高校野球へのタイブレークシステム その2
高校野球タイブレーク導入についての第2弾。
タイブレークのシステム内容は、前号でお分かりいただけたかと思います。
今日は個人的な感想を!
侍JAPANプロジェクトが昨年から開始され、全世代のJAPANチームが同じような方針で強化を図っていくということを目標に掲げています。
侍JAPANは世界で勝つことが使命であり、世界に日本の野球の素晴らしさを伝えることが付随した目標となります。
ということは、世界大会のルールに則した形で日常より試合を行っていることがこの目標を達成するには一番の早道であることは誰もがお分かりでしょう。
社会人、大学では、いち早くこの考え方で国内ルールを変更し、延長数回(大会ごとに回数は規定)を行った後、それでも試合が決しない場合はタイブレークを行うことを全国大会レベルでは導入しております。
厳密に言えば、社会人は世界大会導入前よりタイブレークシステムを導入しているのですが。
アマの世界では、世界ルールに則る形で進んでいると言えるでしょう。現在の世界大会のカテゴリーは、
トップチーム(WBCやアジア競技大会などにプロ、社会人、大学選手が出場)
アンダー21(プロ、社会人、大学選手が出場)※今年から新設
ユニバーシアード(大学選手が対象)
アンダー18(高校生が出場)
アンダー15(中学生が出場)
アンダー12(小、中学生が出場)
となっています。
世界大会のルールはカテゴリーに係らず(ジュニアの場合は、試合イニングの違いがある)統一であり、9回で勝敗が決しない場合は、即延長なしでタイブレークとなっています。
このカテゴリー分けの中で国内においてタイブレークが導入されていないのは、(プロを除く)U18の高校野球だけとなっています。
他のカテゴリーでは、導入時のいきさつは別として一応世界大会を意識した形式となっています。
したがって、この流れで行くと高校野球もその方向で進むのは決しておかしな方向ではなく、寧ろ自然な流れであると言えるのでしょう。
大会ルールが延長戦か、タイブレークかの違いによって、戦術は大きく変わって行きます。
例えば、延長戦のケースは、9回の攻防で、10回は引き続きの打順を想定し、回って来ない打順にリリーフ投手をおいたり、代打、代走を出したりします。
しかし、タイブレークでは好きな打順から打ち始めることもあり、クリーンアップには代打や代走を出し辛いということが生まれます。
特に終盤の攻めでクリーンアップなどへの勝負の代走を送る場合に躊躇することもしばしばあります。
逆にタイブレークでは、5番以降の打線が力不足と総合力で劣っていても、好きな打順から始められるため、タイブレーク1回で決着をつけることが可能となるなど、何とかタイブレークまで漕ぎ着ければ力が劣るチームも勝てるというケースが増えます。
というように、もし9回で勝負が決しない場合は、延長か、タイブレークかにより、このように戦略そのものが変わるため、大きな違いがあります。
さて、日本における高校野球位置づけは、他の野球の盛んな国における高校野球の位置づけと異なり、高校野球そのものが文化となっています。
更に野球界の中でも、高校野球というステータスが出来上がっており、野球界という括りに留められていない特別なものとなっています。
ある意味、プロ野球と高校野球は他のカテゴリーから独立していると言っても過言ではなしでしょう。
特に高校野球は、日本の文化であり、象徴的な存在となっており、その大切な文化を壊してまでも世界基準に合わせる必要があるのか?という議論になるのでしょうね。
数々の名勝負が生まれ、そのたびに国民が一喜一憂し、感動を共有する高校野球。
簡単に決断できないのは、このような背景があるからです。誰かが「世界で勝つために、タイブレークを導入するのだ」と言ってしまえば、誰も反論することはできないのですが、その誰が言うかが決まっていない野球界にも弱さがあります。
今回のタイブレークの導入については、単に高野連が判断する内容ではなく、WBCに繋がる強化策として日本野球界全体で判断をする事項とも言えるでしょう。
個人的には、世界基準に揃えるべきという意見ですが、強化方針が未だ確立できていない以上、それほど強く即導入すべきと言えないなとも考えます。
私のブログをスポーツに携わるマスコミの多くの方がお読み下さっていると聞いていますので、今回はマスコミの方を意識して書いたつもりです。
高校野球において、タイブレークを導入するということがどのような意義があるのかという本質を問うて、高校生への負担軽減、試合時間の短縮などを議論して頂ければと思います。
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