2012年8月6日月曜日
U18世界選手権~大会総評
アメリカの優勝で終えたU18世界選手権ですが、日本チームを主体とした大会総評を今日は記載します。
先にも記載しましたが、18歳以下の年齢制限ある大会で他国が大学1年生と同年代の選手も入れている中、高校生だけで戦った日本チームは良くやったと誉めるべきというのが大会の感想です。
結果は、最終戦で韓国に敗れ、6位となってしまいましたが投手力のレベルの高さは今まで同様にアピールできたと感じます。
敗因は、小倉監督のコメントにもあるように「世界大会への慣れ」「準備不足」につきると思います。
一方、選手が「長丁場の戦いで、コンディションが落ちて行った」と漏らしているように世界大会でもっと要求されるのがタフさと精神的な逞しさです。
体力的な持続力、コンディショニングについては、相手チームを見て、レギュラー選手を交代で休める、試合前の練習を抑えた形で行うなど対策をやる必要があったのだと思います。高校の大会は、トーナメント制で行うため連戦となっても3試合ぐらいが一番長い連戦となりますが、世界大会では今回のように初戦が雨で流れると下手をすると8連戦、9連戦と経験を超えた疲労との戦いになります。
外国の選手は、母国においてもリーグ戦方式の試合になれており、体力が落ちてきているなと感じると試合前のバッティング、ノック練習をキャンセルし、試合前にストレッチとキャッチボールだけで試合に臨ませるなどの対応策を講ずることもあります。
日本人はルーティンが壊れることを怖がり、いつもどおり練習を行って試合に望むことを選手が希望し、他国のような手法をとるのを嫌がります。しかしながら、いかに休むかというのが長丁場の戦いでは、非常に重要となり、この辺りの決断と実行が最終的に勝敗を決める一つの要因となります。
日本チームがどのうような対応をしたかは聞いておりませんので、あくまで一般論で話をしていますが、休むという観念が不足していたのではないかと思います。
体力面と関連して、一番要求されるのがタフな精神力です。日本で行わる世界大会であれば、さほど気にする必要はないのでしょうが、環境、慣習が違う、異国で試合をする場合は、日本の常識が通用せずに色々な意味でストレスがたまっていきます。
如何に今日のことを忘れて明日と切り替えられるがポイントになり、少々のことでは驚かないタフさが必要となります。選考の時にも、非常に重要な要素となるでしょう。
大会中に前半から結果がよろしくない選手は、殆どこの大会期間では上がってこないというのが日本人の特徴であり、まさしく期待していた選手が思い通りの活躍をしてくれなかった大会でもあったのではないでしょうか?打者であれば、前半戦は、「あいつに任した。後半戦は俺がやる」的な発想ができるような選手を育成する必要があります。確かに大会通じて、何割打ったとか直ぐに評価をする傾向にある日本の風潮(特にマスコミ)の中では、打率は低いけれどもここぞっという時に打つ選手を取り上げることはないので、そのような感覚を持つことはできないかもしれませんが・・・。
我々がバルセロナオリンピックに参加した時の山中監督(現法政大学教授)からは、いつもこタフさの要求をされていました。
今後の日本野球界のテーマになるでしょうね。
敗戦の弁に「疲れてバットが思う通り振れなかった」「木製バットは、金属バットと比べて飛距離が出ず、戸惑った」とのコメントがあり、新聞のコメントにも「下位打線で3割を打った選手がいなかった」など、打撃に苦しんだというような大会内容の様でした。
しかしながら、アメリカでも、韓国でも、台湾でも学生は皆金属バットを使って国内大会を行っているので日本だけが不利な条件であったわけではありません。
確かに木製バットへの慣れというものがありますが、根本を正せば結局、打ち方そのものが問われていると考えるべきです。
日本の場合は、小さい頃から戦術を教える練習が主になります。簡単にいうとどのようにチームプレーで1点をとるかということ。ランナーを如何にして先さきに進めていくかという類です。
無死1塁は必然的にバント、場合によっては、1死2塁でも3塁にバントで進める。ランナー3塁に至っては、打てないと判断したらスクイズと。
逆にアメリカでは、戦術よりも個の力量を伸ばすことをジュニアでは教えていきます。ボールを如何に強く打つか、正しいバッティングフォームに主眼を置いて個人指導に力を入れます。
したがって、ジュニア期のアメリカチームでは、戦術が確立されておらず、小学生チーム、中学生チームにおいては、戦術がきちっとしている日本が制覇できるのです。
しかし、年齢があがり、レベルがあがるにつれ、戦術を教え込まれてくると最後は個の力の勝負となり、結果的にそこがポイントとなるわけです。ランナー2塁で如何にヒットを打つかが勝負の分かれ道になります。小さい頃からこの機会を与えないで、いつ与えるのか?何本もバット振っているのにその機会を奪うのか?今一度、指導そのものを考えるいい機会ではないでしょうか。
日本のプロ野球も年々打率が下がっていますし、日本人選手のホームラン打者は激減しています。
要は、アマチュアにそのような選手が育っていないということになると思います。
話が脱線しましたが、バッティングについて今まで個性の尊重だとか、個人の特性を活かしてなどと色々な理由で、統一した指導が行われてきませんでしたが、そろそろアマチュア教本みたいなものを作って全レベルで一貫した指導がおこなわれるべきです。
アメリカの打者を観てて、皆同じような打ち方をしているなと感じる方は少なくないと思います。
冒頭にも書きましたがU18チームよく頑張ったと思います。
敗因は、あなた方のせいではないない。世界大会をどうみるかという野球界すべての責任です。
いちはやく年齢制限による世界大会の流れに順応しているサッカー界のように野球界も早く舵を切らなければならない時期に来ているということです。
��BCでなんとかプロが連覇をして人気を保っている野球ですが、他国が力を入れてくるとそれもいつまで続くかわかりません。
世界で勝つことこそが、人気の継続、子供の憧れ、夢となります。
その強化に携わっている一員として、責任を感じると共にやらねばと改めて感じさせてくれた大会でした。
U18チームお疲れ様でした。
��写真:IBAF公式ホームページから引用)
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