくことが、このような不足の事態での判断に後悔をしないことに繋がるかと。
「俺だったら・・・。」と置き換えて絶えず、判断を下す練習をしとくことも一つの方法でしょう。
意外にも情に流された決断をしていたり、他人の立場に置き換えて考えられていなかったりと自分自身を見つめなおす機会になります。
有事や不足の事態、予期せぬ出来事を解決するリーダーの決断力こそが勝負の分かれ道になると言い換えても過言ではないでしょう。

僕が落合監督の立場であれば、山井に期待していたかもしれません。

監督は、難しい!



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