2014年7月11日金曜日

テンポとリズムについて

夏の高校野球予選が各地で開催されています。
私の地元長崎でも本日開幕致しました。

長崎文化放送さんから決勝の解説の依頼を受け、お引き受け致しましたので地元の方は是非ご覧頂ければと思います。

また、ベースボールマガジン社より発行されている「高校野球4」という本に私が解説している「コンパクトディフェンス」の特集が掲載されていますので、あわせてご覧戴ければと思います。

さて、少し投稿が滞っていましたが、今日は野球の試合を観る視点の一つとして、「テンポとリズム」ということを取り上げてみたいと思います。

良く「投球のテンポがいいですね」とか「守りのリズムが良いですね」などと解説者がコメントされていることを聞きますね。
勿論、「テンポが良い」「リズムが良い」というぐらいですから良い方向の言葉であることは間違いありません。

「投球のテンポが良い」というのは、サイン交換から投球までの時間が短いバッテリーを賞賛して使われるケースが多いのですが、投手と捕手の呼吸が合っているということでしょうか。
しかし、幾ら投球間隔が短くとも「ストライクが入ったり、入らなかったり」では、テンポが良いとは見えません。

逆に、そういった場合は、一呼吸置いてなどと解説者は良くいいます。

となれば、「投球のテンポが良い」というのはストライクが先行することが求められることになります。

次に「守備のリズムが良い」ですが、これは打者の放った打球が守備側の守備範囲に来て、確実にアウトにしているという状況が続いているということでしょうか。
となると安打を打たれているケースでは「守備のリズムが良い」という表現は使われることはないということですね。

「守備のリズムが良い」というのは、バッテリーと野手の呼吸があっているということになります。投手が意図したところに投球し、野手がその投球を観て打球の方向性を予測し、実際に飛んで来る打球を確実に処理すると言ったところでしょうか。

「テンポの良い投球が野手のファインプレーを生みましたね。」と言った解説も正にその象徴でしょう。

我々指導者は「試合に投球される全球に集中して守れ」などと選手に檄をよく飛ばしますが、1試合の1球1球に集中することは選手にとっては簡単なことではありません。
特にストライクとボールが交互となるような投手が投げているケースなどでは、「さあ来るぞ」と身構えても「ボールか〜」となかなか集中するのが難しい。
またジュニア期におこり易い「アウトコースを狙った球が逆玉となってインコースへ」などとコントロールに難があると野手の予測は立てづらくなってしまいます。
これでは、野手も集中が出来なくなってリズムも生まれなくなってしまいます。

以上の内容を良く良く考えてみると、テンポもリズムも結局投手のコントロール次第と言えると思います。
「この投手が投げると良く野手がエラーするんですよね」というような指導者がコメントをされているケース身近にありませんか?
そういう投手に限って、「三振か四球」というような一人で試合を作るタイプの投手だったりするものです。

野手はいつ自分のところへ飛んでくるのか予測できない投手ほど大変なものはありません。

「打たせて取る投球」と安易に良く使いますが、投手はどのような投手でも「打たせない」と思って投球しているわけで、たまたま、その結果が「三振」であったり「ゴロアウト」になるわけです。
強いて表現するならば、「野手の予測がし易い投球を行う」という表現ぐらいでしょうか。

纏めると、テンポは結局は投手のコントロール次第、リズムは守備側の予測の的確さと正確な技量が必要。その守りのリズムが最終的には攻撃のリズムも生み出すことに繋がると言ったところでしょうか。

野球は90%は投手次第と良く言われますが、試合をコントロールするのは投手であることを投手を任されている選手は自覚する必要があります。

東京ドームで行われる都市対抗野球のダイジェスト版放送、地元放送局での高校野球の解説でもこの辺りの視点で攻めてみたいと思います。

では、今日はこの辺りで。



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