2012年8月6日月曜日

主将の役割~仙台編

昨日まで宮城県高校野球連盟主催のリーダー(主将)研修会の講師と㈱スポーツプログラムスの比佐社長が8年間継続されている宮城県野球界(高校野球が対象)に対する研修会の講師を務めてきました。今回は、そのご報告を致します。
ご報告をする前に、ついに全国的に私の雨男ぶりが浸透してしまいました。ドーハで行なわれたアジア競技大会では、年間数日しか雨が降らないのに大会期間中、殆どが雨模様の愚図ついた天候、広州アジア大会では、広州に到着した途端に雨、一昨年のパナマのワールドカップ大会は、初戦のアメリカ戦の試合開始直前に豪雨で中止、青空は2週間の内、3日程度。今年の台湾でのBFAアジア選手権ではなんと大会期間中ずっと雨、帰国日だけが晴れという全日本関係者の中では伝説的な雨男ぶり。勿論、全日本合宿のほぼ初日は雨からスタートという始末。中島コーチからは「いい加減にしてください」と言われてしまいました。私の仕業ではないのに・・・。
当日の仙台も雨。自分では意識していなかったのですが、ご一緒したスポーツプログラムスの滅多に会わない須田さんからも「小島さん、さすがですね。」と言われてしまいまいした。小島の行くところ必ず雨、困ったものです。
さて、このリーダー研修会は宮城県の硬式、軟式の高野連に所属する高校の野球部の主将を一日缶詰状態に集めて主将としての心構えづくり、各校との友好を目的とした全国的にも珍しい取り組みです。午前中の一コマを「組織づくりと冬場のトレーニング」という全く相関関係のない演題で話をしましたが、事前に各校主将の悩みアンケートの集約表を頂いていたので殆どが「主将の役割」という内容となりました。
「主将の役割は」と問うと「チームを纏めることです」と沢山の主将が応えました。「その纏めるのが大変なのです」とも・・・。
私も主将という役割を高校、社会人と経験してきましたが、実は、主将が苦しむもっと大きな原因は、チームメートに発揮するリーダーシップではなく、監督、コーチに対してのフォローワーシップなのです。主将は、チームメイトに監督の意向を正しく伝え、また監督に対してチームの現状、課題を意見具申しなければなりません。
「監督とのコミュニケーションが取れていると思っている人?」と質問したら全く手が上がらず、笑っていました。逆に「監督とのコミュニケーションは難しいか?」と質問すると殆ど全員が手を上げました。これには、多数の周りにいた指導者も苦笑するしかありません。
色々な高校野球、ジュニア層のチームに指導や練習参加するケースがあるのですが、大半の指導者は、「子供たちの心を掴んでいる」と言葉には出しませんが、雰囲気を醸し出しているように感じています。
しかし、主将ですらこのような事態でありますので、言うほど大した関係ではないと言えるでしょう。
日本の指導者は、指示をしたり、選手に向かって話しをしたりした場合に必ず締めくくりに「分かったか?」と言います。この「分かったか?」は疑問形ではなく、応えが「YES」しかない一方的な疑問文なのです。選手の返事の選択枝は、「ハイ」しかない。
だから私は、「ハイ」という返事ほど指導者には気をつけなさいと言っています。選手は、質問などしたら叱られるとの心理状態であると思った方が良い。
アメリカに1年行きましたと前記事で記載を致しましたが、アメリカ人のコーチは、指導した後、「私の意見に賛成か、反対か」と聞きます。また、「質問はないか」と締めくくります。要は、選手に対して発言の機会を与えるような指導を行っていきます。
日常のこのような積み重ねが、選手との距離を縮めることになり、選手の悩みを救い上げる手段となるわけです。
話を戻しますが、主将の人たちに「では現状を変える方法は?」と再度問うと沈黙しました。応えは二つしかなく、監督が選手に歩みよるのを待つか、自分から積極的に監督に立ち向かうか。「なぜ監督に立ち向かえないのか」= 「本気で勝ちたいという欲求の低さ」だとも話をしました。本当に勝ちたいと思えれば、言いたくないことも平気で言えます。涙ながらに訴えられれば大方の監督も聞く耳は持ってくれるでしょう。
もっと言えば、監督もそのような行動を待っていて、その積極的な行動ができる選手づくりが目標なのですとも話しをしました。
�� ここで選手の目つきが変わったのは言うまでもなく。)
次に8割の理論を説明しました。いつも100点を取れるやつは天才であり、大方の人間は凡人である。100点を取り続けることはない、但し80点を取り続けることは可能かもしれない。
それからいつも100%全力でプレーをしていたらここという場面で120%の力を発揮しようとしていい逆に結果が出ないことがある。絶えず8割ぐらいの力でプレーを行い、ここぞっていう局面に100%が出せるように余力を残しておくぐらいで丁度良いと話をしました。
「ましてや高校生であるから失敗が許される。今失敗しないでいつ失敗するのか?」と付け加えました。
殆どの主将が力の抜けた良い顔になっていたように感じました。
大方の指導者が全力でものごとに対処しろという指導をされる中、少し違う観点で話をしたので、少しは受けたのかな?
当日の夜の懇親会で、その関連として「野球ノート」で選手とのコミュニケーションを図るとの話題となったので、以下の意見を少し述べました。
本来「野球ノート」は自分の振り返り、成長のために人には言えない(監督の悪口含め)、知られたくないような自分の気づきを記載するのが本当の目標であるのに最近では監督とのコミュニケーションのツールとなっている。
ノートを通じないとコミュニケーションが図れないことに問題があるのではないかと思う。最近の大人は、子供たちに対して「横にいる奴にメールで気持ちを伝えてくるのだよな」と現代の子を批判していますが、大人がコミュニケーションの仕方を教えていないだけなのではないのかと正直思いますよと話をしました。
グランドに出たら一言でも良いから部員全員と会話をして下さい。選手なんて単純で監督と会話ができたということでどのような練習にも耐えていけるものです。
選手、監督とも勝ちたいという想いは一緒のはず、その想いがあれば多少のぶつかり合いは大きな問題になりません。
でも、監督と話をするのは難しいよな、多端君!

雨の日は相手がやりたがっていないからチャンス。小島Japanは雨に強いって選手に言い聞かせています。
帰り着いた長崎は、今にも雨が降りそうです。



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